カテゴリ:第二章 123 ~ 187 話
.
ここはお台場にある、とあるレンタルスペース会場。 ここに全世界中からジェットで、豪華客船でと、闇のバイヤーである武器請負人の ブローカー達が密かに集結していた。 会場には丸テーブルにワイン、オードブルなどが乗り、中央にはキャンドルと フラワーアレンジが施され同じテーブルがいくつもいくつも用意されている。 テーブルの間合いには水割りや他のアルコールをお盆に乗せて提供している バニーガールの姿。 会場正面には大きなモニターがデンと構え、その活躍の時を待っていた。 盛大な音響と共に照明演出が始まり、しばらくすると急に会場の照明が落とされ、 前方のマイクスタンドが置かれている部分にスポットが当てられた。 テーブルのキャンドルがなまめかしい雰囲気をかもし出している。 そのスタンド前に立つスワン、今日は赤いドレスに実を包み、髪はストレートに流している。 ドレスに付いているクリアーストーンが、スポットライトにきらびやかに輝く。 スワン 「みなさん、遠路はるばるお越し下さいまして、誠にありがとうございます。 今日は私どもの開発した、この夏の新作、その威力を皆様にご覧頂きたいと思います。 それではご紹介します。 私ども組織の総帥、提供者の 社長、ガイザー です。 盛大な拍手でお迎え下さい。」 『 パチ パチ パチ パチ 』 会場から盛大な拍手が起きる。 そして会場最後尾の入り口前にスポットが当たり、黒のタキシードにシルクハットという 出で立ちで ガイザー社長 が現れた。 大きく右手を上げ、会場の拍手に答えた後、そのまま胸の位置に手を下ろして一礼する。 そして、スポットが落とされ会場がろうそくの明かりだけとなった次の瞬間、 前方のマイクスタンドにスポットが移り、なんとその中に ガイザー社長 の姿がっ! 会場は驚きの歓声が沸き起こる。 『おぉぉ』 ガイザー社長 「みなさん、今宵はこの程度の事では驚いてはいられなくなります。 昨今、核兵器を筆頭に、最新型の戦闘機、戦車、ミサイルなど、さまざまな優れた 兵器が開発されております。 これらは、いざ戦争となって初めて活躍することが出来る兵器で、 普段は倉庫、格納庫に眠ったまま。 手元の存在を知らしめる事で、威嚇と交渉の手段に用いることが定石。 そして活躍する場を与えられても、やれ誤爆だの、一般市民を巻き添えにしただの。 その後の責任のやり取りに苦慮する一面も覗かせております。」 ここで、巨大スクリーンに電源が入り、画面が映し出された。 柵の手前にカメラがセットされており、柵の向こう側には広い滑走路と思われる映像。 その奥には、戦闘機がズラリと並び、すぐ後ろには管制塔らしき建物も映っていた。 ガイザー社長 「ところが、我々が提供する兵器は、機器類ではなく、人間です。 戦争が起きていなくても、密かに活動することが出来る上、この能力たるや、 通常兵器の数十倍もの活躍。それをこれからご覧頂けると思います。」 カメラは、滑走路に立つ二人の男の姿を捉えた。 ガイザー社長 「ディスプレイの映像は、現在進行形の生映像です。 ご覧頂くのは、今日の主役の二人です。 今回は彼らには武器を持たせておりません。 きっかけだけ手榴弾を使わせて頂きますが。」 すると画面の中では、二人の男が安全ピンを引き抜いた、いくつもいくつもの 手榴弾を管制塔近くに投げ込んだ! ドカーーン ドカーーン ドカーーン ガイザー社長 「さてここは、とある自衛隊の駐屯地。 この合図で、武器を持った何者かが侵入と気づき、武器を手にして迎え撃つことに なります。 ここからは彼等二人は無手、何も手にしていません。 武器を持つ相手をどう料理するかじっくりとご覧下さい。」 画面の中では、けたたましいサイレンが響き渡り、滑走路上の照明が点灯され、 僅かな時間で銃を手にした自衛隊がわんさかと出てきた。 F15J イーグル戦闘機がスクランブル発射する準備をしている。 レーター員 「隊長、レーダー探知、上空には飛行物体はありませんっ。」 自衛隊第二師団隊長 「よし、戦闘機を守れ! スクランブル発進で上空に退避だっ」 機関砲を装備したトラックやジープが続々と滑走路にやってきた。 自衛隊第二師団隊長 「既に我々は攻撃を受けた、敵に発砲を許可する。テロを阻止しろっ」 それを見た ザウバー と クラウス 、 ザウバーは機関砲装備の車両に向かって、クラウスはスクランブル発進する戦闘機に 向かって走りだした。 