電子の量子数について考える
なにはさておき量子論というサイトがあります。バーローの物理化学のハミルトニアンでつぶれ、波動方程式で頭がシュレってしまった私には救世主に見えるサイトです。人物伝をベースに量子論を語ってくれます。ここで、それをプラスして原子について考えて見ます。****************************原子はゆでたまごみたいな構造をしています。芯に卵の黄身のように原子核がどーんとある。白身はまあ無視していただいて。その周りにちっちゃい電子がくるくると回っている。図が欲しいけど書く元気がないぞ、と。よく間違えて、絶対に間違えてはいけないことは原子の電子の数と陽子の数は同じ。原子の状態では+にも-にも偏っていないバランスが取れた状態だということです。ここを踏まえておかないとイオンが理解できない。よろしく。実は電子は適当に周っているわけではなくて、きちんとしたルートを周っています。つまり、電子の殻、ゆでたまごの殻は何段階も薄い殻が重なっているんだね。殻には名前がついています。迷子にならないように。一番内側からK殻、L殻、M殻、N殻、O殻、P殻。日常使うのはせいぜいM殻かN殻までなので、そこから先は今は気にしなくても構いません。数も増えてややこしいしね。大体P殻使うようなデカイ原子は放射性物質だから、ぽろぽろと性質も原子自体も変わります。電子殻は定員性。どの殻に何個電子が入るかが決まっています。一番内側のK殻。内側だから小さいに決まってる。定員も少なくて電子2個だけです。二個でいっぱいになります。どうしても三個目を入れたくなったら、仕方がないので、ちょっと遠いL殻に入ります。ここはK殻よりも一回り大きいので定員も多くて8個です。K殻+L殻であわせて12個までは電子が入れるね。では13個目なら?13個目からは、もうL殻もいっぱいなのでM殻に入ります。M殻はL殻よりも大きいので定員も多くて18個になります。何でK殻やねん。もっとa,b,cとか分かりやすい順番でつけてくれればいいのに。それは最初に見つけた人がK殻ってつけたからです。文句があったら自分で見つけて自分で好きな名前をつけなさい。科学の命名は早いもの勝ちです。M殻は実はちょっと変わった定員制になっています。本当は18個入れるんですが、最初は8個までしか入れません。電子の19個目、K殻2個+L殻8個+M殻8個 にさらにもう一個入るときは一つ外側のN殻に入ります。電子殻の一番外側は8個で安定。(K殻の水素、ヘリウムだけ2個で安定)そこで周期律表をみてください。3族から12族はちょっと面倒なので、今はおいておいて、もう少し化学になれたらやりましょう。1族、2族、13族、14族、15族、16族、17族、18族はい、いくつですか?今数えた族は8こありました。つまり周期律表には二つの原則があって、1、原子番号が小さい順番に上から下に並べている2、最外殻の電子の数が同じになるようにたてに揃えて並べている最外殻の電子の数。け。格好つけて言っていますが、要は「一番外側の殻にいる電子の数」のことです。とりあえず、最外殻の電子は8個で安定。オクテット構造、たこの足の数ってところさえしっかり確認しておけば化学Iで困ることはまずないでしょう。内側はどうするのか。わざわざ内側から電子を引っ張り出して使うなら外側から取るでしょう?化学反応に使うのはほとんどが「一番外側の電子」だけです。それで元素の性質も決まります。これを8個っていう周期でみつけたメンデレーエフさんは偉大だなあ。もうちょっと長生きしていればノーベル賞をもらえたのにね。皆さんは長生きしてくださいね~。化学より大事よ。ところが、納得できない人がいるんだなあ。私も納得できない。その疑問は健全ですよ。なんで、M殻にはあと10個も入る余地があるのにわざわざ外側のN殻にいってしまうのか。これを納得するためには「電子軌道」の考え方が必要になってきます。実は同じ殻の中にいくつか違う種類の軌道があって、そこに電子はいる”らしい”ということです。K殻はシンプルなんですよ。まあるいs軌道が一個だけ。まあるいs軌道は平和で落ち着いた空間です。電子は大好きです。くつろげる。皆ここに入りたい。でも定員は2個までです。そこで定員オーバーになった電子はL殻に入ります。L殻にもまあるいs軌道はあります。居心地いいね。大好きね。だからここから満員になります。2個ね。あぶれた電子は仕方がないのでp軌道という鉄アレイみたいな形の軌道に入ります。つまり丸くはなくて向きがある。難しい言葉で言うと「方位量子数が1」みたいな。丸いのには向きがない。「方位量子数が0」ここから先は大学にいっておやんなさい。向きがある。この世は3次元。つまりp軌道はpx、py、pzと三種類あります。それぞれが定員2個。丸と鉄アレイを重ねると電子殻は金平糖みたいに見えます。まあこの中のどこかに、順番に入っていくわけですよ。まずs軌道、次にp軌道ってね。だからM殻の定員は2+2+2+2で8個です。N殻はまあるいs軌道に鉄アレイのp軌道に、さらに変態っぽいd軌道っていうのが増えます。