「べらぼうくん」万城目 学
「水たまりをのぞいたら、そこに映っていたのは青い空だった」
べらぼうとは漢字で「篦棒」と書く。
「あまりにひどい」「馬鹿げている」「筋が通らない」といった意味の他に、端的に「阿呆だ」という意味がこめられているところが気に入った。
どうにもうまくいかぬ男の、十歩進んで九歩下がる日々をまるっと包みこんでくれるようで、あの頃の蒼白い顔をした自分に「よう」と呼びかける気持ちで、『べらぼうくん』とタイトルを決めた。(あとがきより)
未来なんて誰にもわからないのだ。
川べりを俯き歩く万城目青年は、いかにして作家としての芽を育てたか。
万城目ワールドの誕生前夜を描く極上の青春記であり、静かに深く届けたい人生論ノート。
万城目学の本を読み、この人はどのような思考回路を持つ人なのだろうと興味を抱いたが、
図書館で作家になるまでのエッセイのようなこの本を見つけたので借りてきた。
面白くて読みやすいのでサラサラ読んで返してしまったのだが、やはりこの人の社会や人への目の付け所は面白いと思った。
決して皮肉屋ではないのだが、この人の考え方や選択の仕方はやはりとても個性的だ。
この人と話したら思いがけない展開になって楽しいだろうな。
でも、ついていけるかどうかは怪しい。
私はとても常識人でフツーの見え方しかできないので。