れもん・は～と

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• 職業カード

  やっぱり朝はミニスカじゃスースーする。でも頑張って、今日も生足ミニスカでご出勤。龍クンと一緒に乗換えの駅で電車を待ってたら、なんだかいつもより混んでるような気がした。でもって、電車が来たから乗ったらギューっと奥の方まで押されちゃったんだけど、そのとき目の前に座ってたＯＬさんみたいな人が慌てて立ち上がって、人波をかき分けながら降りていった。で、ボクはと言うと、幸運にも目の前にポッカリ空いた席に無事着陸。「あっ」って龍クンが叫びそうになったのを尻目に、ちゃっかり座ってしまった。電車通学を始めて早半年。初めて朝の電車に座れた。学校生活もいつものようにダラダラと終わって、今日はバイトも無いから珍しく早めのご帰宅。って、部屋に入って着替えた途端、コツコツと窓ガラスを叩く音が・・・「由美子おかえり！」っていつものように晶が窓から入ってきた。普段だったら夕ご飯を食べた後くらいに来る晶が、今日はまだ陽のあるうちに姿を見せたんで、「こんなに早く、どうしたの？」って聞いたら、「ボク決めた！由美子と同じ高校に入る！先生にもちゃんと言ったから」って。「うちの学校レベル高いよ！大丈夫なの？」って冗談めかして聞いたら、「だから・・はい、これ！」って人生ゲームの職業カードみたいなカードをボクに手渡した。ボクが？？？になってると、「ほら、そこに書いてあるでしょ！」って表にしたカードには『家庭教師』って書いてあった。まったく何を考えてんだかって思ってたら、「由美子、数学とか科学とか得意だったよね！」って言うが早いか、参考書を開き始めた。いちどやったトコだから未だ覚えてるとは思うけど、中学生の問題が解けなかったらどうしよう・・・でも、晶と同じ高校って言うのも悪くないかもしれない・・・

  November 9, 2005

• 親切ｏｒお節介？

  朝から『Ｔｈｅ・快晴！』ってくらい雲ひとつ無い空で、ようやく諦め（？）がついたボクは、今日も生足＆ミニスカで元気にご出勤。龍クンに電車の中で裕子に彼氏ができてたことを話したら、「文化祭のとき、マジで由美子を狙ってるヤツがいたんで、ちょっと焦ったよ」って、人がせっかく踏ん切り付けたって言うのに、何で後ろ向きの話するのよ～！今日は火曜日だから、５時間目はお待ち兼ねの柔道。お昼ご飯を食べてソッコーで着替えて柔道場に行ったら、今日も隣のクラスのバカ女共が美々ちゃん相手にプロレスごっこをやっていた。でもって、今日はボクのクラスの子たちも何かじゃれ合っている。って良く見たら、乱取りの真似事をしてて、何かの弾みでリョウコが倒されていた。「まだロクに受身も取れないのに、そんな事してたら危ないよ！」って注意したら、「受身くらい出来るわよ！」ってリョウコが突っ掛かってきたから、思わずボクも「試してみる？」って言っちゃった。売り言葉に買い言葉じゃないけど、リョウコも引っ込みがつかなくなったみたいで「やってみれば・・」って凄んできたから、「前まわり受身と同じようにするんだよ！」って言いながら一本背負いを掛けちゃった。そしたら思ったとおり、バシン！って受身を取る音じゃなくて、ドスン！って物が落っこちるような音がして、リョウコは「うぅぅぅっ」って背中を持ち上げて苦しそうな呻き声を上げてた。きっとみんなも、柔道でそんなに痛い思いをすることは無いってナメてたと思うんだけど、リョウコがあまりにも苦しそうにしてるから驚いたような顔をしていた。そしたらタカコが「黒帯の子に投げられたんだから、こうなるの当たり前でしょ！」って強い顔で言ってきたから、ついついボクも「受身に黒帯も白帯も無いよ！ちゃんと受身を取らないからそうなるんだよ！」って言ってから純子を呼び寄せた。裕子は足に怪我してるし、香は素直に投げられてくれそうも無いし、ボクが見た限り純子はちゃんと受身が取れてるから、「やだ、やだ・・」って言う純子にも、「前まわり受身と同じようにすれば良いんだよ！」って言いながら一本背負い。今度はバシン！って音がして、純子も「あれっ？」って顔をしてた。いつの間にか隣のクラスの子たちも集って来てて、そしたら浩美が「由美子はワザとゆっくり投げたけど、本当はこれくらいにやるんだよ！」って言いながら、ボクをみんなから遠ざけた。と思った瞬間、スパーン！って音がするくらい勢い良くボクに一本背負いを掛けた。柔道場の中がシーンって静まり返った。休み時間が終わって授業が始まったら、みんないつもより真剣な顔で受身に取り組んでいたんで、先生も驚いたような顔をしてた。でも、授業が終わって教室に戻ったら、タカコとリョウコが時折ボクを睨むようにヒソヒソやってた。ボクは無視してたけど、「さっき、あんな事しなくても良かったんじゃない？」って純子が心配そうな顔で囁いてきた。そしたら香まで「ゆみこといると、なんかトラブルに巻き込まれそうだね」って言いながら、ニヤっと笑った。またボク？ボクがなんか悪いことした？えーえー、どうせそうですよ！ボクはトラブルメーカーですよ～だ！！

  November 8, 2005

• いつものように・・・？

  ３連休が終わって普段の生活に戻ってしまった。朝、いつものように駅で龍クンが待っててくれて、いつものように一緒に電車に乗って、駅に着いたらいつものように何気なくスーッと分かれて、改札を出たらいつものように志保が待ってて。香、奈留美、純子といつものように順番に改札から姿を現して、あとは裕子が来るのを待つだけ。って、裕子が右足を包帯でグルグル巻きにして現れた。みんなで「どうしたの？」って聞いたら「土曜日にチャリでコケた」って。「どんな乗り方したら、そんなになるコケ方するの？」って聞いたら、「実は夏休みの終りのころ彼に誘われて、ＭＴＢやってんだ」って。「ＭＴＢってマウンテンバイク？山ん中走りまわるヤツ？」って・・・ちょっと待ってよ！裕子、いつの間に彼氏ができたの？みんなで突っついたら「あれ～、言わなかったけ～」って、いつものポワ～ンとした口調で言ったんで、みんなそれ以上突っ込む気になれなくなってしまった。それでも興味があるって言うか関心があるって言うか、ともかく気になったんで休み時間なんかにいろいろ聞いたら、「私より１コ上で、背が高いんだ～」って。「裕子より背が高いって２ｍくらいあるの？」って冗談で聞いてみたら「あるかも～」って、マジですかい・・・そんな中で純子が「どこで知り合ったの？どういうきっかけで付き合うようになったの？」っていつになく真剣な表情で聞いてた。もしかして焦ってんのかなぁ？もしこれで純子や香にも彼氏ができても、今までどおりにやっていけるのかなぁ？４人一緒に遊んだりって、ちゃんとできるのかなぁ？なんかちょっとだけ心配・・・

  November 7, 2005

• どうしたら良いの？

  昨夜テレビで『スウィングガールズ』を見た。最近、中学の学習発表会や高校の文化祭で『吹奏楽』づいてるんで、何となく見てしまったけど、『映画』って言うのを差し引いても、ちょっと感動してしまった。『最初の頃のやる気の無さ』が、今のボクにピッタリな感じがして、そこから段々盛り上がって行って・・・晶がのめり込むのも分かるような気がした。じゃあボクは？柔道を止めちゃったから、あんなにのめり込めるもの持ってないし、何か新しくやろうという気も起きてこない・・でも、こんなんじゃダメだよね？何かに挑戦し続けなきゃダメだよね？って、文化祭が終わった後遺症、『Ｂｕｒｎｏｕｔ　Ｓｙｎｄｒｏｍｅ』にかかってしまったのかな？何とかしなきゃ！！

  November 6, 2005

• 虚脱感

  文化祭が終わっちゃった・・ボクはこれから何を目標に生きていけば良いんだろう？でも、初めての文化祭はメッチャ楽しかった。いつもは話したこと無い子とお喋りしたり、クラスがあんなに一つに纏まるなんて、感動と驚きの連発。（体育祭のときも盛り上がったけど、文化祭ほどじゃ無かった気がする）でも、来週からは普通の生活に戻っちゃうんだろうな・・・なんだか少し寂しい気もするけど、そんなモンなのかなぁ？

  November 4, 2005

• クソ生意気な中坊？

  折角の文化祭なのに、今朝は曇り空。でもそんなこと関係なし！って、今日もミニスカ生足でご出勤！電車の中でも「９時からあれで、１０時半からこれで・・」ってスケジュール作りに大忙しのボクたち。教室は今日も熱気満々で、みんなのテンションも振り切れてるような状態。きょうも純子たちとは別行動（って、みんなも中学時代の友達なんかと楽しんでた）で、ボクは龍クンとベッタリ。で、いろんな教室を回ってたら「お客さんだよ！」って、店番してる純子から電話が掛かってきた。教室に戻ったら、真希と久美と知らないオトコのヒトが来てた。オトコのヒトは真希の彼氏らしくて、久美はちょっと居心地悪そうだったけど、ボクが合流したら、今度は真希の彼氏が居心地悪そうだった。真希に「さっき一緒にいたヒトが、電話で言ってた龍治クン？」って聞かれたんで、「真希こそいつの間に彼氏できたの？」って聞き返したら、「ずーっと黙ってたけど、中学のときからなんだよね？」って久美が言ったんで、真希はバツの悪そうな顔になった。ぐるっと校内を一周した後、制服を着てた久美は「午後から部活」って帰っちゃって、真希も彼氏とどっか行くみたいで昼前には帰っちゃったから、またまた龍クンと合流。お昼ご飯を食べてブラブラしてたら「アンアのこと呼び捨てにしてる、クソ生意気な中坊が来てるよ！」って、香から電話が掛かってきた。香の声がちょっとムっとしてたから、慌てて教室に戻ったら晶が来てた。時間がピッタリだったから体育館へ連れて行ってあげたら、ちょうど吹奏楽部が演奏を始めるところだった。さすがに高校生ともなると一味違うみたいで、晶はメッチャ感動してた。でもって演奏が終わったら、「決めた！ボクもこの高校に入る！」って。「大丈夫なの？レベル高いよ！」って言ってやったら、「由美子が入れたんだもん、ボクだって大丈夫！」って、やっぱ知らない子が見たら『クソ生意気な中坊』だよね・・・そんなこんなで、あっという間に３時半・・あ～あ！終わっちゃった・・・

  November 3, 2005

• 横恋慕？

  いよいよ文化祭。起きたときは少し涼しかったけど、今日は女子高生らしく気合を入れてパンスト無し（でも、スカートの下にショートスパッツは穿いていたけど・・）。でもって、純子たちと示し合わせた悪戯心満載の格好でいざ登校！駅で会った龍クンも「あれっ？今日は生足？」って言ったから、ホームの端っこで「それだけじゃないよ！」って言いながら、他のヒトからは見えないようにベストの胸元を少しずらしてブラウスを見せてあげたら、照れて真っ赤な顔になった龍クンは言葉も出てこなかった。学校に着いたら教室の中は熱気満々！みんなで作ったお揃いのＴシャツに着替えて、「力いっぱい文化祭やるぞー！」「おー！」ってやってたら、体育会系の子たちが寄ってきて「アンタたち、ノーブラなの？」って恥ずかしそうな声で聞いてきた。実は夏休みにグループ旅行に行くときボクがやった悪戯・・そうヌーブラに付け乳首をつけたもんだから、傍から見ればノーブラと同じに見えてしまうんだけど、体育会系の子たちに「バカなことやってないで、トレーナー着ときなさいよ！」って言われてしまった。ボクたちのクラスは展示発表だから、教室に留守番がいれば良いだけ。って事で、あいうえお順に男女１人づつの当番を決めて１時間の留守番。本当だったらボクの相方は陸上部の男子で龍クンの相方は演劇部の子だったんだけど、「その時間は部活の方に行かなきゃいけないから」って無理に理由を作って、演劇部の子と当番を代わってもらった。もっとも演劇部の子も、未だ殆どの女子とは口を利かない龍クンに「メメケンと一緒、嫌だ！」って言ってたから、代わってもらったって言うより代わってあげたって感じ・・当番って言っても本当に二人っきりになる訳じゃなくて、やっぱり何人かは何処へも行かず教室に屯してる。でもって、『文化祭モード』の影響なのか、普段あまり話したことの無い男子が結構ボクに話しかけてくるんで、不思議に思って龍クンに聞いてみたら、ボクたちがやったように男子も女子の品評会みたいなのやってて、可愛い娘部門では純子がダントツ、美人部門ではなんとボクと香がクラスの人気を二分してるんだって。ちょっと嬉しかったけど「男子はそんな事やってるの？」ってちょっとだけ膨れっ面をしてみせたら、「女子は俺のことを『メメケン』って呼んでんだろ？」って言い返された。普段は女子と殆ど話をしない龍クンが、ボクと普通にお喋りしてても誰も気に留める様子は無い。それどころか、陰で『メメケン』って呼んでいつもは敬遠してる子たちも龍クンに話しかけたりするんで、「やっぱ文化祭の力って凄い！」って思ったりもした。で、龍クンに話しかけてる女子の中にタカコがいた。１学期の終業式の日にコクって振られたくせに、「当番の時間が終わったら、あっち行こう！こっち行こう！」ってしつこく誘ってたから、「龍治、モテモテだね！」って横から口を挟んだら、タカコから睨まれた。そんなこんなで１時間が過ぎて交代の子たちが来たからボクたちはお役御免。教室の入口でまだ未練がましく立ってるタカコが龍クンにまだ何か言いたそうだったから、「龍治、行こう！」って袖を引っ張ってその横を通り抜けたら、タカコは恨めしそうな顔をしてた。その後は大学の方へ行ったり中等部へ行ったりと、キャンパスの中を１日中駆けずり回ってたボクたち。お祭り大好き少女のボクとしては、こんなに嬉しい日は無いんだけど、龍クンが夏休み前にコクってくれてたら、花火や夏祭りも一緒に行けたのにって思ってしまった。明日も文化祭。目いっぱい遊んでやるぞー！！

  November 2, 2005

• 前夜祭

  今日は１日中文化祭の準備で、クラスにクラブにと大忙しのボク。体育会系の子や純粋な帰宅部の子たちと違って、クラブでも写真展をやるからそっちの準備もしなきゃいけないし、かと言ってクラスの方を放っぽらかしにするわけにもいかないし・・・でも、みんなと一緒でメッチャテンション上がってるし、疲れを知らない高校生パワーって何だか凄いと思った。クラスの準備をしてるとき、龍クンたちのグループと一緒だったんで極普通に話をしてしまったけど、誰もその事を気に掛けてる様子はなかった。やっぱり文化祭の力なのかなぁ？でもって、今日も帰りはみんなにこっそり龍クンと二人きり。毎日こんなこと出来たら良いのにって思って、明日があるのにまたまたちょっとだけ回り道。やっぱり制服を着ていることがちょっとだけ腹立たしかった。家に帰っても何だか興奮冷めやらぬって感じで、日記も何だか支離滅裂になってきたんで今日はここまで・・・明日、明後日は、日記が書けるか分からないって言うより、多分それどころではないと思うんで、次に会うのは週末かな？？？

