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■ ドラマ 永久の彼方へ

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2007年03月05日
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カテゴリ:第二章 123 ~ 187 話
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      ~~~

ゆうすけ
  「じゃ、おれは・・・・」

ゾルダ
  「殺さねーよ。
   一人はいつでも殺れるが、もう一人は捕まえるのが得策ともっぱらの話だ。
   小僧は前者の方らしいな。
                名はなんという。」
ゆうすけ
  「おれはゆうすけ。」

 少し安心したゆうすけ。フロアにお尻をペタンと付けて座る。

ゾルダ
  「そっか、おまえがゆうすけか。
   アニキが弱っちい方、ちと気になると言っててよ。
   まっおれには名前なんてどうでもいいんでな。」
ゆうすけ
  「ザウバーがおれを?
   で、おれを殺さないならどうするんだ。」

 両手を後ろに付き、リラックスして話すゆうすけ。

ゾルダ
  「そこよ。
   やるならいつでも出来るってことだ。 ここに運ばなくてもな。
   だが、オレはちょいとおまえに聞きたい事がある。
   教えてくれれば開放してやってもいい。
   お前を捕まえた事は、まだ組織には報告していないんでな。」

 イスに座ったまま膝(ひざ) に肘(ひじ) を乗せ、やや前傾姿勢で話すゾルダ。

ゆうすけ
  「なぜ報告しない。」

ゾルダ
  「オレとアニキ、組織にどっぷりって訳けじゃない。
              利用している。。。と言う方が分り易いだろう。」
ゆうすけ
  「利用している・・・?」
ゾルダ
  「そうよ、強くなるためのひとつの手段でしかないってことだ。
   だから全てを命令通りに・・・なんてなまっぴらゴメンってことよ。
   そこをうまくやるのが苦労どころってことだな。」
ゆうすけ
  「ザウバーは組織の中でしっかりとやっているように見えるけど・・・・」
ゾルダ
  「そう見えれば役者として評価できるってことだな。わっははは。
   あまり話すとアニキに怒られちまうが、おまえさんには聞いてもらっても
   こっちには損も得もねえからな。 組織にチクる事もなかろうし。」
ゆうすけ
  「強くなって、その後はどうするんだ?」
ゾルダ
  「一番になりてぇ~じゃないか。
   頭脳で無理なら力で一番になりてぇよ。
   アニキは知らんが、オレはこれ一つだな。

   まぁ男に生まれたからには、何か一番になりてぇってことよ。
   ところがこの力を得たのはいいが、それでも一番になれねぇって話だ。」

ゆうすけ
  「アニキがいるからか・・・?」
ゾルダ
  「まさか。
   おまえのダチのもう一人の小僧だよ。」
ゆうすけ
  「こういちのことか。」
ゾルダ
  「そいつだ。
   その名前だ。その聞きてぇってのがそいつの強さなんだよ。

   オレはまだその小僧とはヤリあってねぇから半信半疑ではあるが、
   アニキの話だと、スペック-3のこの力を持ってしても危ういらしい・・・。
   そんなやつがこの世にいるとは・・・・・」

ゆうすけ
  「あぁ、いる。
   このおれも、あいつの底はまだ見たことがない。
   だが、まだ力を付けたあんたのアニキとはヤリあってないはずだが・・・・」
ゾルダ
  「そいつのねぇちゃんがまた強いらしい。
   ねぇちゃんの蹴り一発を食らっただけらしいが、あのアニキがこのオレに
   その姉弟とはヤリあうなと言ってきた。 時がくるまで。」
ゆうすけ
  「時がくるまで・・・?」
ゾルダ
  「おっといけねぇ、口が滑っちまった。
   今のは聞かなかった事にしてくれ。」
ゆうすけ
  「何か秘策でもあるのか?」
ゾルダ
  「その話はもう終わりだ。
                それより、その小僧の強さ、教えてくれ。」

 おもむろに立ち上がり、日差しが差し込む窓辺に歩きだすゆうすけ。

ゆうすけ
  「悪いが、その質問には答えられない。
                    というより、おれも知らないんだ。

   まだ小さいガキのころからやつと一緒にいるが、逢った時から既にズバ抜けた能力
   だったから。
   一つ言えるのは、その能力に甘んじることなく、毎日鍛錬を欠かさずにやっているって
   ことは唯一、話をできるところかもしれない。」

ゾルダ
  「そうか、おまえも知らないのか・・・・。
   それでも毎日か。 たいしたものだ。」
ゆうすけ
  「用済みなら・・・・殺すか?」

 振り返り、イスに座るゾルダを見ながらしゃべるゆうすけ。
 背もたれにもたれ掛かりながら腕組みをするゾルダ。

ゾルダ
  「ったく・・・
   おまえを殺しても、オレにはなんのメリットもないんでな。
   強くなりてぇーが、弱いものを突いて遊ぶことはしねぇよ。
   強いを名乗るヤツをコテンパンにとっちめるのが最高の喜びだからな。