自衛隊員 「いたぞっ、あそこだっ! 打てっ!」 ズガガガガガガガガっ ズガガガガガガガガっ 容赦なく機関砲を打ってくる。 ザウバー 「けっ、ぶっ放してきたか。 機関砲なんてな、続けていくつも出て来るから、 同じところを押さえりゃ止められるんだよ。」 片手を縦にして砲弾を受けるザウバー、時折横、上下に手をかざす位置をズラすも、 そのほとんどを素手の盾で阻止している。 ブルーガー (うまくやれよ、一箇所に集めてはいるがな・・・・) 柵の外、カメラの後ろで目をつぶり、何か念じているようなブルーガー。 ザウバーは近づいた車両の狙撃手に向かってジャンプし、蹴り飛ばした! そして着地と同時に車両のドテッ腹に再び蹴り! 車両は横転しながら爆発、大破したっ 一方のクラウス、 スクランブル発進で滑走路を走る戦闘機の前に立ち、向かって来た戦闘機の翼にジャンプ、 そして着地した。 すると、戦闘機の翼が突然爆発、機体もその火に飲まれて大爆発、大破した。 会場では、驚きの歓声が上がる。 『 おぉぉぉっ 』 ザウバーとクラウスは、次々と車両、戦闘機を破壊し続けた。 そして、自衛隊員の待ち構える集団に飛び込み、次から次へと隊員を蹴り、殴りと 倒し、最後は、管制塔の一階部分を破壊し、塔を崩落させたのだった。 ガイザー社長 「どうですかな、みなさん。 手榴弾の合図からここまで、飲み物をお代わりする時間がありましたでしょうか。 戦争で目的地を侵略した場合でも、物陰に潜んだ敵兵に、 手痛い目に遭うことは毎度のこと。 我が商品なら、細かいところにまで手が届きます。 最新兵器、武装車両もご覧の通り、人間同士の対決ならなんの心配もいりません。」 会場は驚きの歓声が沸き起こる。 ガイザー社長 「この短時間でこの成果。 大げさな進入ではないのでレーダーも利かず、敵の準備も出来ていません。 これからは、細かい作業も出来る上、巨大な火力にも匹敵する能力。 戦場以外でも使い道が豊富。 そしてそれらが格安で手に入る。 如何でしょうか。 お値段は、一体当たりたったの一億5千万で結構です。」 会場から絶賛の拍手喝采が沸き起こる。 そして大画面には無傷の二人の姿が映し出されて電源が落とされた。 ~~~ ~~~ ~~~ ここで、ニュースを申し上げます。 昨夜未明・・・・・の駐屯地がテロと思われる襲撃を受けました。 被害は・・・・・ ゆうすけ 「おい、これって・・・・」 朝食を取るゆうすけが、TVを見て立ち上がった。 奥のキッチンの冷蔵庫を開けながら、 北見刑事 「そういえば昨晩、 お台場近郊に武器密輸のバイヤー達が集まっていたと報告があったな。 バイヤーは集まるは襲撃は受けるは・・・なんか物騒だな。」 ゆうすけ 「自衛隊へのテロ的襲撃のあった晩、 同時刻に武器のバイヤーが一堂に集められて・・・? おぃおぃ、するとこの事件と一直線に繋がるぜ、オヤジっ!」 コップにオレンジジュースを注ぎ、片手でこちらに持って来ながら、 北見刑事 「武器のバイヤーと自衛隊襲撃がか?」 そして立ったまま一口、何かを口にして返答する北見刑事。 ゆうすけ 「一般のテロがメリットもない自衛隊を襲うかよ。 これは宣伝だよ、きっとその様を一同に介し見せていたんだっ!」 襲撃したテロ犯は、隊員の撮影したカメラが捕らえていました。 そのうちの一人は、先月、特殊拘置所を脱走した男であると判明致しました。 ゆうすけ 「それみろあいつはクラウス、犯人は謎の組織、目的は武器バイヤーにその様を見せて 売り込むことだ! やつら、世界中にあんなやつらをばら撒くつもりだぜっ!」 北見刑事 「そうか、こうしちゃいられないなっ」 ゆうすけ 「アジトだよ、アジト。 作る工場、研究所、それに足掛りにする根城(アジト)を探さなきゃっ!」 北見刑事 「よっしゃ。 おまえは頭の回転が早いな。 よし、急げっ!」 パンを咥えてマグカップ片手に飛び出すゆうすけ ~~~ ~~~ ~~~ -つづく- (ごめんなさい、ちょっと席を外すわね) ※ このドラマはフィクションです。登場する内容は、実在する人物、団体等とは一切関係がありません。 また、無断で他への転載、使用等を堅く禁じます。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2020年09月14日 16時45分34秒
コメント(0) | コメントを書く
[第二章 123 ~ 187 話] カテゴリの最新記事
|
|