  November 1, 2005

• 黒いパンスト

  今朝も窓を開けたらヒンヤリした空気が入ってきたから、先週バイト先で買ったパンストを穿いていざ登校！ミニスカにパンストじゃちょっと変かな？って思ったけど、駅で会った龍クンも「生脚が見えてるよりなんか大人びた感じだね」って言ってくれた。土曜日に中学の学習発表会に行った事を話したら、「うちだって明後日からじゃん！その中に由美子の作品が入ってんの？」ってボクが持ってる大きな紙袋を指差した。先週バイト先で店長に手伝ってもらいながら作ったパネルは、江ノ島の花火と久能山東照宮、それに御前崎の灯台の上から撮った太平洋。ちょっと時期はずれだけど、先輩たちは殆ど電車の写真だから少しぐらい違うのがあった方が良いかな？って上手く撮れたヤツの中から厳選（？）したこの３つに決めたボク。教室に入っても、もう文化祭一色って感じで、みんないつもよりテンションが高かった。授業中もあっちでコソコソ、こっちでヒソヒソって何度も先生に怒られたけど、高校生パワーはそんな事ではちっともメゲずに、終いには先生の方が諦めちゃった。放課後はバイトも休んで文化祭の準備。体育祭のときもそうだったけど、これほどクラスが一つに纏まることがちょっと信じられないくらい・・夜７時ころまで準備をして、みんなでワイワイやりながら駅まで帰った。やっぱみんな異様なほどハイテンション。途中で一人はぐれ二人はぐれ、そしてボクと龍クンもみんなからはぐれてしまった。二人っきりで隣の駅までお喋りしながらお散歩。制服さえ着てなけりゃ・・・

  October 31, 2005

• 学習発表会

  隣に住んでる晶（♀）と約束してたから、真希を誘ってボクらが卒業した中学の学習発表会に行ってきた。久美も誘ってみたんだけど、彼女はやっぱり今日も部活。「久美からバレー取ったら何が残るんだろうね？」って真希と話しながら体育館に入っていったら、「先輩、私たち４番目に和太鼓やるから絶対見てくださいね！」って柔道部の後輩たち（♀）に囲まれた。音楽の選択授業を受けてる３年生がやるって事で、みんな体操着の短パンに黒いＴシャツを着た黒づくめ。そこに制服姿の晶が駆け寄って来て、「良かったぁ、ゆみこ来てくれたんだ・・風邪引いてるって言ってたからダメかと思ってた」ってボクの名前を呼び捨てにして言ったもんだから、真希は「何コイツ？」って顔してたし、柔道部の後輩たちも驚いたような顔してた。ボクと晶は新生児室から保育園までずっと一緒で、ボクが一足早く小学校や中学校に上がっても次の年にはちゃんと追いかけてくる１５年来の長い付き合いだから、お互いに名前も呼び捨てだしボクも先輩風を吹かしたことが無い。２学期が始まってすぐの頃に、「アンコール用の曲も準備してあるから、見に来ないと絶対後悔するよ！」って言ってたのを思い出したから、柔道部の後輩たち（♂＆♀）にも「吹奏楽部の演奏が終わったら、ちゃんと『アンコール！』ってやるんだよ！」って先輩風を吹かせて卒業生用の席に座ったら、ボクらの時と同じように体育館を真っ暗にして、演技が始まった。１・２年生の自由研究の発表、音楽の選択授業を受けてる１年生の合唱、同じく２年生のリコーダー演奏の後、いよいよ３年生の和太鼓。『シーサー』って沖縄民謡みたいな曲を演奏（？）してた後輩たちは、凄くカッチョ良かった。「ボクたちの時は和太鼓なんて無かったね・・」って真希と話してるうちにＰＴＡのコーラスが終わっていよいよ吹奏楽部の演奏。今年はコンクールで準優勝したって言ってた後輩たちの演奏は、ボクらの代に比べると格段の出来栄え。『コンドルは飛んでいく』とか『ハッスル！』とか定番の曲をやった後、ポピュラーやアニメソングなんか合計６曲を演奏して指揮者が会場に向かって頭を下げたら、期せずして３年生の席から「アンコール！アンコール！」の大合唱。そしたら最前列で楽譜の陰に座ってた晶がすくっと立ち上がって、「サザンやります！手拍子よろしく！」って叫んだかと思うと、出だしのヴォーカル部分をクラリネットのソロで奏で始めた。『ＴＳＵＮＡＭＩ』だった。まるでオーケストラが『ＴＳＵＭＡＮＩ』を演奏してるみたいで、メッチャ感動した。「絶対見に来て！」って言ってた晶は、ボクがサザンを好きなのは十分過ぎるくらい知ってるんで、『部長』の影響力をフルに使って曲を決めたんだって。すっごく嬉しくて、またまた涙腺が壊れそうになったら、「なにウルウルしてんのよ！」って晶に笑われた。でも不思議な事がひとつ・・前に一緒にカラオケに行ったとき、晶の歌はメチャメチャ下手って言うか超音痴だったのに、何で吹奏楽部の部長なんかやってられるんだろう？？？

  October 29, 2005

• 新・ボクはバカじゃない！

  今朝起きたら３６．７℃まで熱が下がってたから、今週もあと１日だし今日はバイトも無いから頑張って学校に行った。駅で待っててくれた龍クンも最初は心配そうな顔してたけど、「安心したよ」って言ったから「まだちょっとダルイんだ」って正直に答えたら「違う違う！ほら、何とかは風邪引かないって言うだろ！」だって。「ヒドーイ！」って文句を言おうと思ったら、「ほらっ！」って２日分のノートのコピーをくれた。メッチャ嬉しくて思わず涙腺が壊れそうになった。あっ、玲子ちゃんがボクのこと探してる。病み上がりでこんな事してたら叱られちゃうから、今日はここまで・・

  October 28, 2005

• 続・ボクはバカじゃない！

  朝起きたらまだボ～っとしてたから熱を測ったら、まだ３７．８℃あった。またまた学校を休んで一日中寝てた。初めてバイトをドタキャンした。

  October 27, 2005

• ボクはバカじゃない！

  朝起きたらなんかポワ～ンとしてて、喉の奥もちょっと変な感じがした。熱を測ったら３８．１℃もあった。学校休んでお医者さんに行った。あとは寝てただけ・・

  October 26, 2005

• 我慢の限界

  今日も朝から龍クンと一緒。別に隠す心算は無いんだけど、未だにクラスのほとんどの子がボクと龍クンが付き合っているのに気付いてない。これでみんなにバレたらどうなるのかな？って思いはするものの、だからといって積極的に言触らす気もない。そんな事を考えながら龍クンの顔を見てたら「ミニスカで寒くねえ？」っ聞かれた。確かにこの頃は朝とバイトの帰りがスースーするから超ミニは穿いてないけど、太腿が半分以上出てるからミニスカートには変わりがない。「そろそろ限界かな・・でも、ミニスカじゃなくても良いの？」って聞き返したら、龍クンはボクがスカートの下にブルマとか穿くの嫌いなこと知ってるから、「女のヒトってお腹とか冷やしちゃいけないんだろ？」だって。このヒトはいったいどこからこんな知識を仕入れてくるんだろう？「来週くらいからパンスト穿こうかな」って言ったら「網タイツは止めとけよ！」って言われなくてもストッキングは無地じゃなきゃイケナイんですよ～だ！お昼ご飯を食べたら、またまたお待ちかねの柔道。小学校・中学校と９年間、更に高校に入って半年が過ぎたけど、今までこれほど授業が待ち遠しく感じた教科は、家庭科のお菓子作りのとき以外は無かったような気がする。いつものように颯爽と（もちろん入口で礼をするのは忘れていない）柔道場に入ったら、隣のクラスのバカどもは今日もバスケ部のバカ女が中心になってプロレスごっこ（いじめ？）をやっていた。いつも餌食になってるのは美々って言う名前だけでもイジメの対照になっちゃいそうな細くて大人し目な子で、今日はバスケ部のバカ女に四の字固めを掛けられていた。今日も香がボクの前に立ち塞がるように「よそのクラスの事は放っときなよ！」って言ったからボクも我慢してたけど、途中からバレー部のバカ女が加わって、なんと腕拉ぎを掛けようとしたから、ボクも我慢しきれなくなって香を押し退けて止めに入っちゃった。「柔道部でもないくせに」とか「黒帯締めてるからって偉そうに」とかってブツブツ文句を言ってきたから「アンタみたいなバカ力で腕拉ぎなんかやったら、この子の肘が壊れちゃうでしょ！」ってやり返したら、バレー部のバカ女の手がサッと伸びてきてボクの髪を掴もうとしたから、ボクもそれをバシって叩き落としたもんだから、凄い顔で睨まれた。このバカ女、どうしてくれようか・・って思ってたら香がボクの肩を掴んで「ゆみこ止めなよ！」って言いながら隣のクラスのバカ女どもを凄い顔で睨みつけたもんだから、そいつらはブツブツ言いながら言ってしまった。今日も帰りはバイト。で、やっぱり店頭に立ったら、次から次へとお客さんが来た。それも、７時から閉店までの間に集中して・・・「みんな仕事帰りに地元で申し込むからなぁ」って店長は言ってた。バイトを始めて３ヶ月、レジの中にこんなにお金があるのは見たこと無かった。バイトが終わってパンストを買おうと婦人服売り場に行ったら、夏休み前にボクが買ったビキニと同じヤツが吊るしてあった。値札の上に『処分品大特価』ってタグが付いてて３０００円で売ってた。清水の舞台から飛び降りる覚悟で１万円以上出して買ったボクって・・・

  October 25, 2005

• １週間ぶりに・・

  今朝から龍クンと一緒に行ける！それだけの事で、いつもより１時間も早く目覚めてしまった。お弁当を作ってたら、「こんなに早く起きて来て、今日なんかあるの？」って玲子ちゃんに聞かれて思わず言葉を濁しちゃったけど、玲子ちゃんは薄々感づいてるみたいで「あとで後悔するような事だけはしないでね！」だって。駅に着いたらまだ龍クンは来てなかったんで《何両目に乗ってるの？》ってメールしたら一番後ろに乗ってるって返事が来たから、そのままホームまで降りてった。電車が来て龍クンの姿を見たときメッチャ嬉しかったけど、１週間ぶりなのに想像していたほど感激が無かったんで、何でだろう？って思ったから龍クンにその事を言ったら、「ば～か、毎日教室で顔を会わせてたじゃん！」って。そうだった・・教室で話は出来ないけど、暇さえあれば龍クンのこと見てたんだった。いつもより２０分も早いから、今日は各停に乗った。１週間ぶりだったんで、電車の中で思いっきりお喋りをしてたら、あっという間に駅に着いてしまった。と言うか、複々線になってるから準急でも各停でも着く時間はあんまり変わらなかった。改札を出るときちょうど志保と一緒になって「今朝は早いじゃん！」って言われてちょっと恥ずかしくなった。合流してきた香も「なんか良い事あったの？」って言ったから、またまた顔が赤くなってしまった。今日は月曜日だから帰りはバイト。店に入るなり「来週の頭まで忙しくなるぞ！」って店長に言われた。？？？の頭で制服に着替えてきたボクの前には、「お店がこんなに忙しいのはじめて見た」ってくらい、次から次へとお客さんがやってきた。先週、カウンターの上にあったアルバムを片付けて年賀状の申込書を置いたとき、まだ１０月じゃん！って思ったけど、お店に来るお客さんたちはもう年賀状の準備を始めている。それに、今月中に申し込むと『早割』で２０％お得だから、よけい早く来るみたい・・・それでも店長さんに言わせると「今はパソコンがあるから、昔に比べれば半分以下」なんだって。ボクもここで年賀状作っちゃおうかな～・・・

  October 24, 2005

• 無法地帯

  やっと金曜日。今日で柔道部の朝練も終わりだから、月曜日からはまた龍クンと一緒に行ける。だからもう、女性専用車に乗る必要がなくなる。そう思ったら、何だか急に女性専用車が貴重なものに思えてきたので、今日は急行を見送って、少しだけ長く乗れる準急に乗った。ドアが開いたとき急行よりも臭いがキツく無かったんで、な～んだ、空いてるじゃん！って思ったけど、お握りを食べてるヒトやヨダレを垂らして寝てるヒトがいるのには変わりがなかった。途中まで各駅に止まってた準急も、５～６駅を過ぎた頃にはかなり混雑してきていて、これ以上乗ってきたら急行より混んでるじゃん！って思ったときに、「痛っ、どこ見てんだよ！」って怒鳴り声が聞こえたんでそっちを見たら、床に座り込んでる制服を着た高校生とＯＬさんみたいな女のヒトが睨み合っていた。「混んでる電車でアンタたちみたいに座り込んでたら、周りのヒトの迷惑になるって事が分かんないの？」ってＯＬさんが怒鳴りつけたら、高校生の方が「うるせークソババア！」って言いながら何かしようとしたみたいだけど、ボクの位置から見えたのは、ＯＬさんの黒い靴の先が高校生のお腹にめり込んで行くとこだけ。「ぐぁぁぁっ」って呻き声を上げながら高校生が蹲ったら、隣に座ってたツレの女子高生が「テメー、コノヤロー！」って怒鳴りながらＯＬさんに飛び掛っていったんで、そこから先はもう修羅場。ＯＬさんも女子高生も、互いに相手の髪を掴みながら顔を殴ったり蹴りを入れたりって、本当にこれが女の喧嘩？って思われるくらいの凄い戦い。でもって、周りにいたヒトも巻添え食わないようにって下がっていったら、今度はボクの斜め後ろで、足を踏んだ踏まないの言い争いが始まった。気の弱い（？）ボクなんかは「もう勘弁して～！」って感じで、いつ戦火が降りかかるかと、もうヒヤヒヤドキドキしてたけど、周りにいるヒトたちには喧嘩している子たちの興奮感がうつってしまったのか、なんかやる気満々！みたいに見えたのは気のせいなのか・・・駅に着く直前でビリビリって音がしたと思ったら、ＯＬさんのブラウスが破れてブラが丸見えの状態になっていた。その直後、ＯＬさんはわけの分からない叫び声をあげながら女子高生の髪を両手で掴んで、香が上級生にやったみたいに、顔面に膝蹴りを何発も入れていた。もう一人の女子高生も「ぐぁぁっ」って呻き声を上げながら倒れこんでのた打ち回っていると、電車は駅に着いてドアが開いた。誰かが通報したみたいで、駅員さんや車掌さんが飛んできて、ブラウスが破けたＯＬさんと呻き声を上げてる女子高生たちを電車から引きずり降ろしていると、ボクの後ろでさっきから言い争いをしてたヒトたちからも「テメー降りろ！」とかって怒鳴り声が聞こえて、その二人はまわりのお客さんを押し退けるように電車から降りていってしまった。もう絶対『女性専用車』なんか乗らないぞー！って思いながら改札を出たら、香と志保が駆け寄ってきて、「さっき駅員が『上りの女性専用車で喧嘩やってるみたいで、上りが少し遅れ始めた』って言ってたから、由美子じゃないかって心配してたんだよ」だって。二人とも本気で心配してたみたいなんで、ちょっとムっときて「ボクがそんな事するわけ無いでしょ！」って言ったら、「ほらぁ、直ぐそうやって怒る」って言いながら二人に笑われた。でも正直言うと、Ｋ－１やＰＲＩＤＥ見てるみたいで、ボクもちょっとだけ興奮しちゃった・・・

  October 21, 2005

• やっぱり・・・

  今朝は久しぶりに青空だったけど、朝練やってて龍クンがいないからボクの心は曇り空。一人で乗るとまたあのオヤジが出そうだから、今日も女性専用車に乗った。そのうち『女性の化粧は公害です』なんてポスターが貼られるんじゃないかって思うほど、相変わらず凄い臭いだったけど、何故か昨日ほどは感じなかったような気がした。このまま乗り続けたら、中学時代の同級生のように慣れちゃうのかな？って思ってちょっと心配になった。今日はバイトだからソッコーで帰ったけど、３時間の間に来たお客さんはたった２人。レジに入れたお金は２０００円にもならない。ボクのバイト代の方が高いくらいで「こんなんで大丈夫なのかなぁ？」ってちょっと心配になった。そんな事を考えながらバイトが終わったら、駅前で美奈子にばったり出会った。美奈子も浩美たち同様中学時代のライバルで、ボクが２勝５敗で負け越してて、ボクは準決勝どまりなのに彼女は何度も決勝まで行っている。野球の名門校に通ってる真希と同じ制服を着てた彼女の学校は、女子の柔道でも名門校で金鷲杯やインターハイにもちょくちょく顔を出す高校。当時のライバルたちの間で噂になってるらしく、ボクが柔道を辞めた事を知っていて「なんで辞めちゃったの？」って聞いてきた。そのとき不意に思い出したと言うか気が付いたのが、美奈子と志保が同じ中学じゃないかって事。志保の過去を暴くみたいで嫌だったけど、やっぱり気になったんで聞いてみた。ＢＩＮＧＯ！志保もそうだった。驚いたことに美奈子は香のことも知っていた。二人とも中学時代は相当凄かったらしい。聞かなければ良かったと思った・・・

