だし入り味噌
味噌汁ネタを続ける。
私にすれば、あらゆる気力のもと、とも言うべき存在の味噌汁。
当然、味噌の宣伝販売を担当したことも、幾度かある。
ぶっちゃけ。
味噌の宣伝販売は難しい。味噌は大概の日本人にとっては極めて身近な、同時に、生育歴とも結びついた特別な存在の食べ物であることが多いぶん、自分では意識していなくても各人にこだわりがあるためだ。
「味噌に関しては、この味でないと駄目なんです」。
こう口にしてはばからない人は、かなりいる。
このような事情から、味噌汁の宣伝販売を担当するデモンストレーターに経験の浅い新人がまわされることは、長い間、まずなかった、、、だし入り味噌が登場し、それが進化を遂げて一般的になるまでは。
最初から味噌にだしが入った、だし入り味噌。お湯で薄めるだけで飲めるインスタントスープと同じ要領で作ることが出来るので、お手軽はお手軽だけれど、出始めの頃は肝心の味が今ひとつのものが多く、そのことがネックになって売上はあまりよくなかった。
そこをメーカーは頑張ったのだ。
研究と開発を重ね、あれよあれよというまに、自分で下手にだしをとるよりよほど美味な「だし入り味噌」を製造することに成功。
味の進化と共に知名度も販売量もアップ。
こうなれば、デモンストレーターにもデモンストレーションスキルは必要とされない。
レシピ通りに味噌をお湯で薄め、乾燥ワカメとネギを散らし、後は煮詰まらないようにしたらよいのだからね。
確かに、忙しい時は、味噌汁に限らず魚や野菜の味噌煮に使うにもだし入り味噌は助かるね。
ただ、いつもいつも使うのはなあ、、、。
プラス、香りも含めた風味の点では、やはり鰹節なり昆布なり椎茸なりでだしをとった方が、ダンゼンだよ。
写真は、沖縄の味噌汁(Wikipediaより。パブリック・ドメイン)。
具沢山で、油を加えた点が特徴だ。