カテゴリ:第二章 123 ~ 187 話
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~~~ ~~~ ~~~ 公園に立ち並ぶ木々の間を、鮮やかな夕日が真っ赤に染めている。 遊ぶ子供達のシルエットのその横を、一人の男が急ぎ足で歩を進めている。 向かうは和恵のいる開店前の 華夢ON 。 とくさん 「いらっしゃい、椿さん。」 外で打ち水を撒いていたとくさん。 椿 「こんにちは。。。こういち君が帰って来たって聞いたんで。。。」 とくさん 「はい、みなさんお待ちかねのようですよ♪」 ガラガラ~ 椿 「失礼します。」 ゆうすけ 「椿さん、お久しぶりで~す。」 イスに逆向きに座り、背もたれに抱きつきながら挨拶するゆうすけ。 利江 「ご無沙汰してま~す。。。」 立ってお辞儀をする利江。 こういち 「ういっす。。。」 椿 「おっ、みんな元気そうだな。」 和恵姉さん 「椿君、少し見ないうちにたくましくなったみたいね。」 椿 「えぇ、師範と共に山にこもり、みっちりと特訓してましたので。」 さらにもう一人、初顔の女性を見て、 椿 「えっと・・・・・こちらの方は・・・・・」 和恵姉さん 「紹介するわ。 こちらは椿さん。浦羽高校 柔道部の主将なの。 特殊な柔道も会得しているわ。 そして彼女はリツコ。 中華 綉榠餡(しゅうめいかん)の用心棒を私と一緒に。 お二人とも、よろしくね♪」 リツコ 「リツコです、よろしく。」 椿 「椿です。 よろしくお願いします。」 和恵姉さん 「募る話が多いわね、お互い。 こういちの旅行の話は置いといて、行き成り本題と行きましょうか。」 ゆうすけ 「りょ、旅行かよ・・・・ ^ ^;;; 」 和恵姉さん 「椿君、突然だけどリツコと腕相撲してみてくれない?」 椿 「えっ?」 ゆうすけ 「負けたら夕食が出ないかもしれませんよ~♪」 椿 「おぃおぃ、からかわないでくれたまえ。 相手は姉さんじゃないのだから。。。」 和恵姉さん 「まずはやってみて。。。」 椿 「は、はぁ・・・・。 姉さんがそう言うのであれば・・・・」 女性相手にあまり気が進まない椿。 ゆうすけ 「クドイけど、負けたら夕食抜き~♪」 ひとつのテーブルに向かい合う椿とリツコ。 ゆうすけの審判で始まる。 ゆうすけ 「いきますよ、よぉ~い。。。。始め!」 椿は強く力を入れていない。 無論リツコも。 握られた両者の手の位置は全く動かない。 リツコ 「様子見は不要ですよ、椿さん。」 グイっと45度まで傾けるリツコ。 椿 ( っ ) 慌てて力を込める椿。 リツコ 「ほら、もっと真剣にやりませんと・・・・ほらほら。。。」 徐々に腕を倒しつつあるリツコ。 椿 「な、なにぉー」 ミシミシ いよいよ気張り始めた椿、堪らずテーブルが軋(きし)む。 テーブルを掴む左手にも血管が浮き出てくる。 腰もしっかりと入れて本気モード突入。 顔はきっちりと歯を食いしばっている。 リツコを握る手も徐々に震え始めた。 しかし、一向に角度は改善されない。 そして、 ダン★ ゆうすけ 「はい、リツコさんの勝ち~☆」 椿 「どういうことなんだ・・・・ まるで次元が異なる・・・・」 和恵姉さん 「紹介が足りなかったの。 彼女、実は謎の組織の商品販売部にいてね。 私が連れ出したのよ。」 右腕を押さえながら、 椿 「なんですってっ! 謎の組織にっ!」 和恵姉さん 「そっ♪ つまり普通の女性では無いってことなの。」 椿 「どおりで・・・・ すると、あなたも DNA の変更を?」 リツコ 「えぇ。 でもよくそれをご存知で。」 ゆうすけ 「えぇぇっ それってオレは初耳なんだけど・・・・」 椿 「ではこちらの情報を話そう。 うちの師匠関係の調査で明らかになったんだ。 まず、先月のビル前の地盤沈下、 あれは地下にある研究所の天井崩落が原因だったようだ。 その現場にあった PC のデータからその施設では、DNA の変換が研究されていたことが 判った。」 