  October 20, 2005

• 女性専用車

  今日も龍クンは朝練。『部活の無い日はやらない』とか『朝練か放課後どっちかだけにならないものか？』って思っても、柔道部がやってることなんで仕方がない。だから今日もひとりぼっち。例のヤツがいると嫌なんで、階段からは遠いけど『女性専用車』に乗った。ホームで並んでたら中学時代の同級生とばったり会ったんで話をしたら、その子も電車の中でお尻を触られてから女性専用車に乗るようになったんだって。電車がホームに入ってきてドアが開いた途端、この世のものとは思えないほどスッゴイ臭いがした。ボクが顔をしかめてると、その子も「これさえ無ければねぇ」って顔を歪めながら電車に乗ったんで、ボクも後に続いたらこれまたビックリ！膝の上でお店を開いてお化粧してる人、つり革に掴まりながらパクパクものを食べてる人、アグラをかいて床に座り込んでる女子高生、ポカーンと開けた口から涎を垂らしながら大股開きで寝てるミニスカの人、鼻くそほじってる人、立ったまま大鼾をかいて寝てる人・・・同じオンナとして、すっごく情けなかった。呆然としてるボクに向かって「最初はビックリするけど、慣れたら案外面白いよ！」って。嫌だ！こんなの慣れたくない！って思ってたら、いきなり怒鳴り声が聞こえた。「ほーら始まった・・」って言うその子に聞いたら、週に１度は言い争いとか喧嘩とかがあるらしい。確かに痴漢とか盗撮とかは許せないけど、こんなバカ女のために只でさえ混んでるところを１両分減らされるわ、駅や電車の中に『オトコを見たら痴漢と思え』みたいなポスターをベタベタ貼られるオトコの人がちょっと可哀想に思えてきた。改札を出たら志保が顔をしかめて「アンタ、何その臭い？」って聞いてきたから、変なオヤジがいるから女性専用車に乗ってきたって言ったら、「由美子も喧嘩っ早いから、気をつけなさいよ！」って。「ボクが電車の中で喧嘩でもすると思ってんの？」って聞き返したら、「あの子みたいのと乗り合わせたらどうすんのよ？」って指差した先には、自動改札で引っかかってる香がいた。

  October 19, 2005

• またしても・・・

  今日も龍クンは朝練。だから今日も一人ぼっち。乗換駅でいつもの場所に行こうとしたら、昨日のヤツがホームに立ってた。慌てて柱の影に隠れて様子を見たら、今日はボディラインがはっきり分かるようなミニスカをはいたＯＬさんの事をじっと見てた。見つかるのが嫌だったから、今日は混んでるのを我慢して隣の車両に乗った。ドアに寄りかかってボーっとしてたら、たまたま隣の車内が見えて、そしたらさっきのヤツは、ミニスカのＯＬさんと、その隣に立ってる高校生を交互に見比べながら時々ニヤけてた。改札を出たら志保がいたんでその事を言ったら「只のスケベオヤジじゃないの？」って言ったけど、やっぱ気持ち悪いって言うか気味が悪いって言うか・・お昼ご飯を食べたら、お待ちかねの柔道。「アンタこの時間が一番イキイキしてるね！」って香に言われた。それはボク自身も良く分かってることで、柔道やりたい！って気持ちは今でも強いんだけど、あの先輩の耳を思い出すと柔道部に入るのにはちょっと抵抗が・・・今日も隣のクラスの子たちが休み時間にプロレスごっこをやってたんで、またまたムカってきたけど、やっぱり今日も香が「よそのクラスの事は放っときなよ！」って。でも、いつかチャンスがあったら・・・先週までに一通り受身をやったんだけど、みんなはまだゆっくりと転がるだけ。で、先生が「実際に受身を取るのは・・」って、ボクと浩美に乱取りをするように言った。久しぶりの乱取りにウキウキって思いながらも、最後に浩美と戦ったのはいつだっけって思ったら、本当の試合のように思えてきたんで、浩美が技を掛けようとするのを必死に防いでいたボク。ボクの意気込みが伝わったのか、浩美も同じ気持ちだったのか、「お前ら、試合じゃネエんだぞ！乱取りだ乱取り！」って先生に言われてしまった。授業が終わって、やっぱり柔道をやりたい！でも、お耳が餃子になるのは嫌！って思ってたら、「今からでも遅くないから柔道部に入りなよ！」って浩美に言われた。ちょっとだけ揺れ動いてる乙女心・・・

  October 18, 2005

• なんで朝練なんか・・・

  今日から柔道部の朝練が始まるから、駅には龍クンの姿がなかった。ボクの胸のうちを表すように、天気も朝から雨模様。大きな大会がある訳じゃないし、週に３回も遅くまでやってんだから、いまさら朝練なんかしなくても良いのに！って思っては見たものの、龍クンがいないのには変わりがない。今頃、龍クンは柔道着に着替えてやってんだろうなって思って、ボンヤリと窓の外を見ながらひとり寂しく電車に乗ってると、なんか背中に視線を感じたような・・・気のせいかな？て思ってたけど、電車がトンネルに入ったら、知らないオジさんがボクのことをジッと見ているのが窓に映った。ピッタリくっついてる訳ではないけど気味が悪かったんで、次の駅で隣のドアに移ったら、そのオジさんは中吊り広告を見る振りをしながらチラッチラッってボクの方を見てた。ヒェ～、恐いよぉ～！って思いながら電車を降りて改札を出たら志保が居たんですっごくホッとした。志保は「気のせいじゃない？」って言ったけど、香が合流してきたからその話をしたら「それってストーカーじゃない？」って言ったあと急に悪戯っぽい目になった。ヒトが恐がってんのに、何てこと言うのよ！って思いながら香のことを軽く睨み返したら、志保が「ここじゃ目立つから、喧嘩するなら人気のないとこ行ってやりな！」って。まったくこの二人ときたら・・・朝練やったんだから放課後はやんなくても良いじゃん！っていくら思ってみても、柔道部は放課後も部活をやっていた。もっともボクもバイトがあるから龍クンと一緒に帰っても、途中でバイバイだけど・・香と一緒に電車に乗ったけど、途中で香が降りたらたちまち今朝のことを思い出してちょっと不安になったんで、何気なく辺りを見回してみたら、またボクのことを見てるヒトがいる。今朝のとは違うけど、今度はジッとボクの顔を見てる。目が合った。そしたらその人がボクの方へ近づいてきた。助けてぇ～！って、悲鳴を上げたくなったけど、何かされてるわけでもないし、それに口の中がカラカラに乾いて声ひとつ上げられない。隣の車両に移ろうかとも思ったけど、足は今にもガクガク震えるんじゃないかってほどで、立ってるのが精一杯。そうこうしてる内に、そのオトコの人はボクのところまで来てしまった。「ゆみこちゃんだろ？」もう駄目ぇ～！ボクの名前まで調べてるぅ～！ってその場にへたり込みそうになったら「俺だよ俺！分かんないか？」ってズボンのポケットから黒い定期入れみたいなのを出して、周りからは分かんないようにパコっって開いてボクに見せた。あれっ？警察のマーク？巡査部長？？？「ポン太クン？ポン太クンなの？」擦れた声でそんだけ言うのがやっとのボクが、本当にヘナヘナと座り込みそうになったんで、ポン太クンが慌ててボクの腕を掴んでくれた。ポン太クンはボクが小学校のとき通ってた警察署の代表選手で、いつも先生と一緒にボクたちに柔道を教えてくれてたお巡りさん。きょうは「ケージョー？」ってやつで、たまたまボクと同じ電車に乗り合わしたんだって。「泣きそうな顔してどうしたんだよ？」ってポン太クンが聞いてきたから今朝の出来事を話したら「う～ん、それだけじゃなぁ・・」って難しい顔しながらも、「何日も続くようだったら電話しろ！」って名刺をくれた。まったく、もう！脅かさないでよ！って、今だからこんなこと言えるんけど、電車の中では本当に恐くて半ベソかいてたボク。明日は出ませんように・・

  October 17, 2005

• ライブハウス

  今朝は予想通りというか何と言うか、龍クンは大きなバッグを持っていた。試験が終わったらそのまま部活があって、しかも「来週から朝練が始まるんだよ」だって・・・ガーン！！目の前が真っ暗になった（ちょっと大袈裟かな？）なんでも柔道部の伝統だか何だか知らないけど、中間と期末が終わった翌週は朝練をやるんだって。「試験前に落ち込むようなこと言わないでよ！」って言ったところで何が変わる訳でもなく、今朝は教科書なんか放っぽらかしでずっとお喋りしてた。今日は得意科目だったんで、朝のショックもそれほど気にならずに試験終了。「制服のままじゃマズイよね？」って事で、ソッコー家に帰って着替えたら、再び電車に乗って美香先輩たちと待ち合わせの駅へ。駅から歩いてる途中で、なんか「ヤーな感じ」って思ってたら、会場はやっぱりあの建物だった。中に入って改めて見ると、この前ボクたちが立ってたフロアの奥に一段高くなったステージ（お立ち台？）があって、反対側の隅にはカウンターがあって、螺旋階段を上った先にはＢＯＸシートと、もうひとつ小さなカウンターがあった。「みんなこっちに来て！」って美香先輩に連れてかれた先には、パパと同じくらいの年のカッチョイーおじさんがいて、ライブが始まるまで開店準備の手伝いをやらされたけど、グラスや食器を磨いたり、テーブルの準備をしたりするだけで全然キツくなかった。７時にライブが始まって、美香先輩と香奈先輩のデュオは３組目。志保に教えてもらったんだけど、二人は高１のときから一緒にストリートやってて、１５曲くらいあるレパートリーは全部オリジナルなんだって。２階のＢＯＸシート（ディスコ時代はＶＩＰ席って言ってたんだって）に陣取ったボクたちの前で歌い始めた美香先輩と香奈先輩はもう最高！とても同じ高校生とは思えないほど魅力いっぱいで、このままデビューしてもおかしくないくらい。もちろんマイクがあるんだけど、そんなもの必要ないくらい良く通る声で、聞いてるボクは鳥肌が立っちゃった。『透きとおる声』って、ああいうのを指すんだなって思った。１組挟んで殿が綾先輩たちで、美香先輩たちとは対照的にパワフルなロックバンド。綾先輩がリードヴォーカル、久美子先輩がキーボードで、ギターやドラムはこの前いた『カリスマ・ホスト』みたいな人たち。既に何人ものファンがいるみたいで、フロアの真ん中で声援を送ってる人が何人もいたけど、なんか歌ってるのを邪魔するみたいでボクにはできなかった。『緩急自在』って言葉がピッタリなほど綾先輩の声は変化に富んでたけど、バックコーラスも兼ねてる久美子先輩の優しく包み込むような声も、凄く魅力的だった。でもって一番驚いたのが最後の曲で、綾先輩もギターを弾きながら歌ってたんだけど、スタンドマイクが無いところに移動しても、ちゃんと歌声が聞こえてて、マイクいらないじゃんって感じ。「本当は次（９時から始まる第２部）の方が、もっと凄いんだけどね」って言われたけど「貴方たちはもう帰りなさい」って言われたんで、それは次の機会に・・・駅まで行く途中で「わたしたちもバンドやらない？」って純子が言い出したから「ボク、ヴォーカル！」って言ったら、純子も香も「わたしも！」って。「３人もヴォーカルいらないじゃん！」って言ったら、純子も香も楽器ができないって。「誰かギターとかキーボードとかできないの？」ってやってたら「お琴ならやったことがある」って裕子が言い出したけど、ヴォーカル３人にお琴１人なんてバンド聞いたことがないって事になって、そのまま有耶無耶になっちゃった。でも、ギターとかキーボードとか出来たらカッチョイーだろうな・・・

  October 14, 2005

• こんな事してて良いのかな？

  今日から中間試験。行きも帰りも龍クンと一緒になれるんで朝からウキウキ。でも、やっぱり行きの電車の中では二人して教科書とにらめっこ。まだクラスの子たちには殆どバレてないから、「帰りは少し離れた駅で待ち合わせようね！」って約束していざ試験！嫌なことは先に済ませたいボクにとって、今日は苦手な教科ばっかり。でも「いくら先に済ませたい！」って言っても、３つも同時に重なると、やっぱり鬱が先に来ちゃう・・・試験が終わって純子たちと学校を出ようとしたら、昇降口の横のところで美香先輩と香奈先輩が猫と遊んでた。この前の事があるんでちょっとビビリながらも挨拶したら、「最低限のマナーさえ守れるんなら、そんなに畏まらなくても良いのよ」って言ってくれた。でも、まだちょっとビビリモードでいたら、「試験が終わったら、みんなでライブに来ない？」って誘ってくれた。なんでも綾先輩と久美子先輩は１年生のときからバンドのメンバーで、昔からちょくちょくライブもやってて、最近では、綾先輩たちがライブをやるとき、美香先輩と香奈先輩もデュオで出てるんだって。バンドとかライブとかカッチョイーって思ったんで、ボクは二つ返事でＯＫ。みんなも「行きたい」って言ったら、「ちょっと早く来て手伝ってくれるんならタダで良い」って。そんな話には関係なく、白い子猫は先輩たちやボクたちの周りを纏わりついていたんで、ボクたちも一緒になってしゃがんで猫と遊び始めてしまった。気がついたら２０分近く経ってたんで、「先輩たちは試験勉強は良いんですか？」って聞いたら、とっくに大学の推薦取ってるから大丈夫だって。やっぱ凄いヒトたちだなぁって思いながら駅に着いたときには、龍クンを３０分以上待たせていたけど、ちゃんと待っててくれた。本当だったらこのまま遊びに行きたかったけど、試験の真っ最中なんでやむなく断念！って、明日も明後日も試験があるのに、呑気に日記なんか書いてて良いのかなぁ？勉強しようっと！！※というわけで、掲示板に書き込んでくれた皆さんへの返事は、試験が終わったらきっと書きますので・・・

  October 12, 2005

• いじめ？

  日曜日あんな事したから、今朝は駅に向かう途中ずっとドキドキしてたけど、龍クンはいつもと同じように待っててくれた。ボクがこんなにドキドキしてるのに龍クンの様子はいつもと変わらないから、メッチャ恥ずかしかったけど「どんな味がした？」って聞いてみた。そしたら龍クンもちょっと恥ずかしそうな顔したけど、「キムチとニンニク・・」って。ハイハイ！キムチラーメンにドバっとニンニク入れました。だってあんな事するなんて思ってなかったし、それにメッチャ美味しいんだもん・・・なんか龍クンとの距離がまた一歩縮まったような気がした。お昼休みが終わったら、お待ちかねの柔道の時間。今週はソッコーで着替えて道場に行ったら、隣のクラスの子たちは半分くらいが先に来ていた。みんなで体をほぐしてたら、「後ろ受身って良く分かんない」って純子が言ったから説明しながら見本を見せてあげたら、「だって帯の結び目なんて見えないじゃん」って。言われて初めて気が付いた。ボクが柔道を始めたのは小学校の時だから、そのときはちゃんと見えてたけど、今はほとんど見えない。どうやって説明しようかな？って思ってたら、いきなり「痛ぁぁぁぁい」って声がしたんでビックリしてそっちを見たら、隣のクラスの子たちがプロレスごっこをやっていた。って言うより、バスケ部の子が一方的に技をかけるのを、みんなが取り囲むように見ながら笑ってた。なんか柔道がバカにされてるみたいでメッチャ腹が立ったから止めさせようとしたら、なんと浩美まで一緒になってプロレスごっこを見て笑ってた。「ブチ切れる」って言うのはこの事を指すんだな思った。そんなボクの気配を察知した香が、「よそのクラスの事なんか放っときなよ」ってボクの肩を掴まなかったら、多分ボクは怒鳴り込んでいっただろう。授業が終わっても腹の虫が収まらなかったボクは、浩美を捕まえてガーやったら「だって、しょうがないじゃない」ってボクを振り切って行ってしまった。周りにいた子たちも「なに？あの子？」って顔でボクを見てた。神聖な道場であんな事されてて、浩美は何とも思わないんだろうか？柔道着を着てるのにあんなバカな真似されて、浩美はどう思ってんだろうか？いったい浩美のヤツ、なに考えてんだろう？それにしても、一方的にプロレス技かけられてた子・・あの子もなんで抵抗とかしなかったんだろう？プロレス技なんか掛けられたら痛いのが分かってるのに、どうしてなすがままにやられてたんだろう？もしかしてイジメ？

