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2008年05月02日
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カテゴリ:日記
彼女の部屋に毎週のように指圧に通い始めて1年ほどした頃、彼女に大学の課題だった芝居のタイプを頼んだことがある。謝礼として指圧を5―6回、無料で施すという約束だった。その後、私の戯曲が大学で公演された時、彼女は一人で見に来てくれた。私の写真がSOHOのグループ展に出たときも、一人で来てくれた。アメリカ人には珍しく律儀な人だと感心し、いつも嬉しく思った。彼女は私の誕生日も忘れず、いつもメールや電話をしてきた。彼女はある意味、アメリカ人にしては非常に日本的な神経の細かさがあった。少し考えすぎるほどに繊細に世の中の裏表を見るところがあった。そして彼女はいつも私に才能と目標に向かって突進する気力があると言って褒めてくれた。ただし、私の不完全な英会話にはいらつきを隠さず、「日本人にしてはよく話せる」といいつつ、会話の途中で文法の間違いをいつも指摘してくれた。一緒にビデオでコメディ映画を見て、「あなたは全部のジョークに笑わなかった、内容を理解していない」、と責めるように言われたこともあった。

その後、私が大学を終えて大学院に行く準備を始めた頃から、彼女は打ち明け話や心の痛みを私に見せ始めたように思う。彼女が6年つきあったボーイフレンドと別れ、いろいろな男性と刹那的に短期間付き合い始めた頃だった。ある夜、彼女はクリスマス休暇で実家に帰ったときのことを話し始めた。ハンサムで収入の良い男性と結婚していて、大きな家に住み、可愛い子供が3人もいる幼なじみに偶然再会したという。その幼なじみは特に目立った容貌でなく、ハイスクールでチアガールだった彼女のように男性にもてたわけでもない。しかし、その幼なじみは未婚でステディな彼氏のいない、30代後半にもなってルームメイトと暮らすテンプ勤めの彼女と違い、物質的に豊かな暮らしをしていた。素晴らしい家に招待され、当然、彼女は途方もなくうらやましさを感じたという。しかし、「あなたはなんとラッキーなの」、そう言う彼女に、その幼なじみは「あなたにだけ言うけど…」と、結婚生活が上手くいっていないことを告白したという。ニューヨークで自由に生き生きと暮らしている彼女の生き方が羨ましいとも言ったそうだ。そこまで話すと彼女は少し嬉しそうに私を見て言った。「完全な幸福なんてどこにもないのよ。あれほど素敵な旦那と可愛い子供に恵まれて幸せでないなんて。私の人生もそれほど悪い物じゃないらしいわ」。アメリカ人にしては島国的な、他と比較して自分がどれだけ幸せか、常にメジャーで測っているようなこだわりがある人だな、とも思った。

帰郷中、田舎に住む母親は彼女の将来を心配して、地元の中年歯医者とブラインドデートのようなものを勧めてきたという。「悪くないかも」、という私に、彼女は断固として首を横に振った。医者であろうとなかろうと田舎にはもう住めないし、帰りたくないという。何が彼女をニューヨークにそこまで引きつけるのか、私にはよく分からなかった。その後、彼女はとびきりセクシーなミニスカートでハイスクールの同窓会に行き、また新しいボーイフレンドを見つけていた。その男性はまるで子供のまま大人になったような幼児的な騒ぎ方をする人で、しかもアル中がかっており、彼女の友人たちにはひどく評判が悪かった。しかしその男性との遠距離恋愛も長くは続かなかった。その当時、彼女は私がなぜボーイフレンドもなく一人で長く暮らし、いつ見ても幸せそうな顔をしているのかと知りたがった。「好きなニューヨークに住めるのが嬉しいから。一人で行動するのに慣れてるし」と私が言うと、「セックスなしでどうして平気なの」とも聴かれた。彼氏もなく一人で休日を過ごすのは、彼女には耐えられない様子だった。カップル社会のプレッシャーもあるのだろうと私は思った。





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最終更新日  2008年05月02日 20時51分03秒
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