soul-eye

「しかし面白いねえ。明らかに君達が正しいのに、警官はどうして君達を止めるのかねえ」

及川が喋りだした

「おっさん。目が覚めたのかい」

英雄が言った

「地引さん。お久しぶりです」

「及川さん。早く逃げなさいよ」

親分はにこやかに言った

「地引さん。この鞄を預かっていてください。私は田中のところにいきますよ」

地引親分は及川から鞄を受け取った

「あんた、大丈夫かね」

「殺されはしないでしょうから」

そういって及川はサラリーマン風に向かって

「もう止めなさい。私は帰るから」

と言って歩いていった

「お騒がせしました。私がこの人たちと一緒に行けばよいのです

この若者達は何もなかったことに」

先ほどから窓口になっている年嵩の警官は

「そうおっしゃるなら」

ということで警官達も菅原達を解放した

「私は何も話さないのに、何を心配しているのかね、君達は」

及川は先ほどまでとはうって変わって自信に満ち溢れた声になっていた

その時

警官隊という支えを失って先に男に一発貰った菅原が崩れたかと思うと

ゴッチン

地面に頭をぶつけた瞬間正気に返った。実はさっきのパンチで失神していた

「この野郎」

そういうが早いか、一発寄越したＳＰもどきに飛び掛って馬乗りにになるや

ボゴバゴゲスゴボ

「やっちまえ」

英雄もそう言いながらもう一人のＳＰもどきに殴りかかった

「何だか分からねえが面倒くせえ。ぶっ飛ばせ」

川中は指を鳴らしながら

「じゃ、俺の相手はお前だ。随分偉そうだったな」

とサラリーマン風を片腕で持ち上げた

「あいつらのクルマ壊して来い」

英雄のその声に朝雄と栄一が

「おうっ」

と応えて走り出した

「あは、あはははは。あはははは」

及川が笑い出した

「がははははは。こいつらにかかったら滅茶苦茶だな」

地引も笑った

「本当に。なんて面白い人たちなんでしょう」

「あんたの気持ちは分かった。この鞄は田中が引退するまででいいのかな」

「はい」

「奴が引退したら開けるよ」

「そうして下さい。あれでも彼は私の３０年ですから

せめて辞めるまでは政治家でいさせたい」

「息子はどうなのかね」

「親父よりはましでしょう」

「政治家とは二世の方がましになるようだな」

「結局まともな親子関係はないんでしょうね。誰も父親のようになろうとはしない」

「でもなっていくんだな」

「それは政治家という仕事がそうさせるんでしょうね」

「わしも一押ししておく。あんたを殺させはしない」

「ありがとうございます」

なんていう会話が地引と及川でされているうちに喧嘩は終わった

「なんかむしゃくしゃがおさまらねえ」

菅原が言った

「俺もだ。面倒くせえ、面倒くせえことが一杯だぜ」

英雄も言った

川中が

「おい。それだけは止めろよ。なっ、それだけは」

と言った

それだけって・・・

「あんたら、よくも俺を無実の罪に陥れたな」

菅原が振り向きざま警官達に言った

やっぱり

「あっ、こらこら」

さすがに地引の親分も止めた