  October 11, 2005

• 毎日が運動会

  昨日は翔太の運動会。生憎の曇り空でときたまポツポツ来たけど、なんとか最後までやった。でも短距離走やダンスは兎も角、なんか幼稚園の運動会でやりそうな大玉送りと障害物が混じったような競技なんて、ボクはやった覚えが無い。それに騎馬戦もボクのときはみんなで一斉にガーやったけど、翔太の運動会（もちろん２年生の翔太たちじゃなくて、５年生と６年生がやったんだけど）は先生が周りを取り囲んで１対１でやってて、騎手が落ちそうになったり騎馬が崩れそうになったりすると、先生たちが慌てて支えてた。なんか面白味が半減って感じがした。でもって、本当なら今日は麻耶の運動会の筈だった。でも今日は、朝から雨が降っている。早起きして玲子ちゃんがお弁当を作るのを手伝おうと思ったけど、「これじゃ中止ね」って言ってるところに連絡網が回ってきて、結局は延期に・・なんか気が抜けちゃったんでどうしよっかなぁって思いながら携帯を見たら《この天気で運動会やるの？中止だったら一緒に試験勉強しない？》って龍クンからメールが入ってた。思わず発信時刻を見たら４：５１！って、いったい龍クンはいつも何時に起きてるんだろう？《ゲートボールも中止でしょ？どこでやる？》って返事したら《今日誰もいないから俺んちは（＾＿＾；）？》って。《下心丸見えだよ！市立図書館に９：００ね！》って返事出した途端、本当は龍クンはその気が無くて、ボクがそう思い込んでるだけなのかなぁ？って思ったら急にドギマギしてきた。雨が降ってるせいなのか、中間試験が近いせいなのか、図書館は結構混んでて、しかも後ろの列のオヤジが新聞をバサバサやるんで煩かった。でもって初めて判明したのが、ボクと龍クンは得意な科目が似てると言うかほぼ同じ・・だから苦手な科目を教えて貰おうにも、ボクが苦手なら龍クンも苦手で、わざわざ一緒に勉強する意味が？？？になったけど、一緒に居られるだけで満足のボクは幸せでお腹いっぱいっ！途中で何度かお茶Ｔｉｍｅはとったけど、さすがに１時を過ぎたらボクのお腹がグルグル鳴り出した。勉強も飽きたしそろそろ限界かな～って思ったら、「由美子、そろそろ止めねえ？」って龍クンが言った。「お腹が空いたの？」って聞いたら「聞こえるぜ！」ってボクのお腹を突っつきながら笑いを堪えてるような顔してた。「バカ！」って言ったけど、メッチャ恥ずかしかった。図書館の近くのラーメン屋さんでお昼を食べたら、もう勉強なんてやる気はどっかに行っちゃったんで、二人でカラオケ屋さんに直行。「デュエットしようよ！」って言ったものの二人が知ってる曲はって悩んでたら、「どうせ二人しか居ないんだから、片っ端から入れて歌えるやつ歌えば良いじゃん！」って言うんで、本当に上から順番にダーって入れたら、いきなりＨな画面が出てきたんで恥ずかしかったけど、知ってる曲だったから歌っちゃった。結局１ページ全部を入れてたボクたちは、５曲に１曲くらいの割合で歌ってたけど、その中で３曲に１曲くらいの割合で『何とかワイド劇場に出てくるラブホテルの中』みたいなＨな画像で、ドギマギしながら歌ってた。「デュエット曲って結構あるんだね」って１０曲目を歌い終わったときには、１時間半くらい経ってた。「ちょっと休憩！」ってマイクを置いて座ろうとしてソファーに手を付いたら、ちょうどそこに龍クンの手があった。上から踏んづけたような格好になったんで「ゴメン」って言おうと思って龍クンの方を向いたら、手を潰されて驚いたような顔した龍クンと目が合った。急に言葉が出てこなくなった。黙ったままで龍クンにじっと見詰られて、いつの間にかボクの心臓がドクドクなってたら、龍クンの腕が伸びてきて、ボクの肩を優しくつかんだ。今にも口から飛び出すんじゃないかってほどボクの心臓がバクバクなったら、龍クンが引き寄せるように顔を近づけてきたんで、無意識のうちにボクも顔を近づけていった。龍クンの顔が目の前に迫ってきて思わず目を瞑った瞬間、龍クンとＫｉｓｓしてた。頭の中が真っ白になって、どうしていいか分からなかった。ボクが薄っすらと目を開けたら、龍クンが慌てて顔を離そうとしたから、今度はボクの方から唇を押し付けちゃった。ほんの数秒の事だったけど、メッチャ嬉しかった。ソファーに座りなおしたら、龍クンが「ゴメン」って言った。何で謝るの？って思った途端、玲子ちゃんが揃えてた『タッチ！』を思い出して、「ボクのファーストキスだぞ！有難く思え！」って南ちゃんの真似をしてみた。２００５年１０月９日。高校１年、１５歳の秋の日曜日。一生、忘れられない日。

  October 8, 2005

• ボクって人気者？

  今日も朝から龍クンと一緒。昨日の柔道で上座をやらされた事を言ったら、「由美子は何で柔道止めちゃったんだ？」って聞かれた。ボクだって高校入るまで柔道部に入る心算だったし、もし入っていれば１年生でレギュラーになれる自信はあった。でもクラブ見学で、多分ボクと同じ４８ｋｇ級くらいの黒帯を締めてる先輩の耳が潰れかかってるのを見て、すごく怖くなって柔道部に入るのを止めちゃったんだ。オトコの龍クンには分かってもらえないかな？って思いながら言ったら、「でも喧嘩だったら顔をボコボコに殴られたりしねえ？」って。大きなお世話ですよ～！教室に入って席に着いた途端、陸上部と水泳部の子が来て昨日の話題になって「やっぱり由美子って凄かったんだね」って。球技とかメッチャ苦手なボクだけど瞬発力とスタミナだけは自信があって、二人ともそれを見抜いてたみたい。そのうち体育会系の部活の子たちも集まってきちゃって、ちょっとした騒ぎに・・・だいたいボクのクラスの女子は、好き勝手やってるボクたち４人、タカコやリョウコを中心に部活にあまり熱心でない子たちのグループ、それから部活命！の体育会の子たちって、大きく３つに分かれていて、何かやるとき先頭に立ったり中心になって動くのは、たいがい純子かタカコ。逆に言えば、純子を中心にしたボクたちのグループと、タカコを中心にしたグループと、選挙で言えば浮動票にあたる体育会の子たちって図式になってる。で、いつもだったらタカコかリョウコがガーって話題を振りまいてみんなそっちに集るんだけど今日は自然とボクたちの周りにみんなが集まっちゃったから、タカコはむくれたような顔してた。まさかこんな事で妬まれたりしないよね～って思ったけど、この前「先輩、自分が・・」ってしゃしゃり出てきたのも、こういうのが要因になってるのかなぁ？なんて思ったりもした。今日はバイトが無いから晩ご飯の仕度はボクがやってあげた。でも、毎度々々中華だとみんなも飽きちゃうかなぁ？

  October 5, 2005

• 久々に・・・

  今日は超ミニはやめて普通の制服（それでも丈を詰めてるからミニには変わりないけど）。駅で逢った龍クンも「あれっ？今日スカート長くねえ？」って言ったから、「毎朝毎朝どこ見てんのよ！このスケベ！」って言っちゃったけど、ボクの変化をちゃんと見てくれてるんだって思って嬉しかった。「なんで今日はスカート長いんだ？」って聞かれたから「今日から武道は柔道だから、パンツが透けて見えちゃうじゃない？普通のパンツだと恥ずかしいから、今日はボクサーショーツを穿いてんだ」って教えてあげたら、パンツって言ったとこで龍クンが凄く恥ずかしそうな顔したから「見たい？」って聞いたら「なに言ってんだよ！」ってもっと恥ずかしそうな顔になったんで「ブラもちゃんとスポーツ用だよ！」ってブラウスのボタンに指を掛ける振りしたら「バカなことやってんなよ！」真っ赤になって下を向いてしまった。午前中の授業が終わってお昼ごはんを食べてみんなでお喋りしてたら、「今日から柔道だよね？」って純子が言ったときには、クラスの女子はボクらを除いて全員いなかった。みんなで慌てて更衣室に行ったら、隣のクラスの浩美がボクの顔を見るなり「由美子、手伝ってよ！」って。さすがに後ろで締めてる子はいなかったけど、みんな帯の結び方が分からないみたいで、１周しか回さなくて帯の先端が膝の辺りまで垂れてる子や、浴衣のときのように少し横で締めてる子や、蝶々結びの子もいて思わず噴出しそうになったけど、笑ったら悪いなぁって堪えながら教えてあげた。ボクも着替えなきゃ！ってカバンの中から柔道着を出したら「なんかゆみこの柔道着、色が違～う」って裕子が言ったもんだから、純子と香も近づいてきた。みんなが着てるのは、曲げるとポキンと音を立てそうなくらい糊の効いた、ややクリームがかった新品。ボクのは１年近く着こなして、折り目も無ければ漂白しきった柔道着で、おまけにネームまで入ってる。「ボクのは新品じゃないから」って言ったとき、重大なことを思い出した。そうだ！柔道部でもないのに黒帯だとメッチャ目立つから、柔道の授業が始める前に白帯を買わなきゃいけないんだった！！ここ２週間、何かやらなきゃいけない事があるって思いながら、それが何だか思い出せないままモヤモヤしてたけど、そんな大事なことを見事に忘れてしまっていたボク。ヤバっ！って思ったときは後の祭り。もう、なるようになれ！って開き直って帯まで締めたら「ゆみこ、やだぁ～！何それぇ～！」って裕子がいつもの素っ頓狂な声を上げた。「アンタ、何よそれ！」って香が聞いてきたから、「染めてみたの、カッチョイーでしょ？」って言ってみたけど、言ってる自分がこれほど虚しく思えたことは無かった。１００ｍ走では一人だけワンテンポ遅れてゴールする亀さん、バーレーボールのトスだと３回に１回はヘディングになり、平泳ぎでは「足、攣ったのか？」、クロールでは「溺れてんの？」、剣道もボコボコって言うかボロボロのボク。クラスの女子もボクのことを『運動音痴』だと思ってたみたいで、そんなボクが黒帯締めて柔道場に入っていったもんだから、そりゃあもう大騒ぎ。おまけに浩美は制服着たままだし・・・授業が始まって「柔道部、前に出て（初めの礼と準備運動）やれ！」って、先生が言ったんで「すみませーん、見学でーす！」って浩美が答えたら「オマエは違うのか？」って。一生懸命首を振って否定したけど「まあいい、オマエやれ！」って、結局やらされる羽目に・・でも久しぶりの柔道は楽しかった・・

  October 4, 2005

• 衣替え

  今日から合服。デザインは冬服と一緒だけど生地がちょっと薄め。でも暑い！中学のときもそうだったけど、夏服になった直後に急に肌寒くなったり、合服や冬服になった後って、たいがい残暑って感じで暑くなったりする。で、いつも暦どおりに衣替えなんかしなくても良いのに！って思う。朝、いつものように龍クンが駅で待っててくれたんで、今日も一緒に登校。でも電車に乗った途端、車内が『Ｔｈｅ・防虫剤！』って臭いがいっぱいで、ちょっと気持ち悪くなった。学校では上着は脱いでたけど、行き帰りは荷物になるから着てたらやっぱり暑かった。でもって帰りにバイトに寄ったら、スーパーの中はクーラーがガンガンに効いててちょうど良かったけど、そんなにクーラーかけるくらいだったら薄着にしてれば良いのにって、なんかバカみたいに思えてきた。今年の夏は『クールビズ』って言葉が流行ってたけど、いっそのこと年中気候に合わせた服にすれば良いのに・・

  October 3, 2005

• マジですか？

  昼休み、珍しく玲子ちゃんから電話が掛かってきた。身体の具合が悪いんで、買い物と晩ご飯の支度をお願いだって。今までだって玲子ちゃんが病気のときはボクが家事をやった事もあるんで、その事は全然ＯＫなんだけど、電話を掛けてきた玲子ちゃんの口調が、なんだかいつもと違ってたんでちょっと気になった。ボクが家に帰ったら「後はお願い！」って寝ちゃった玲子ちゃんは、本当は昨日から具合が悪かったみたいだけど、麻耶の誕生日だったからって無理してたみたい。晩ご飯の時間になっても部屋から出てこないんで、お粥と薬を持っていってあげたら「ゴメンネ、お薬飲めないの・・」って。ボクの顔が？？？になってると、玲子ちゃんはちょっと恥ずかしそうな顔しながら「赤ちゃんができたの」って言ったもんだから、ボクの顔も真っ赤になってしまった。そもそも、ボクがホムペを作ろうと思ったきっかけは、１学期の期末で珍しく夜遅くまで試験勉強してたとき、パパと玲子ちゃんがＨしてるのを偶然覗いちゃったから・・蛙のように足を開いて苦しそうにしてた玲子ちゃんの顔が何とも言えなくて、部屋に戻って真似してみたら足を攣って、一人でやってみようと思ったけど、ただくすぐったいだけでやり方もよく分からなくて・・クラスメートや中学時代の友達になんか相談できることでもないし、でもネットだったら何処の誰とも分からないから、そんな話題もできるかな？って・・でも、いきなりそんな事を書くのも恥ずかしいんで、一番最初に書き込んだのもかなりオブラートに包んだような表現になってしまって・・そんな事を思い出してたら「知ってるわよ、あのとき見たんでしょ？」って悪戯っぽい顔で聞いてきた。確かにあの時、ほんの一瞬玲子ちゃんと目が合って、慌てて部屋に逃げ帰ったのは覚えている。ボクが返事に困ってると「あんな事して汚らわしいと思った？」って聞いていたんで黙って首を振ったら「オトコとオンナがあんな事やると、こうなるのよ！」ってボクの手をお腹のところに持っていった。とても子供を２人も産んだとは思えないほどペッコリ凹んでいる玲子ちゃんのお腹に赤ちゃんがいるなんてとても信じられなかった。って、ちょっと待ってよ！ボクと玲子ちゃんは年が１４歳違うけど、ボクと弟だか妹だか分からない赤ちゃんは１５歳、いや、生まれる頃は１６歳違うの？そんなの有り？それにしても、いつも「オトコの子と遊ぶときは、後で後悔しないように気をつけなさい！」って、ボクにその気がない頃から耳にタコができるくらいしつこく言ってた玲子ちゃんが、よりによってと言うか、いい年してと言うか・・でもパパと玲子ちゃんは夫婦だし、玲子ちゃんだってまだ３０歳になってないから・・って、それでも複雑な気分・・部屋から出るとき「頼りにしてるわよ、お姉ちゃん！」って言われた。玲子ちゃんから初めて『お姉ちゃん』って呼ばれた。でも、ゴメンだけどボクには玲子ちゃんを『ママ』とか『お母さん』って呼ぶ気にはなれなかった。

