カテゴリ:第二章 123 ~ 187 話
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こちらはビル街にある1F宝石店。 案の定、人相の悪そうな連中が大きなハンマー、斧などを手にぞろぞろと店先に集まり 出していた。 一人が、大型の斧でシャッターに向かって一振り! おぉりゃっ ガシャーーン 大きな音と共にシャッターに一筋の線が入り、大型の斧が刺さった。 円弧の陣形となりその様子を見ている他の連中。 シャッター前の先頭では、再び大きな斧を振りかざして次の一撃をお見舞いする。 おぉぉぉりゃゃゃ 斧が唸りを上げて、まさに一筋の切れ間目掛けて叩き込まれんとしたその時、 サッ パシ☆ !? 振りかざした大きな斧が、いつのまにか目の前に現れた一人の少年の手の中に ピタっと納まっていた。 こういち 「ねぇ、やめようよ。 こんなこと。。。」 盗賊 「な、なんだこのチビ?」 こういち 「ね、もうおわりにしようよ。」 盗賊 「何言ってかなぁ、このチビは。」 盗賊 『おらおら、怪我しないうちにとっとと退きなっ!』 円弧状に待機していた後ろの盗賊達が、こういちの排除にと前に歩を進めて、 大きな斧を片手で受け止めているこういちのドテッ腹目掛けて、最初の一人が アンダースローの様に下から強烈なボディーっ! ズボッ グキっ 盗賊 「どうだ、これで少しは大人しくな・・・・・」 まともに入ったはずなのに顔色を変えず、なんとニコっとその盗賊に笑みを返すこういち。 それを見て口が止まり、手が激痛に襲われたことに気が付く。 こういち 「ねぇ、やめようよ。。。」 こういちに一発お見舞いした盗賊、 盗賊 「う、うわぁぁぁぁ!」 自分の殴りにいった手を見てから悲鳴を上げる。 見ると手首が骨折したかのように逆に折れ、おびただしい鮮血が流れていた。 盗賊 「バカ、殴るとこを間違えたんじゃないのか。 退いてろ。」 続いて のこのこ とこういちの横に出てきたのは、大きなハンマーを手にしていた男。 サイドスローのように横から同じくこういちのドテッ腹目掛けて振り回したっ! 『くらぇぇぇぇ』 彡ズボッ★ こういちの腹にめり込む巨大ハンマー。 盗賊 「へへ、どうだ小僧。」 だが・・・・ こういち 「手加減してあげたのに・・・・・まだ解らないかなぁ・・・・ ねぇ、やめようよ。」 盗賊 「な、なんだとっ!」 間違いなく自分の振り込んだハンマーは目の前の少年にヒットした。 だが、ニコニコと笑顔で語る少年の姿・・・・。 血相を変えるハンマーを打ち込んだ盗賊。 無論、他の盗賊達もやっと現実と認識し始めた。 盗賊 「くそ、こんガキっ! これでどうだぁぁぁっ! 」 数歩下がり、手にしたハンマーをビュンビュンと振り回し、勢いを付けて 再びこういちのドテッ腹目掛けて気合の一撃っ! 『うぉぉぉぉぉぉぉっ! 』 渾身の力をこめたハンマー、その威力は見ているものが目を覆うばかり! 気合の入ったその先端が、こういちの腹にヒットした瞬間、 キーーーン ボキっ ===== 彡ゴスっ ゴロゴロ 盗賊達が、一斉に後ろのビルの物音で振り返る! なんとそこには こういち目掛けて振りかざされたハンマーの先が、向かいのビルの 外壁に当たり 穴を開けて下に転がる姿だった。 盗賊 「う、うそだ・・・・・」 ハンマーを振りかざした盗賊、折れたハンマーの柄を手にしたまま震えだし、 掴んでいた柄を手から落とし、 カラ~ン しびれた手を顔の前に差出しながら、その場にヘタリ込んでしまった。 盗賊 「な、なんだ・・・!? 」 今度は掴まれていた斧を引き剥がしに掛かった先頭の盗賊。 だが、こういちの手にする柄が、どんなに力を入れても微動だにしない。 