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• 女優の年齢２「キャサリン・ヘップバーン」

  キャサリン・ヘップバーン（１９０７－２００３）は好きで、映画も沢山見ており、伝記を読んだこともある。白黒映画時代の彼女の顔は４０代半ばの｢アダム氏とマダム｣（１９４８）あたりまで、ほとんど変わらず、鋭角的な顔はしわもほとんどなくて若いままに見える。スタイルも細いまま維持され、加齢している様子が見えない。ドーランで隠された顔にシミもそばかすも見えない。スポーツ万能というだけに体の動きも敏捷だ。それが３年後の｢アフリカの女王｣というカラー作品で、一気に彼女の年齢が読みとれてしまう。アフリカのコンゴの奥地で宣教師と共に働く女性という役で、化粧もほとんどしない彼女の顔は、まだらの日焼けと無数のそばかすに覆われ、髪は白髪まじりのボロボロだった。演技でも、なりふりかまわずドロの川に飛び込んだり、炎天下のアフリカでロングドレスを引きずって大活躍だ。「豪快」な演技というしかない。こういう映画を見ると、キャサリンは役柄を演じるためなら、外見をいくらでも犠牲にできる人なのかなと思う。この後の１９５５年の「旅情」のときなど、もっと凄かった。本人自らが汚染とヘドロで有名なベニスの運河に飛び込むのだから。この時は、名匠、デビッド・リーン監督の作品に出演できることで、大喜びしていたというが、まさかここまでリアリズムを要求されるとは思っていなかっただろう。普通の監督なら代役にやらせることだろうに。キャサリンはテストも含めて２－３回、運河に逆さに落ち、顔や耳の皮膚はワセリンで覆って守ったというが、唯一保護しなかった目の玉が汚染されてしまった。その夜から彼女は鋭い目の痛みにさいなまれ、常に目元がうるんだようなドライアイのような症状は終生治らなかったという。その後の彼女の映画での演技が「センチメンタル」「常に泣いているようだ」と批評されたとしたら、それはこのインフェクションのせいであり、映画のほんの１分間の場面のために、大変な犠牲を負ったと言える。このカラー映画での彼女は「孤独なオールドミス」の役そのままで、そばかすもしわ、シミもすべて晒している。実際、ベニスのロケ地の人々には、彼女が当時売り出し中のソフィア・ローレンなどと比較して年とって醜く、映画女優にはとても見えないと悪評だったらしい。この時、キャサリンは４８歳。主役を演じられる演技派として、希有な中年女優として君臨し、その後も仕事はどんどん入ってくる。1959年の白黒映画｢去年の夏突然に｣では、モンゴメリー・クリフトの母親役を演じ、「信じられないほど若く見えすぎる」と批評されている。この映画ではキャサリンは監督と衝突して、クランクアップした途端に唾を吐き欠けるという事態だったらしい。この映画で、彼女は「魅力的でエキセントリックな母親」という役のせいか、カメラは終始、デフュージョンフィルターを使い、しわもそばかすも消していたという。それがラストに、監督の意図で密かにそのフィルターが外され、加齢したシミだらけのキャサリンの「手」が映されていたという。それを後で知ったときのキャサリンの怒りは凄まじかったらしい。なぜ、カラー作品の｢アフリカの女王｣や「旅情」では平気でシミだらけの顔を晒していたキャサリンが、｢去年の夏突然に｣で、美しく映されていなかった「手」に怒るのか、なぞだが、この監督は主演のエリザベス・テイラーにご執心で特別待遇し、撮影中もクリフトが自動車事故の後遺症で台詞がでなかったり、いろいろイライラさせることが続いたらしい。プロの女優として役に打ち込むタイプの彼女は、自分に厳しいだけ、他の役者の怠惰さや理不尽な監督には我慢できなかったのではないだろうか。1962年　｢夜への長い旅路｣。これはかなり残酷に彼女の加齢した顔を映していた。自伝で彼女に言わせると、元々テニスや水泳を好むアウトドア派であり、カリフォルニアの日差しは強いうえ、昔はサンスクリーンなど存在しないだけに、肌の保護などしようがなかったという。1967年の｢招かれざる客｣で、キャサリンはすでに老女に近かったが、カメラはデフュージョンフィルターのせいか、シミもそばかすもない奇麗な老婦人に撮っていたと思う。1981年の｢黄昏｣など、７０代の彼女は生き生きとした精神力が全開の、逞しくて愛らしい老婦人をみごとに演じてた。このときも、カメラはかなり奇麗に彼女を撮っていたように思う。このあと、彼女を見たのは９０年代のテレビのインタビューだったが、パーキンソン病のせいか、頭を終始ふるわせていた。しかし、顔は生き生きとして奇麗だった。この人は年を取ればとるだけ、魅力的に見える稀な女優だったなと思う。全出演作品1932　｢愛の嗚咽｣1933　｢人生の高度計｣　｢若草物語｣　　　　｢勝利の朝｣　　アカデミー主演女優賞1934　｢野いばら｣　｢小牧師｣1935　｢心の痛手｣　｢乙女よ嘆くな｣1936　｢男装｣　｢メアリー・オブ・スコットランド｣　　　　｢女性の反逆｣1937　｢偽装の女｣　｢ステージ・ドア｣1938　｢赤ちゃん教育｣　｢素晴らしき休日｣1940　｢フィラディルフィア物語｣1942　｢女性NO.1｣　｢火の女｣1943　｢STAGE DOOR CANTEEN｣1944　｢DRAGON SPEED｣1945　｢WITHOUT LOVE｣1946　｢UNDERCURRENT｣1947　｢大草原｣　｢愛の調べ｣1948　｢STATE OF THE UNION｣1949　｢アダム氏とマダム｣1951　｢アフリカの女王｣1952　｢パットとマイク｣1955　｢旅情｣1956　｢雨を降らす男｣　｢ロマンス・ライン｣1957　｢コンピュータとミス・ワトスン｣1959　｢去年の夏突然に｣1962　｢夜への長い旅路｣1967　｢招かれざる客｣　　アカデミー主演女優賞1968　｢冬のライオン｣　　アカデミー主演女優賞1969　｢シャイヨの伯爵夫人｣1971　｢トロイアの女｣1973　｢A DELICATE BALANCE｣1976　｢オレゴン魂｣1978　｢ゆかいな風船旅行｣1981　｢黄昏｣　　アカデミー主演女優賞1984　｢A FILMMAKER'S JOURNEY｣1985　｢愉快なゆかいな殺し屋稼業｣1992　｢たった一度のクリスマス｣1994　｢めぐり逢い｣

  2005年01月20日

• 女優の年齢

  吉永小百合さんが実年齢５９才で２０－３０代の役を映画「北の零年」の主演で演じているという。すごいな～という感覚と、舞台ではよくあることだけど、映画というメディアでそれができるのか？という疑問も湧いてくる。舞台なら６０才であろうと２０代を演じられる。でも映像の世界はどうなのだろう。こちらの映画俳優で、６０才で３０代を演じられるほど人気があって若く見える人というと、誰だろう？　小百合並みの人気からいうと、エリザベス・テイラーのあたりだろうが、今７０才の彼女が６０才のときに３０代で映画の主役はできなかったと思う。白人は老けるのが早いし。第一、若く見えても６０才が演じていると皆が知っていると、役にリアリティがなくなってしまう。ゴールディ・ホーンは５０代半ばで結構若いままだが、それでも３０代の役は無理だろう。同じタイプの役は娘の方にいくだろうし。何年か前、ウオーレン・ビーティが若い役をやろうとして、自分の出る場面だけしわ隠しのために照明を暗くしたり、いろいろライティングを工夫していたことがあった。不自然だったが、白黒映画の時代なら、カメラにデフュージョンのフィルターを付ければ、たいていのしわやシミは消せたらしい。でも、今の高性能のカラーフィルムだと、すべてが映ってしまうのではないだろうか？　ハリウッドでも、４０才以上の女優は役を得るのが難しくなって、整形に走る人が多いという。ロマンチックコメディの覇者だったメグ・ライアンも４３才ですでに整形ずみだとか。整形しても、役が少なくなるのは同じで、メリル・ストリープのような達者な演技派だけが生き残っていく。あとは脇役に甘んじて母親役とか、汚れ役に手を広げて行くしかない。キャスリーン・ターナーはすっかり汚れ役に定着したし。いつまでも若く見えすぎるダリル・ハンナの場合、もっと仕事に恵まれないそうで、４０代のかの女がいくら２０代の昔のまま奇麗でも、役は本当の２０代の方へ流れていくらしい。今の中年スターで生き残っているのは、メリルの他にアネット・ベニング、ミシェール・フェイファーとジュリアン・ムーアくらいか。やはり何でも演じられる演技力がないとダメそう。ジェシカ・ラングは劣化が早かったし。色気がメインのメラニー・グリフィスなど、ほとんど引退寸前ではないか。今もてもてのニコル・キッドマンとかルネー・ゼルウエガー、ジュリア・ロバーツは４０代でも生き残れるだろうか？キャサリン・ヘップバーンくらい存在感があれば、老婆になっても役はくるだろうが。要は演技力と人にない個性ということか。