  September 30, 2005

• 乙女心と秋の空

  朝から秋晴れって感じで青空が広がってるのに、ボクの心はまだ曇り空。あれから１週間が経ったけど、昨日もタカコは休んでた。香と喧嘩した後、『女子高生』と『喧嘩』で検索掛けたサイトのことが、今更ながら蘇っては頭から離れない。『タイマンで負けた方が学校辞めちゃう』とか『売られた喧嘩を買った子が、相手に一生車椅子生活を送らせるほどの大怪我をさせて、その子も自殺しちゃった』とかって、香と喧嘩したときにはそんな悲惨なもんじゃないって思ってたけど、タカコとタイマン張った後は妙に生々しく思えてくる。先生も何にも言ってなかったから最悪の事は無いとは思うけど、それでも《今日も休んだらどうしよう？》とか《このまま学校を辞めちゃったらどうしよう？》って、ボクの思考は悪い方へと進んでいくばかり。確かに今考えればあそこまでやる必要は無かったし、どうしてあんな目に遭わせてしまったんだかボク自身も分からない。と言うより分からない振りをしたいだけ？本当は龍クンに手を出そうとした事を、後悔させてやりたかったんじゃないの？グループ同士のゴタゴタに託けて、本当は龍クンに手を出そうとしたのを懲らしめてやりたかったんじゃないの？この１週間そんな事ばかり考えてたら、体重が３ｋｇ落ちていた。普段ならそれだけ体重が減ったら大喜びするところだけど、今のボクにはもちろんそんな気など起きるはずも無い。ボクが悩んでる事は龍クンも薄々感じてるみたいだけど、あえて聞こうとはしてこない。聞いてほしい気持ちと聞かないでほしい気持ちが半分半分。これ以上『野蛮なオンナ』って思われたくないし、柔道の技でタイマンに勝ったなんて言えるはずも無い。そんなこんなでメッチャ憂鬱な気持ちで教室に入ったらタカコがいた。正直言ってホッとしたら、知らないうちに涙腺が壊れてた。純子や裕子にはその理由が分からなかったみたいだけど、香は「安心した？」って言いながらティッシュをくれた。香も同じような経験があるのかなぁ？って思ってたら、ときたまタカコが変な咳をするのが聞こえたんで、本当に風邪だったんだって思ったら、急に心配してた自分がバカらしくなっちゃった。タカコやリョウコは１日中ボクたちのことは完全に無視！って言うより、周りにいる子たちにアピールするみたいに、ワザと無視してますよ！って態度をとってたんで、あんな子の為に１週間も心配してた自分が益々バカらしくなっちゃった。でも良かった・・・

  September 29, 2005

• ボクの心も曇り空

  タカコのことが気になって朝から鬱な気分だったんで、みんなに内緒でママのところへ行った。真っ先に龍クンと付き合い始めた事を報告したあと「ママって喧嘩したことある？」って聞いてみた。もちろん返事がある訳無いことは分かってるけど、香と喧嘩したこと、そしてタカコを泣かしちゃった事をどう思うか聞いてみた。一人でブツブツやってたら和尚さんがやってきて「悩め！悩め！若いうちは大いに悩め！」って。昔から知ってる優しい和尚さんだから、ボクもついつい「言われる前からとっくに悩んでますよーだ！」って減らず口を叩いたら、「大いに結構！」って笑いながら行っちゃった。いつの間にか空は晴れて日が照り付けていた。ボクの気分もちょっとだけ晴れた。晩ご飯を食べて一人で部屋にいたら、玲子ちゃんが飲み物を持ってきてくれた。やっぱボクの様子が変だから気になるみたいで「ユミちゃん、何かあったの？」って聞かれたから、思い切って「玲子ちゃんって喧嘩したことある？」って聞いてみた。「わたしは無いけど・・」って言った玲子ちゃんは、古いアルバムをとってくると「お姉ちゃんはあるかも・・」って言いながら、黒帯を締めてるママの写真を見せてくれながら、子供のときのママの事を教えてくれた。「ユミちゃんが喧嘩っ早いのは、お姉ちゃんの血ね・・」って、ちょっと待ってよぉ！誰が喧嘩っ早いのよぉ～少しだけ気が晴れたけど、月曜日のことを思うとまだまだ鬱・・・

  September 23, 2005

• もしボクが負けてたら・・

  今日、タカコが学校を休んだ。きっと、いや絶対にボクのせい・・元はと言えばアイツらが難癖つけてきたからだけど、もっと他に解決方法は無かったんだろうか？綾先輩たちは最初からタイマンで決着をつけさせる心算だったみたいだけど、話し合いでは解決できなかったんだろうか？そもそも、何でタカコは「自分が・・」なんてしゃしゃり出てきたんだろう？香には無理でもボクにだったら勝てるとでも思ったんだろうか？みんなはどう思ってんだろう？もしボクじゃなくて香とやってたら、やっぱりタカコはボコボコにされてただろうけど、そのときボクはどう思っただろう？香がメチャクチャ強いのは身をもって経験したから《香、やり過ぎ！》って思ったかもしれない。純子や裕子だって香が一撃で２年生を倒したこと知ってるから、同じように思ったんだろうな。じゃあボクは？ボクが最初に２年生を倒したことは純子が目の前で見てるし、いくら劣勢だったとは言え香と対等にやりあったってたボクが、ほぼ一方的にタカコをボロボロにしちゃったのは、やっぱ《ゆみこ、やり過ぎ！》って思ってるんだろうか？でも「負けたらミニスカ没収で土下座して謝る」とか「援交グループに入れ」なんてのも嫌だし、なにより痛い思いするのはまっぴらだ。だからやっちゃった・・タカコがオシッコ漏らして錯乱状態で泣き叫ぶまでやっちゃった・・美香先輩の言葉も恨めしい・・素直に「早く代表を出せ！」って言ってくれれば、こっちは香か志保が出てっただろうし、向こうも２年生か３年生が出てきたことだろう。それが「最初に揉めたのは？」なんて言うから、いくら気に食わないとは言えクラスメート同士のタイマンになっちゃって・・でも、今更何を言っても変わらない・・ボクがグループの代表でタイマンしたことも、タカコをボロボロにしちゃった事も・・今日、タカコが休んだんで顔を合わせなくてすんでホッとしたのは事実だけど、やっぱ責任を感じて鬱な気分。「アイツらから仕掛けてきたんだから自業自得だよ！」って香が慰めてくれたけど、このまま学校を辞めちゃったらどうしよう？もし自殺とかしちゃったらどうしよう？ってマジで悩んだ。ボクだってあんな目に遭ったら休んじゃうだろう。もしかすると学校を辞めちゃうかも。あんな醜態曝け出すくらいだったら、腕の一本でも折られた方がまだマシって思ったら、急にタカコのことが心配になったんで、勇気を振り絞ってリョウコに聞いたら「風邪だって」って言ったけど、顔は明らかに「アンタのせいでしょ！」って言いたげだった。でも、リョウコの目はボクを見るとき怯えたような目つきだった。月曜日も来なかったらどうしよう？

  September 22, 2005

• 混乱と屈辱と美人の先輩と

  よく「事態は急展開を・・」って言うけど、本当にそんな感じの１日。朝、いつものように改札のところに集合した６人は、いつものように学校に向かったんだけど、なんだか純子と裕子がソワソワしたような態度に思えた。学校に着いても、なんだか『余所余所しい』って感じに思えたんで聞いても「なんでもない」って答えるだけ。それでもシツコイくらいに聞いたら、ようやく「誰にも見られないとこだったら」って言うんで、目立たないように別々に屋上に言った。しばらく黙ってた純子がようやく口を開いたと思ったら「援交グループがボクらを締める」って噂が流れてるみたいで、純子も裕子も巻き添えを食らいたくないって。「もう何日も経ってるのに何にもされてないんだから気にすることは無いよ！」って言ったら、「ゆみこちゃんも香ちゃんも強いからそんなこと言えるんだよ！」って純子が泣き出しちゃった。そしたら裕子も「わたしも痛いのは嫌だなぁ～」っていつものポワ～ンとしたような甘ったれた口調で言ったんで、なんか緊張感が無くなってしまったボクたち。ボクも結構『天然』の気があるけど、裕子の『天然』はホンマモンや～・・そんなこんなで昼休みになったら、志保が血相変えて飛んできて「アンタたち何やってんの！」って。よくよく聞いたら、さっきの休み時間に純子が泣きはらしたような腫れぼったい目で教室に戻ってきたもんだから、今度は『ゆみこと香が、純子にヤキ入れた！』って噂が流れ始めたみたい。もっともこれで、純子には根も葉もない事が噂になってることを分からせたような結果になったので、アイツらには逆効果だったみたいだけど・・５時間目は武道。今月いっぱいで剣道が終わるんで、最後の２週は試合。隣のクラスとゴッチャ混ぜで背の順に並んだら、ボクの相手はタカコだった。始まった途端、面を狙う素振りを見せながら籠手を狙ってきたんで、寸でのところでかわしたと思ったら、バシッって腕に当たった。防具も無いところでメッチャ痛かったけど我慢して構えたら再び籠手を狙ってきてまた防具の無いところに当たった。泣きたいくらい痛くて竹刀を落としそうになって慌ててるところにバシッと面を極められた。２本目もなかなか決まらないうちに防具の無いところを何発も叩かれてやっとの思いで面を取れると思った瞬間、バシッと胴に決まって２－０でボクの負け。授業が終わってもアチコチ痛いのと、いいようにやられてストレート負けした悔しさで、泣き出したいのを必死に堪えてると、香が「ちょっと来て！」ってボクの腕を掴んで無理やり屋上に上がる手前の踊り場まで連れて行った。そんなに早く歩いたら涙がこぼれちゃうと思いながら付いていったら、「我慢しないで泣けば良いじゃん！」ってボクの頭を優しく抱えてくれた。香のベストをグチャグチャに濡らしてから教室に戻ったら、早くも「香がボクにヤキを入れた」って噂が流れてたみたいで、呆気にとられるやら馬鹿らしいやら・・放課後、バイトがあるからソッコーで帰ろうと思ってたら、志保がすっごい美人の３年生を連れてきた。志保の幼馴染みで伊藤美咲さんにそっくりな３年生の美香先輩は、ボクたちのゴタゴタのことを知ってるみたいで、「付いていらっしゃい！」ってボクたち６人を３年生の教室に連れて行った。そしたらそこにも、オンナのボクでさえ話をするのにドギマギしてしまうほど美人の先輩があと３人いた。香と初めて話をしたとき「この子、釈由美子に似てるなぁ・・悔しいけど、ちょっと負けた」って思ったけど、４人の先輩たちは端からそんな気を起こさせないほどの美人揃い。藤原紀香さんを細面にしたような感じの綾先輩が「貴方たち、まだ２年半この学校に通うのよ。２年半もゴタゴタしたままで良いの？」って、保育園の保母さんが子供たちに語りかけるみたいに優しい口調で喋りだすと、ボクはまるで催眠術にでも掛かったみたいに吸い込まれていくような感覚に包まれてしまった。綾先輩が一通り話し終わると、上戸綾さんみたいな雰囲気を漂わせてる久美子先輩が「今のうちにキチンとケリ付けといた方が良いかもね」って言ってくれたら、菊川玲さんに良く似た香奈先輩は「そんなのこの子たちにやらしとけば良いじゃん」って、ヤンチャっぽい目で興味がなさそうに言ったけど、思い直したように「綾、場所とってあげれば」って。「私たちがやってあげるのはココまで。あとは自分たちの力で道を切り開いて行きなさい」って綾先輩が言ってくれたときには、次の日にタカコたちのグループ、いわゆる『援交グループ』とケリをつけることに決まっていた。僅か５分くらいの間にこれだけの事を仕切ってしまう先輩たちって何者なんだろう？って思ったのは、先輩たちが帰った後。その間ボクは、というよりボクたちみんな、先輩の言葉に吸い寄せられるようにジッと耳を傾けてて、先輩たちがいなくなってようやく呪縛が解けたみたいになった。ただ、いつもは『怖いもの無し』って感じで好き勝手やってる志保が、このときばかりはずっと神妙な顔をしてたのだけが、凄く印象に残った。

  September 20, 2005

• 初デート

  朝起きたら《今日なんか予定ある？》って龍治クンからメールが入ってたんで、すぐに《何にも予定無いよ！》って返信したら、５分も経たないうちに《おはよう寝坊助さん！どっか行かない？》って返事が来た。寝坊助さんって何よ！まだ６時過ぎじゃない！！って思いながらも最初のメールの発信時間を見たら４：３８！って、アンタは目覚めの早い老人かい！って思いながらも勿論ＯＫ！《もうゲートボールは終わったの？どこに連れてってくれるの？》って返信した。電車の中で「ゲートボールってなんだ？」って龍治クンが聞いてきたから、今朝思ったことを教えてあげたら「ジジィで悪かったなぁ！」って頭をコツンと小突かれた。今日は休みで私服だから、繁華街ではちょっと恥ずかしかったけど龍治クンと腕を組んで歩いた。でもそんな事するのはボクも龍治クンも初めてだったから、なかなか腕の位置が決まらなくて何度もズルズル・・・でも嬉しい！バカップルでも構わない！今日は龍治クンにピッタリとくっついてる！って思いながら歩いてたらハンバーガー屋さんの前に、うちの制服を着た子が二人いた。土曜日まで制服着てナンパ待ちなんて止めてよねぇ！って思ったら、なんとボクのクラスのタカコとリョウコだった。ヤバッ！って思ってソッコウ龍治クンの陰に隠れたけど、考えてみれば龍治クンも同じクラスメート、知らないわけが無い。もう、なるように成れ！って感じで二人を気にしないように歩いたけど、『刺すような視線』って気配がグサグサ突き刺さってくるみたいで、角を曲がったとき思わず龍治クンに「ボクたちのこと、クラスでどれくらいバレてるかなぁ？さっきタカコとリョウコがいたの気付いた？」って聞いちゃった。そしたら龍治クンの口からとんでもない言葉が飛び出してきた。「俺さあ、１学期の終業式の日に貴子ちゃんからコクられたんだけど、他に好きな子がいるって断ったんだよ」って、なんでそんな大事なこと黙ってたのよ！って言いたかったけど、まだ正式にボクと付き合う前の話しだし、ボクらとタカコたちがトラブってるのは男子は知らないから「そうだったんだ」としか言えなかった。バレたらバレたで良いや！それにタカコが振られたからって、なんでボクが気にする必要あるの？って思ったら、ちょっとだけスッキリした。それにしてもタカコやリョウコはあんなトコで何してたんだろう？『援交やってる』って噂は本当なのかな？援交⇒愛人・２号・お妾さん、それともただの売春？知らないヒトに体を許すなんて、ボクには考えられないコト・・好きでもないヒトに体を許すなんて・・でも龍治クンだったら・・ってバカな事を考えながらジッと龍治クンの顔を見詰めてたら、「どうした？なんか顔についてる？」って言ったから慌てて首を振ったら、「はは～ん、さては俺に惚れ直したな・・」って。初めて抱きつきたいと思った・・初めてｋｉｓｓしたいと思った・・初めて・・・でも恥ずかしくて出来なかった・・

