カテゴリ:第二章 123 ~ 187 話
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突然の出来事にみんな何から話してよいかわからずに まごまごと している中、利江だけがこういちの姿を見て安心したのか、平常通り を装い、普通の会話に場を収めていた。 テーブル下からモゾモゾと立ち上がり始める4人。 こういち 「頂きまぁ~す。。。♪」 もぐもぐ みんなの見つめる中、カウンターで一人もくもくとガッついて食べ始めるこういち。 利江も横に座り、その様子を目を細めてニコニコしながら見つめていた。 こういち 「ごはん、お代わり~♪」 とくさん 「はいどうぞ。」 こういち 「昨日から何も食べてなかったんだよね ^ ^;; 」 ようやく椿が口を開いた。 椿 「外をそのままの姿で・・・・あの、ウイルスの話は知っているのですか?」 こういち 「でっち上げの出来事だったらしいよ。」 利江 「やっぱり・・・・」 美咲先生 「その情報、どこで手に入れたの?」 こういち 「さっき、ゆうすけがおじさんと会話してたから。。。」 美咲先生 「ゆうすけ君と北見さんが・・・?」 こういち 「うん、一緒にいるみたい。。。」 椿 「みたい・・・・って・・・」 こういち 「会った訳ではないから。」 美咲先生 「会ってないっ・・・・て?」 もぐもぐ こういち 「昨日の昼までゆうすけと一緒だったんだけど、途中で分かれてしまって。 ゆうすけは今、おじさんと一緒。 会話からすると、国立病院にいるのかもしれない。」 美咲先生 「そのぉ・・・・、会ってないのに・・・・聞いたの?」 こういち 「うん。 ゆうすけの考えていることが、不思議とわかるんだよ。 子供のころから。。。」 ぱくぱく 美咲先生 「まぁ・・・二人はそんなことも出来るの・・・・」 もぐもぐ こういち 「でさっきね、この病院では実は死者がいないと看護婦さんから聞き出したと。 事件の裏には政府が動いてて、その糸引きはあの組織だとか言ってた。 なんでも、何かの時間稼ぎかもねとも。 でさ、マスコミ通じてこの閉鎖を政府にやめさせるとか言ってたの。」 椿 「それで花火・・・・か。。。」 こういち 「うん。。。 ごちそうさま~♪」 椿 「一度に・・・・あれもこれも・・・・頭の整理が付かないよ。」 こういちの食べ終わった食器を流しに運び、自分が洗う利江。 こういち 「ふぅ~、生き返った♪ もうお腹ペコペコで動けなかったんだもん。 さてっと、椿さん、武藤さん、ちょっとお仕事を手伝って~。。。」 武藤大介 「仕事・・・?」 こういち 「お金は出ないけど・・・・ ^ ^;;; 」 椿 「何を手伝うんだい?」 こういち 「コンビニ、スーパー、その他の店。 食料の争奪、騒ぎに紛れた強盗が起きると思うから、警察屋さんが来るまで、 おいらたちが守らなきゃ。。。」 武藤大介 「な、なるほど。。。」 こういち 「これだけの騒ぎになれば。。。って、ゆうすけとおじさんが言ってた。」 椿 「その通りだ。 よしっ」 ~~~ ~~~ ~~~ 病院の一室では、二人が窓枠に取り付けられていた鉄格子をゆうすけが手にしていた ドライバーで外していた。 ゆうすけ 「あとはこのカーテンを縛ってっと。。。」 北見刑事 「逃走なんて初めての経験だな。 カーテンをロープ代わりに下のエントランスに降りて、横のはしごを使ってって、 おまえ良く逃走ルートを割り出すな。。。」 ゆうすけ 「ここは病院だもん、火災に備えて避難経路はしっかりとしているだろう? それを使えばいいだけの事じゃん。 そこの扉は鍵を開けることの出来る道具が無ければさ、無理。 そしたらそれしか無いじゃんよ。 普通の選択肢。。。 じゃ、行くよ!」 北見刑事 「よしっ」 ~~~ ~~~ ~~~ 近くのスーパーの前を小走りに通過する4人。 