  2005年01月19日

• 書評が掲載される。

  実は昨年の１２月にカナダとアメリカの日系新聞社に自著を送ってみた。全部で８社ほどだったが、そのうち、ニューヨークと西海岸の大手の新聞社が２つと、カナダのトロントの新聞社が書評をのせてくれた。少しは売り上げになるかどうかは分からないが、日本の新聞社に送っても全く反応がなかったことを思うと嬉しい。先日送った第二作目の反応は今のところ一社のみ。かなり厳しそうだ。ーーーーーーーーーーーーー今日は寒い。家の中にいても鼻水が凍るような寒さだ。一晩外にいたら確実に死ぬでしょう。といっても、うちの近所でも、ビルの脇などに毛布を惹いて寝ているホームレスは結構いる。これだけ寒くなっても、毛布を頭からすっぽりかぶって全財産の入ったワゴンを傍らにじっと路上で寝ている人々。シェルターに行くのがそれほど嫌なのか。

  2005年01月18日

• A Life Apart - Hasidism in America (1997) 「アメリカのハシディム」

  NYのブルックリンのクラウン・ハイツやウイリアムズバーグなどに十数万人が集団で住む、「ハシディム」という超オーソドックス派のユダヤ教徒についてのPBSドキュメンタリー。ハシディムの男性は白いシャツに黒い上着とズボンの服装をし、キッパやシルクハットを被り、あごひげをはやし、もみあげを縦カールさせたヘアスタイル。眼鏡をかけている人も多く、冬になると全員が毛皮帽子に黒いコート姿となる。女性は長袖ブラウスと膝下までのロングスカート姿が主で、スカーフを頭に被り、たいてい年子のような乳児や幼児を数人引き連れて歩いている。マンハッタンでは、彼らの経営する宝石店の集まった「ダイアモンド街」に、マイクロバスで集団出勤しているのをよく見かける。彼らは同様に隔離された「アーミッシュ」と違い、今世紀の文明を拒否した生活をしている訳ではなかった。ただ、彼らは都市に住みながら外部の人間との交渉はビジネスのみに止め、一般のテレビや映画、新聞などのメディアの流入は完全に拒否して暮らしている。映画によると、彼らは欧米やロシアから戦後アメリカに移民し、今のアメリカのトレンドと無関係に、男性は大学の学位を必要とされない宝石商など幾つかの少ない選択肢から職業を選び、適齢期に仲人による「見合い結婚」をし、女性は「良いユダヤ人の母」となる教育を受け、結婚後は子を立て続けに産み、育てることに集中するという。子供たちは当然のように公立学校へなど行かず、宗教を基礎とした彼ら独自の学校で教育され、学校、シナゴーグでの席も含めて男女の属する場所は幼児期より完全に二つに分けられている。ユダヤ教の司祭ラビをリーダーにした信仰が絶対的に優先される世界であり、彼らがこういう特殊なコミュニティを形成するまでには、迫害され続けたユダヤの歴史も関与しているのだと思うが、一見したところ、誰もがその世界に満足して迷いがないように見えるのが面白かった。＊コンピューターは仕事では使うそうだが、インターネットは御法度。映画やテレビはユダヤ系のもののみ見るとか。http://www.pinenet.com/~rooster/hasid1-b.html-------------------------------------------------------Editorial ReviewsHasidic Jews seem alien, and even hostile, to those outside their culture, which frequently includes other Jews. They dress differently, don't mingle between the sexes, speak Yiddish, and wear side curls, all in an attempt to rigorously follow the commandments of the Torah. They tend to keep to themselves, shunning television and the media so outside influences cannot corrupt their values and views. Yet filmmakers Oren Rudavsky and Menachem Daum were able to enter their world, and the result is the fascinating documentary A Life Apart: Hasidism in America. Using interviews with academics and members of the community and some historical footage, the filmmakers trace the growth of Hasidic groups in the United States. Groups formed around particular Rebbes (learned leaders) and they took their names from their Eastern European home cities (the Samovar Hasids, the Breslover Hasids, and so on). Leonard Nimoy and Sarah Jessica Parker narrate, explaining how this movement came to America and how it was able to flourish. Dissenting voices also appear, in the form of neighborhood people who are distressed at the Hasids' refusal to speak to members not in their community and of a young woman, Pearl Gluck, who left the community in order to pursue her writing and to follow a life of her own choosing. Many Hasids refuse to speak on camera, and we see many shielding themselves with hands or coats so as not to appear on film. But those who do appear are poignant in their discussions of why the Hasidic life is important to them. One man speaks to the directors, even as he acknowledges that he will never see the movie, but he will do it "in order to help a Jew make a living." One couple, Holocaust survivors, are not Hasidic, but their children are, and the reasonings of both the parents and the children are interesting. This film, shown on PBS, is a consequential look into a lifestyle many of us don't understand, and it may help in increasing an understanding. --Jenny Brown --This text refers to the VHS Tape edition. DescriptionIn New York City, the Hasidim are a common sight, but their way of life remains a mystery to those outside their community. With their use of Yiddish, their distinctive clothes and their strict observance of Jewish ritual and law, the Hasidim are considered by many an insular people with little connection to mainstream America. And yet their values are those that many Americans find most precious: family, community, and a life of meaning. In this extraordinarily intimate film, seven years in the making, we are taken into the depths of the Hasidim's joyous, sometimes harsh, and often-beautiful world. From mystical tales to mesmerizing music, Rebbes to Holocaust survivors, A Life Apart reveals a strange, insular world few outsiders have seen, and fewer yet could imagine.

  2005年01月11日

• "American Movie" (1999) directed by Chris Smith

  プロット：On the northwest side of Milwaukee, Mark Borchardt dreams the American dream: for him, it's making movies. Using relatives, local theater talent, slacker friends, his Mastercard, and $3,000 from his Uncle Bill, Mark strives over three years to finish "Covan," a short horror film. His own personal demons (alcohol, gambling, a dysfunctional family) plague him, but he desperately wants to overcome self-doubt and avoid failure. In moments of reflection, Mark sees his story as quintessentially American, and its the nature and nuance of his dream that this film explores.http://www.imdb.com/title/tt0181288/ーー９９年にサンダンス映画祭審査員特別賞を受賞した『アメリカン・ムーヴィー』。ウィスコンシン州で自主制作ホラーを作り、有名監督を夢見るマーク・ボーチャードの人生を描いたドキュメンタリー。凄く面白かった。たぶん、これを見たサンダンス映画祭の観客、つまり、大方が自主映画の関係者たちは、自分自身のことを描かれたように身につまされるものを感じたに違いない。映画を作るというのは、お金がかかる、非常に贅沢な遊びであり、これに夢中になって一攫千金を夢み、親族に借金を繰り返し、３０代、４０代になってもまともな職についていないフリーターでいる人々は、多い。日本のことは知らないが、アメリカは、やはり映画産業が盛んなだけに、自主制作映画を作って映画祭などに出品を繰り返している作家は山のようにいる。また、映画祭も、大なり小なり、山のようにある。大学の映画科に進む人も多い。この映画の主人公、マーク・ボーチャードがどこがユニークかと言うと、彼は１４才で最初の映画を作り、その後、ハイスクールもドロップアウトして、アルバイトをしながら、幼なじみのグループと３０才になっても、１４才の時と同じような「ホラーフィルム」を作っていることだ。内容も稚拙、演技も稚拙、音響も稚拙、編集も含めてすべてが素人っぽい、高校生の学園祭で見るような映画だ。その映画を作る資金に、死にかけている高齢の叔父から３０００ドル借り、ガールフレンドとの間に３人も子供がいるのに、未だに結婚せず、両親と暮らしている。母親は撮影の手伝いまでさせられている。はっきりいって、まったく見込みがなさそうなのだが、それでも彼は止めようとしない。この映画は、そんな彼が映画を作る過程を、家族や友人との関わり合いを通して描いていく。うらやましいと思ったのは、この田舎の地元の人々が暖かいこと。こんな彼を無償でサポートする友人に囲まれ、稚拙な映画であろうと、見に来てくれる観客がいること。都会で映画作りをするのと違って家内工業的な微笑ましさがあった。高齢の叔父はこの映画が完成する直前に亡くなり、彼の映画製作の資金として５万ドル残したという。マーク・ボーチャードは今でも夢を捨てずにいるという。

