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2008.07.30
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カテゴリ:社会

 そう言えば数日前、原子力空母ロナルド・レーガンが佐世保に寄航したというニュースがあった。原子力空母と言えば、なんと言ってもかのエンタープライズが有名であるが、最初の寄航は68年で中学生であったし、二度目の寄航の83年にはすでに大学を出ていたから、二度とも歓迎には行けなかった。

 佐世保には、78年に原子力船むつがどういうわけだかやってきたことがあって、そのときは歓迎に行ったのだが、なぜかあちらには迷惑だったようで、あまり歓迎してもらえなかった。駅を出たとたんに、盾をずらりと並べた青いヘルメットの屈強なお兄さんらに小突き回されてたいへんな目にあった。

 名前が空母についているぐらいだから、と思って調べてみたら、レーガンはすでに四年前に亡くなっていたのだった。93歳だったというから、とりあえずは大往生である。各国の元首相や元大統領らが列席した盛大な国葬が執り行われたそうだが、まったく覚えていない。困ったものである。

 今年の夏の最大の目標は、なんといっても体重を20年ぶりに60kg以下に落とすことである。今年の春にメタボ健診が始まる前の64kgが最高で、以来外食を極力控えるなどの方法で、なんとか61kgまでは下がったのだが、そこから下にはなかなか下がらない。

 最近、いろいろと調べたついでに分かったのだが、15年前に日本新党や新党さきがけを率いて、1955年の 「保守合同」 以来の自民党長期政権にわずかではあれ区切りをつけた、かの細川護熙氏の母親が、終戦直後、戦犯容疑で逮捕される直前に服毒自殺した近衛文麿の娘であることを知った。

 つまり、細川元首相は近衛文麿の孫にあたるわけで、これも知っていた人は当然その当時から知っていたのだろうけど、ちょっと驚いた。近衛の長男の文隆は、蒋介石との 「和平工作」 をひそかに進めようとしたためか、軍に目を付けられて満州に招集され、終戦後はソビエト軍によりシベリアに連行されて、そこで亡くなっている。

 跡継ぎを失った近衛家には、細川元首相の弟である細川護てるという人が、名前を近衛忠てるに改めて養子に入って後を継いだそうだが、この人の奥さんが三笠宮の長女で、つまり、昨年アルコール依存症による入院で世間を驚かせた 「ヒゲの殿下」 の姉にあたる人なのだそうだ。自分が迂闊なだけかもしれないが、世の中にはたしかに 「華麗なる一族」 というものがまだまだ存在するようである。

 むろん、そのような細川氏の出自と彼の政治行動との間に、なんらかの関係があるのかどうかは分からない。鳩山一族もそうだが、今のこの国に、さまざまな 「華麗なる一族」 が存在するとしても、その事実から、日本を裏で支配する 「陰の一族」 のようなものの存在を仮定するのは、いささか早計に過ぎるだろう。

 「ユダヤ陰謀論」 でも、最近流行りの 「地球温暖化」 陰謀論でもよいが、単なる偶然や、さまざまな原因、さまざまな人々の意思の連鎖による結果にすぎない事象の背後に、見えざる神の手のような、すべてを操作している何者かの意思が存在しているかのごとくに妄想するところから、すべての 「陰謀論」 は始まる。

 そして、そのような 「陰謀論」 にはまり込んだ者は、やがて自らも、自らが 「敵」 とみなした者らへの、組織的な中傷・誹謗、デマといった陰謀的手法の行使を躊躇わず、いとわなくなる。

 あちらこちらに潜んでいる、姿の見えない敵がそのような手段を使っているのに、われわれが同じ手段を行使することをためらう必要がどこにあるだろうか。いや、そのような敵と戦い、そのような敵を倒すためには、われわれも同じ手段を行使することを躊躇ってはならない。これは、当然の論理であり、その論理的帰結である。

 ある敵と闘っている者、あるいは闘っているつもりの者らが、そのような敵、というよりも勝手に妄想した空想上の敵としだいに姿形が似通い、区別がつかなくなっていく。そういった例は、中世の魔女狩りや、20世紀の 「赤狩り」、現代の 「反テロ」 戦争など、いくらでもあげられる。

 たまたま先々月ごろに、「続シベリヤ俘虜記」 という題の抑留者らの俳句を集めた書を購入した。定価は2500円となっていたが、ブックオフでの価格が消費税をいれてわずか105円であったというのは、著者らに対してまことに申し訳ない限りである。

銃口に急かされ歩く寒夕焼           井口?子

独房の寒夜を蜘蛛の生きてゐし        長谷川芋逸

韃靼のカザンの街をただ疾る         仁智栄坊

トラックの屍に乗りて 屍積み上ぐ       鎌田翠山






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Last updated  2009.02.06 20:43:30
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