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テーマ:読書備忘録(1353)
カテゴリ:読書
「脳の闇 (新潮新書)」中野信子
人間の厄介さを知っていますか ブレない人、正しい人と言われたい、他人に認められたい……集団の中で、人は常に承認欲求と無縁ではいられない。 ともすれば無意識の情動に流され、あいまいで不安な状態を嫌う脳の仕組みは、深淵にして実にやっかいなのだ―― 自身の人生と脳科学の知見を通して、現代社会の病理と私たち人間の脳に備わる深い闇を鮮やかに解き明かす。 五年にわたる思索のエッセンスを一冊に凝縮した、衝撃の人間論! (目次) はじめに 第一章 承認欲求と不安 ヒトに特異的な欲望と快楽/誰もが持っている「空洞」/理性に情動がついていかない 「共感」というスキル/好意と「あわよくば」のあいだ/脳が恋愛のさなかにあるとき 不安感情が内面に暴発するとき/不安と戦わない、という方法 第二章 脳は、自由を嫌う タイムプレッシャーによる意思決定/「迷わない人」は信用できない/ブランドと権威を認知する脳の働き 「解は不定」の居心地悪さ/人はかくも騙されやすい/迷信・俗信が確信に変わるとき/「わからない」を嫌う脳 あいまいさを保持しておく知力/誰しも中立ではありえない/信頼できる意思決定をしてくれる誰か 第三章 正義中毒 「正しさハラスメント」/正義を執行する快楽/集団を守るための不寛容/「美しい」=「正しい」のトリック ネアンデルタール人と現生人類の違い/「倫理的に正しい」への警戒/糾弾は自省よりたやすい/「不謹慎」を叩く快感 民の裁き訣別するために/誰しもが陥る正義中毒メタ認知が中毒状態を乗り越える/「どうでもいい」という絶妙な距離感 第四章 健康という病 性格傾向の3類型/「いい子であれ」という無言のメッセージ/片頭痛持ちは賢い?/不健康自慢がウザいわけ 自らに傷を負わせる作為症/自傷と創作の痛々しさ/健康を崇め奉る風潮/リスキー・シフトとコーシャス・シフト 第五章 ポジティブとネガティブのあいだ 解決できない感情という重荷/アドバイスという名の自慢話/ナルシシストと自己肯定感 自身の醜さと闇を知る人 助けられなかった人たち/ポジティブ思考の暗部/抑うつ的反芻という思考習慣 音楽を聴けば頭が良くなる、は本当か/音楽は灰白質の神経細胞を増やす 第六章 やっかいな「私」 子どもの頃から感じた分断/王道イメージへの抵抗感/一番安いものを選ぶタイプ/気難しい自分の扱い方 過敏な感覚とこだわりと/待つという能動的選択/極上の孤独は蜜の味/インナー・ヴォイスと毒親問題 第七章 女であるということ 女性の寂しさの肌感覚/結婚は合理的か/「科学者」でなく「主婦」として評価されるマリー・キュリー 理系と女性は両立しない?/女性に対するステレオタイプ脅威/フェイルセーフの女子アナ戦略/銃と男とテストステロン 第八章 言語と時間について 「始めに言葉ありき」の解釈/人は真実など欲していない/ネガティブ感情とストレスホルモン 急急如律令と建設的批判/仮説としての普遍物語/自我とディスコミュニケーション/双子語と個人語 「ヴァルダロの恋人たち」の時間/「話が通じる」という奇跡/コミュニケーション力の測り方 杞憂と言い切れない日本人気質/人間は安全より不安に惹かれる/新世紀より世紀末が好き/時間軸と未来予測 未来や過去を思えるのは人間だけ/何かが終われば、新しい何かが始まる/人間の本質としての新奇探索性 中野信子さんはテレビのコメンテーターで時々見かけて、話し方がちょっと固い感じのする人だとは思っていたけれど、文体も文章も論文を読んでいるようで固かった。 この方も、幼い頃から周囲と自分との違いに強い違和感を感じていたのだろうが、よく折り合いをつけてきたなと思った。 内容はとても興味深く納得できることが多く、人間の様々な心理や行動がこのような仕組みなのだと思った。 だが、すぐに忘れてしまいそう。 「妄想radio (レディオ)」桜木紫乃 直木賞作家・桜木紫乃のエッセイ集第2弾。昭和の流行歌をテーマにした妄想ラジオドラマや、令和に生きる人々の思いを映し出すエッセイを収録。 担当編集者たちの「今だから話せるマル秘暴露話」もたっぷり。 カバーイラストは江口寿史さん。 これはとても気軽に楽しく読めます。 「脳の闇」に疲れたらこちらで脳をほぐします。 担当編集者の桜木さんエピソードは笑っちゃいます。 「なみだあめ<哀愁>時代小説傑作選」 江戸の人情に思わずもらい泣き 父と娘、母と息子、男同士の友情……心震える名作アンソロジー 「文」(志川節子) 旅籠屋の主・源兵衛は、江戸にいる恒之介と四十年来の友だ。このたび隠居をして故郷に戻るという文を受け取った源兵衛だが、江戸で大地震が発生し、恒之介は亡くなってしまう。友が故郷でやりたかったことに思い当たった源兵衛は、その遺志を受け継ぎ、奔走する。 「雨夜の月」(高瀬乃一) 料亭の主人・徳兵衛は、老いによる躰の不調や料亭を継ぐ甥への苛立ちから、当てつけとして、迷い込んできた子犬に身代を譲ると言い出し……。 「夏草ヶ原」(梓澤 要) 隠居した武士・庄右衛門は、神田川の土手で浮浪児の少女に気付く。見て見ぬ振りができずに医者に連れていく庄右衛門だが、そこで厳しい現実を突きつけられる。 「神童問答」(馳月基矢) 手習所を営む勇実と千紘の兄妹のもとに、旗本の奥方が息子の鞠千代を連れて、入門希望にやってくる。七歳にもかかわらず『論語』を諳んじる鞠千代の面倒を見ることになった勇実だが、千紘は母親のことも気にかかり……。 「深情け」(諸田玲子) 豪農の娘・おそよは、気に染まない縁談の祝言の夜、盗賊に襲われる。しかしおそよは、自身を犯した盗賊の頭領のことが忘れられず、行方を突き止めるが……。 「野槌の墓」(宮部みゆき) 七歳の娘を一人で育てる<何でも屋>の源五郎右衛門は、娘から化け猫のタマの依頼を聞いてほしいと頼まれる。人の命を奪うようになった物の怪退治を請け負った源五郎右衛門だが……。 このシリーズも、読んでいないものを見つけたら借りてしまう。 脳や心が疲れる本を借りたら、このような心がほぐれる本も読まなくちゃ。 女性が描く時代小説が心地よくなってしまった。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2024年01月22日 08時59分46秒
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