  2005年01月10日

• 二作目

  二作目の作品が仕上がったので、今日、出版社に企画書と共に送ってみた。前回出した出版社には送らなかった。前の社は編集者の方が出張ばかりで忙しく、メールでのやりとりも、返事が１０日や２週間来ないこともふつうで、待っているだけで疲れてしまった。今回は小さい会社でも時間をかけて編集してくれるところを選びたい。選びたい、というより選んでもらう立場だが。今回の作品は半分は２年前に前作を描いている合間に仕上げたもので、毎日の生活の中で感じたこと、新聞やテレビ、雑誌を見て思ったことなどを書いた。特に選んだわけではないが、やはりこの街の文化の多様性、いわゆる「ダイバシティ」について、多くを書いたような気がする。結局、私がここを他より居心地よく思うのは、様々な人種や多様な考えに囲まれ、一つの宗教や倫理に縛られず、自由に呼吸できるからではないかと思う。歴史や社会、政治について書く以上、いいかげんなことも書けず、調べるのがたいへんだった。英文の資料も沢山読んだが、その中でも、ニューヨークの歴史については、リック・バーンズ監督のPBSドキュメンタリー「ニューヨーク」が非常に役にたった。ただ、このビデオ、やたらとニューヨークの俯瞰図がでてきて、それが１９９９年の撮影なもので、ワールドトレードセンターが当然のようにマンハッタンの南端に映っている。それが懐かしいというより、「あれが今はない」というのが不思議というか、奇妙な感覚だった。おそらく私の本当に好きな街は、このツインタワーがあった頃のニューヨークではないかという気がした。自分が好きだった、すべてが可能に思われた街は、今はもう存在せず、タワーの消滅と共に、街も、人も、この国自体も、元の無邪気さが消えてしまったような気がする。あの事件以降、テロの脅威からセキュリティーはますます強化され、社会は保守的で窮屈になる一方だ。あと４年も大統領があの方だし。そう言っているうちに、今年はグランドゼロに新しいビルの建設が始まる。時のたつのは何と早いことよ。そのうち、あそこにツインタワーのあったことを覚えている人など、少数派になってしまうのではないだろうか。「タイタニック号生存者の最後の生き残り」みたいに、「９１１の最後のサバイバー」とかいう肩書きで、今世紀の終わり頃、百二十才の元証券マンがギネスブックに載るのではないか？　-----------------------------------------ローズマリー・ケネディが亡くなった。”ワシントン（ＡＰ）　故ケネディ元米大統領の妹、ローズマリー・ケネディさんが７日、米ウィスコンシン州ジェファーソンの施設で死去した。８６歳。死因は明らかにされていない。 １９１８年９月１３日、ボストン生まれ。知的障害があったとされるが、２３歳の時に白質切除（ロボトミー）を施され、生涯の大半を施設で過ごした。ローズマリーさんの存在が公になったのは、故ケネディ大統領が就任直後の６０年だった。 白質切除を施される前に書かれたローズマリーさんの日記には、舞踏会や洋服のこと、欧州への旅行、ホワイトハウスにルーズベルト大統領を訪ねたことなどが書かれている。９５年に出版された３６～３８年にかけての日記では、コンサートやオペラの感想などが普通に書かれていた。しかし、父は、彼女の成長とともに知的障害の事実が世間に漏れると、ケネディ家の名声に傷がつくと考えるようになった。一家の医師団も、白質切除を施すべきだと助言した。 ”http://www.cnn.co.jp/usa/CNN200501080008.htmlーーロボトミー手術など絶対にするべきではなかった。手術前の彼女の写真を見たが、知的障害者というより、普通の若い美しい女性として楽しそうに笑っていた。野心家の父親の見栄のために犠牲となったとしか言いようがない。手術のあと、完全な障害者となって施設に送られ、一家はマスコミに知られるまで、その存在さえ隠そうと努めていたという。http://cnnstudentnews.cnn.com/2005/US/01/07/kennedy.obit.ap/WASHINGTON (AP) -- Rosemary Kennedy, the oldest sister of President John F. Kennedy and the inspiration for the Special Olympics, died Friday. She was 86.She was the third child and first daughter of Joseph and Rose Kennedy, born a year after her brother John.Born mentally retarded and lobotomized when she was 23, she lived most of her life in a Jefferson, Wisconsin, institution, the St. Coletta School for Exceptional Children.She died with brother Sen. Edward M. Kennedy and her sisters by her side, the family said in a statement."Rosemary was a lifelong jewel to every member of our family," the statement said. "From her earliest years, her mental retardation was a continuing inspiration to each of us and a powerful source of our family's commitment to do all we can to help all persons with disabilities live full and productive lives.""We know our parents and our brothers and sister who have gone before us are welcoming her joyfully home to heaven," the family said.Rosemary Kennedy's condition became an inspiration to her younger sister, Eunice Kennedy Shriver, who became an activist in the field of mental retardation.Shriver later founded the Special Olympics for mentally disabled athletes, and in 1984 she took over her sister's care after their mother had a stroke.While Rosemary remained largely out of the public eye for more than 40 years, her retardation became public in 1960, just after her brother John was elected president.The National Association for Retarded Children mentioned in a publication that the president-elect "has a mentally retarded sister who is in an institution in Wisconsin."The following year, Eunice revealed more about her sister's story in an article for The Saturday Evening Post."Early in life Rosemary was different," she wrote. "She was slower to crawl, slower to walk and speak. ... Rosemary was mentally retarded."Born Rose Marie Kennedy on September 13, 1918, in Boston, Massachusetts, she was known as Rosemary or Rosie to friends and family.Her retardation may have stemmed from brain damage at birth. But in her own diaries before the lobotomy she chronicled a life of tea dances, dress fittings, trips to Europe and a visit to the Roosevelt White House.Preserved by her mother's secretary, the diaries came to light in 1995, in a book. And while they revealed no great secrets, the three diaries -- written between 1936 and 1938 -- described people she met and concerts and operas she attended.As she got older, however, her father worried that his daughter's mild condition would lead her into situations that could damage the family's reputation."Rosemary was a woman, and there was a dread fear of pregnancy, disease and disgrace," author Laurence Leamer wrote in his book "The Kennedy Women: The Saga of an American Family."Leamer wrote that Rosemary had taken to sneaking out of the convent where she was staying at the time.Doctors told Joseph Kennedy that a lobotomy, a medical procedure in which the frontal lobes of a patient's brain are scraped away, would help his daughter and calm her mood swings that the family found difficult to handle at home.Psychosurgery was in its infancy at the time, and only a few hundred lobotomies had been performed. The procedure was believed to be a way to relieve serious mental disorders.Leamer wrote that Rosemary was "probably the first person with mental retardation in America to receive a prefrontal lobotomy."But Rosemary was reduced to an infant-like state, mumbling words and sitting for hours staring at walls, Leamer wrote.Rosemary lived in several private institutions before her father placed her in St. Coletta, an hour west of Milwaukee. He oversaw construction of a private house there for Rosemary and two nurses.Later, in 1984, the Kennedy family gave the institution $1 million, in honor of Rose Kennedy's 93rd birthday."We are forever thankful to the loving members of the St. Coletta community who care for Rosemary, loved her, and in a very real sense became extended members of our family," the family statement said.During the 1980s, Eunice involved Rosemary more in the lives of her siblings and their children. She attended family gatherings in Hyannis Port, Massachusetts, New York and elsewhere more frequently than before.

