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2008.09.10
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カテゴリ:社会

 忙しくて、あまり時間が取れないので、とりあえず思いついたことだけを。
 自民党の総裁選は、本命と目される麻生のほかに、与謝野馨に石原伸晃、小池百合子、石破茂をあわせた五名ということで落ち着いたようだ。

 町村派(旧森派)と伊吹派という現在の主流派は麻生を推しているので、たぶん麻生の当選は確実だろう。おそらく石原のバックは 「改革派」 を自称する若手で、本人の本音としてはここらで手を挙げておくぐらいのものだろう。

 小池百合子はいったいなにを考えているのか分からないが、彼女を推しているのは、次の総選挙での生き残りをかけた小泉チルドレンたちだろうか。小池を担いで、このさいついでに自分たちも目立とうというぐらいのつもりかもしれない。

 最後の石破は、小泉政権以来、凋落ぶりが目立っている津島派(旧竹下派)の組織防衛のためと、本人としては将来を見据えた出馬といったところだろう。(追記:と思ったら、津島派としては、与謝野支持を決めたそうだ。石破ははしごを外された?)

 それなりに対決として見所があるのは、麻生 vs 与謝野ぐらいだろうか。与謝野がどれだけ本気なのかは分からないが、彼はすでに年齢も年齢だし、一時期、喉頭ガンの手術で闘病生活を送ったそうで(そう言われれば、以前より痩せている)、次を狙うような余裕があるとは思えない。

 むかし、秘書として仕えたこともある中曽根にも出馬の挨拶にいったそうだし、出る以上は、麻生に対するただの当て馬や引き立て役で終わるつもりはあるまい。それなりの覚悟は決めているだろうし、党内にけっこういそうな麻生嫌いの票を集める可能性はありそうだ。とくに 「宏池会」 には、麻生派の前身である河野派との分裂以来の経緯もあるし、長く続く 「清和会」 支配への鬱憤も溜まっているはずである。

 麻生は前回と同様に、秋葉原などでの演説で聴衆を集めて、人気をアピールする作戦に出るだろう。とにかく、オレには国民的人気があるのだ、という 「事実」 を、テレビを通じて全国の党員らに見せ付けるという作戦である。

 しかし、ほんとうに麻生にそんなに人気があるのか、と言われると、もう一つ分からない。漫画やアニメ好きで知られる彼は、たしかに一部の層には人気があるようだが、それ以外の層にはたしてどれだけ浸透しているのだろうか。

 おそらく、彼の戦略はその一部の人気をことさらに強調し、それを核にすることで、自分の「人気」をいわば雪だるま式に膨らましていこうというものなのだろう。昔でいうなら、緒戦の勢いでどんどん味方を増やして、一気に都を落とした義仲や義経のようなものである。しかしながら、二人ともその没落も早かったのだが。

 つまり、秋葉原などでの 「大衆的人気」 を強調することで、「おっ、なんかよう分からんけど、麻生って人気あるらしいよ」 という雰囲気を盛り上げ、勝ち馬に乗るという心理を利用して、ひょっとしてひょっとしたら、麻生なら選挙に勝てるかもしれないという幻の期待感を煽りたて、自分への投票を促すという戦略なのだろう。

 これは、たしかにうまくいくかもしれない。なにしろ、どことかの店が人気あるらしいよ、とか、なんとかいう新製品が出るらしいよ、などというだけで、それっと駆けつけて列を作りたがるような人たちも、この国には大勢いらっしゃることだから。

 だが、麻生には、とにかく身近な人らの間では人望がないようである。弱小派閥の長であるせいもあるだろうが、前回の安倍辞任のさいに、議員総会で当選したばかりの議員らからつるし上げられる彼の姿には、党内での彼の軽さが思いっきり露呈されていた。あれでは、今回、たとえ数の上では圧倒的に勝利したとしても、党内をまとめることは困難だろう。

 けっきょく見所は、戦後政治の源流とも言える吉田茂の孫と、かの与謝野鉄幹・晶子夫妻の孫との対決という、「孫・孫」 対決ぐらいしかないようだ。

 それはともかく、福田首相が 「総理の言葉はいつも他人事のように聞こえます」 と言った記者に対して返した、「あなたとは違うんです!」 という言葉は名言であった。

 「近頃の若い者ときたら」 という言い方は、東西を通じてずいぶんと昔からあるようだが、こうも切れやすい中高年が増えると、これからは 「近頃の中高年ときたら」 という言い回しに変わるかもしれない。ネットでも、そういう言葉がぴったりの中高年の皆様はずいぶんいらっしゃるようだし。

 もっとも 「あなたとは違うんです!」 とは、たしかに一度でいいから言ってみたい言葉ではある。






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Last updated  2008.09.16 11:14:14
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