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2015年01月25日
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カテゴリ:工事契約


工事契約の解約についての専門誌の記事をご紹介しています。


工事契約やっぱりヤメタ その時の違約金は?

A社の解約トラブル その経緯

P社の契約書 是正内容





P社の契約書の是正内容は 前回ご報告しました。

では、適格消費者団体が是正申し入れにとどまらず、契約の差し止め請求まで行なったA社の契約約款はどのようなものだったのでしょう。



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消費者機構日本のウェブサイトによると、A社が協議により是正したのは次の3点です。



A社契約書約款 第21条(契約手付金等の扱い)

甲の申し出によりこの契約が解除された場合、乙は、請負代金のうち契約手付金の全額と、諸費用のうち乙が既に支出または実施した金額の合計額を、違約金として収受し、残余は無利息で甲に返還します。
前項の場合において、この契約の解除による乙の損害額が、前項に定める合計額を超えるときは、乙は当該超過額を甲に請求できるものとします。

→申し入れ理由

上記条項は、注文者が契約を解除する際の賠償額について、事業者に生じる平均的な損害の額を超えて定めていると考えられます。よって、消費者契約法第9条1号に該当し、無効であり削除を求めます。

→是正後

第21条(契約解除による損害賠償)
甲の申し出によりこの契約が解除された場合、甲は、この契約の解除による乙の損害額を賠償するものとします。




A社契約書約款 第20条(乙の契約解除)

2. 乙は、甲の責に帰すべき事由またはこの契約に定める事由により、着工の延期または工事の中止の期間が60日以上になったときは、催告してこの契約を解除することができます。

3. 前各項の場合、乙に損害が発生じたときは、乙は甲に対しその賠償を請求することができます。

→申し入れ理由

上記条項は、契約成立後から工事完成前までに甲の責に帰すべき事由およびその他の甲の責によらない事由をも含めて、工事の延期または中止期間が60日以上になった場合、契約を解除することができる旨定めています。
更に、次の第3項で前2項の契約解除による乙の損害を、すべて甲に請求することができる旨定めているため、契約全般に渡り、甲の責に帰すことのできない事由による場合であっても、一方的に、甲に損害賠償責任を負担させうる定めとなっており、消費者契約法第10条に該当し、無効であり下線部分の削除を求めます。

→是正後

第20条(乙の契約解除)
(従前と同様)
前各項の場合、乙に損害が生じたときは、甲の負担とします。ただし、甲の責に帰すべき事由がないときはこの限りではないものとします。



A社契約書約款 第7条(工事の延期または中止)

1. 乙は、次の各号の場合、着工を延期しまたは工事を中止することができます。
(1) 建築基準法第6条第1項または第6条の2第1項の建築確認申請に対する確認が、
着工予定日の30日前までに下りないとき
(2) 甲が、請負代金の支払いを遅滞したとき。
(3) 甲乙間の意見の相違が著しく、正常な工事の遂行が困難なとき。
(4) 工事の施工等について、第三者との間に紛争が生じたとき。
(5) その他甲がこの契約に定める義務を履行しないとき。
(6) 契約の目的物または工事の完成に重大な影響を及ぼすおそれのある事情が生じたとき。
2. 前項の場合、乙に損害が生じたときは、その損害は甲の負担とします。

→申し入れ理由

上記条項は、1項(1)(3)(4)(6)のように、甲の責に帰すことのできない事由による場合であっても、一方的に、甲に損害賠償責任を負担させる条項となっており、消費者契約法第10条に該当し、無効であり下線部分の削除を求めます。

→是正後

第7条(工事の延期または中止)
(従前と同様)
2. 前項の場合、乙に損害が生じたときは、その損害は甲の負担とします。ただし、甲の責に帰すべき事由がないときはこの限りではないものとします。






最初の 契約手付金の扱いについて、日経ホームビルダー2015年2月号では、次のように解説しています。

A社と契約を締結した消費者が、契約翌日に契約解除を申し出たと仮定すると、同社の約款では、何も出来高がないそうした段階でも契約手付金は全額返還されないことになる。

従ってこの条項そのものが無効だ。(谷合周三弁護士談/谷合周三法律事務所)






A社は、契約約款が上記のようであっても、実際には一律に手付金を返還しないわけでは無く、個別事情に応じて消費者と協議して金額を決めている、と適格消費者団体に説明していたそうですが、最終的には約款を改訂しています。








加藤一高建築設計事務所
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丹羽かずたか
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最終更新日  2015年01月25日 22時57分22秒
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