  2005年01月09日

• HAPPY NEW YEAR 2005

  米東海岸も１月１日を迎えたところ。。。今年になって最初にやったのは、アメリカンレッドクロスにオンラインで寄付したこと。何かもうせずにはいられない感じ。微々たるものだが、少しは助けになって欲しい。今年も良い本を沢山読んで、自分で感じた事、考えたことなど書いていきたい。本もまた懲りずに出版したい。英語でも書きたいと思う。Wishing you all a joyous holiday season and a very happy New Year！

  2005年01月01日

• 米国の人気俳優、ジェリー・オーバック氏死去

  　米国の人気俳優、ジェリー・オーバック氏が28日夜（日本時間29日午前）、前立腺がんのためニューヨーク市内の病院で死去した。69歳。現在も放映中の米人気テレビドラマ「ロー・アンド・オーダー」に刑事役として長年出演した。　１９３５年10月、ニューヨーク・ブロンクス区出身。イリノイ大学とノース・ウエスタン大学で学んだ後、ニューヨークに戻り演技や歌の指導を受けた。69年、ミュージカル「プロミセス、プロミセス」でトニー賞男優賞。81年、米映画「プリンス・オブ・シティ」に出演以後、刑事役や父親役などで人気を博した。今月初めから入院していた。--一度、市バスに乗っているのを見たことあるけど、あのまんまで、眉が太くて鼻が高い普通のおじさんだった。回りの人と普通に世間話をしていた。ニューヨークの舞台人という印象が強い人で、まさか、日本でも人気があるとは知らなかった。ミュージカル、ファンタスティックスの初演でエルガヨだったそうだ。名前じゃ不明だが顔から判断してイタリア系かロシア系？　他のブロードウェイミュージカル出演は以下。「４２番街」「シカゴ」「カーニバル」「三文オペラ」「ガイズアンドドールス」「シカゴ」ーーーーーーーJerry Orbach, Star of 'Law & Order,' Dies at 69By BEN BRANTLEY and RICHARD SEVERO Published: December 29, 2004erry Orbach, who won fame on the New York stage as one of the last bona fide leading men of the Broadway musical and global celebrity on television as a New York detective on NBC's "Law & Order," died on Tuesday night. He was 69.Mr. Orbach died at Memorial Sloan-Kettering Cancer Center in Manhattan, a hospital spokeswoman said.The cause was prostate cancer, his manager, Robert Malcolm, said.In performances that spanned a half century, the Bronx-born Mr. Orbach came to embody two beloved New York archetypes: the musical matinee idol, to which he gave a refreshingly modern spin with his rugged and idiosyncratic persona, and the shrewd, irascible cop, a role he honed to a razor's edge as Detective Lennie Briscoe on "Law & Order." After playing that role for 12 seasons, Mr. Orbach left the show at the end of last season with plans to star in "Law & Order: Trial by Jury," a spinoff that is scheduled to have its debut on NBC in the spring. His illness, which he made public earlier this month, figured in the switch. Dick Wolf, the creator of "Law & Order," said the new show, on which Mr. Orbach was to appear only occasionally, was less taxing.Whether singing "Try to Remember" as the dashing narrator of "The Fantasticks" in 1960 or trading barbs with fellow detectives and reluctant witnesses on television in recent years, Mr. Orbach exuded a wry, ragged masculinity that was all his own. As a star of musicals, he created a new kind of hero who was leagues away from suave, swaggering Adonises like John Raitt, Howard Keel and Alfred Drake (though like them, he sang in a resonant baritone). And he flourished at a time when the Broadway musical hero was fast becoming an endangered species. There were plans to dim the lights along Broadway in his memory last night, said Jed Bernstein, president of the League of American Theaters and Producers.In shows like "Promises, Promises" (Neil Simon and Burt Bacharach's 1968 adaptation of the movie "The Apartment") and "42nd Street" in 1980, Mr. Orbach registered as a musical answer to the shaggier leading men who had begun to emerge on American movie screens, actors like Dustin Hoffman and Jack Nicholson. His rough-edged individuality may account for his endurance on the Broadway stage in an era when other promising musical actors - including Larry Kert, Robert Goulet and Robert Morse - proved unable to follow through on their breakthrough successes. Mr. Orbach may have been the last of a breed: no male star since has matched the breadth and continuity of his career in musicals. Though he originated the part of the corrupt, silver-tongued lawyer Billy Flynn in Bob Fosse's 1975 production of the musical "Chicago," Mr. Orbach was at his best as a tough cookie with a melting center. Writing in The New York Times of "Promises, Promises," the critic Clive Barnes said of Mr. Orbach's portrayal of the haplessly ambitious, morally bewildered hero: "He makes gangle into a verb, because that is just what he does. He gangles. He also sings most effectively, dances most occasionally, and acts with an engaging and perfectly controlled sense of desperation." Yet he was equally persuasive as the dictatorial director in David Merrick's Broadway version of the movie "42nd Street," in which Mr. Orbach instilled new vitality in the hoariest of showbiz clich市. When, at the conclusion of the show's opening-night performance, Merrick shocked the audience and cast by announcing that its director, Gower Champion, had died, it was Mr. Orbach who had the taste and authority to request that the curtain come down. Mr. Orbach's other important stage roles included Mack the Knife in the landmark Off Broadway production of "The Threepenny Opera" in the late 1950's and El Gallo, the benevolently interactive narrator in "The Fantasticks," which was staged at the Sullivan Street Playhouse in 1960 and became the longest-running musical in New York. Walter Kerr, writing about that performance in The New York Herald Tribune, said, "Mr. Orbach is no doubt on his way."He also appeared as the puppeteer in "Carnival!" in the early 1960's and was nominated for a Tony Award for playing Sky Masterson in the 1965 revival of "Guys and Dolls." He won the Tony for best actor in a musical for "Promises, Promises." His film work was less gratifying, though he appeared to good advantage as Gus Levy in "Prince of the City," Sidney Lumet's biting 1981 movie about corruption in the New York City Police Department, and as Jack Rosenthal in Woody Allen's "Crimes and Misdemeanors" in 1989. (His work in film also led to an unlikely friendship with the mobster Joey Gallo, after Mr. Orbach portrayed a character modeled on Gallo in the 1971 movie "The Gang That Couldn't Shoot Straight.") It wasn't until the 1990's, when he started appearing as Lennie Briscoe in "Law & Order," that Mr. Orbach became a familiar name throughout the country. The rough edge that distinguished him on Broadway eased his transition to character roles like Briscoe, the recovered alcoholic who seemed to greet the discovery of each episode's crime with a world-weary shrug. Jerome Bernard Orbach was born in the Bronx on Oct. 20, 1935, the only child of Leon Orbach, a restaurant manager with some experience in vaudeville, and the former Emily Olexy. The Orbachs moved to Waukegan, Ill., when Jerome was in the seventh grade. In 1952, after graduating from Waukegan High School, he attended the University of Illinois, but stayed only a year. He transferred to Northwestern, where he studied drama. He remained there for about two years, but left without earning a degree. Mr. Orbach did menial work for stock companies before being awarded small parts; later, he said that the stock experience helped him learn to control his voice and "not to do too much with my eyebrows." In 1955 Mr. Orbach headed to New York and found a job almost immediately as the understudy for the role of the Street Singer in an acclaimed Off Broadway production of "The Threepenny Opera." He remained with the company for three years, eventually taking on Scott Merrill's role of Mack the Knife. He studied acting with Herbert Berghof, Mira Rostova and Lee Strasberg. After leaving "Threepenny" in 1959, he worked with stock companies in Ohio, appearing in "Mister Roberts," "The King and I" and "Harvey." But it was the now-fabled "Fantasticks" that established Mr. Orbach as a star. Soon after, he moved on to Broadway in "Carnival!" The critic Frances Herridge called him a "rare combination of powerful male actor and singer." Mr. Orbach remained busy with varied stage work in New York, including "The Cradle Will Rock" (1964), revivals of "Carousel" and "Annie Get Your Gun" in the mid-1960's, Bruce Jay Freidman's comedy of neurosis "Scuba Duba" (1967) and "6 Rms Riv Vu" (1972). His films include "Brewster's Millions" (1985), "Dirty Dancing" (1987) and "Last Exit to Brooklyn" (1989). On television he appeared on "The Shari Lewis Show," "The Jack Paar Show," "The Nurses" and "Bob Hope Presents." Mr. Orbach married Marta Curro in 1958. They were divorced in 1975. In 1979 he married Elaine Cancialla, who survives him. He is also survived by his sons by his first marriage, Anthony, of New Jersey, and Christopher, of Manhattan; and two grandchildren.After appearing in "The Gang That Couldn't Shoot Straight," Mr. Orbach received a call from Joey Gallo, the mobster. "A cop that he knew had met us and told him that he'd met the guy who supposedly played him in the movie, that he was a nice guy, not like an actor," Marta Orbach recalled shortly after Gallo was gunned down in 1972. Through the Orbachs, Gallo briefly became one of the stranger fixtures of the showbiz social scene in Manhattan and was working on a memoir with Marta Orbach at the time of his death. Gallo lived in the Orbachs' Chelsea brownstone for a month and was married there a month before his murder. With his portrayal of Lennie Briscoe on "Law & Order," Mr. Orbach achieved a worldwide fame that had previously eluded him. He became the face of a typical New York cop, and the police liked what they saw. Mr. Orbach took the role seriously, so much so that he appeared in 2001 at a demonstration in which police officers demanded higher wages from Mayor Giuliani's administration. "All I can do is try and represent you guys on a TV screen and make you look as good as I can," Mr. Orbach was quoted as saying in Newsday. "I could never go out and not know if I'm coming home that night the way you do."

