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カテゴリ:読書
●『クライマーズ・ハイ』横山秀夫_オススメ度★★★★★(満点5点)
この15年、本は一度読んだらオシマイだった。時間が経って、読んでいないと勘違いして再読した本を除けば、 自分からもう一度読み直してみようという小説はなかった。 この本は違った。読み終えてすぐにもう一度読み直したいと思った。 それだけ優れた本だった。 「細部に神が宿る」とは色んな意味で使われるようだが、この本の文章の人物造型や動きの描写を 読んでいると、このことかもしれない、と思わされる。 新聞記者としての経験を生かしつつ、新聞制作の修羅場を描き、様々な立場にいる人間の野心、嫉妬、諦念などを 表している。組織に少しでも属したことがあり、立場によって色んな意見があり、色んな人間がいる、ということを 肌で知っている読者は、確実に少なからず共感や反発を感じることだろう。 1985年の日航機墜落を題材にどのように新聞の段組を作っていくか、時間に追われながら緊張感にあふれた職場の躍動感の描写は 素晴らしい。自分がその喧騒の中にいるかのように思われる。 著者は『半落ち』で有名になったと言っても過言ではあるまい。私も読んだことがある。 確かにいい作品だと思ったが、文章構成上仕方ないのかもしれないが、人物の掘り下げに弱いところを感じていた。 この本では問題がない。しかもエンターテインメントである。 登場人物たちの職場、家庭、生い立ち、職場以外の行動などに読者は自分の一部を見るだろう。 いい本を読んだ。心からそう思う。 #ありがとう。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2006年07月27日 00時03分15秒
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