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ドイツ語のめんどくささは最終的に、「関係代名詞が性を持つ」「合成語が多い」「発音が疲れる」に集約されるだろう。 関係代名詞が性を持つ問題は、ドイツ語でder(男性主格、女性属格、女性与格)やdie(女性主格、女性対格、複数主格、女性対格)みたいに格変化がかぶっていることだろう。フランス語とかみたいにQueが関係代名詞になってくれれば、この悩みは全て消え去る、というより、Queが関係代名詞である事で、名詞の性を覚える必要性に悩まされずにすむ。luiやelleで人間以外の名詞が呼ばれる事もあるらしいが、ドイツ語はどうせ最初から全部そうだ。関係代名詞がluiやelleやilsではない事でドイツ語に比べて悩みは半分消えている。Queであらわせることがらが、ドイツ語ではder,dem,denen,dessen,die,der,deren,das...と形容詞的変化もする上に、例えばderときたときに、男性名詞の事かと思えば、女性名詞の与格だったり、dieときたときに、女性名詞の事かと思えば、対格だったり。同じ単語で、正反対の意味になる言葉は恐ろしいのである。 というより、名詞と定冠詞の格変化に関しては、古典ギリシャ語のほうがドイツ語より数倍ましである。なぜなら、格変化がそんなにかぶってないからだ。τηνは男性名詞とも中性名詞ともとれるが、対格以外にはならない。dieが主格・与格やderが主格・与格・属格という悩みは無い。 しかも、地中海の言語なので、単語から名詞の性が或る程度類推できる。ドイツ語は、名詞から基本的に性が類推できない。ちなみに、複数形も類推できない。そこは、古典ギリシャ語のほうがまともである。 定冠詞に関しては、ドイツ語より古典ギリシャ語の定冠詞を使ってくれたほうがわかりやすいに違いない。ショーペンハウアーが、ドイツ語は名詞の性のおかげで関係代名詞の類推がついて整理されていると言っているが、規則の少ない名詞の性と複数形を暗記している人以外には言語に利益をもたらしているとは少しも思えないし障害でしかない。 性を捨てて、語順で目的語や主語を明示し、複数形を-s,-esで統一した英語はあまりにも偉大すぎるのである。ドイツ語は格変化があるので主語や目的語の場所は決まっていない。その上でさっきのdieは主語と目的語の両方の意味を持っている。die Wahrheitと言われて、真実は、なのか、真実を、なのか、類推ができない。der Wahrheitと言われて、真実の、なのか、真実に、なのか、類推ができない。もしWahrheitが女性名詞だと言う事を知らなかったら(-heitがついているので類推がしやすいほうではあるけど)、男性名詞だと思ったら、der Wahrheitは、真実は、ともとれてしまう。さらには、WahrheitはWahrheitenだが、ドイツ語には複数形になっても名詞のかたちが変わらないものもある。derというのを見て、明確なパターンの無い名詞の性と複数形を暗記していなかったら、「は」「の」「に」全てにとれてしまう。もしも主語・動詞・目的語という順番があったらこの悩みは全て解消されるのだが。(日常会話とかではそんな悩みは無いのだが、論文とかのめんどくさい文章程、主語や目的語を変な位置におきたがるから。)