  2004年12月30日

• 「Hard News 」by Serh Mnookin

  昨年五月にニューヨーク・タイムズのレポーターがねつ造記事を書いていた一件についての詳細。最近は何かと英語の本ばかり読んでる。実際、タイムズ紙一面に、「長期に渡りねつ造記事を書いていた同紙のレポーターが辞職した」という題の長文記事が出たときはビックリした。同紙のジェーソン・ブレア記者（二七歳）が、相当数の記事をねつ造してきた詳細を読者に報告するもので、記者は一九九八年夏にインターンとしてタイムズに現れ、その後記者として採用され、ここ数年、国内記事を精力的に書き続けてきた。しかし次第に記事に間違いが多くなったという。　彼がイラク戦争で行方不明中の家族について書いた記事がテキサス州の地元紙を盗作したものであることが発覚し、社内調査が開始したのは、つい最近のことだった。その後、昨年一〇月以来同記者が書いた記事七三本について、記事で書かれた人物に直接電話して確認するとともに、出張記録や支出記録を調べた所、少なくとも三十六本の記事がねつ造であることが分かったという。　タイムズ紙はこの日、「エディターズ・ノート」で、ブレア記者の行為は「読者の信頼への裏切りであり、本紙一五二年の歴史の汚点である。彼の記事で迷惑を受けた人々に謝罪したい」と述べている。　渡米以来のタイムズ紙の愛読者である私は、この権威のある新聞社がこのような事態に陥ったことが、まずショックだった。自らの記事が「虚偽」であったと認め、読者に謝罪するというのは、真実を報道することを命とする新聞社にとってどれだけ恥ずかしく辛いことだろう。　そして、タイムズ紙記者という、いわばエリート中のエリートのジャーナリストが「記事をねつ造する」、という事実にも驚いた。しかし、よく記事を読むと、このブレア記者は大学や大学院の学位もない、在学中に学生インターンから採用された人物で、ジャーナリスト、ひいては社会人としての倫理観も学ばないまま、若くして第一線の記者活動に従事していたらしい。そして、彼は黒人青年だった。　私は別に人種差別をしているのではない。ただ、この事件の詳細を知るにつれ、そして、彼のボス、タイムズの名物編集長のハウエル・レインズ氏が彼を好み、他の彼を疑う人々からかばっていたという記事を読むにつけ、一つのアイデアが沸いて仕方がなかった。アイデアとは、ブレア記者が「黒人である」事に対して、この編集長が一種の「逆差別的な特別待遇」をしていたのではないか、という疑いだった。　私の予想は的中していた。その後、ニューヨーク・ニューズデイ紙は、レインズ氏が事件直後のスタッフ・ミーティングで、「南部アラバマ州出身の白人である自分は、無意識的にせよ、黒人であるブレア記者に白人記者には与えないチャンスを、一回ほど多く与えていたかもしれない」と語ったとリポートしている。ブレア氏自身は、マイノリティーのリポーターとして、新聞社で白人記者以上に厚遇されていたといっている。実力のない彼にはそれが辛く、仕事のプレッシャーとストレスからドラッグとアルコールに溺れ、やがては「ねつ造」という自己破滅行為へ及んだと告白している。　私の友人たちはブレア氏に同情せず、怒りを覚えたと言っていた。ジェーソン・ブレアのような「厚顔の嘘つき」のケースは、真面目に努力している同人種から見てマイナスの要因にしかならない。特に、彼はオフィス内のポリティックに長じ、風向きを見ながら「ねつ造」行為を続けていたというから、たちが悪いことこの上ない。　事件から五週間後、レインズ氏は結局、この件の責任をとって辞任に追いやられた。腕利きの名物編集者だっただけに、惜しむ声も多かったという。その後のジェーソン・ブレアだが、今年三月、手記を出版した。タイトルは何と、「Burning Down my Masters' House　主人の家を燃やして」だ。「マスター」というのは奴隷制時代に奴隷が主人を呼ぶ言葉だから、タイトルから見てブレア氏は、自分の起こした事件を「人種差別」というテーマに沿って弁明したいことが分かる。しかし、彼がした行為は、彼に対して好意的だった人々の期待を裏切ることであり、世話になった新聞社の世間的な信用と名誉を地に落とすことだった。仕事のプレッシャーから精神を患っていたのは分かるが、「差別」を自分の罪の言い訳に持ち出すのは、筋違いとしか思えない。この本は、ブレア氏の意図に反し、売れ行きは期待したほどでなく、全国書店でのサイン・ツアーも中止となったらしい。この事件が、ジャーナリスト志望の優秀な黒人学生が機会を得ることを妨害する原因にもならないことを祈るばかりだ。マイノリティーを厚遇する制度も、そろそろ曲がり角に来ているということか。ーーーーーーーーーーーーーーーー著者献本をこちらの朝日新聞と毎日新聞に送ったら、書評を載せてくれると返事が来た。ありがたい。__________________________________9／11にペンシルバニアに墜落した便は、「撃墜された」とラムズフェルド氏がイラクで言ったそうです。http://www.michaelmoore.com/words/index.php?id=728撃たれたって。。。ラムさん、クリスマスで口がすべったの？あの便は、政府ビルに突っ込む前に墜落させようと、テロを知った乗客が力を合わせてハイジャッカーと戦ってるうちに落ちたはずでは？ 。。実は撃墜されたのですか？　誰に？　まさか政府軍に？Ever since Sept. 11, 2001, there have been questions about Flight 93, the ill-fated plane that crashed in the rural fields of Pennsylvania. The official story has been that passengers on the United Airlines flight rushed the hijackers in an effort to prevent them from crashing the plane into a strategic target possibly the U.S. Capitol. During his surprise Christmas Eve trip to Iraq, Defense Secretary Donald Rumsfeld referred to the flight being shot down ー long a suspicion because of the danger the flight posed to Washington landmarks and population centers.

  2004年12月28日

• Frank Capra's American Dream

  フランク・キャプラ監督のバイオグラフィー。http://www.geocities.co.jp/Hollywood/5710/f-capra.htmlhttp://cinema-magazine.com/old_page/kyosyo/capra.htm『キャプラ・タッチ”　キャプラ・タッチがいたるところに見られる映画が３９年の「スミス都へ行く」である。キャプラという監督を知る上では、マストである。　キャプラの映画は、いつも独特だった。絵にかいたような正直者の主人公が、権力者の圧力と戦うというのがスタイル。善悪がはっきりしている社会派コメディに特に定評があった。キャプラの映画にはしょっちゅう新聞のフロントページが出てきたものだ。　キャプラ映画は、ラストになると、温もりに満ちた展開になる。人生の素晴らしさを謳った映画になる。キャプラは、映画の中で常にアメリカン・ドリームを映像化していた。この演出を、世間はキャプラ・タッチと呼んだ。　今でも、心温まる映画のことをキャプラ・タッチということがあるが、それだけキャプラの映画は暖かく、印象深かった。』Frank　Capra(1897～1991)イタリアのシチリア島出身。ハリウッド映画最盛期に、社会派映画監督として名を馳せた。アカデミー監督賞を５年間で３度受賞した驚異の記録保持者。「素晴らしき哉、人生！」は、アメリカでは毎年クリスマスの日に必ず放送される人気だ。見た事あるのは、以下。３４　或る夜の出来事　It Happened One Night (1934）３７　失はれた地平線Lost Horizon (1937)３９　スミス都へ行くMr. Smith Goes to Washington (1939)４１　群衆　Meet John Doe (1941)４４　毒薬と老嬢Arsenic and Old Lace (1944)４６　素晴らしき哉、人生！It's a Wonderful Life (1946)State of the Union (1948)私は社会派ドラマより、スペクタクルの「失はれた地平線」と、舞台をそのまま映画にしたような「毒薬と老嬢」が面白かった。たぶんゲイリー・クーパーとか、ジミー・スチュアートとか、純真でアメリカの良心のような役者が苦手なせいかもしれない。その点、「或る夜の出来事」のゲーブルは悪っぽくて良かった。世界恐慌のころで、監督は自分が世間の人より良い暮らしをしていることに罪の意識があって、貧しい人を元気づける映画が作りたかったとか。脇役や、老人の使い方の上手いひとだと思った。「毒薬と老嬢」の主役の二人以下、無名の出演者が最高に面白い。長生きで亡くなったのはつい１０年ほど前だった。映画は彼の求めるものを世間が求めなくなった５０代で作り終わっていたそうだが。