盗賊 『バ、バケ物だぁぁぁ!』 一斉に蜘蛛の子を散らしたかの様に逃げ去る盗賊達。 大きな斧を掴んでいた盗賊もその手を離し、オヅオヅと一歩、また一歩と後退し、 逃げた盗賊達の後を追うのであった。 ~ ~ ~ ゆうすけ ( よし、大丈夫。 ) 小柄なゆうすけ、屋外に設置されている三階から二階への非常用タラップを 伝って下に降りて周辺を確認し、後続する北見刑事に手で合図する。 背を低くし、玄関脇の厨房の屋根の上の平たいスペースに身を伏せる。 続いて北見刑事も到着。 案の定、この騒ぎがあっても玄関前にはシルバーを着た自衛隊か戦闘員かは分らないが、 3人の見張りと思われる警備員がいる。 ゆうすけの居るその位置からも、街中をうろうろとする住民らしき人影が見える。 数人のシルバー服がその姿を見て駆けつけている。 ゆうすけ 「住人が外に出始めているよ。」 北見刑事 「あの騒ぎだからな。 近くの住人が野次馬で見に行ったり、警備の薄いところから区域外に出たりしている のだろう。それがきっと TV で放送されて・・・・」 ゆうすけ 「でも、玄関先のシルバーはあそこから動かないや。 やつらが邪魔で、最後のタラップが降りられないよ。」 小声で会話する二人。 ゆうすけは身を低くして、今居る平たいスペースの反対側に行く。 そして見渡した後再び戻った。 ゆうすけ 「やはりあのタラップしか降りるルートはないよ。」 その場から下を覗き込んだ北見刑事。 そして、 北見刑事 「私がやつらの注意を引くから、その隙におまえはタラップで降りろ。」 ゆうすけ 「注意を引くって・・・・」 その時突然、北見の携帯電話が鳴り響いてしまうっ! ♪~ピリピリピリ~♪ 北見刑事 「くそっ、マナーモードにするの忘れたっ!」 そのまま下に飛び降りたっ! ゆうすけ ( おぃっ、普通の一階分よりも高さが・・・・ ) 突然の携帯の音に振り向くシルバーの隊員達。 その視線の先には、二階の屋根から豪快に飛び降りる北見の姿が映るっ! その北見、なんと飛び降りた先には、病院のワンボックスが駐車されており、その屋根に 最初の一歩を、そして続けてさらにその下に降りた! ボン スタ ♪~ピリピリピリ~♪ シルバーの隊員 『そこで何をしているっ!』 『取り押さえろっ!』 一斉に飛び掛るシルバー服の隊員達。 着地した北見刑事は、最初に殴る手を肘で交わし、 続いて後方から来た隊員を伏せてから肘打ち、 そのまま最初に打ちに来た隊員を担いで背負い投げっ! 三人目は、立ちすくんで見ているだけだった。 北見刑事 ピっ 『はい、北見。 ・・・・・・・はい、・・・・・はい、・・・・ 分りました、直ぐに向かいます。』 ピっ なんと電話に出てから警察手帳を見せ付けた。 彡さっ 北見刑事 「警察だ。 今本庁から連絡で、街で暴動が起きているらしい。 これから駆けつけるところだ。 ちょっと近道をしてここを通った。 じゃましたな。」 立ちすくんだままのシルバーの隊員、そして倒れたまま聞いていた隊員。 そのままだまって北見を行かせたのだった。 この間に下に降りて身を潜めていたゆうすけ、隙を伺ってその場から立ち去ったのだった。 -つづく- (もしもし、警察ですか) ※ このドラマはフィクションです。登場する内容は、実在する人物、団体等とは一切関係がありません。 また、無断で他への転載、使用等を堅く禁じます。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2020年09月15日 12時01分20秒
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