利江 「DNAを !?」 リツコ 「そうです。 体の丈夫な人、スポーツの心得のある人、体力のある人などにDNA変換を術しております。 体になじむ、なじまないなどで、100%全員の変換は出来ないようですが。」 ゆうすけ 「すると、謎の空手家や裏柔道家の突然の出現も納得できるな・・・・ DNA をか・・・・」 (それで量産が可能な訳か・・・。 にしてもタイプが異なっていたから、元になるDNAはいくつかあるってことかな・・・) こういち 「その術をリツコさんも受けているってことでしょ?」 リツコ 「えぇ、そうよ。」 こういち 「でね、椿さん。 今、勝てなかったよ。」 椿 「確かに・・・・・」 こういち 「このあいだの謎の柔道家との一戦では、互角の相打ちだったじゃない。」 椿 「そうだった。 しかし今日はまるで刃が立たない程の差を感じた・・・・」 リツコ 「スペック-1と互角 !? 裏柔道を得手といえば、開発 NO. A-005号 の事です。」 椿 「その男の名、睦月 涼 といいます。」 リツコ 「はい、間違いありません。 ですが、スペック-1の者と互角に? そんな人がいるんですね。」 椿 「その私に、あなたは大差で勝った・・・・。 その数字、もしかして増えてませんか? あなたの場合。」 リツコ 「えぇ、私はスペック-3、最強レベルまで術されています。」 ゆうすけ 「3っ! 既に3にまで数値が増えているのかよ・・・・」 リツコ 「ですが、2は3への過程の前処理で、世には出回っていません。 えっと、商品として売買されたのはって事ですが。」 和恵姉さん 「すると、スペック-3となると、椿君でもどうにもならないってことになるわね。」 椿 「た・・・確かに・・・・」 リツコ 「組織の総帥は、我々の動きを邪魔する少年が現れたと話してました。 もしかして、その少年って 椿さん のことですか?」 ゆうすけ 「残念ながら、椿さんだけじゃないよ。」 リツコ 「では姉さんが・・・・? 少年ではありませんよね・・・・。 我々はスペック-1でもレベル的には十分と高をくくってました。 椿さんみたいな方が他にもいらっしゃるなんて・・・・ それに驚き、慌ててスペック-3までの開発を命じる号令が出ました。 スペック-2は、-3へのステップの予防接種みたいなものです。 そこで体に馴染まないと、-3の施術を行ってもレベルアップ出来ないんです。 まだ完全なる量産・・・・には程遠い段階でした。」 和恵姉さん 「ありがとうリツコ。 それを聞き出すためではなかったのだけど、助かるわ。」 リツコ 「いえ、私も TV のニュースで初めて組織の行っている様を知りました。 私達の生活の場を脅かす行為は絶対に許せません! 商品を売ることだけでは気が付きませんでしたから・・・・。 もうひとつお話します。 スペック-3ですが、私が飛び出すまでにまだ私を含めて3人しか成功し ていません。 その後に1人だけ3への施術予定者はおりましたが。」 こういち 「今はリツコさん入れて3人か・・・・ もしかしたら、ザウバーとクラウスってやつじゃないかな・・・・。」 リツコ 「ど、どうしてその名前を !? 」 ゆうすけ 「組織を邪魔している・・・・ と思われている集団がここに揃っているメンバーだからさ。」 リツコ 「ここのみなさんが !? 」 ニコっとしてリツコに笑顔を返す、和恵姉さん、利江、椿、ゆうすけ、 そしてこういちであった。 -つづく- (・・・なんか物騒だな) ※ このドラマはフィクションです。登場する内容は、実在する人物、団体等とは一切関係がありません。 また、無断で他への転載、使用等を堅く禁じます。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2021年01月22日 13時36分01秒
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