弱音
貴重なお盆休みが終わって、暑い中での仕事が続く主人だった。息子がバイトを調整して3日ほどの夏休みをもらって帰省したのが火曜日の夜だった。明日は松山へ戻るため、主人は妹親子たちと一緒に「お好み焼き」を食べに行こうと予定していた。お好み焼き屋さんは美味しいと評判のお店で、仕事でもお客さまである。ミックスのお好み焼きに、豚玉、チーズ玉、いたりあんとまと(チーズとトマトのコラボ)焼きそばになんこつや野菜炒めなど、本当に美味しいものが盛り沢山である。美味しい美味しいといいながら食べている最中のことだった。「煙がすごいなぁ」と主人の一言。「えっ?けむい?」ここで気づけばよかった・・・。主人以外は誰もけむたいとも思わなかった。その後、帰宅すると主人が「目が痛いんだ・・・さっきの煙が目に入ったのかな?」「どれどれ?」主人の両目が真っ赤になっていた。黒めに白っぽい膜が張っているようだ。「見えにくいんだ」「ねぇ、パパ。煙が入ったなんて違うでしょ?今日の仕事で何か目に刺激があったんじゃない?思い出してみて」「うーん・・・そうだなぁ。殺菌灯のランプの交換があった」「それよ!紫外線を大量に浴びたんだ」「そういえば・・・でも・・・直ぐに終わったぞ」「ちょっと待って、調べてみる」やはりそうだ。防護のメガネをかけてはいても、体力的に弱っているところにはかなり堪えたのに違いない。「明日の朝、一番に眼科に行こうね」そういって消毒の目薬をさしたのだが、主人は段々目が見えなくなっていく不安に駆られて一睡も出来なかったようだ。「助けてくれるか?もし、見えなくなったら・・・」眠りにつきかけた私の手を握ってか細い声で言った。「こら!私がついてるんだからどんと構えていなさい!はやく寝る!」時計を見たら午前2時を過ぎていた。