synæsthesia
ヨハネス・ケプラーはマクロコスモスとミクロコスモスの一致あるいは連携性を占星学にとりいれた。マクロコスモスとミクロコスモスという観念は仏教の空・唯識・縁起と似ていて、それはやはりマクロコスモスとミクロコスモスの連動はプラトンやネオプラトニズムといった人々の思想であるがゆえんだろう。つまり、東方思想なのだ。 また、全ては一なる者からの流出である以上、その一なる者に関わらないものはなくて、だから全ては繋がっていると言うのだろう。普通に考えたら、何の関連性もないもの同士でも、極限まで考えれば、何かしらの共通点はあるものだ。その共通点が存在を成り立たせるなら、その思想は仏教哲学のひとつの形そのものだ。 数字に性格を持たせる発想もひとつのマクロコスモスとミクロコスモスの連携の発想だ。ピュタゴラス思想、ゲマトリアの聖書解釈、あるいはギリシャ文字の数秘術は数字に性格が無ければ成り立たない。今のアラビア数字を用いる言語体系と違って、古代はα, אが1でβ, בが2とかだったりして、日常的に数字を表すときは当然アラビア数字なんてまだないのでアルファベットがそれを表していた。いまでもナンバープレートや電話番号をゴロ合わせにしたりするけど、そのようにアルファベットで数字を表していた頃は、それがもっと簡単だったに違いない。これに関しては今よりもマクロコスモスとミクロコスモスの一致が親しかったともいえる。 数学で三角形ABCとかαβγというのはその名残かもしれない。古典ギリシャ語の教科書の後ろのほうに古代ギリシャの三角形αβγにおける数学の証明?みたいなギリシャ語の問題文があったきがする。一番最後の、数詞の章だったかな?授業ではそこまでやってないけど。古典語では、"1(ena),2(dyo),3(tria)~"とか"はい/いいえ"とか"こんにちは/さようなら"は最後まで習わなかったりする確率が高い。(そもそもこんにちわとかあるのか知らないんだけど。)格変化、能動相、過去、未来、アオリスト、完了、過去完了、受動相、接続法、希求法、分詞などを全部細かく習ったとしても。 1や2という数字の持つ性格は、後の神秘学全般の基礎に流れている。占星学にその数秘術的なものを用いることは、ハウスという概念においてもっとも現れているのだろう。ハウスの性格は数秘術的な1~9の性格と似ているから。しかし、11と12はあまりそうでもないかもしれない。12ハウスは数秘術では0に近いかもしれない。 ヨハネス・ケプラーの占星学論理としては、今で言うプログレスの論理の根源のようなものなのかもしれないが、特にそれはつまりひとつの場所で示された自己の座標(ホロスコープ)が自己を巡る他の時空間の座標(プログレス、トランジット)にも示されるということだ。つまり、雛形理論だ。雛形理論自体、ひとつのマクロコスモスとミクロコスモスの一致の思想だ。