ひとりごと。
過去なんて無い。私は私にそう言い聞かせた。一度、二度、三度とこじれた過去に封をした。はじめから「なにもなかったんだよ。」と。いつの間にか名前を変えて仕事することにも違和感が無くなり荒んだ過去も 毎夜、毎夜の宴の彼方に沈んで行った。これと言ったスキルも持たない私がこれまで持てなかったお金を持つことができた。「人生は楽しいものなんだ。」と酔った頭で喜んだ。”死”など考えてもみなかった。人は死ぬんだ・・・。父はまるで眠っているようだった。・・・信じられなかった。ここから少しずつ時間の逆行が始まった。私の中で。私は何をしているんだろう?私は何が嬉しいんだろう?私は何が楽しいんだろう?私は父の愛に報いたか?私は母に愛されていたのだろうか?私は人をちゃんと愛せるのだろうか?「本心なんて見せないよ。あの女は。」と陰で言われたことがあった。本心なんてなかったのかもしれない。何故なら、私はまだ ”からっぽ” の人形だったから。鬱病になってから私は私という ちっぽけな存在であったことにやっと気付いた。なぜ、眠れないほど苦しいのか。なぜ、こうも痛いのか。なぜ、こんなに悲しいのか。それは私が私を愛せていなかったから。ちゃんと私を認めてあげなかったから。そして、私も人をちゃんと愛せなかったから。私の罪はあと何年でつぐなえるのかな?