とっても素敵な女性
その人は、現在56歳。小学校を終える頃まで、福井県に住んでいました。当時はまだ高度成長期前で、日本は現在のように物質的には豊かではありませんでした。 誕生日に友達を家に呼び、一緒に食事をするスタイルの “誕生会” がはやり始めました。彼女の家は決して裕福ではなかったので、お母さんから「えりちゃんもお友達を呼びたいんじゃない?」 と聞かれた時は、すごく嬉しかったそうです。 「何人くらいなら、呼んでもいいの?」 家庭の財布を心配して尋ねました。「ケチくさいこと、言わなくていいの。 来たい人、みんな誘いなさい」彼女は昼休みに教壇に乗り、大声を張り上げたそうです。「明日、うちで私の誕生会をやります。 来たい人は手をあげてください!」 なんと、クラスメート全員の手があがりました。 「うちの中はね、友達であふれかえったの。 屋根の上に登って、母が用意してくれた、いなりずしや海苔巻きをほおばる男の子たちもいて、電線にスズメが留まっているようなその光景は、嬉しくて嬉しくて今でも忘れられないのよ」 彼女は自身も3人の子供を持ちました。そして子供たちの誕生日には、同じように来たいと言うクラスメートをすべて迎え入れました。 家は都心にあって、50平米あるかないかの狭い2LDKマンション。そこで親子5人暮らしです。招待された子供たちは家に入りきれず、マンションの階段に座って、えり子さんが用意したジュースとサンドイッチやいなりずしをほおばりました。 彼女のご両親の素晴らしさ、それを受け継いだ彼女自身の深い愛を、綴るにはスペースが少なすぎます。彼女のお父様は 「よき隣人であれ」 と子供たちに教え続けました。自分だけ、自分の家族だけよければいいのではなく、世の中のすべての人の幸せを願える人になりなさいと。 その女性は・・・私のおよそ25年来の友人・山谷えり子さん。安倍新総理のもと、首相補佐官として、教育再生担当に就任しました。テレビでは、怖い顔に映ることが少なくないけれど、温かいハートの持ち主です(^~^) 今日はポンポンくんが宣伝してくれます。 『老人と犬(さくら苑のふれあい)』 文春文庫PLUSより発売中。630円 写真=秋元良平(『盲導犬クイールの一生』の) 文=高野瀬順子(あびあんとー、こと私です) オビには松たか子さんがコメントを寄せてくださいました。 犬5頭・猫4頭と暮らす横浜の特別養護老人ホーム。そこでのお年寄りたちと動物の絆を追いました。 すばらしい笑顔の数々を、ぜひご覧になってください。 感動の輪が広がっています!!