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カテゴリ:故郷の味(第2、第3の故郷を含む)
今日から仕事始め。 部長が誰であれどこの部でも9時前には部長以下の部の管理職で役員フロアに挨拶回りをする。 だから、この日は8時半頃にはネクタイも上着も着用してスタンバイしていなければならない。 …というのに、来ない管理者がいるんだよな。 確かに社長挨拶は9時半からだけど。 毎年のことなんだけどなぁ。 それはともかく、2011年銀座初ランチをどこで食べるか? と意気込んでみたものの、案外と気持ちは高ぶらない。 年末にマカオで散々食べたからなぁ。 それで太ったかと思っていたのだけど、久しぶりに身にまとったスーツは案外とゆるゆるだ。 予想とは逆に痩せたのか? 迷った挙句に選んだのは、故郷のラーメンである。 船見坂という店だ。 年賀状を出した高校の同級生からメールが来て、「最近、望郷の念が募っている」と書かれていたのを読み、なんだか自分も故郷が恋しくなった気がする。 いや、それは旧友からのメールのせいばかりじゃない。 ひと月ほど前に、上司から「君の故郷の作家が書いた 『海炭市叙景』が文庫になった。未読なら是非読むことを勧める」と言われ、この作品を読んで以来、頭の中から故郷の景色が離れないのだ。 この作品、確かに読んでいて無性に懐かしいのだけど、あまりに生々しい記憶に触れる部分も少なくなくて、とても切ない気分になる。 切ないどころか、触れて欲しくない傷をえぐられるような気すらして、苦しくなる。 特に前半のいくつかの短編がそうだ。 こういう感想は、あの街で生まれ育った人間しか共有できないものだろう。 一回りも年が違い、20年も前に自殺した作家の書いた作品だというのに、苦しいぐらいにリアリティをもって迫ってくる。 こんな作品に今まで出会ったことがない。 映画も見に行きたいのだけど、なかなか都合がつかない。 都合がつかないというよりも、気持ちの踏ん切りがつかないのかもしれないな。 それはさておき、船見坂のラーメンである。 なんか、違うんだよな。 塩ラーメンなら良いってものじゃない。 もちろん、故郷の店だってそれぞれに店のごとのオリジナリティがあってスープや麺や具に特徴があるわけで、同じ味はないのだけど、この店の塩ラーメンを食べても懐かしさが感じられない。 もう何年も食べていないけど、たまプラーザの汐のやで食べたときには、「これだよ!これこそ紛れもない故郷のラーメンの味だ」と深く納得した。 そういう通奏低音みたいなものが、船見坂のラーメンには感じられないのだ。 満腹? お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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