カテゴリ:第二章 123 ~ 187 話
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二手に分かれた他の隊員は、ゆうすけの後を追うグループと、 奥にある階段に向かって走っていくグループとに分かれた。。 階段を駆け上がる大勢の足音に気づき、一人の看護婦が、ステーションの扉を開けて出てきた。 そして両手を広げて、 看護婦 「ここへは立ち入らない約束でしょ! 」 駆け上がってきた隊員達の前に立ちふさがったのだった。 立ち止まった隊員達。 自衛隊員 「しかし・・・・」 看護婦 「ダメなものはダメ! 降りて頂戴。」 自衛隊員 「わ、分った・・・・」 看護婦に静止され、シブシブと引き下がる自衛隊員達。 階段下に降りた後、 自衛隊員 「出口を全て閉鎖しろっ!」 その時ゆうすけは、 ゆうすけ 「はぁ、はぁ、はぁ、・・・・・」 自衛隊員達がナースに止められた階の二つ上、ゆうすけが軟禁されていた階の物置部屋の 隅っこに身体を縮めて潜んでいた。 ゆうすけ ( 振り出しに戻っちまったか・・・・。 警備が手薄だったのが幸いしたが、次からは動き辛いか。 このことを早く姉さん達に伝えないと。 ) 廊下の外の足音が無い事を確認し、扉を開けて様子見る。 再び廊下に出て、その階の備え付けの公衆電話に向かうゆうすけ。 この階は、不思議と誰とも出くわさない。 ポケットから小銭を取り出し、緑の電話機の受話器を取り、コインを入れる。 ゆうすけ ( あれ? ) 耳に当てた受話器が、なんの反応もしなかった。 受話器を置くレバーを押し下げ、出てきたコインを再び投入する。 だが、変化がない。 ゆうすけ ( くそ、外部と連絡できないように電話線を切っていやがる・・・・。 こんな時は携帯が便利だよな。 おやじに言って買ってもらわなきゃ。 ) 悔しそうに受話器を置き、横にある窓に近づき外を眺める。 辺りはオレンジ色に輝きだし、空にはこうもりだろうか、 いく匹かの黒い飛行物体が気持ち良さそうに空を舞い、 一日の終わりを告げようとしていた。 ゆうすけ ( 闇に紛れて・・・の行動が望ましいな。 ) 物置の部屋に身を潜めるため、再びその個室に戻っていった。 ~~~ ~~~ ~~~ こちらは居酒屋 華夢on の地下室。 リツコはシャワーを浴びず、そのまま椿と対じし受けてあげていた。 『うりゃ! ふん! とりゃー!』 バシっ バシっ 『ハイ、 ハイハイ、 ハイ』 ぱしっ ぱしぱしっ タン リツコ 「もっともっと!」 打撃の入り、ちゅうちょしてるわ! もっと思い切り良く!」 『そりゃ! そぃそぃ! んぉー!』 リツコ 「この後はここを防御! ガラ空きよ!」 シュパー ズカっ★ 『ぐぉっ』 バサン 椿 「まだまだ!」 バシっ バシっ 武藤大介 「椿さんも凄い人なのに、まるで赤子同然にあしらわれとる。」 利江 「えぇ、でもリツコさん、なるべく避けずに受けてあげているから、 一見すると椿さんが押しているように錯覚するけど・・・・ 必死の椿さんに対し、冷静で涼しい顔で対処するリツコさん。 差は歴然としている。 こういち君やお姉さん達がいなかったら、完全にこのスペックの人達の天下に なっているのね・・・・ 恐ろしいわ・・・・・。」 武藤大介 「わしらの中で、ピカ一のスピードを誇る椿さんですら・・・・ 生身のわし達、修行を重ねてもあの域に達することは叶わぬな。」 利江 「でも、少しでも近づくことは出来るわよ。 あぁしてリツコさんも相手してくれるんですもの。他の人には出来ない練習だわ。 それに、なんとしても力をつけなきゃいけないと思う。 あんな相手に宣戦布告したんですもの。 出来る/出来ない ではなくて、やらなきゃいけないの!」 武藤大介 「オス! その通りじゃの。 ちょっと弱気になっとったようじゃ。 わしも少しでも力を付けんとな。」 利江 「そうですとも、武藤さん。 みんなで一歩ずつ、がんばりましょ♪ そうだっ、私が今武藤さんにしてあげられることって。。。 ねぇ、体育館の中で前後で動きに合わせて廻るやつ。 あれなら私もお手伝いできるわ。」 武藤大介 「おぉ、そうじゃ。 あれなら利江ちゃんでも。 お願いするか。」 利江 「はい。」 二人、スペースに向かって歩き出す。 