  2004年12月13日

• 「死ぬ瞬間」

  という題名のエリザベス・キュープラー・ロスという医学博士の本が届いた。今すぐには読めないがとても楽しみ。http://www.elisabethkublerross.com/【エリザベス・キュブラー・ロス博士は精神科医で、死と死の瞬間という分野を開拓した本「死ぬ瞬間」の著者である。彼女はこのテーマにおいて最も愛され、尊敬される存在となった。70代の今も生活のほとんどを死にゆく人々のために働いて過ごしている。スイスのチューリッヒに三つ子の一人として生まれた。1957年にチューリッヒ大学医学部を卒業した後、1958年に渡米した。当時勤務していたニューヨークの病院での瀕死の患者の扱いに彼女は愕然とした。「彼らは避けられ、粗末にされ、だれも彼らに正直に接していなかった。」彼女の同僚たちとは違い、いつも末期の患者とともにいて、彼らの心の声を聴いていた。彼女は自らの経験を語る瀕死の患者についての講義を始めた。1969年の最初の本「死ぬ瞬間」はキュブラー・ロス博士を世界的に有名にした。「私の当時の目標は、患者が心の奥深くの悩みを訴えることを禁じる専門家の拒否の姿勢をうち破ることだった。」と書かれている。このテーマについて何年間も満席の聴衆に向かって話をし、20冊以上の本を書いた。これらは"To LIve Until We Say Good-Bye", "On Children and Death", "AIDS the Ultimate Challenge and her autobiography", "The Wheel of Life"などである。本は25カ国語以上に翻訳され、また彼女は20を越える名誉博士号を受けている。　1995年に彼女はひどい発作におそわれた。麻痺が残り、彼女自身死と向き合うこととなった。容態が安定したとはいえ、彼女は発作から完全には回復していない。「私はゲートを出たのに離陸できなかった飛行機のようなものです。ゲートに戻るか、そうでなければ逃げ去ってしまいたい。」現在彼女はアリゾナに住み、鳥やコヨーテとともに過ごす日常を楽しんでいる。彼女はちょうど最新作"Life Lessons"を書き上げたところである。この本では二人の死についての専門家が生きることの神秘について私たちに教えてくれる。「最後には生きることに関する本を書きたいと思っていました。」(http://www.elisabethkublerross.jp/より)】--このエリザベス・キュブラー・ロスさんが今年の８月２４日に７８歳で老衰で亡くなったと聞いたばかり。この人の本「To Live Until We Say Good-Bye」を読んだのは１０年ほど前、千葉敦子さんの本の流れだったかもしれない。書店でたまたま見つけて面白そうな写真がたくさんあったので買った。子供から大人まで、１０人ほどの末期ガンの患者と家族がどのように死んでいったか、写真とロスさんのインタビューでドキュメントされたものだった。死の臨床、終末期医療の先駆者で、死の受容に至る5段階説（否認、怒り、取り引き、抑うつ、受容）を発表したことで知られている。ホスピスなど終末期の患者に接していく必要性を感じてワークショップを始めたり、精神科の患者さんたちの治療を外来で行ったり、エイズの患者さんの心のケアを行ったりしていた人だった。千葉敦子さんもたしか著作で、ガンというのはゆっくり死んでいくので心の準備ができていいと言っていたことを思いだす。ロスさん自身はたっぷりと時間をかけて満足のいく死に方を成し遂げたのか。

  2004年12月07日

• 著者献本が到着。

  ５０冊づつ、段ボール箱二箱。日本を出たのが１０月１０日だから、やはり船便で二ヶ月近くかかっている。９月初旬に日本で発売され、もはや書店に並んで三ヶ月目を迎える本を、いきなり１００冊もらえても、なんだかもう古い本のようで、妙に新鮮味がない。とりあえず、５０冊は昔世話になった地方の図書館や、こちらのマスコミ関係、友人に寄贈するつもり。のこりの一箱５０冊は、このまま、箱に入れたまま、ずっと手元に残しておこうか？　死後、枕元に発見されたり。（引っ越しのとき面倒かも）。たぶん、今後何十年間か、少しずつ人にあげたりしていくのだろう。「昔こんな本書いたんですよ」とか恥ずかしげに差し出したり。日本語の本だが、こちらの母校の図書館にも寄贈しよう。実は表紙の写真は卒業した大学のトイレが舞台になっている、というのも言わない限り絶対に分からないだろう。クリスマスシーズンだが、私の住んでる地区はユダヤ系が多いので、毎年たいして盛りあがりはない。街頭でツリーを売る姿もまばらで、ハヌカの装飾品を売る店が着飾ったショーウインドウを見せている。http://www.thedenverchannel.com/holidays/3963530/detail.html「メリ－クリスマス」と挨拶するのは他宗教への冒涜だから、パレード中、クリスマスキャロルを歌うのは止めましょう、とデンバー市長が決めて教会グループが抗議している、、、というコロラドの記事だが、そういえば、ニューヨークに来てから「happy holidays」という言葉が主流で、「メリ－クリスマス」という言葉はあまり聞かない。コロラドのデンバーにも他宗教の居住者が増えているということか。でもデンバーの教会グループにしてみれば、クリスマスと言えばキリストの誕生日であり、宗教色があって当然と言いたいに違いない。思えば、宗教と関係のない商魂中心の日本のクリスマスは何と単純だったことか。「ケーキ」と「ツリー」とサンタクロース（a.ka parents）から貰えるプレゼントがすべてだった。

  2004年12月03日

• カサブランカ１９４２

  昨夜、PBSで映画「カサブランカ」をやっていた。終わりの方を少しだけ見た。２７歳のバーグマンは奇麗、ボギーもまだ若い。バーグマンはまだハリウッドに新しい頃で、英語に訛りがある。日本語の字幕で「君の瞳に乾杯」というのがあるが、これは英語にすると、「Here's looking at you, kid.」で、だいぶ雰囲気が違う。「 I think this is the beginning of a beautifulfriendship.」「これが美しい友情の始まりだと思う」という最後の名台詞もあった。バーグマンの大ファンではないが、彼女の映画で今まで見たのは、以下。 別離（1939年） カサブランカ（1942年） ガス燈（1944年） 聖メリーの鐘（1945年） サラトガ本線（1946年）汚名（1946年） 凱旋門（1948年） 追想（1956年） 六番目の幸福（1958年）サボテンの花（1969年） 秋のソナタ（1978年） 奇麗なんだけど、どっか素朴で正直で、悪女の演じられない善人美女。鼻が高い。ああいう鼻とキスをするときは顔をナナメにするしかないだろう。背が高くて、骨格が太いところは田舎の主婦的な体格かもしれない。本人も、２４歳でスエーデンからハリウッドに来たころ、自身のことを「ペザント」と揶揄していた。雰囲気は聖女のようなのに、映画の相手役とは必ず深い仲になり、映画の製作終了とともに恋が終わるというパターンを繰り返していたそう。しかも医師と結婚していて子供もいたのに。「誰が為に鐘は鳴る」の共演者、ゲーリー・クーパーとはかなり真剣だったそう。その後、３２歳でロッセリーニ監督との不倫で、イタリアに夫と子供を捨てて駆け落ちして、スキャンダルになる。その間、アメリカでは聖女扱いされていただけに、ファンの抵抗が強くて映画が作れず、ハリウッドに復帰したのは、８年後。イタリアで、夫のロッセリーニ監督の元で主演映画を作るが、個性の違いからかどちらにも有利に働かなかった模様。晩年まで勢力的に映画や舞台に登場していた。アメリカ人とはどこか違う、やはりヨーロッパ女優という感じ。見た中では、ハリウッドデビューの「別離（1939年） 」の愛らしさが印象的。最後の方のスエーデン映画「秋のソナタ（1978年）」もよかった。演技していないように自然だった。http://www.paoon.com/star/367.html

