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カテゴリ:歴史と文学
今、私が憧れるもの、といえば、ふ~わふわのペルシャ猫ちゃんだったりします。 愛猫みおちゃんを亡くしてから、当分もう猫ちゃんはいいやって思ってましたが、この間彼氏君のアパートのお隣さんの前庭で、ぬいぐるみのようにおとなしく可愛く座ってるペルシャ猫ちゃんを見かけてから、彼氏君と私の間で、ちょっとしたペルシャ猫ちゃんブームが起こっています。 (といっても、私にブームというものは存在しないのです、欲しい、欲しくないのどちらか、ふふふ・・・・・) 「猫ちゃんは余り好きではない」、と言っていた彼氏君もあのペルシャ猫ちゃんを見て、触ってからというもの、猫ちゃんを飼うのは悪くないかも・・・・って考えを変えてくれてるようです。 ま、そんなこんなで、今日はネコちゃんのお話をしてみたい、と思います。 で、いきなりですが大奥。 女だけの閉ざされた世界。 ここでは猫が御年寄や中年寄の部屋で、当たり前のように飼われており、ここで飼われてる猫ちゃんたちがお女中の人間関係を潤滑にする役目を果たしていたそうです。 御年寄の飼っている猫が妊娠すると、女中たちは先を競って、まだ生まれてもない子猫を予約。そうして子猫が生まれ乳離れできるようになると、予約した女中に渡すことになります。 お祝いに、鰹節、飯器(猫ちゃんのお皿)、鮮魚一籠を添えて、御年寄は女中に子猫を渡します。 そうして、猫の誕生日には赤飯を炊き、御年寄、お仲間を呼んで猫ちゃんの誕生日を祝います。メス猫ちゃんならお雛様の時期には雛祭り、オス猫ちゃんなら端午の節句にお人形をおいて、祝ったそうです。 一見、馬鹿馬鹿しく思えますが、閉ざされた人間社会のなかで、人間関係がうまくいかなければそこでもう一巻の終わりですから、こうやって猫を通して御年寄の機嫌をとったり、他の人間関係を円滑に運ぼうとした、と思われます。
猫ちゃんは平安の宮廷でも飼われていました。 最後に、このお話をして私の今日の記事はおしまいです。 文学の中には、源氏物語で登場しますが、私個人的に一番印象深い猫ちゃん話は、柏木でしょうか。 柏木は源氏のライバル、頭の中将の長男で、朱雀院の皇女三宮に恋心を抱いており、内親王降下の際に期待を寄せますが、三宮は結局源氏の正妻となります。 しかし、源氏は三宮には興味などなく、紫の上を寵愛し続けます。 かわいそうなのはお人形のように正妻という地位に座っている三宮、柏木はそのことをうわさで聞くにつれ、どうとかしたいものだと思いながらも、手立てがありません。 ところで、三宮は猫を一匹飼っていました。 ある日柏木は夕霧と一緒にまり遊びに興じており、そのときにその猫がつけられた紐がすだれにかかり、さっとすだれが上がったときに、三宮の姿をすだれの中に見てしまいます。 今までずっと恋焦がれてきた三宮の姿をはっきり見てしまい、その愛らしい姿をみてからというもの、柏木はもう三宮のことを諦めきれなくなります。
よそに見て折らぬなげきは茂れども なごり恋しき花の夕かげ 『歌の大意 』 恋しくて名残惜しい花の姿(三宮のこと)を見ましたが、手折ることが叶わないので(源氏の正妻なので)、投げ木(嘆き)ばかりが茂るいっぽうです。 という歌を三宮に贈ります。 それだけではなく柏木は三宮の兄である東宮に頼み込み、その三宮の飼い猫をもらってきて、その猫を三宮の代わりに可愛がります。 恋ひわぶる人の形見と手ならせば なれよ何とて鳴く音なるらむ 『歌の大意』 恋しいあのお方の縁だと思って可愛がっているが・・・お前はなぜそのように鳴くのかなあ(猫が ねよう、ねよう(寝よう、寝よう)と鳴くので)
よっぽどのご執心のようです。(ちょっと怖ひ) ともかく息子のこの様子をみた父親の頭の中将は、息子が内親王降下を期待してたのに破れてショックを受けてるのだろうと心配し、三宮の姉である二宮を息子の嫁へと、手配します。 それでも三宮とくらべてパッとしない二宮に不満で、「落ち葉のようにつまらない」といって、この二宮は落ち葉の宮というかわいそうな呼び名がついてしまいます。(これにはまた夕霧が横恋慕するのですが) このあとの続きの話は猫ちゃん話と関係ないので、とりあえずここで終えます。また別の機会にでも・・・・・・・。 ちなみに大奥で飼われてたネコちゃんはたいそう、お行儀がよかったといいますが、私の飼ってたみおちゃんは、顔をコップに突っ込んで顔が抜けなくなったり、ロウソクに興味をしめし顔を近づけてしまい、猫ひげが右半分燃えてしまった、ということをしでかしておりました。 とても平安の宮廷や、江戸城の大奥で暮らすことはできませんね。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2009.03.25 00:19:48
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