d軌道には「方位量子数が1」にさらに「磁気量子数+-」が増えます。なかなか変態です。もう金平糖のような電子殻でも隙間をねらって走るので、ちょうちょの羽みたいに4つ角が出ているのと、わっかつき鉄アレイの5種類です。ここにそれぞれ2個づつ電子が入るから定員は1×2+3×2+5×2=18個です。こんな変態っぽいちょうちょ型の軌道なんか、電子は嫌いなわけですよ。もっと平和にまあるく落ち着いたs軌道のほうが好き。だから、19個めの電子はM殻のd軌道に入らずに、一つ外側のN殻のs軌道に入るんです。電子の19個めはN殻のs軌道に、電子の20個めはN殻のs軌道に入ります。電子の21個めはN殻のp軌道に入るか?いやいや、そこはさすがに外側だし、大好きなs軌道でもないし。ということでしぶしぶM殻のd軌道に入っていきます。つまりN殻の内側のM殻にね。そうすると最外殻の電子はN殻の2個のままで変わりません。つまり化学的な性質はほとんど変わらないまま電子の数だけが増えていくんです。これは少々やっかいで、メンデレーエフさんも「めんどくさ」って別に分けてしまっていました。もうちょっとしたらこういう「遷移金属」もやるから、そこまで我慢してね。いままでちくちくとやってきたのは「一番外側の電子の数がいくつか」という化学反応に使える電子の数を周期律表から見極めるためです。もうね、周期律表さえ覚えておけば、どの元素は何個の化学反応に使える電子があるか、わかっちゃうから。電子構造、軌道はかけなくてもいい。最低限K,L,M,N殻のどこに電子が何個入っているかは書けるように!ここで、周期律表です。一番右端をみて。He,Neで始まるラインがありますね。原子番号順で並んでいます。原子番号は書いてある。Heの原子番号はいくつですか。原子量はいくつですか。原子番号は2、原子量は4ですね。ここで二つの風船に気体をいれてみましょうか。こっちはヘリウムです。こっちは空気ね。さあ、落としますよ。どちらが、どちらより軽かったですか?実験は比較が大事です。記録も大事です。見たとおりに書くように。そう、ヘリウムは空気よりも軽いんです。そして「ひとりでも飛べるわ・・・・」単原子分子です。周期律表の一番右端のラインのことを「希ガス」といいますが、ここは一番外側の電子の数、最外殻の電子の数がつるりと2こか8こでバランスが取れています。希ガス=noble gas ね。皆ここを目指して「8個で安定」になりたがっているんです。つまりたこの足のオクテット構造にね。あ、ヘリウムだけは2個で閉殻か。そうすると・・・1族 最外殻の電子の数は1個いやですね。1個なんて半端ですね。誰かに電子を押し付けたい。ちょっとした拍子に簡単に電子を手放してしまいます。2族 最外殻の電子の数は2個うーん。ダメだね。やっぱり8個じゃない。誰かに2個押し付けたい。1族よりは勢いがいりますが、やっぱり簡単に電子を手放します。バランスが取れていたところから電子を放り出したら、つまりマイナスの電荷が減ったら、プラスとマイナスのどちらに偏りますか?そう、プラスに偏ります。つまり、1族と2族は陽イオンになるんです。今度は17族に行ってみましょう。両極端を見ておくと傾向がよくわかるんですよ。17族 最外殻の電子の数は7個うーん。8個には一個足りない。ああ、あと1個あれば電子が8個になってつるりと憧れの希ガス構造になれるのに。でも、自分にはない。それなら、誰かからぶんどってきます。電子好き~♪電子好き~♪ 電子親和力が高い、ということです。ぶんどってきたら、つまり電子が一個余分にあったら、その原子はプラスとマイナスのどちらに偏りますか?そう、マイナスに偏ります。つまり17族は1価の陰イオンになります。16族は17族ほどではありませんが、やっぱり憧れの希ガス構造になるのには電子が2こも足りません。ぶんどってきます。電子はマイナスの電荷があります。そして、2個もぶんどるので2価の陰イオンになるんです。1族代表、ナトリウムで行ってみましょう。ナトリウムの最外殻電子数は1つです。どうなりますか?そう、一つの電子を放り出してプラスに偏り、一価の陽イオンになります。17族代表、塩素で行ってみましょう。塩素の最外殻電子数は7つです。どうなりますか?そう、電子を一つぶんどって、マイナスに偏り、一価の陰イオンになります。この二つを組み合わせたら?見たことあるし、まだ見たことない人はいないと思うよ。おなじみの塩化ナトリウム。食塩です。ナトリウムが放り出した電子は塩素が受け取って塩化物イオンになりました。13族から15族はどうなるのか。いい質問です。13族から15族は中途半端な態度をとります。電子を放り出したいようなぶんどりたいような、中途半端な態度です。従って、何となく押し付けあって「共有」します。奴らは共有結合をするんです。おお、今日は共有結合しまくっている14族の元素を連れてきたよ。スペシャルゲストのダイヤモンド。炭素の同素体ね。なに?小さくて見えない。当たり前だ。でかいのなんか買えるわけがない。では次はイオンの組み合わせの練習をします。・・・・ってしゃべりたいんだけど、間違いありますか?