光る河
ある事情で、広島県の片隅の小さな町に半年ほど暮らしたことがある。大阪や神戸の画廊から、展覧会のオファーを受けるようになった頃だ。制作費や作品の運送費を捻出するため、経済的にはかなり苦しかった。いつも腹を空かせていた。当時は麦が安かったので、米の代わりに麦を食った。もちろん、煙草も酒も呑まなかった。隠遁生活のようなこの時期のことは、誰にも話さずにいた。そのため、旧い知り合いからは、“よっぽど辛かったんだろう”と思われているようだ。・・・実際は、どうなんだろう?私はどこにもない、私だけの絵を描きたいと、ただただ、それだけだった。私は目を血走らせて、“絵を描く修羅”のようになっていた、と思う。・・・時間の流れがとてもゆっくりだった。正月に帰省したついでに足を伸ばして、その町に寄ってみようと思う。数年前にも訪ねたことがあるが、恐らくこれが最后になるだろう。当時の知り合いは、もういない。何しろ、28年前のことだ。下宿屋の窓から、一級河川が見えた。陽に照らされて光る、その河をもう一度見たいのだ。そうだ、“光る河”をテーマに曲を書こう♪時間はかかるかも知れないけど。December 25, 2009 22:40:56