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2008年02月25日
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カテゴリ:読書
●『美徳のよろめき改版』三島由紀夫_オススメ度★★★★(満点5点)

耽美は嫌いじゃない、いやむしろ好きなほうだ。

川端康成の耽美。退廃的。いつも言うが、ノーベル変態賞(褒め言葉)。
ギュスターヴ・モローの幻想と象徴の耽美。

永遠にはまりこんでいたい耽美がそこにはある。

三島の耽美はどうか。あまりに人工的で男性的で加工感が強すぎる感があり、
心身ともには入り込めない。あくまで個人的にだが・・・。

この「浮気する人妻」を題材としている作品もどうも理性で
女性の感情を分析して作り上げられた感が強く、すーっとは胸に
入ってこなかった。

ただ、ネットで女性の感想を読む限り、意外と女性心理を突いている様子。
わがことのように感じた、という人もいた。
こんなに自らの心理を分析して快楽や苦痛を追い求める女性がこの世に
いるのだろうか?男性でも当然いまい。
いるのならばぜひともその心のうちを聞いてみたい。

「節子を待ち構えた地獄がここに在ったのを節子は知った。」

ドキッとする文。ただし、女性の地獄はその心理にはない。
肉体と苦痛の中にある。男性の地獄は精神と快楽の終焉にあるに違いない。

「男は、一度高い精神の領域へ飛び去ってしまうと、もう存在であることを
やめてしまえる!」


私もこのまま30年過ごしていくと、存在であることをやめてしまうことが
出来そうとも思える。そこまでの仙人ではないが、なんとなく終着点が
想像できる気もするのは傲慢か。

「自然はくりかえしている。一回きりというのは、人間の唯一の特権なのだ。」

そして三島も一回きりの行動・衝動に打って出たというわけか。
この瞬間瞬間に移り往くすべての事柄は一回きりの尊いもののようにも
感じられるが、あまりに俗物的な考えに過ぎないのだろうか。

あまり好みではないが、取り組むべき小説界の巨人とは思える。

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#こういう本に比べると、流行小説とやらのなんと薄っぺらいことか。





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最終更新日  2008年02月25日 22時52分36秒
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