傾いた心
※あの頃 in SEATTLE。引き続き記憶をランダムに辿らせていただいています。今回もシアトル思い出シリーズになりますが、タイトルだけ変えさせていただきました。「あの頃 in SEATTLE(4)」となる今回の日記は・・・あの頃は・・・私にはアメリカ人の彼氏がいた。振り返れば、バカみたいに依存してたぐらい。そのことを後悔するつもりはないけど、もうちょっと他の人も見れたのかも。恋愛の意味でも、友達を作る意味でも。今となってはその点は少し反省する点でもあるって感じ。毎日彼に夢中で、ホントにクレイジーだった私だったけど、実はちょっと揺れ動いた時期がある。最後の秋学期のライティングのクラス。これがきっかけ。秋は結構メンバーががらりと変わって、新しい学生が増えてた。レベルが上がってもみんなアジア人だったけど(苦笑)でもそんな中で一際私の目を奪う人がいた。肌の色は浅黒くて、坊主で、ちょっとダンスしてる人のような格好で。顔立ちからして東南アジア系かなとは思ったけど、でもすごい顔立ちは良い。正直目を奪われたのはタイプだったからだった。彼はタイ人だった。クラスが毎日繰り返されていくうちに、彼は結構おもしろくて、どっちかというと・・・クラスに一人はいるやんちゃっぽい性格なんだなと分かってきた。英語も上手くて。彼が教室に入ってくるたびにいつも彼と話してみたいと思った。友達になってみたい。いつしか彼がブレイクダンスをやってるって聞いて、同じダンスが好きという共通点から私たちは話すきっかけを得た。というか、向こうから話しかけてきてくれた。「ねぇ、ダンス好きなの?」「うん、いつも金曜日の夜にダンス行ってるよ。あなたも来るべきよ。」「いいね。電話番号教えて。」「ОK。」いつの間にか電話番号まで交換に成功。この時なぜか優越感があった。なんか彼は自分の友達になるんだ!と思ったら興奮がこみ上げてきたから。確か、その日の夜か、何日後の夜にさっそく彼から電話があった。最初携帯のディスプレイに彼の名前が出てるだけで緊張した。すごく話したいという気持ちと、ちゃんと話せるだろうかという不安が入り交ざった心境で通話ボタンを押した。「ヘィ~、元気?今話せる?」「ヘイ!うん大丈夫。今部屋にいるから。」彼とその電話で何を話したかよく覚えてはいないけど、2人ともすごい盛り上がって、笑って話したのは確実な記憶。だって彼がすごいおもしろこと言ってた気がするから。とにかくドキドキしながら話してた。久々な感覚。正直、彼氏がいないと言えば上手く行くかもと思った。ある日の放課後、いきなり誰かから電話が入った。彼だ。すぐに電話に出た。瞬間に彼は興奮した声で言った。「今どこにいる?今カフェテリアの横の教室でダンスしてるから来てよ!ちょっとでもいいから!見に来て!」とっさに答えた。「分かった!今から行く!」カフェテリアに着いたら、彼と何人か他のダンサーがいた。教室の窓から覗くと、すぐに気づいた彼がドアを開けてくれた。「座って、今からダンスするから。彼はボビー。ダンス超上手いんだ。」話す間もなくボビーはブレイクし始めた。実はボビーとは1回一緒にダンスに行ったことがあった。当時の彼氏と、実は知り合いだった。残念ながらボビーはあまり私のこと覚えてなかったけど。彼は踊ろうとしたけど、ティンバの靴が重くてこれじゃぁ無理だとなって結局ダンスしなかった。でも少しのステップから、結構の腕前なんだろうとは感じた。彼の視線が私に当たる。「ダンスする?」あわてて答えた。「無理無理!」自分のダンスなんて見せれなくて、結構必死に答えてたっけ(笑)実はその放課後は予定があって、彼には予定があるからもう抜けないと、と伝えた。「もう帰るの?」「うん、ちょっとこれから用事があるの。」「オーケー。来てくれてありがとう!Come again!」ここまでは最高だった。本当に心が彼に傾き始める直前だった。でも、ある日メッセンジャーで聞かれた。私自身、言いたくないようで正直に答えてしまったけど。「今彼氏いる?」「うん、いるよ。」この質問に対しての自分の回答に少し後悔した。なぜなら彼はすばやく身を引いたからだ。奪い取ることはしない。そこから誠実さが見えた。でもなんだかすごくもったいないことをした感じがする。”いない”って答えてたらどうなってたんだろう?彼の名前はTony。今だから振り返れることだけど・・・Tonyは私の留学生活の中で結構思い出に残るキーパーソンの一人であって、彼氏に依存してた私を魅了する人だった。スタートしそうで終わった、気になった私の心は・・・?こんな傾きも時には必要だったのかもしれない。