少し入ったところから、利江と武藤が向かい合う。 利江が後ろ向きで動き、それに合わせて武藤がまねるように動きだした。 椿を相手にこの練習をしていた武藤。 それなりに慣れているはずなのだが、驚いたことに、初めてこれをやる利江の 動きに付いていけない。 なんと利江、バスケット仕込みの片足を軸としたターン、 ドリブル時に見せる両足をトントンと跳ねながらの変則なスリ足。 まるで異種の動きを見せる利江がそこにいた。 リツコ 「利江ちゃん。。。」 チラっと利江の動きも見ていたリツコ。 そのスキを逃さず懐に入った椿、リツコの胸くらを掴み、気合の投げっ! 『うぉりゃーーーー!』 クル、 スタ。 リツコ 「あは、投げられちゃったわ。。。」 投げられた後、しっかりと着地して振り向くリツコ。 リツコ 「やっぱり椿君はスピードあるわね。 僅かな隙間だったのに、私を投げるなんて。 改めて見直したわ。」 椿 「いぇ、あんなスキ、そうそう与えてはくれませんから。 それに、投げた後の技をかけられませんでした。」 リツコ 「私とまだ始めたばかり。 このスピードに目と身体が慣れてくれば、手痛いブローのクリーンヒットを まともに食らことが避けられるかもしれない。 それよりも利江ちゃんのあの動き・・・・」 椿が武藤と向かい合って、利江が動きのリードをしている姿を見る。 椿 「 !! なんと・・・・・」 そう、格闘技ではない動きで、武藤が予測できずにまるで付いていけてない。 椿も何か気が付いたようだ。 しばらくして一周して二人が戻ってきた。 利江 「ふぅ。。。 これって初めてやったけど、結構疲れるのね。。。」 武藤大介 「はぁ、はぁ、はぁ・・・・」 息が上がる武藤。 袖口で額からにじみ出る汗を拭き取った。 椿 「利江ちゃん、その動き・・・・」 椿がたまらず口を開く。 利江 「これ、バスケットボールの足運びなんです。 格闘技のって・・・・私は出来ないので・・・・・」 リツコ 「バスケかぁ。。。 武藤君が全然付いていけてなかったわよ。 我々格闘技と足の運びが全然違うから。。。」 利江 「ご、こめんなさい・・・・」 リツコ 「謝る必要はないわ。 新鮮なのよ、この二人には。。。」 利江 「えっ?」 リツコ 「片足を軸にしてのターン、右回りも左回りもしてたでしょ。 彼ら二人のベースの動きには、それがないの。 柔道は畳を蹴って逆脚に体重移動の多様。 片足は、体重を乗せて。 そして投げるときはバランスやもう一方の足を引き付けて寄せて。 または、体重移動で力を込めて・・・の反復動作が多いから。 それで予測が出来ずにバランスを失っていたみたいね。」 椿 「利江ちゃん、次は私とやってくれませんか? 恐らく私もスムーズには付いていけないかもしれません・・・・。」 リツコ 「その練習って凄く意味がある有意義な練習だわ。」 利江 「こういち君が、椿さん達の練習に取り入れてくれてたんです。」 リツコ 「なるほどね♪ 理解できたわ。 ねぇ、利江ちゃんも私とそれやりましょうよ。 マネ・・・ではなくて、私の動きに対して逆に避けるの。 打撃は無理でも、回避能力が身につくと思うわ。」 椿 「それも我々がこういち君に受けた練習項目にあります。 なるほど。。。利江ちゃんにも。。。」 リツコ 「そう、それもなんだ。。。 片足を軸にって、中華皇国の武術には多様されているの。 それの変則型、身につけばかなり有効となるわよ。」 利江 「へぇ~。。。 じゃ、私も見学だけじゃなくて、練習に参加できるってことね♪」 椿 「是非、我々をしごいて頂きたい。」 武藤大介 「おす、同感です。」 利江 「やだ、もぉ。。。みんなして。。。」 ちょっと照れくさそうにする利江。 でも、とても嬉しそうだ。 -つづく- (今度はなんだっ!) ※ このドラマはフィクションです。登場する内容は、実在する人物、団体等とは一切関係がありません。 また、無断で他への転載、使用等を堅く禁じます。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2020年09月15日 11時46分27秒
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