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■ ドラマ 永久の彼方へ

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2007年03月14日
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カテゴリ:第二章 123 ~ 187 話
.
 二手に分かれた他の隊員は、ゆうすけの後を追うグループと、
 奥にある階段に向かって走っていくグループとに分かれた。。

 階段を駆け上がる大勢の足音に気づき、一人の看護婦が、ステーションの扉を開けて出てきた。
 そして両手を広げて、

看護婦
  「ここへは立ち入らない約束でしょ!ぱーバツ

 駆け上がってきた隊員達の前に立ちふさがったのだった。
 立ち止まった隊員達。

自衛隊員
  「しかし・・・・」
看護婦
  「ダメなものはダメ!  降りて頂戴。」
自衛隊員
  「わ、分った・・・・」

 看護婦に静止され、シブシブと引き下がる自衛隊員達。
 階段下に降りた後、

自衛隊員
  「出口を全て閉鎖しろっ!」


 その時ゆうすけは、

ゆうすけ
  「はぁ、はぁ、はぁ、・・・・・」

 自衛隊員達がナースに止められた階の二つ上、ゆうすけが軟禁されていた階の物置部屋の
 隅っこに身体を縮めて潜んでいた。

ゆうすけ
  ( 振り出しに戻っちまったか・・・・。
    警備が手薄だったのが幸いしたが、次からは動き辛いか。
    このことを早く姉さん達に伝えないと。 )

 廊下の外の足音が無い事を確認し、扉を開けて様子見る。
 再び廊下に出て、その階の備え付けの公衆電話に向かうゆうすけ。

 この階は、不思議と誰とも出くわさない。
 ポケットから小銭を取り出し、緑の電話機の受話器を取り、コインを入れる。

ゆうすけ
  ( あれ? )電話

 耳に当てた受話器が、なんの反応もしなかった。
 受話器を置くレバーを押し下げ、出てきたコインを再び投入する。
 だが、変化がない。

ゆうすけ
  ( くそ、外部と連絡できないように電話線を切っていやがる・・・・。
    こんな時は携帯が便利だよな。
    おやじに言って買ってもらわなきゃ。 )

 悔しそうに受話器を置き、横にある窓に近づき外を眺める。
 辺りはオレンジ色に輝きだし、空にはこうもりだろうか、
 いく匹かの黒い飛行物体が気持ち良さそうに空を舞い、
 一日の終わりを告げようとしていた。

ゆうすけ
  ( 闇に紛れて・・・の行動が望ましいな。 )

 物置の部屋に身を潜めるため、再びその個室に戻っていった。


~~~
   ~~~
      ~~~


 こちらは居酒屋 華夢on の地下室。
 リツコはシャワーを浴びず、そのまま椿と対じし受けてあげていた。

 『うりゃ!  ふん!  とりゃー!』  バシっ バシっ
 『ハイ、 ハイハイ、 ハイ』  ぱしっ  ぱしぱしっ  タン

リツコ
  「もっともっと!」
      打撃の入り、ちゅうちょしてるわ!
                    もっと思い切り良く!」

 『そりゃ! そぃそぃ! んぉー!』

リツコ
  「この後はここを防御! ガラ空きよ!」  シュパー  ズカっ★

 『ぐぉっ』  バサン 

椿
  「まだまだ!」
          バシっ バシっ


武藤大介
  「椿さんも凄い人なのに、まるで赤子同然にあしらわれとる。」
利江
  「えぇ、でもリツコさん、なるべく避けずに受けてあげているから、
   一見すると椿さんが押しているように錯覚するけど・・・・

   必死の椿さんに対し、冷静で涼しい顔で対処するリツコさん。
   差は歴然としている。

   こういち君やお姉さん達がいなかったら、完全にこのスペックの人達の天下に
   なっているのね・・・・ 恐ろしいわ・・・・・。」

武藤大介
  「わしらの中で、ピカ一のスピードを誇る椿さんですら・・・・
   生身のわし達、修行を重ねてもあの域に達することは叶わぬな。」
利江
  「でも、少しでも近づくことは出来るわよ。
   あぁしてリツコさんも相手してくれるんですもの。他の人には出来ない練習だわ。

   それに、なんとしても力をつけなきゃいけないと思う。
   あんな相手に宣戦布告したんですもの。
   出来る/出来ない ではなくて、やらなきゃいけないの!」
武藤大介
  「オス! その通りじゃの。
   ちょっと弱気になっとったようじゃ。 わしも少しでも力を付けんとな。」
利江
  「そうですとも、武藤さん。 みんなで一歩ずつ、がんばりましょ♪