   なんでぇ、なんの収穫も無しかよ・・・・。」

 とても残念そうな顔をするゾルダ。

ゾルダ
  「まぁ仕方ない。
   またおまえさんには逢うこともあるだろう。」

 すっと立ち上がるゾルダ。
 そしてポケットから一本のドライバーを取り出し、ゆうすけの足元に放り出した。

       トン  コロコロ

ゾルダ
  「おれが窓の鉄格子を引き抜いてやってもいいが、それじゃ誰がやったか
   すぐに分っちまう。お間抜け丸出しだからな。

   ここはお前ん家の近くの病院だ。
                  あとは好きにしな。」

 そういうと、入り口の扉に向かって歩き出すゾルダ。

ゆうすけ
  「逃がしていいのか?」

 開けた扉のところに立ち止まり振り返ることなく、

ゾルダ
  「言ったろ。
   オレにメリットが無いって。
   まぁ精々組織をやきもきさせるんだな。
   外にはスペック-1がうじゃうじゃ居るから気をつけるこった。」
                      バタン
 入り口の扉も鍵を掛けずに出て行ったゾルダ。

ゆうすけ
  ( なんだか食えないやつだな。 ザウバーの弟か。 )

 ゾルダの座っていたイスに座り、窓の外を眺めるゆうすけ。

ゆうすけ
  ( 手前は下階の天井部が広く覆っていて見えないが、奥の景色はうちの街だと分る。
    こ、ここはっ! )

 そして出入り口の扉まで歩くとそっと扉を開き、廊下の様子を伺うゆうすけ。

ゆうすけ
  ( 廊下には見張りはいないのか・・・・ )

 再び室内に戻り、ゾルダが置いていったドライバーを拾いあげる。

ゆうすけ
  ( ここは! 渦中の国立病院の中だ。

    しかし考えてもみろ、、
    特務機動隊を動かすのも政府、つまり国の機関だ。
    そして今回最初のウイルス発見の場所も国立、国の機関だ。


    そっか♪ もしもだ、
    やつらが裏で糸を引いていたと仮定した場合、ターゲットはおれ達だ。

    まず、ウイルスと銘打てば、市民も巻き込んで地域を閉鎖出来る。
    さらに、マスコミだって敷地内にうかつに入れないから、政府発表の事実関係の
    裏を取ることが出来ない。
    中に居る市民は家や職場に釘付けで、仮に記者が敷地内にいても相手がウイルスだけ
    に外に出て探り回る訳にもいかないしな。

    その市民の動きを監視するために防菌防護服を着た連中が監視している?

    なんだよ、こう考えると 全てすんなり説明が付くじゃないかよ。。。おぃ。
    ウイルスで死亡した人の名前は発表してなかったな。
    本当に無くなっている人がいるのか確認しないと。

    もしも本物のウイルスだとしたら?
    病院内では、医者や看護婦もってことだったから、接触時、もしくは空気感染って
    ことだ。
    空気感染だとしたら、宿主が動いた場所に感染者がいてもおかしくない。
    病院内の死亡したとされる人達は感染してから1時間後に亡くなっていたから、
    今現在、発病者が続々と増えていてもおかしくないってこと。

    当のその病院内、本来ならドタバタしてて良いはずなのに、この静けさ・・・
    何かある! )

 拾い上げたドライバーを見つめながら、

  ( ・・・・外へ逃げろということか・・・・。

    確かに館内からでは、いつやつらと出くわすか分らない・・・・。
    しかし、せっかく巡って来たチャンスだ。
    逃亡の選択肢は窓から外へと、病院一階から外への二通りあるが、
    どうせならこの国立病院の状況を探らなくっちゃ。 )

 決意をしたゆうすけ。
 手にしたドライバーをお尻のポケットに仕まい込み、入り口の扉に振り返り歩きだす。
 再び扉をそぉ~と開けて、廊下の様子を伺うゆうすけ。
 誰もいないことを確認し、すぐさま斜め前のお手洗いに移動する。

 そして廊下に顔を出し、辺りの様子を伺うゆうすけ。
 慎重に確認したあと、廊下のT字路に向かって駆けていった。


~~~
   ~~~
      ~~~




                             -つづく-




第164話 厳戒令 7 へ
(これじぁ当然だわね♪)





  ※ このドラマはフィクションです。登場する内容は、実在する人物、団体等とは一切関係がありません。

    また、無断で他への転載、使用等を堅く禁じます。





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最終更新日  2020年09月15日 11時21分32秒
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