テリー・クック「過去は物語のはじまりである」
*流れジェンキンソン→シェレンバーグヒラリー・ジェンキンソン(イギリス)【ヒラリー・ジェンキンソンのアーカイブズ論】行政官をみずからが作成した記録の選別と廃棄を行う唯一の執行者にした。おかげで文書量は減少し、アーキビストたちは行政官が廃棄した残りの記録を管理すればよいことになった。ジェンキンソンは少なくとも、「アーキビストは介入しない」というまさにその一点で一貫していた。【アーカイブ・グループ】ジェンキンソンのアーカイブ・グループは「行政機関の業務」の記録全体という包括的なモノであった。【記録のキーパー】彼のアーカイブズ仮説には、職場(英国国立文書館)であった第二次世界大戦前のイギリス公務員制度の役所文化が影響している。高潔で、教育があり、教養豊かなイギリスの公務員は、公平無私な判断を下すという役所文化が彼の信念を支えていた。アーキビストはどこにも偏らない記録の「キーパー」であり、「真実への私心のない献身的な帰依者である」という彼の観念は、経験実証主義をそのまま表現したものである。セオドール・ジェレンバーグ(アメリカ)記録の増大→記録の保存→記録の選定【ジェレンバーグのアーカイブズ論】ジェレンバーグは、記録には一次的価値と二次的価値があると主張。一次的価値とは記録の原作成母体にとっての記録の重要性を反映したもので、二次的価値とは、学術研究者の利用を反映したものである。【ジェンキンソとの違い】ジェンキンソンはアーカイブズになにを入れるべきかを行政官に委ねたのであるが、ジェレンバーグはこのような重要な決定はアーキビスト自身がやるべきであり、また、アーカイブズ記録の将来の形に影響を与えるために記録管理者や分野別専門司書と協力して働くべきであると主張。ジェレンバーグは「管理技術と効率性の利点に重点を置くニューディール国家統制主義」という当時のアメリカの政治文化を反映。【ジェレンバーグ派】研究集団の代表としてのアーキビスト(二次的価値の強調)利用に根ざしたアーカイブズ利用志向研究手法内容中心その後ジェンキンソンのいう国家の行政者でもなく、ジェレンバーグのいう専門家の利用者でもない「人民の、人民による、人民のためのアーカイブズ」を標榜する「社会的研究手法」