  September 17, 2005

• Ｒｅｔｕｒｎ・Ｍａｔｃｈ

  今日も龍治クンと一緒に登校。昨日、香とは全く喋らなかった事や仲直りが出来るか心配してる事を言ったら、「喧嘩してるとき由美子はどんな気持ちだった？香ちゃんに殴り掛かったり蹴りを入れたとき、由美子はどんな気持ちだった？」って聞いてきた。急にそんなこと聞かれても分かんないよぉって思ってたら、「どうしたら香ちゃんに勝てると思った？香ちゃんが泣き出せば由美子の勝ちか？」って聞いてくるから「勝ち負けとかそんなんじゃないよ！香りを泣かそうとも思ってなかったし・・そんなの分かんないよぉ～」って言ったら、龍治クンはちょっと難しそうな顔をした。で、眉間にしわを寄せて「喧嘩ってのはなぁ、仲直りするためにあるんだぜ・・　ほれっ、『喧嘩するほど仲が良い』って言うじゃねえか？　仲が悪けりゃ、そのまま知らん振りしてれば良いんだよ・・　仲が良いから、互いに何かを求め合ってぶつかるんじゃねえか？　なんてなっ・・」って踊る大捜査線の和久さんの真似したもんだから「似てねぇ～」って思わず言っちゃった。付き合う前から何度も龍治クンとは話していたし、付き合い始めて最初の一日二日はちょっとぎこちなかっただけどその後は今までどおりに話してるけど、なんで今まで気付かなかったんだろう？龍治クンの優しさに、龍治クンと一緒にいると何故か安心感があるって事に、どうして今まで気付かなかったんだろう？急に龍治クンにしがみつきたくなったけど、今やったら只のバカップルって、必死に思い止まった。ボクと香が取っ組み合いの大喧嘩をしたことは教室中に知れ渡ってるみたいで、時折ボクらの方を見てヒソヒソ話してる子たちがいたけど、そんな事はどうでもよかった。でも、ボクと香はあれから口を聞いてない。ときたま純子や裕子がとりなすように声を掛けてくれるけど、まだそんな心境になれないんでゴメンしてたら、昼休みに珍しく浩美がボクを呼びに来た。廊下にも２年生が二人いたから、ちょっと冷戦状態とはいえ香が強い顔して近づいてきたんで、「大丈夫だから」ってゼスチャーしたらそれでも心配そうな顔してた。高校に入って初めて一緒の学校になったけど、３人とも小学校のときからお互いに知ってて、顔を会わすたびに「柔道部に入れ！」って言うんで今日もそれで来たのかなって思ってたらゴタゴタの事だった。うちの学校で部活に入ってない子たち、いわゆる帰宅部の勢力関係を教えてくれた先輩は、「あの子たち援交やってるってもっぱらの噂だから、関わり合いにならないほうが良いよ！」とか「柔道部にいるなら守ってあげられるのに」って心配してくれたけどもう遅い。そしたら浩美が中学時代の香のことを教えてくれた。どうやら噂は本当だったらしいけど、ボクは聞きたくなかった。ボクが「昔のことは関係ないでしょ！」って言ったら「今トラブルに巻きこまれてんでしょうが！」って引っ叩かれたけど、浩美が心配してくれてるのが痛いほど分かったからボクは何も言わなかった。教室に戻って席に付いた途端、香から《放課後、純子たちにバレないように体育館の裏に来て！》ってメールが届いた。『今度こそ誰にも邪魔されずにタイマン』かと思ったら、急に怖くなって不安になって・・髪の毛を掴んで引っ張ろうが、ホッペを思いっきり引っ叩こうが、全然怯む様子さえ見せずに立ち向かってくる香。的確にお腹を襲ってくる膝蹴り、叩き込まれた瞬間息が詰まるほど力強いパンチ。思い出しただけでも身の毛がよだつ香の強さ。それに輪を掛けるように、浩美が教えてくれた武勇伝の数々・・《そんな子となんか喧嘩したくないよぉ～！》って言うよりは、《もう香とは争いたくないよぉ～！》って思ってはみたものの、《戦うからには負けたくない！痛い思いをするのはまっぴらだ！》って思いのほうが強くて、授業中ちょっと気を抜くと、いつの間にか対香戦に向けて技の組み立てをしているボク。突然、夏休みに見た夢を思い出して、「あれって正夢だったの？香が卑怯な攻撃を仕掛けてくるの？ボクが劣勢になっちゃうの」ってメッチャ不安になった。まだ喧嘩するとは決まってないとは言え、メッチャ不安のまま体育館の裏に行ったら、やる気満々みたいな顔した香が待ってたんで、覚悟を決めながら近づいていったら、強い顔した香もボクの前に進み出てきた。今考えると何でって思うほど、そのときのボクは香を倒すことしか考えてなかったみたい。するとそれを見透かしたように、香がジリジリと間合いを詰めながら「この前は途中で邪魔が入ったけど、ここなら誰にも邪魔されないから徹底的にやってやるよ！」って言った。その言葉を聞いた途端に、ボクは戦意喪失。って言ってもボクの名誉のために付け加えておくけど、決して香が恐かったんじゃない。香と喧嘩すること嫌だっただけ。香と争うことが嫌だっただけ。「もう香とはやりたくないよ！」って言ったら、香もたちまち緊張が緩んだような表情になって「アタシも」って。急に体中の力が抜けてへたり込みそうになったら、香が「あっち行こう！」ってグランドの方を指差した。ベンチに座った途端「アタシ中学の頃、結構ヤンチャしてたんだ」って話し出したから「知ってるよ！」ってボク。「アタシなんかが由美子たちと一緒にいて良いの？純子や裕子はアタシのこと知ってんの？」って香が言ったから、「ボクが知ってんのは『一緒にもんじゃを食べに行った香』『一緒に海に行った香』『一緒に花火を見た香』それから、『ボクと取っ組み合いの喧嘩をした香』だよ」って答えたら、最後の答えに頭を小突かれた。そしたら急に「そうそう、あんた何かやってたの？この前いつの間にか三角締め極められててメッチャ痛くて、このまま腕を折られちゃうんじゃないかって凄く焦ったんだよ」って聞いてきた。「ブッブー、あれは三角じゃなくてちょっと崩れちゃったけど腕拉ぎだよ」って言おうと思ったけど「香が半年近く昔のこと黙ってたから、ボクもしばらく内緒」って答えたら香がニコっと笑った。「香と二人だけでこんなに話し込んだの初めてだね」って言った時には陽も落ちて涼しい風が吹いていた。「そろそろ帰ろっか？」ってベンチから立ち上がったら、ちょうど龍治クンが武道館から出てきたんで「彼氏の部活が終わるのを待ってる間、アタシを付き合わせたわけ？」って香が言ったから慌てて否定したけど、龍治クンが近付いてきて「なに？待っててくれたの？」だって。駅までは柔道部の男子たちと一緒に帰ったんだけど、ホームに上がった途端「お邪魔虫はこれにてタイサ～ン！」って言った香は、止まってた各停に乗ってっちゃった。心の中で香に感謝！香とも仲直りできたし、行きも帰りも龍治クンと一緒で超ＨＡＰＰＹ！！って、素直に喜んで良いのかなぁ？まだタカコたちとの事もあるし、龍治クンだって今は心配してくれてるけど、冷静に考えたら『元ヤンの娘と取っ組み合いの喧嘩をするような野蛮なオンナ』って思ったりしないかなぁ？ちょっと不安・・・

  September 16, 2005

• 仲間割れ

  昨日、香と喧嘩してしまった。原因はよく覚えてないと言うかよく分かんないんだけど、多分ほんの些細なつまんない事だろう初めに手を出してきたのは香だけど、香にそうさせるだけの事をボクがしたんだと思うが、でもよく分からない・・部活を休んでまでボクを家に連れ帰ってくれた龍治クンにも、悪態ついて食って掛かって、もう最低なボク。一晩寝て少しは落ち着いたけど、でも自己嫌悪の塊で今日は学校を休んじゃおうかっても考えたけど、玲子ちゃんにも昨日メチャクチャ心配掛けさせたから、歯を食いしばって登校。って家の前に龍治クンがいた。「昨日あんなだったから今日は休むかと思ったぜ」って言うから「ボクはそんなヤワじゃないよ！」って答えたら、鬱だった気持ちが急に吹っ切れたように感じられた。駅まで行く途中で龍治クンが「影でジメジメネチネチやるより、思いっきり喧嘩してその場でサラッと流しちゃった方が、後腐れないからスカっとしてて良いじゃん」って言った。「アンタ、それって褒め言葉になってませんぜ！」って言い返した途端、急に可笑しくなって笑い出したもんだから、龍治クンが「やっと笑ったね」って。龍治クンにもメチャクチャ心配掛けてたんだって思ってちょっと反省顔になったら、「でも由美子って大したもんだよな・・あんなにボコボコにされてても、ちゃんと極めちゃうんだから・・俺たちが止めるのもうチョット遅れてたら、香ちゃんの腕へし折れてたぜ」って、それも褒め言葉になってないよ～～みんなに顔を合わすのはメッチャ鬱だったけど、勇気を振り絞って改札を出たら、ボクに気付いた志保が微笑み掛けてきた。「昨日は迷惑掛けてゴメン」って謝ったら、「たまには良いんじゃないの」って笑ってた。ボクはとても笑えるような心境じゃなかったけど、志保には女の子同士が取っ組み合いの喧嘩をしても、それを受け入れるだけの度量があるんだって思ってたら、香が改札から出てきた。昨日あんな事があったわりには意外とあっけらかんとした様子で志保に「おはよう！」って声を掛けてたけど、ボクの方は見なかった。そのまま１日、香とは一言も口を聞かなかった。ちゃんと仲直りができるんだろうか？一緒に花火を見たときのあの顔を、またボクにも見せてくれるんだろうか？まだちょっと鬱・・・

  September 15, 2005

• なんでボクたちまで？

  月水金は龍治クンが部活。月火木はボクがバイト。だから朝の通学時間しか一緒にいられない。だから学校がもっともっと遠くにあれば良いって思ってるうちに駅に着いた。いつもは電車を降りるときにサーって別れるんだけど昨日の事が気になったんで、今日は龍治クンにピッタリくっついて電車から降りた。ボクがタカコたちと揉めてることを知らない龍治クンが「今日はどうした？」って聞いてきたんで「学校まで一緒に行こう」って答えようと思ったら、改札口の向こう側に志保が立ってたんで無意識のうちに龍治クンから離れて志保のところへ行った。志保に見られたかな？って思いながら何食わぬ顔で「おはよう」って声を掛けたら一瞬にっこり笑ったんだけど「あんたたちが余計な事するから」って直ぐに恐い顔になった。昨日の今日で駅で一番目立つとこに立ってるから「何してんの？」って聞いたら、志保のクラスには奈留美って子がいて本当はその子も昨日呼び出されてたんだけど志保が逃がしちゃったからその子を待ってんだって。そんな話をしてるうちに何故か香も合流してきたんで「なんでこんなに早いの？」って聞いたら「アイツらが待ち伏せしてたらヤバイじゃん」って。どうやら香も志保もみんなの事を心配してるみたいで、龍治クンと一緒に教室に入っちゃえって思ってたボクはちょっと恥かしくなった。純子と裕子、それに奈留美って子も合流したから学校に向かったけど「６人も一緒だと目立たない？」ってボクが聞いたら「６人一緒にいたら、そうそう手は出せないでしょ！」って志保が言った。香も志保もこういう事には慣れてるみたいでボクには思いもつかなかったことを当たり前のようにこなすけど、この二人いったいどんな中学時代を過ごしてたんだろう？あの噂は本当なんだろうか？そんな事を考えながら歩いてるとき、昔読んだ小説にあった『船団護送＝ＣＯＮＶＯＹ』って言うのを思い出して純子に言ったら「ゆみこちゃん余裕あるね」って言われた。４人揃って教室に入っていったら、先に来ていたタカコがすかざずボクらのところへ来て「アンタたち、自分らが何してるか分かってんでしょうね？」って詰め寄ってきた。そりゃあ確かにボクや香が暴力を振るった事はいけない事かもしれないけど、そもそもの原因を作ったのが向こうなのにボクたちだけが悪いような言い方をしたから「じゃあボクたちに、どうなってほしかったの？」って言い返したらボクの顔をじっと見つめたまま何も言わなかった。そしたら香が「パシリの分際でエラそうに・・」って言ったもんだから、何も言わないまま行ってしまった。タカコの行動は気に食わないけど、香が言った「パシリ」って言うのもボク的には嫌だったんでその事を言ったら、「どっちの味方してんのよ！」って言いながらボクの胸倉を掴んできた。いきなり香がそんな行動に出るとは思ってなかったんで驚いたけど、そんな事されたらボクだってムっときたから「何すんだよ！」って香の手を掴んで力を込めたら香の手が少しずつ開いてきた。純子と裕子が慌ててボクらの間に割って入ってきたからその場は治まったけど、メチャクチャ気まずい雰囲気になってしまった。なんでボクたちまで言い争いをしなきゃならないんだろう？メッチャ鬱・・・

  September 13, 2005

• 呼び出し

  今朝も龍治クンが駅で待っててくれた。金曜日のことを言おうかどうしようか迷ったけど、この幸せな気分を壊したくないし、『凶暴な女』って思われるのも嫌だし、なにより『女同士』の問題に男子を巻き込むわけにも行かないから黙ってた。べつに宣伝するような事ではないから龍治クンと付き合いは始めた事は、まだ誰にも言ってない。でも純子たちに聞かれたらなんて答えようかな？って思いながら教室に入ったら、ソッコー純子が近づいてきて、学校に来る途中で２年生から放課後来るように言われたことを泣きそうな顔で言った。タカコの姿を探したけど教室にいなかったんで、「そんなの無視しとけば良いよ！裕子や香には内緒にしとこうね！」って相手にしないことに決めた。タカコに文句を言おうと思ったけど、同じクラスなのに何故かそのチャンスが無いまま放課後になった。「今日ボク、バイトだから」って帰ろうとしたら放送が入って職員室に来るように言われてしまった。職員室から戻ってきたら純子たちの姿が無かったんで先に帰ったんだろうと思って昇降口に行ったら、上級生が３人いて無理やり２年生の教室に連れて行かれてしまった。２年生の教室に行ったら、教室の後ろの隅の机がどかしてあって、そこに１０人くらいの人垣ができていた。上級生に背中を押されるようにそっちの方へ行ったら、人垣の陰で純子と裕子、それから１年生だけど知らない子が教室の床の上に正座させられていた。タカコと昨日ボコボコにした２年生が勝ち誇ったような顔して立ってたから、ソイツらを睨み付けたら、机に腰掛けてた上級生がボクに向かって「ほら、あんたもさっさと座りな」って純子たちの方を指差したけどボクが座る素振りを見せなかったら、「オメー耳がネーのかよ！」って無理やり座らせようとボクの頭を上から押した。ちょうどそのとき、リョウコが香を連れて教室に入ってきたから「香も捕まっちゃった」って思いながらボクがいつまでも正座しないでいると、机に腰掛けてたもうひとりの上級生がリョウコに「その子もこっちに座らせな」って言った。その途端、香が凄い顔で駆け寄ってきたかと思うと、机に腰掛けてた上級生の髪を掴んで机から引きずり下ろして、ボコッって上級生の顔面に膝蹴りを入れちゃった。「ぐぉぉぉぉ」って悲鳴を上げながらのた打ち回る上級生のお腹を踏んづけた香が「フザけたこと、してんじゃねーぞ！」って怒鳴りつけたから、教室の中はシーンと静まり返った。上級生をやっつけて啖呵を切った香はメチャメチャ恐かったけど、ちょっとだけ『カッチョイー！』って思った。昇降口に向かう途中、もう一人いた志保って子が「ハイハイって大人しく聞いときゃ良いものを・・これでアイツらも引っ込みつかなくなったじゃん！」って言ったもんだから、香が「助けてもらってその言い草はなんだよ！」って志保の胸倉を掴んじゃった。そしたら志保も「誰が助けてくれって頼んだよ！」って香の胸倉を掴み返してしまった。ボクたちは慌てて二人の間に割って入ったけど、なんか香と志保は前から知り合いだったんじゃないかなって気がした。入学したての頃「香って地元じゃ超有名なワルで、家の近くの高校に行けないからうちの高校に来た」って噂があったのを思い出した。でも恐くて聞けなかった。それより、明日からどうなるんだろう？バイトにも遅刻しそうになったし、こんな事が続いたらどうなるんだろう？メチャクチャ鬱・・・