  2004年11月26日

• 伝記を読むのが趣味

  今日届いた本は、Many Masks A Life of Frank Lloyd Wrightーーこれは建築家のライトの伝記だ。先週PBSのドキュメンタリーを見て、ついアマゾンで古本を買ってしまった。考えてみると、最近買う本はノンフィクションのバイオグラフィーばかりだ。今うちにある欧米人の伝記の一部The Wheel of Things a biography of Lucy Maud MontgomeryThe Life of Elizabeth TaylorAudrey HepburnDavid Lean: A Biography Marilyn MonroeNotorious: The Life of Ingrid BergmanKatherine HepburnClark GableCharlie ChaplinFellini on Fellini Charles Lindbergh The Kennedys: Dynasty and Disaster Alec Guinness: A Life Colleen DewhurstThe FondasWhat Falls Away : A Memoir by MIA FARROW 英語のものはほとんどハリウッドの役者や監督のばかり。キャサリン・ヘプバーンのは自伝と、伝記と、若い頃のと三種類もっている。一番面白かったのは、キャサリンの他、バーグマンとデビッド・リーン監督。モンゴメリ、ケネディ一族、リンドバーグも面白かった。モンゴメリは日記を全五巻もっている。こちらの本屋はバイオグラフィーのセクションが豊富で、いろいろそろっていて面白い。著名人はある程度の年をとると、「メモワール」を書くことが多いようだ。日本はまだそうでもないのかも。日本人の伝記、自伝で持っているのは以下など。高峰秀子、草間弥生、ヨーコオノ、植村直己、沢村貞子、犬養道子、千葉敦子、宮本美智子、李香蘭その他。最近は全然フィクションを読みたいと思わないし、読めなくなってしまった。

  2004年11月21日

• 出版後３ヶ月弱

  さて、本が売れている気配はあいかわらずないが、何ぶん、出版数が少ないので、取り次ぎ店や出版社の在庫は僅少とのこと。まだまだ全国の書店の奥深くの棚に入っているようだ。ただ、うちの出版社は学術専門の小出版社だが、紀伊国屋書店の棚に出版時「確実に入る」という逞しい底力があり、私のような無名の作家の本でも、出版当初は紀伊国屋の全国支店１２カ所に入った。三ヶ月たった今も、踏ん張って１１カ所に入っている。ただ、売れてないので返品が確実に始まっており、１カ所減り、２カ所減りして、半年、一年後には支店の５カ所でも入っていれば良い方ではないかと思う。現にうちから出ている無名の作家の本の行く末を見ていても、昨年の秋出版されたものは、ほとんど重版されることもなく、紀伊国屋支店３－５カ所踏ん張っているのがほとんど。これが三年目になると１－２カ所になり、四年目になると、ほとんどが消えていく。今は不況のせいか、よっぽど売れると見込まれた本以外は重版されることもないから、少部数を売り切って終わりだろうと覚悟をしている。９月末に日本を出たという船便で送られてくるはずの著者献本１００冊もいまだ到着せず、こちらの日系書店にもまだ入荷せずで、日頃、自分の本を生で見る機会もない。出版したという実感も薄れて行く今日この頃である。幸い、今はアマゾンやら楽天さんがあるし、図書館の横断検索もあるので、幾冊かはどこの図書館に入っているか分かるのでありがたい。これがネット時代でなかったら、ますますもって、何が何やらさっぱり分からないだろうな、とつくづく思う。

  2004年11月20日

• 

  「Give me my father's body」by Ken Harper　を読んでいる。

  最近気が抜けてしまってなかなか日記を書く気になれない。まだ選挙の脱力感が抜けてない感じがする。 今読んでいる本は「Give me my father's body」by Ken Harper。この本は９３年にニューヨークタイムズで読んだ記事をきっかけとして知ったのだが、その当時は自費出版の本で、その後、２０００年に大手の出版社から出版され、日本語にも翻訳されているらしい。（日本語のタイトルだと「お父さんの体を返して」だろうか）１９９３年８月、私はニューヨーク・タイムズに、「博物館のエスキモーの骨格とそれ自身　A Museum’s Eskimo Skeltons and Its Own 」という記事があるのを見つけた。その記事は、一言でいうと、「六週間前、アメリカ自然史博物館の職員は４つの人体骨格を箱に詰めてグリーンランドに送った」というものだった。そして、その「４つの人体骨格」は約一世紀前に、著名な極地探検家「ロバート・Ｅ・ピアリー」氏によってアメリカ自然史博物館に連れてこられた６人のエスキモー人のうち、当地で亡くなった４人の遺骨であったのだ。記事にはこうあった。「アメリカ自然史博物館の職員が箱に詰めてグリーンランドに送った骨格は、ロバートE.ピアリーが１８９７年に、インタビューし、検査し、測定するために自身と一緒に連れてきたエスキモー人の遺骨である。極地で伝統的な方法で埋葬されるために帰国する骨格たちは、科学的調査によって犠牲にされた未開人たちの悲劇的でアメリカの恥ずべき物語を終わりにすることになる。これは種のサンプルとして連れてこられた、病原菌への抵抗力のない人々が当地で急死した物語であり、ミニックという死を免れた一人のエスキモー少年の物語でもある。一緒にアメリカに来た父と姉がなくなった後、孤児になったミニックはアメリカ人の養子になってブロンクスで育ち、十年後、博物館のガラスケースに展示されている父親の遺骨と対面する。ミニックはそれから何度も博物館に埋葬のために父親の遺骨の返還を要求しては拒絶され、失望のうちにインフルエンザで２６歳で亡くなった。今、エスキモーが初めてここに連れてこられてから約一世紀後、博物館はグリーンランドのカナックという、ペアリーがエスキモーたちをニューヨークに誘った一番近いと思われる村に遺骨を送り返したのだ。」博物館はいまだに、骨格を展示していたことを否定しているという。なぜ一世紀も遺骨が博物館の引き出しに入っていたかとの質問にはこう答えている。「時代が違う。あの頃は人々は今とは全く異なる繊細さを持って人種を扱っていた」。俳優のケビン・スペイシーがこの実話に興味を持って映画化を企画しているというが、ドキュメンタリーにしておいたほうが良いような気がする。ケン・バーンズが作ってPBSでやってくれないかしら。アメリカにとって恥部になる話だから、難しいだろうか？

