カテゴリ:理科
今回のテーマはケイ素 Si です。
14族の元素で第二周期は炭素、第三周期はケイ素です。 つまり、価電子は4つあり、陽イオンにも陰イオンにもなりにくく共有結合をします。 第三周期なので、炭素よりも金属性が強く、単体は半導体材料として使われます。共有結合性の結晶を作りますが、ゲルマニウム、ガリウム、ヒ素などをわずかに加えることで敢えて格子欠損を作り、電気伝導性をコントロールしています。 ケイ素は地球上でポピュラーな元素です。炭素は人体に占める割合が高く、ケイ素は地殻中に酸素の次に多い割合で含まれます。 二酸化ケイ素 SiO2 は地殻の主成分であり、(花崗岩などの約70%を占める)ガラス工業の重要な原料です。 つまり、小柄な少年は錬金術で地面から槍だの刀だの出すけど、あれはガラス製ということです。 教科書の図にあるように、二酸化ケイ素は共有結合性の巨大結晶を作ります。似たようなのはダイヤモンドですね。これは本当に硬い。ギチギチで融通が利かない。全ての結合の手がつながっています。 これをそのまんま強熱してつくったのが石英ガラス。まじりっけなしで美しく、強く、薬品に侵されず、光を通し、急熱急冷に耐える。素晴らしい。 ただ、とにかく値段が高い。これで作った特別に精密な器具を壊して割ったときはわーわーと泣きました。だって、普通のガラスの10倍の値段がするんですもの。機器メーカーの人が気の毒がって、安く売ってくれました。 まあね・・・完璧なものって見ているのには美しいけれど、やっぱりこう人間味がないので隙をつくってもらいます。つまりナトリウム塩とかカルシウム塩と混合して溶かして、ちょっと扱いやすい、やわらかくて溶けやすいガラスを作ります。あえて完璧な二酸化ケイ素の結晶構造をくずしてやる。それが通称ソーダガラス。こんこんと窓ガラスを叩く。これもソーダガラス。既にごぞんじのようにソーダとはナトリウムがsodiumといわれるからです。 安いんだけどね、安いなり。割れる。水酸化ナトリウムなどの強アルカリ溶液を入れておくと溶けて使えなくなるから、シリコ栓をします。安く作れるのは、加工するときに低い温度でも扱えるからです。ガラス転移点とかは、大学でやってね。人によってはガラスのことを「粘度が極めて高い液体」つまり水あめの特別ねばっこいものだと考えている人もいます。 ちょっと発展的だけど、ナトリウムやカルシウムの代わりにホウ素を入れたホウケイ酸ガラスは石英ガラスよりも安く、しかもソーダガラスよりも強いので、上等な食器や実験器具に使われます。これとかね。 ところで、 ケミカルガーデン というものがあるらしいです。 水ガラス 珪酸ナトリウム水溶液の濃厚溶液 があります。これはケイ酸の性質を知るのには便利なものです。ケイ酸は酸なので、水酸化ナトリウム水溶液に溶けます。そして、水に溶けやすいものは強い酸、水に溶けにくいものは弱い酸なのですが、ケイ酸は極めて水に溶けにくいので弱酸です。それを塩基で中和した水ガラスは強アルカリ性になります。 まあ、普通に水溶液にフェノールフタレインをたらすだろ。これで何回目かになるからフェノールフタレインを入れるとピンクになるのはアルカリ性だという証明は・・・一応説明しとくか。 今回、「基本に忠実に事の本質を伝える」ためには、ソーダガラスの溶融と水ガラスの液性、さらに水ガラスがシリカゲルになる過程をみせるのがいいのではないかと考えました。 つまり、奴らは無機物質でありながらポリマーである。高分子体であるということ。 ガラスはアモルファス、非晶質であるということ。 ケイ酸ナトリウムは中性近くになるとケイ酸を析出するということ。 金属の塩、今回使ったのは塩化コバルト(II)、硫酸銅(II)、塩化鉄(II)です。どれも強酸+弱塩基の塩なので水に溶けると酸性になります。紫色のような濃い色がコバルトイオンの、水色が銅イオンの、赤い色は本当はFe(III)、最初に投入したときはFe(II)だったので薄い水色でしたが、の色です。 鉄以外、コバルトも銅も毒です。毒っていうか、有害です。 実にゆっくりとですが、水ガラスの中をすくすくと育っていきます。 なんでかな。 ソーダガラスの管です。バーナーで焼きます。オレンジ色の炎が見えます。 なんでかな。 さあ、頑張ってしゃべるぞー。 忘れていけないことは塩基と反応してケイ酸塩ができる化学式と水ガラスを加熱して、結晶水を一部含んだSiO2の多孔質の物質はシリカゲルと呼ばれて、吸着剤や乾燥剤として有用なこと。 その先にいくとさ、どのガラスをどの場面で選ぶか、鉛ガラスか石英ガラスか、ソーダガラスか、ホウケイ酸ガラス・・・とは言わないな。パイレックスだよ。を使うかの選択をする。柴田さんのカタログは役にたったよなあ・・・今はないよなあ・・・。ガラスの種類の選択しか殆ど使わない。シリカゲルねえ。大学入試でしか聞かれないよな。でも忘れちゃなんねえ。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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