  September 12, 2005

• 金髪にミニスカで何が悪い？！

  龍治クンに逢いたかったからいつもより早く家を出て乗換駅で待とうと思ってたら、ボクが乗る駅の改札のところに彼がいた。「どうしたの？」って聞かなくても良い事を聞いたら「オマエが来るのを待ってたんだよ」って。ボクの家は不動産広告流に言うと『二駅利用可』で、いつも家に近いほうの駅から乗ってるんだけど、バイト先は家から遠いほうの駅で、始業式の帰りにボクが遠いほうの駅で降りたもんだからてっきりその駅だと思ってた龍治クンは、なんと月曜の朝からその駅で待ってたんだって。でも、昨日乗り換えるときにボクの定期を見て違うことに気が付いて今日はここで待ってたって。思わず「アンタはストーカーですかい？」って言っちゃったけど、メッチャ嬉しい中にもホッとするような気分になった。これが『恋愛感情』ってやつなの？って思ったら、急に恥ずかしくなっちゃった。今日はバイトなし、龍治クンは部活、裕子と香も用事があるってソッコウで帰っちゃったから純子とウダウダしてたら、タカコが今日も「遊びに行かない？」って声を掛けてきた。きのう言いたい放題ガーやっちゃったから、ゴメンの気持ちで純子と一緒に付いていったら、そのまま２年生の教室に入っていったんで、「あの人たちと一緒に行くのかな？」って思ったけど、教室にいた２年生たちがボクらを値踏みするような目で見たから「なんかヤーな感じ」って思ったときにはもう遅かった。「誰に断ってそんな格好してんの」とか「テメーら挨拶がネエんだよ」とか「１年坊のくせに生意気なんだよ」とかって言われて純子は今にも泣き出しそうな神妙な顔、でもボクは「何でそんなこと言われなきゃならないの？」って思いのほうが強くて、知らず知らずのうちに２年生を睨みつけていたみたい。「てめー、なんだよその顔は」って一番強そうな顔した２年生がボクの髪を掴んだから、「止めてください！」ってその手を払いのけたら、「１年坊のくせに染めてんじゃねーよ」って再びボクの髪を掴んできた。実はＱｕａｒｔｅｒのボクの髪は、元々金髪なんだけど一生懸命ヒジキとかワカメとか食べてるんで、今はちょっとくすんだ金髪になっている。中学の時はショートカットだったからそれほど目立たなかったけど、高校に入って伸ばしたらちょっと目立つんで黒く染めてたんだけど、１学期の終わり頃から茶髪にする子が何人もいたんでそれほど目立たないだろうって黒く染めるのを止めてたから、今は中途半端な金髪に見えてしまう。「何するんですか！いい加減にしてください！」ってその手を払い退けようとしたら「テメー、生意気なんだよ！」ってホッペを引っ叩かれた。メッチャ頭にきてその後の事は良く覚えてないんだけど、「もう止めてぇ！」って純子が泣きそうな声で叫んだとき、ボクは呻き声を上げて蹲る２年生を蹴りまくってた。タカコも他の２年生も信じられないモノを見たような顔して呆然と突っ立ってたから、ボクは純子の手を引っ張って逃げるように学校から出てきちゃった。純子には呼び出しを食らったことも、ボクが２年生を蹴りまくった事も理解の範疇を超えてたみたいで、駅まで行く途中ずっとパニクってた。昨日といい今日といい、タカコの態度にはメチャクチャ腹が立った。これ以上なんかやられたら、タカコもボコボコにしちゃうかも・・って、負けず嫌いなところがあるのは自分でも認めるけど、ボクってこんなに凶暴な性格だったの？「キレたら何するか分からない」ってよく聞くけど、ボクもそうなの？それより月曜日どうしよう？ちょっと鬱・・・

  September 9, 2005

• なに考えてんの？！

  あれから一週間、龍治クンの真意を聞こうと思っても、二人っきりになれるチャンスが無い。恥ずかしいのとひとりだけ抜け駆けしてるみたいなんで、純子たちにも相談できない。何度も携帯を手にしたけど、自分の気持ちが分からないボクは何を話して良いかも分からず、龍治クンに電話をかける事すら出来ない。今日もそんなモヤモヤした気分で授業が終わったら、貴子ちゃんが「一緒に遊びに行かない？」って誘ってくれた。でも今日はバイトだからって断ったら、そんなのサボっちゃえば良いじゃないだって。カチンときたから言いたい事だけガー捲し立てたら、教室に残ってた子たちがビックリしたような顔してた。駅のホームでボーっと電車を待ってたら、突然「さっきナニ喧嘩してたんだよ？」って龍治クンに声を掛けられた。やっと話ができるって思った途端、一週間のモヤモヤとさっきのイライラが重なって、つい「１週間も放ったらかしにして、何してたんだよ！」って言ってしまった後、今までだったら普通にお喋りできたのに、妙に意識しちゃって言葉が続かなかった。そしたら龍治クンが「俺のこと嫌いか？」って突然聞いてきた。小学校の時からの友達にそんな聞き方されたら「嫌い」って言えるわけ無いじゃん。ボクが俯きながら黙って首を振ったら、今度は「じゃあ好きか？」って聞いてきた。「ズルイよ、そんな聞き方」って言おうと思ったけど、急に周りが気になっちゃって「って、なに電車の中でそんなこと聞いてんのよ！」って言っちゃった。本当はもっと話がしたかったけど、バイトがあるから駅でバイバイ！あれっ、日記書いてて今気付いた。本当はもっと話がしたかった。本当はもっと一緒にいたかった。本当はもっと龍治クンの事が知りたかった。本当はもっと・・・

  September 8, 2005

• 出会い

  今日もふと気づくと龍治クンの事を考えてる。ボクが龍治クンと始めてあったのは小学４年のとき。学校は違ったけど同じ日から同じ警察署に通い始めた彼は、そのときはボクよりちっちゃかった。乱取りをやってもボクが一方的に投げて倒して転がしてで、いつも「チビ龍、チビ龍」ってからかってた。でも６年生のとき、紅白戦で対戦した彼はいつの間にかボクと同じくらいの背になっていて、そのときボクは初めて龍治クンに負けてしまった。スッゴク悔しくて知らず知らずのうちにボクの涙腺が壊れちゃったもんだから、龍治クンも「女子を泣かした」ってみんなから言われちゃって、そのときからあんまり女子には近付かなくなったって話を聞いた事がある。龍治クンの事は嫌いじゃない。他に好きな人がいるわけでもない。そもそも『好き』とか『愛してる』ってどういうことだか良く分からない。言葉に出していえない。自分の気持ちが分からない。明日学校で会ったら何て言おう？話すチャンスがあるか分からない。でも電話で話すのは嫌。ちゃんと顔を見て話したい。でも、なんて言えば良いんだろ・・・

  September 4, 2005

• ワキゲのヒダリと乙女心

  龍治クンにコクられたせいなのか、何故か朝早く目覚めてしまった。いつもより早く家を出たけど、電車の中や駅のホームで気がつけば龍治クンの姿を探してるボクに気がついて、またもやドギマギ。心の奥底では龍治クンの事が好きでドギマギしてるのか、初めてコクられたんでその事でドギマギしてるのか分からないうちに体育の時間になったら、裕子が「ゆみこ、やだぁ～！」って声を上げたんで何の事かと思ったら「アゲハ、アゲハ」って。海でタトゥシールを貼ったとき、純子と裕子は胸や腰に貼ってたから学校の水着だと全部隠れてるけど、肩甲骨のところと太腿の内側に貼ってたボクと香は日焼けの跡が丸見え。しかも今日は香は見学だったから、ボクひとりだけがメチャクチャ目立ってしまった。みんなからも「何やってんのよ」って言われっぱなしだったボクは、「ワキゲのヒダリだ！」っておどけて答えたけど、みんなにはその意味が分からなかったみたい。※パパの本棚にあった『湘南爆走族』って漫画に、「若気の至り」の事を「ワキゲのヒダリ」って言うシーンがあったんでボクはこの言葉をよく使うけど、考えてみたらパパの世代の人たちにしか分からないよね・・・思いっきり恥ずかしい思いをしたからその事が頭から離れなかったけど、授業が終わって帰る途中でまたしても無意識のうちに龍治クンを探しているボクに気付いた。小学校の時からの友達で決して嫌いではないけれど、『好き』って感情がまだ良く分からない。龍治クンの事を考える度にドギマギするのが『愛してる』って事なんだろうか？生まれて初めてコクられた事でドギマギしてるだけなんだろうか？そもそも龍治クンのあの言葉は、ボクにコクったものなんだろうか？分からない事だらけ・・・

  September 2, 2005

• 始業式

  今日から２学期。夏休み中に作ったミニスカ制服で登校して『ボクたちは男子の注目の的』のはずだったのに、体育会の部活に所属している子たちを除くと、半分近くの子がミニスカ制服にしていた。でも、１学期の終わりにボクのクラスで一番最初にミニスカ制服にしてきた貴子ちゃんが「そんな格好してたら上級生に目つけられるよ」って言ったもんだから、みんな慌てて折り返していたウェストのところを直していた。結局、ちゃんとしたミニスカ制服を作ってたのはボクたち４人と貴子ちゃん、それにいつも貴子ちゃんたちとつるんでる涼子ちゃんの計６人。裕子と香は端から超ミニにするつもりは無かったみたいで、超ミニのボクと純子や涼子ちゃんほど短く見えなかったけど、極ミニの貴子ちゃんにはボクらも全然適わなかった。それでも他の子たちに比べれば、思いっきり短く見えるスカートになったボクらは、男子の視線の奪い合いになるかと思ったけど、スカートがフワフワ浮いて捲れそうになるので、いつも以上におしとやかになってしまった。そんな中で貴子ちゃんと涼子ちゃんは平然と動いてるから「パンツ見えちゃっても恥かしくないの？」って聞いたら、「ちゃんとブルマーをはいてるから大丈夫！」だって。帰りの電車で貴子ちゃんの言葉を思い出したボクは、「そりゃあ確かにパンツは見られたくないけど、真夏に毛糸のパンツをはいてるみたいで熱くないのかなぁ？」って思いながら乗換駅で電車を待っていたら、ホームに同じクラスの龍治クンがいて、ボクに気付くと近づいてきた。１学期の終わりに女子だけで男子の品評会をやったとき、あいうえお順で彼の番になったら誰かが「一度も話したこと無いから分からない」って言い出して、そしたら「わたしも」「わたしも」って１学期の間に女子は誰も龍治クンと話した事が無いのが判明して、さらに別の子が「アイツ、女子のこと完全に無視してない？」って言い出したもんだから、『女嫌い』って思われてしまった彼の事を、クラスの女子たちは陰で「メメケン」って呼んでいる。もっとも貴子ちゃんは「なんか硬派って感じで、ちょっと良くない？」って気がある素振りを見せてたけど、多分まだ話した事はないんだろう。実はここだけの話なんだけど（ってホムペに書き込んでココだけは無いとは思うけど）、ボクは誰もいないところで龍治クンと何度も話した事がある。って言うより、龍治クンとは小学校のときからの友達で、本人は否定してるけど彼が女子に近付かなくなった原因を作ったのはどうやらボクらしいので、教室では声を掛けないだけなのだ。龍治クンが「オマエこの頃どうしたんだよ？ミニスカなんか穿いちゃって」って声を掛けてきたんで「気になるの？はは～ん、さてはボクに惚れたな！」って軽口をたたいたら「あぁ」ってひとこと言った。電車が動き出してようやく龍治クンの言葉の意味が分かったボクは、急にドギマギしてきて、彼の顔をまともに見れなくなってしまった。別れ際に「さっきの冗談でしょ？」って聞いたら、電車のドアが閉まる直前に「マジだよ！」って言った龍治クンの顔は、ちょっと恥ずかしそうだった。家に帰ってもバイトに行っても龍治クンの事が頭から離れなくて、その度にドギマギしっぱなしだった。これって初恋？？？

  September 1, 2005

• バカップル

  今日も朝からご飯の準備に洗濯・掃除。「ボクが大人になって結婚したらこんな生活になるのかなぁ」って思ってたら、純子から「ミニスカ制服できたよ～」って電話が掛かってきた。幼稚園児に一人で留守番させる訳にもいかないから、麻耶を連れて電車でお出掛け。ボクの悔しい気持ちなんか知るはずもない純子は、今日も駅前まで原チャで来てくれたけど、麻耶を連れたボクの姿を見るなり「ゆみこ、ヤンママみた～い！」って。「テメー、コノヤロー、フザケンナヨ！」って気持ちをグッと堪えるボクの神経を逆撫でするように、麻耶が「ヤンママ、ヤンママ・・」って連発するから、「変な言葉を教えないで！」って言うのが精一杯。テーラーで試着して、相当無理な姿勢をとらない限りパンツが見えないのを確認して、再び麻耶を連れて電車に乗ったら、ドアのところでいちゃついてるカップルがいた。見ているこっちが恥ずかしくなるようなピンクロリと、キモオタって表現がぴったり合う汗かきメガネデブ。人を外見で判断しちゃいけない事くらいはボクでも分かるけど、いくらなんでもヒド過ぎるって思いながらそっちを見ないようにしてたら、麻耶が突然「あの人たち、なんで電車の中でチューしてるの？」って大きな声で言った。恐れを知らぬ幼稚園児の言葉に、車内は凍りついたような雰囲気に包まれた。「しーっ」って言ったときは後の祭りで、ピンクロリが凄い顔でこっちを睨んでた。「ヤバっ」って思いながらもよ～く見たら、ピンクロリは中学のとき隣のクラスにいた根暗ポエムで、一緒にいるメガネデブはボクのクラスにいたアニメオタク。「我が母校の恥、勘弁してよ～」って思ってたらアニメオタク汗かきメガネデブもボクの事に気付いたみたいで、急に恥ずかしそうな顔をしたから、ボクも麻耶に負けないくらい大きな声で「あーゆーのをバカップルって言うんだよ！」って麻耶に向かって言ったら、あちこちから「ぷっ」「ぷぷっ」って噴出す声が聞こえた。晩ご飯を食べて麻耶と一緒にお風呂に入ったら、麻耶が「蝶々、蝶々・・」って言いながら肩の焼け残り触ってきた。メチャクチャくすぐったかったけど、くすぐったいだけじゃないミョ～な感覚で、何故かドキドキしてしまった。そして心配したとおり、太腿の牡丹にも気が付いた麻耶が「お花、お花・・」って手を伸ばしてきたから必死に隠そうとしたら、麻耶の手がボクの大事なところに触れて、思わず変な声が出そうになっちゃった。「これってもしかして・・」って思った途端、急に恥ずかしくなっちゃった・・・