   そうだっ、私が今武藤さんにしてあげられることって。。。
   ねぇ、体育館の中で前後で動きに合わせて廻るやつ。
   あれなら私もお手伝いできるわ。」
武藤大介
  「おぉ、そうじゃ。 あれなら利江ちゃんでも。
   お願いするか。」
利江
  「はい。」

 二人、スペースに向かって歩き出す。
 少し入ったところから、利江と武藤が向かい合う。
 利江が後ろ向きで動き、それに合わせて武藤がまねるように動きだした。

 椿を相手にこの練習をしていた武藤。
 それなりに慣れているはずなのだが、驚いたことに、初めてこれをやる利江の
 動きに付いていけない。

 なんと利江、バスケット仕込みの片足を軸としたターン、
 ドリブル時に見せる両足をトントンと跳ねながらの変則なスリ足。
 まるで異種の動きを見せる利江がそこにいた。

リツコ
  「利江ちゃん。。。」

 チラっと利江の動きも見ていたリツコ。
 そのスキを逃さず懐に入った椿、リツコの胸くらを掴み、気合の投げっ!

 『うぉりゃーーーー!』

         クル、 スタ。

リツコ
  「あは、投げられちゃったわ。。。」

 投げられた後、しっかりと着地して振り向くリツコ。

リツコ
  「やっぱり椿君はスピードあるわね。
   僅かな隙間だったのに、私を投げるなんて。 改めて見直したわ。」
椿
  「いぇ、あんなスキ、そうそう与えてはくれませんから。
   それに、投げた後の技をかけられませんでした。」
リツコ
  「私とまだ始めたばかり。
   このスピードに目と身体が慣れてくれば、手痛いブローのクリーンヒットを
   まともに食らことが避けられるかもしれない。
                 それよりも利江ちゃんのあの動き・・・・」

 椿が武藤と向かい合って、利江が動きのリードをしている姿を見る。

椿
  「 !!  なんと・・・・・」

 そう、格闘技ではない動きで、武藤が予測できずにまるで付いていけてない。
 椿も何か気が付いたようだ。
 しばらくして一周して二人が戻ってきた。

利江
  「ふぅ。。。
   これって初めてやったけど、結構疲れるのね。。。」
武藤大介
  「はぁ、はぁ、はぁ・・・・」

 息が上がる武藤。 袖口で額からにじみ出る汗を拭き取った。

椿
  「利江ちゃん、その動き・・・・」

 椿がたまらず口を開く。

利江
  「これ、バスケットボールの足運びなんです。
   格闘技のって・・・・私は出来ないので・・・・・」

リツコ
  「バスケかぁ。。。
   武藤君が全然付いていけてなかったわよ。
   我々格闘技と足の運びが全然違うから。。。」
利江
  「ご、こめんなさい・・・・」
リツコ
  「謝る必要はないわ。
   新鮮なのよ、この二人には。。。」
利江
  「えっ?」
リツコ
  「片足を軸にしてのターン、右回りも左回りもしてたでしょ。
   彼ら二人のベースの動きには、それがないの。
   柔道は畳を蹴って逆脚に体重移動の多様。
   片足は、体重を乗せて。
   そして投げるときはバランスやもう一方の足を引き付けて寄せて。
   または、体重移動で力を込めて・・・の反復動作が多いから。
   それで予測が出来ずにバランスを失っていたみたいね。」
椿
  「利江ちゃん、次は私とやってくれませんか?
   恐らく私もスムーズには付いていけないかもしれません・・・・。」
リツコ
  「その練習って凄く意味がある有意義な練習だわ。」
利江
  「こういち君が、椿さん達の練習に取り入れてくれてたんです。」
リツコ
  「なるほどね♪  理解できたわ。

   ねぇ、利江ちゃんも私とそれやりましょうよ。
   マネ・・・ではなくて、私の動きに対して逆に避けるの。
   打撃は無理でも、回避能力が身につくと思うわ。」

椿
  「それも我々がこういち君に受けた練習項目にあります。
   なるほど。。。利江ちゃんにも。。。」
リツコ
  「そう、それもなんだ。。。
   片足を軸にって、中華皇国の武術には多様されているの。
   それの変則型、身につけばかなり有効となるわよ。」
利江
  「へぇ~。。。
   じゃ、私も見学だけじゃなくて、練習に参加できるってことね♪」
椿
  「是非、我々をしごいて頂きたい。」
武藤大介
  「おす、同感です。」

利江
  「やだ、もぉ。。。みんなして。。。」


 ちょっと照れくさそうにする利江。 でも、とても嬉しそうだ。




                             -つづく-




第168話 厳戒令 11 へ
(今度はなんだっ!)





  ※ このドラマはフィクションです。登場する内容は、実在する人物、団体等とは一切関係がありません。

    また、無断で他への転載、使用等を堅く禁じます。





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最終更新日  2020年09月15日 11時46分27秒
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