椿 「ここは堅固なシャッターだから大丈夫そうだ。それに人影もない。」 利江 「じゃ、この先のコンビニに。」 こういち 「おいら一足先にビル街に行って来る。 食料の他に宝石や貴金属店も狙われるだろうから。 そこは凶悪な人が来るだろうし。。。 利江ちゃんは、発見したらすぐに110番に連絡してね。 この人数ではたかが知れてて押さえ切れないから。」 利江 「分ったわ。」 こういち 「武藤さんも警察来るまで無理しちゃダメだよ。」 武藤大介 「おぅ!」 話し終えると スパッ☆ とその場から走り去るこういち。 3人の視界からはあっという間に消えてしまった。 3人が目指したこの先のコンビニ。 案の定、既に店の前には人だかりが出来ていた。 椿 「急ごう!」 ~ ~ 住人 「開けろぉぉっ!」 バンバンバン 店を覆うガラスに向かって拳を叩き込む住人達。 そこの店主は明かりを消し、施錠をしっかりとかけてひっそりと奥にたたずんでいるようだ。 住人 「おい、そこを退け。 この重しでぶち壊そう。」 一人の住人が、手にしたポール立て用のコンクリート架台を持ち上げて、 群集の後方からからフラフラと歩み寄る。 そこへ、 武藤大介 「やめんかいっ!」 彡バシっ ゴスン コンクリートの台を叩き落とす武藤。 椿 「こんなことをして何になるんですか! やめて下さい!」 さっと店の前に立ち、手を広げて住人に言い聞かせる椿。 その様子を近くの公衆電話から通報する利江。 住人 『うるさいっ、そこをどけ! 』 椿 「やめるんです、冷静になって下さい!」 住人 『この若造をだませらろっ!』 『おぉぉぉ』 気がイラ立ち、前後の見境い、良し悪しの判断が薄れてしまっている住人。 目の前に立ちはだかる椿に向かって一斉に襲い掛かったっ! 椿 「仕方ありません、少し寝転がって頂きます。」 そういうと襲い来る住人に身構えて、次々と蹴散らす椿。 はいっ ダン はいっ タン そりゃ、 ダン 後方では武藤も、 そいっ ダン ほぉっ タン とりゃ、 ダン サンダルを履いたおじさん、めがねを掛けたおとうさん、大学生と見られる青年達は、 次々と椿、武藤らにテンポ良く倒されていく。 椿らは、投げられた人達がケガをしないように、掴んでいた襟、袖をきちんと引っ張り、 衝撃を和らげながら地面に倒していく。 後方でその様子を見て、足がすくんで動けない住人もいた。 転げる住人達の中、息を切らすことも無く、椿と武藤の二人だけが身構えて立っていた。 椿 「みなさん、私は高校柔道、全国大会個人戦3位、そして彼は中学柔道、全国個人戦優勝 という実績があります。 素人のみなさんが何人掛かってきてもまだまだ投げ続けることが出来る状況です。 でも手荒いマネはこちらとしても願い下げです。 まずは少し冷静になりましょう。」 倒されたまま、椿の話に耳を傾ける住人達。 椿 「みなさんが背に腹は代えられない気持ちは判ります。 しかし、このように襲撃してまで自分だけ良ければ・・・・ というのはどうかと思います。 もうすぐこの厳戒令も解けるはずです。 我々の街です。騒ぎを起こさずに、もうしばらく辛抱して下さい。 幸い、ウイルスの危険は回避できそうだとあるスジから聞いてます。」 顔色と形相が変わり、平静を取り戻した住人達。 お互いに顔を見合わせから静かに立ち上がり、その場から立ち去る姿が見れた。 -つづく- (ねぇ、やめようよ) ※ このドラマはフィクションです。登場する内容は、実在する人物、団体等とは一切関係がありません。 また、無断で他への転載、使用等を堅く禁じます。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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