  August 27, 2005

• ヤンママ？

  今日から２泊３日で翔太のサッカーの合宿。去年は前日になって熱を出して行けなくなってしまったから、初めての合宿に翔太は興奮気味。台風もなんとか通り過ぎたんで「ショウ、よかったね」って言った途端、重大な事に気が付いた。少年サッカーの合宿なので、当然玲子ちゃんも一緒に行ってしまうから、今日から３日間はボクが家事をやらなければならないんだ・・・という訳で、玲子ちゃんと翔太を見送ってパパを送り出したらまずはお洗濯って、まだひとり残ってた。連れて行ってもらえずブンムクレ気味の摩耶を宥めすかして、ご飯の後片付けに洗濯・掃除って、思った以上にキツかった。高校生のときから毎日こんな事までやってた玲子ちゃんに、今さらながら頭が下がる思い。お昼ごはんを食べてから、晩の買い物を兼ねてお出かけ。旅行で買ってきたお土産を渡しに久美の家へ行ったけど、やっぱり部活に行ってたんで久美のお母さんに預けて、今度は真希のところへ。ラフな格好で出てきた真希は、麻耶を連れてるボクの姿を見るなり「ヤンママみた～い！」だって。そりゃあボクだってちょっと気取って大人びた格好をしてるし、麻耶は来年小学校に入るおチビさんだけど、だからって『ヤンママ』は無いじゃない！！旅行の話をしようと思ったけど、１０分も経たないうちに麻耶が飽きちゃったんで続きはまた今度。「ちょっと待ってて！」って家の中に入っていった真希は、クッキーを持って出てくると麻耶にくれたので、グズリ始めた麻耶もたちまちご機嫌に。そのままスーパーに行ってバイト先に顔を出したら、店長が麻耶にキャンディとひと口ゼリーをくれた。一緒に働いている（？）ボクには一度もくれた事が無いくせに・・・買い物をしてレジに行くとちょうど中学時代の同級生がいたけど、ここでも「ゆみこ、ヤンママみたい」だって・・・でもって、そこでも麻耶はその子からキャンディをもらっていた。行く先々でお菓子をもらった麻耶は大ご機嫌。それに引き換え、行く先々で「ヤンママ」と言われた高校生のボクはご機嫌ななめ・・・えーえーそうですよ！どうせボクは老け顔ですよ～だ！！！

  August 26, 2005

• ５日分の日記

  朝から５日分の日記を書き始めてやっと終わった。目が疲れた～肘もなんだか痛い～腰も張ってる～でも、思い出しただけで楽しい気分が戻ってきた。夏休みも後８日・・・「ヤバッ！読書感想文・・・」本屋さんに行ってきま～す！！！

  August 23, 2005

• お別れのチュッ！

  今日も朝から雨、雨、雨・・・昨日より降り方が激しいみたい。もっともっと遊びたかったよ～！って思いながら朝ご飯を食べてお部屋の掃除をした。バス停に行く途中、昨日行った金山の売店でお土産を買って出てきたら、香の従兄妹のお兄さんが「駅まで送ってあげる」って駐車場で待っててくれた。荷物が増えちゃたボクたちは大助かり。バスでのんびり来た道をスイスイ走って駅に着いたら「ちょっと待ってて」って言い残して駅の中に入って行ったお兄さんは、「高校時代の同級生が駅にいるから頼んどいた」って言いながら小田原までの特急券をボクたちに渡してくれた。最後までいろいろ面倒を見てくれたお兄さんに感謝の意を表して、４人揃ってホッペに『チュッ』ってやってあげたら、メチャクチャ恥かしそうな顔で照れていたけど、ちょっと嬉しそうだった。「特急だから大丈夫！」って電車の中でお弁当を食べてお腹が一杯になったら、たちまち睡魔に襲われたボクは夢の中へ。「ゴォォォー」って音で目が覚めた時には、電車は鉄橋を渡っていて直ぐ下は海だった。晴れてた・・・「何で晴れてんの？」って思いながらも、鉄橋の上からの景色に、またもやみんなで大はしゃぎ。小田原でロマンスカーに乗り換えたら、いきなり純子が「ゆみこはどれにしたの？」って聞いてきた。一瞬なんの事だか分からなかったけど、香が読書感想文って言った途端、ボクの顔からサーっと血の気が引いていった。７月中に宿題は全部終わらせたと思ってたボクは、読書感想文のことをすっかり忘れていたのだった。楽しい思い出のはずが、最後の最後でちょっと鬱・・・でも楽しい楽しい旅行でした。また来年も行きたいな～！

  August 22, 2005

• イマニミテイロぼくダッテ・・・

  朝起きたら雨が降っていた。「この辺は、明け方くらいに雨が降っても９時頃から晴れる事が多いよ！」って香が言ったから、みんなホっとしながら朝ご飯。ご飯を食べてる間に雨が止んだんで、香が「ほらねっ！」って言った途端、みんなのお箸のスピードが速くなった。朝ご飯を食べ終わって水着に着替えてる時、裕子が突然「香、やだ～！」って大声を上げたんで、どうしたんだろうって見たら、香の肩甲骨のところに鷲のシルエットがクッキリと残っていた。「ヤバー！」ってみんな慌ててシールを擦ったけど後の祭りで、蝶、鷲、蛇、竜、牡丹とそりゃあ見事な焼け残り。「今日はパレオ無し！パーカーも着ない！海にも入らない！徹底的に焼きを入れる！！」ってみんなで話し合ってる間にまたしても雨が降り出した。みんな口々に「そのうち止むよ！」って期待を込めて言うものの、雨は降ったり止んだりで、窓際に行っては溜息をついて、部屋の真ん中に戻って海に行く準備の繰り返しで、時計の針はいつの間にか１０時近くになっていた。いつまでも雨が止まないのでいつの間にかお喋りＴＩＭＥになってしまったボクたちは、初めは「誰か雨女がいるんじゃない？」なんて冗談交じりで話してたんだけど、いつまでも雨が止まないイライラが言葉の端々に現れ始めて、とうとう激論ＴＩＭＥに突入してしまっていた。「由美子と行くと、いっつも雨が降ってくんのよね！」「それだったら裕子なんか、いつも行く前から雨じゃない！」「純子がどっか行こうって言い出したときは、必ず雨になるよね！」「香、さっき晴れるって言ってたじゃない！」誰が雨女かで言い争うボクたちは、いつの間にか殴り合い寸前（？）の状態に・・・そしたら香が「こんな事してたらホントに喧嘩になっちゃうよ！それより、どうせ晴れそうにも無いから・・・」って言うんで、みんなで土肥金山に行くことにした。金山の駐車場に着いたころ、小降りだった雨も上がったんで、恨めしそうな顔をした女子高生４人組は、そのまま入口を通ってまずは採掘坑道へ。お化け屋敷と蝋人形館を混ぜたような坑道の中はヒンヤリと涼しかったんで、みんなのイライラもちょっと治まったかな？博物館で見た巨大な金塊は『触ると冷たい感触』って書いてあったけど、ボクたちの直前に団体さんがいて、ボクが触ったときには少し生暖かかった。パパの会社と同じ『葵』って名前の食堂でお昼ご飯を食べてるとき、「恋人岬ってこの近くなんでしょ？せっかく来たんだから行ってみない？」って裕子が言い出したんで、「行け！行け！」ってヤケクソ半分な気持ちで行くことになった。バスを待つこと３０分、バスに揺られて２０分ちょっとで恋人岬に到着。売店の横を抜けて１０分くらい坂道を下って行って途中で分かれ道を右に進んで最初の展望台へ。鐘の横に真ん中に穴の開いた丸い石があって『晴れてれば富士山が見える』んだって・・・そこから分かれ道まで戻って今度は先端の展望台へ向かったけど、途中の木で出来た遊歩道は階段があったり坂道になってたりで、さらに雨まで降ってきてかなり歩きづらかった。展望台に着いたらバイクで来たような格好をしたカップルが、雨なのに傘も差さずに肩を抱くように海の方を見ていた。鐘とオブジェがあったけど、他には何にも無いトコだった。戻る途中で雨が勢い良く降ってきたから、「花火は無しか・・」って暗い気持ちで家まで戻ってきた。「夕ご飯どうしよっか？」って話してたら、香の従兄妹のお姉さんが「花火大会やるってよ！」って、教えに来てくれた。雨上がりの花火大会もまた格別で、やっぱり今夜も「スリー、ツー、ワン、ファイヤー！」って盛り上がった。家に戻って温泉に入ってからみんなで涼んでいたら、「公園の隅のほうで抱合ってるカップルがいたの気づいた？」って裕子が恥かしそうな顔で言った。ボクも高田橋の花火大会の後で見た光景を思い出してその事を言ったもんだから、たちまちエッチな話になってしまった。ボクはもちろん未体験、話の様子だと裕子も多分まだ。純子の口ぶりからキスの経験はありそうだけどエッチはまだみたい。最後まで言葉を濁してた香だけど、多分あっちの経験もあるんじゃないかなって思った。「初めてする時って痛いって言うけど、どんな風に痛いんだろう？それよりボクの初めてのヒトって、どんなヒトなんだろう？」ってそんな事ばっか考えてたら、なんかドキドキしてきちゃってなかなか寝れなかった。

  August 21, 2005

• クルージング

  香が朝ご飯を取りに行くんで手伝いに付いて行ったら、香の従兄妹のお姉さんが「今日、兄貴に大瀬崎まで連れてってもらうんだけど、良かったら私たちと一緒に行かない？」って言ってくれたから付いて行く事にした。香の従兄妹のお兄さんが操縦するクルーザー（本当は漁船）で海の上をス～イスイ。１コ上の従兄妹のお姉さんとそのクラスメイトが２人、それにボクたち４人を乗せたクルーザー（だから漁船だってば！）は、海岸沿いの道路が渋滞してるのを尻目に３０分くらいで着いた。体育館くらいある大きな海の家で水着に着替えていざ出陣！なんか歩き難いなって思いながらビーチマットを敷く場所を探しても、どこまで行っても砂利、砂利、ジャリ・・・初めての砂利浜は、ちょっと変な気分。海に入ろうってビーサンを脱いだら、歩き難いは小石が痛いはでモー大変。でも、波が押し寄せても砂が舞い上がって濁るような事が無いので、海の水は綺麗でした。辺りが薄暗くなるまで砂利浜で遊んだボクたちを迎えに来たクルーザー（だから漁船なの！！）は、桟橋から離れるとドンドン沖の方へ向かっていった。遠くに見える街の灯が何だか幻想的に見えてうっとりしてたら、「今晩はディナークルージングだよ」ってお姉さんが言った。クーラーＢＯＸから取り出した魚をスパッ、スパッって捌いていく姿は、『さすが漁師の娘』って感じで、とても１つ違いとは思えないほど鮮やかな包丁捌きだった。月島で『もんじゃ』を食べたときは「まいぅ～！」って言う余裕があったけど、今日はみんな「ほいひ～！」しか言えず、「お魚は苦手」って言ってた裕子までお刺身をパクパク食べていた。新鮮なお刺身と塩結びとアラ汁の豪華ディナーを食べてお腹一杯のボクたちを乗せたクルーザー（漁船だったら漁船なの！）は、夜の８時を過ぎた頃、それまで烏賊釣り舟のように煌々と点けてたランプを消して港の沖で止まった。周りには同じような漁船が何隻も漂っていて、もう何があるか分かったボクたちは、ワクワクしながらその時を待った。花火３日目でコツをつかんだボクたちも「スリー！ツー！ワン！ファイヤー！」ってカウントダウンに合わせて大絶叫！クルーザー（なんど言ったら分かるの？漁船よギョ・セ・ン！！）の上は、まるで猪木と大仁田の集団に占領されたみたいになってしまった。初めて海の上から見た花火はもう最高！とても言葉では言い表わせない感動モンでした。

  August 20, 2005

• 温船？

  興奮しているせいか朝早く目が覚めてしまったので、一人でこっそり浜辺までお散歩。雲が多かったんで「雨にならなきゃいいなぁ・・」って思いながら帰ってきたら、香の姿がなかった。純子や裕子も起き出してきたのにいつまでも帰って来ないから「トイレかな？」って思ってたら、大きな籠を持って戻ってきた。籠の中には美味しそうな朝ご飯。鯵の干物がこんなに美味しいって知らなかった。９時前には水着に着替えていざ出陣。ボクと裕子が折畳式のテーブルやビーチパラソルを持って海岸で場所取りをしている間に、純子と香が買出し。コーラで「かんぱ～い！」ってやった後は、さっそく海へ。今日はみんなでちょっとオシャレ（？）して、タトゥのシールを貼ってみた。ボクは左の肩甲骨のところにアゲハ蝶と太腿の内側に牡丹。みんなも腕や背中や胸元、それに腰や太腿なんかに、蝶、鷲、竜、牡丹ｅｔｃと思い思いに貼ってたんで、ちっちゃな子たちが不思議そうな目で見てた。前の日には気づかなかったけど砂浜の真中にボートが２艘置いてあって、みんなが出たり入ったりするんで見に行ったら、中には温泉が引いてあった。ボクも試しに入ってみたけど、かなり温かったのと底に溜まった砂がジャリジャリするんで直ぐに出てきてしまった。お昼を食べて波打ち際で寝っ転がってたら、いきなり純子たち３人に両手両足を掴まれて「せーのっ！」って海の中に放り込まれた。ボクも負けじと純子を抱え上げてはザブーン！裕子に襲い掛かってはバシャーン！ってやったけど、何故か香は思った以上にすばしっこくてお返しが出来なかった。夜はまたもや花火大会。昔は７月の終わりに１日と、８月のこの時期に３日連続の２回に分けて開催されてたそうだけど、今は４日連続でやるんだって。斜めに飛び出すスターマインにビックリしたけど、やっぱ何と言っても空中ナイアガラ。なんだか分からないけど、すっごい感動もんでした。前の晩は橋のところから見たんで今日は砂浜から見たけど、やっぱり今日も凄く身近に感じられて、海に花火にと今日も大満足の一日でした。

  August 19, 2005

• 電車で旅行

  クラスの仲良し４人組でグループ旅行に出発！家では旅行というといつも車なので、滅多にない電車旅行にちょっぴりドキドキワクワク。新宿に集合して、いつもはボクが乗る電車を追い抜いていくロマンスカーに乗った。席を向かい合わせにするのに一苦労で、やっと座ったときには電車は動き出していた。冷房が苦手なボクは黒のタンクトップの上に薄手の上っ張りを羽織っていたんだけど、思ったほど寒くなかったんでそれを脱いだら、たちまち向かい側に座っていた裕子と香が恥ずかしそうな顔をした。ボクにはその理由が分かっている。だってみんなに内緒で悪戯心を出していたから。通路を歩く人たちも女子高生４人組には興味があるらしく、必ずと言っていいほどボクたちを見ていくんだけど、やっぱりみんなボクの胸元をじっと見ていた。横に座ってる純子がそれに気づいたみたいで、その視線の先を追っていった途端、裕子と同じように恥ずかしそうな顔をしながらいきなりボクの背中をさすって「ゆみこ、あんたノーブラなの？」って囁くような声で聞いてきた。キャミからブラの赤いストラップ丸見えでよく言うよって思いながら「やだ、分かる？」って言ったら「上を着ときなさいよ！」だって。電車を降りてお昼ご飯を食べたらバスでラストスパート。山の中をクネクネ走ってたバスの視界が開けた途端、真正面に海が見えたらみんな一斉に歓声を上げたんでちょっとヒンシュクをかってしまった。香のおじさんの家は船宿をやっていて、ボクたちが泊めてもらうのは香のお母さんの勉強部屋（子供部屋）だった離れの家で、簡単なキッチンと温泉までついていた。まだ明るいから海に行こうって事になって着替えを始めたら、純子が「あーー！」って大声を上げたんで「悪戯大成功！」って思ってたら、３人からド突かれた。薄暗くなってきたころから屋台がポツポツと店を開け始めたんで、ボクたちは海から上がった。シャワーを浴びて浴衣に着替えたら、再び出陣。ラムネに焼きそばにお好み焼き、まるで縁日のようなお祭り気分に浸ってると、突然海の方から「ドドーン！」って花火が上がった。花火大会がある事にボクは薄々気づいていたけど、純子と裕子は知らなかったみたいで、唯々「すごーい！」って。自慢じゃないけどボクもいろんな花火大会に行ったけど、今日の花火は今まで見た中で一番近くに感じられた。サイコーな気分で帰ってきたら今度は温泉。とは言っても４人いっぺんに入るにはちょっと狭かったから、２人ずつで入った。「本当に源泉から引いてきてるんだよ」って言ってた温泉はちょっと熱かったけどいい気持ちだった。シャワーのお湯も温泉から引いてるって言ってたけど、温度調節がなかなか上手く出来なくて、熱くなったり冷たくなったりで難しかった。布団にもぐってこれから本格的にお喋りかなって思ってたら、みんなあっという間に寝てしまった。明日も晴れますように・・・

  August 18, 2005

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