思いをめぐらすと楽になる
物事にはいろいろな面がある。ちがう視点で眺めると気持ちが楽になることがある。あるチームでは組んだ物を試験する人を決めていた。すると、試験者自身が作った品物は品質のチェックが甘いという事態が発生した。試験者以外の人は(あの人は自分に甘い)であった。試験者には(自分の作ったものでクレームが出るのなら仕方がない、自分が責められればすむ話だ。どれくらいがクレームラインなのか確かめたい。自分以外の人が作ったものでクレームを出したのでは申し訳ない)なる考えが潜んでいた。人が作ったものでクレームを出したのでは、申し訳ないから厳しくする。自分の作ったものがクレームになるのなら、それでよし。ついでにどれくらいの品質ならクレームになるのか、経験を通して知っておきたい。だから少しだけ危ないものでも出荷してみよう。批判にさらされていた試験者には、その人なりの思いやりがあった。もちろんこうしたことはルール上では規定しきれない心理的なものだ。単純に自分に甘い人だと切り捨てるのも一つの方法だろう。しかし、試験者の思いまで考えをめぐらすと気持が楽になる。ちょっとだけ想像力を働かせれば楽になる事例でした。おしまい※どの辺からクレームになるのかを探るには、多少のリスクを背負うのが当たり前。リスクを伴わない挑戦なんてあり得ない。※ソ連のように思想統制の厳しい社会では、狭い考えと想像力のない人が歓迎された。しかし、日本はソ連ではないのでいろいろな考え方が許される。自分が楽になるように想像しても、苦しくなるように想像しても自由だ。