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2008年05月02日
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カテゴリ:日記
私のアメリカ人の友人が亡くなった。実際に亡くなったのは2週間も前で、そのことを共通の友人から聞いたのは一週間前だった。その共通の友人はユダヤ系アメリカ人女性で、彼女の親友とも言える人であり、私が彼女を知ったのも14年前、私の指圧マッサージビジネスの顧客だったその人を介してだった。彼女も最初は指圧の顧客として知り合い、やがて友人として電話で話したりするようになったのだ。ここ1年ほど、彼女とはほとんど連絡をとっておらず、最後に会ったのは去年の1月だった。

彼女は中西部出身の白人で私と同年生まれだった。知り合った時が35歳で、同じセーリングの趣味を持った知的な雰囲気の白人男性と当時ですでに6年ほど付き合っていた。本箱にはセーリングの大型本があり、壁にはセーリングの写真がいくつもあった。彼女がマストに登っている写真もあった。ダンサーだけにスタイルが良く、茶髪の色っぽい美人で、サンドラ・ブロックに顔も雰囲気も声も良く似ていた。それまで私のアメリカ人の友人はニューヨーク出身のユダヤ人や黒人、アジア系移民が多く、中西部出身のWASPのアメリカ白人とは、ほとんど縁がなかった。彼女は地方出身のアメリカ人にしては異質なのか、ルームメイトにも日本人や中国人など外国人が多く、恋人にする男性も自分と同質でない、黒人やエスニックなタイプが多かった。大学時代にスペインで一年過ごしたことから、スペイン語が上手で、スペインに移住したがっていた。

父親は早くに亡くなり、地元には母と結婚した姉が一人いた。高校時代に母が再婚して、その後に亡くなった義父は後で聴いた話では、アル中でDVの常習者だったらしい。母からは全く援助は受けられないということで、地元の大学卒業後、ニューヨークに来てダンスを学びながらテンプスタッフとして長く仕事をしていた。一度部屋で見せてもらったダンスはかなり上手かったが、それを職業としてやっていく自信はないといい、オーディションを受けたり、舞台でパフォーマンスをすることは全くなかった。毎日クラスを取っているだけで満足ということだった。私も最初はダンサーとしてニューヨークに来たが、ステージに立ちたかったので、ただクラスを取っているだけで満足というのは少し理解できなかった。将来のゴールというものは何なのか言わなかったが、結婚したい、子供を持ちたいとは言っていた。当時小学生だったニューヨークに住む親戚の女の子を自分の娘のように可愛がっていた。彼女は非常に母性的な性格だった。姉妹で自分の方が先に結婚すると回りの誰もが思っていたそうだ。ドアマン付きの高層ビルにある彼女の部屋は広めのワンベッドルームで、彼女はリビングルームにカーテンを引いて住み、個室のベッドルームはルームメイトに貸していた。いつも隅から隅まできれいに掃除がしてあり、ベッドメーキングから何から何までキチンと整っていた。当時のルームメイトは逆のタイプで部屋は足の踏み場がないほど散らかっており、「あの子はお母さんに掃除を教わらなかったのよ」と彼女はため息をついていた。彼女の服はすべてきれいに洗濯され、クリーニングされ、クローゼットにキチンと整理されていた。

彼女の部屋のサイドテーブルには、彼女の子供時代の写真と、彼女の曾祖母だという北欧から移民で来た女性の家族写真が飾ってあった。彼女の子供時代の写真は、どちらかというと地味で寂しげだった。今の開放的な彼女と全然違う個性に見えた。彼女は色っぽかった。グラマーとかでなく、持っている雰囲気が艶っぽかった。初めて彼女にマッサージをした時、彼女は私が押すたびに痛いと言って凄まじい悲鳴をあげた。そして彼とセックスする時の声も同じくらい大きいと笑って言った。しかし、緩めの指圧はいやだといい、思い切り強く押してくれと頼まれた。セッションの後でいつも窓辺のテーブルで手料理とワインをご馳走してくれた。部屋の電気は全部消して、ろうそくに火を灯して。彼女の部屋の大きな窓から、西57丁目の明かりがきれいに見えた。食事のあと、いつも彼女は美味しそうにたばこを吸っていた。マイケル・ジャクソンはその当時でも、アメリカですでに奇人扱いだったが、彼女は子供の頃から好きだったといい、新発売のCDを買っては聴かせてくれた。





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最終更新日  2008年05月02日 20時33分30秒
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