  2004年11月19日

• PBS「 Frank Lloyd Wright」 film by Ken Burns

  http://www.pbs.org/flw/-He was a master builder, a rebel and a worshipper of nature. Explore the legacy of Frank Lloyd Wright, divided here into 10 periods spanning his life of 91 years.-PBSのアメリカンバイオグラフィーシリーズ。Ken Burnsは「The Civil War」とかの作品で有名なドキュメンタリー映像作家。二晩にわたる長い作品だったけど、すごく面白かった。 Frank Lloyd Wright (フランク・ロイド・ライト：1867～1959) がグッゲンハイム美術館や帝国ホテルをデザインした有名な建築家であることは知っていたが、彼の私生活やその人生など、すべてこのフィルムを見て知った。興味深かった点など。１）彼は明治維新のあった年に生まれ、９２歳でなくなるまで建築を辞めなかったこと。最後の作品、グッゲンハイム美術館は彼が８０代で製作を始め、彼の死後完成した。２）エゴイスティックな人柄で、「芸術家は常人と違う。モラルに沿っては生きられない」と公言していたこと。６人の子供を作った最初のを妻を捨てて、クライアントの妻と恋に落ち、ヨーロッパへかけ落ちしたときの発言。この後、アメリカに戻るが、最初の妻が離婚を承諾せず、人妻と同棲を続けた。（この女性はその後、黒人の召使にロイドが出張中、昼食時に客間に放火され、連れ子や客数人とともに斧で惨殺される）３）一度設計したものを何度も新しいアイデアでやり直そうとするので、製作費と日数が異常にかかり、クライアント泣かせであったこと。４）若い頃から、幾何学的だが自然と一体となったエコロジー的な作風で、建物の外観だけでなく、インテリア、家具まで設計したこと。（トータルコーディネイト。）滝や水を利用したデザインなど。グッゲンハイムはあまりにも展示品を無視した設計だと、複数の美術作家から抗議され、作品の設置を拒絶されたこと。５）日本の建築、美術が好きだったこと。帝国ホテルのデザインは日本古来の建物に、同様に好きだったマヤ王朝の風味が加算されている。帝国ホテルの設計には地震を想定した石の土台が使われ、オープン当日に関東大震災があったが、壊れなかった。６年にわたる滞日でのホテルの設計中、彼のエゴで費用と日数がかさみ、日本の雇い主が苦労したこと。http://www.funfan.jp/avenue/teikoku/page3.html日本が好きだったせいか、第二次世界大戦では「pacifist平和主義者、不戦主義者」として、自分の若い弟子に兵役を拒否することを進めたりしている。弟子の何人かはそれで刑務所入りとなる。６）人妻が殺された後、再婚したが、うまくいかず、最後は５０代で知り合った２６歳の高貴なヨーロッパ女性と一緒になる。７）何度も過去の人と見られ、時代から捨てられたが、そのたびに復活して、最後まで引退しなかった。６０代後半－８０代が一番忙しい時期だった。ある意味、大人になることを拒絶した生き方。最初の妻と６人の子を作ったときも、家族に対する関心は薄かった。８）芸術家としての個性、エゴ、才能、女性との関係はピカソに似たところが多い。９）８０代になって積極的に当時最先端だったテレビ出演をしている。１０）６０代で自画自賛の自伝を書いている。１１）ニューヨーク摩天楼のビルは「ガラスだけ」と嫌っていた。 　彼の略歴は以下に詳しい。http://www.iris.dti.ne.jp/~nickey/flw.htm1867年 アメリカ・ウィスコンシン州で父ウィリアム、母アンナの間に生まれる。1885年 ウィスコンシン大学土木科入学するも、数ヶ月後に中退。その後土木事務所で働く。1887年 ライマン・シルスビーなど様々な建築家のもとで働いた後、　　　 シカゴのアドラー&サリヴァン建築事務所のドラフトマンとなる。1893年 シカゴで万博開催。日本からの出展「鳳凰殿」に出会う。このことが後のライトに強い影響を与える。　　　 独立して事務所を開設。事務所として最初の仕事、「ウィリアム･Ｈ･ウィンズロー邸」設計。　　　 以降次々と傑作住宅を設計し、第一期黄金時代を迎える。1905年 初来日。(ここで多くの日本建築のに対する見聞を広めたと思われる。)1906年 日本建築への傾倒が伺える「ユニティ・テンプル」完成。1909年 傑作「ロビー邸」完成する。これにより一連のプレイリーハウスは完結。　　　 クライアントの夫人、ママー・ボースウィック・チェニーとヨーロッパへ逃避行する。　　　 この行為が、周囲の反感を買い、やがて設計依頼が来なくなる。暗黒時代のはじまり。1911年 ウィスコンシン州スプリング・グリーンに設計工房「タリアセン」を建設。1923年 帝国ホテル完成。関東大震災発生するもホテルはかろうじて大損傷を免れる。　　　 (諸説あるが、ライトはこれを本国で宣伝として利用する。が、仕事は増えず。)1929年 大恐慌によりクライアントの財政状態が悪化、いくつかのプロジェクトが中止となる。　　　 不毛の時代はまだ続く。1932年 タリアセン・フェローシップを設立し、建築家を志す世界中からの若者を指導する。1936年 ハーバート・ジェイコブス邸を第1号とし、誰もが手頃な価格で豊かな住生活が送れるよう、　　　 ユーソニアン・システムを開発。1937年 傑作「落水荘」が完成。第二期後期黄金時代を迎える。1938年 「タリアセン・ウェスト」を建設。1939年 「ジョンソン・ワックス本社」建設。(1949年研究所棟増築。)1952年 高層建築「プライスタワー」建設。1959年 アリゾナ州フェニックスにて逝去（91歳）。 　　　 その6ヶ月後「ソロモン･Ｒ･グッゲンハイム美術館」公開。-"Frank Lloyd Wright” follows “Thomas Jefferson” and “Lewis & Clark: The Corps of Discovery” as the third in a series of five biographies Ken Burns is producing and directing. Having made a name for himself through epics like “The Civil War” and “Baseball,” Burns turned to biography because it represents a different entryway to history. “The beginning of my interest in history, the beginning of anyone’s interest in history is in some ways about other people I want to know,” Burns says. “That is called biography, and in fact, Thomas Carlyle, the great British historian, said that history is biography. The way we come to terms with our common past is through a doorway that is the lives of other people. There could be no more interesting person than Frank Lloyd Wright.”

  2004年11月16日

• 「知能指数と政治の関係」はデマでした。

  http://www5.big.or.jp/~hellcat/news/0411/13c.htmlということです。多少は合ってるみたいだが、あれほどの違いはないとのこと。見事に載せられたよう。でも、ぜったいにブッシュ支持の多い田舎の州のほうが超肥満者が多くてテレビ見る時間が長くてジムでワークアウトする時間が短いと思う。あと、ファーストフードを晩御飯にする率も高いだろう。あと、字幕付きの外国映画はほとんど見ないはず。（近所でやってないし）なぜアメリカの田舎に太った人が多いかというと、NYのような都会では１）コリアン系のグロッサリーストアを始め、ローカロリーのヘルシーフードがどこでも買えるし、ジムもたくさんある。２）痩せたスタイルの良い人、ヘルスコンシャスな人も回りに多い。３）仕事も痩せている人の方が得やすかったりする。４）車に乗るより地下鉄を使い、街頭を歩く量も多い。逆に田舎は１）完全な車社会で歩かない。２）大型スーパーで多量に買って来た冷凍食品や、コーラやハンバーガー、ピザ、スナックなどハイカロリーのファーストフードで食事をすませるひとが多い。３）一家や近所全員が肥満というパターンも目立つ。回りが太っていると自分も気にしない。要するに、田舎＝車社会で文化度が低い＝フィットネス意識が低い＝肥満者を多量に生む　という流れになっている。アメリカ人でウイスコンシンから来た友達も、同様のことを言ってた。２０００年の投票率との比較でこういうデータもある。http://www2.hawaii.edu/~bergen/bush.htmlアメリカ内陸部の人が海外に関心がないのは、ずばり、国が巨大だから。隣の州でさえ一日ドライブしても辿り着かない広大な国で、しかもハイスクールでは世界の歴史や地理を簡単に、または選択科目としてしか教えていないよう。そのせいかアメリカの内陸部に一旦入り込むと、世界で何がおころうと関心がない、外国語に関心がない、字幕つき外国映画も見ない、という人が多い。モールが唯一の文化施設なのに、いわゆるアート系の字幕映画は人気のないせいか、ほとんど上映していない。アメリカの教育が厳しいのは大学レベルになってからのようだ。こちらの大学でアメリカ史Iを取ったことがあるが、２００年の歴史が２セメスターに分かれており、非常に細かかった。おかげで平均的アメリカ人以上に南北戦争以前のアメリカ史には詳しくなったと思う。これだけの知識はハイスクールでは詰め込まれなかったから、周りの米人生徒たちは私同様、新鮮な気持ちで自分の国の歴史を勉強していたようだ。自分の国の歴史さえ、あやふやで高校を卒業するとしたら、外国の歴史や地理まで、とてもカバーできないだろう。

  2004年11月15日

• 「知能指数と政治の関係　IQ and Politics」

  http://www5.big.or.jp/~hellcat/news/0411/09a.html「知能指数と政治行動の関連を調べるために、「IQ and Politics」というサイトが「IQ and the Wealth of Nations」から引用した州ごとの平均知能指数と大統領選挙の結果を照らし合わせた表を作成しました。」とのこと。元サイトはここhttp://chrisevans3d.com/files/iq.htmこれを見てまず思ったのは、コネチカットやマサチューセッツというと、やはりアイビーリーグの大学のある東部の州は州全体が教育熱心だということ。要するにアメリカという国は１７世紀にピルグリムファーザーズが最初に移住した北東部周辺が三百年たってもエリートとエスタブリッシュメントの名産地で、いまだに他の州に平均的な教養・文化度で差をつけていることだった。大体、この国を動かす人たちは今に至って東部の名門と言われるハーバードやイエールを出てきた割合いが高い。テキサス生まれのブッシュでさえ、学部はイエール、大学院はハーバードを出ている。（彼がイエールに入れたのは父親が卒業生だというコネで成績ではないらしいが。）ここでこの国の途方もない大きさを考える必要がある。この国で子供が生まれてハーバード大のあるマサチューセッツ州ケンブリッジのような周りに知的で文化的に刺激のある環境で育つのと、人より牛の数の多いような西部の山間部、隣の人に会うのに車に何時間も乗っていくような砂漠の過疎地帯、アイダホのジャガイモ畑で育つのとでは、すでに差が付いているのではないだろうか。アメリカをバスで変則的に横断したことがあるが、東部から中西部を抜けて南部からへ行く途中、都市らしい都市に着くまで、見えるのは一日中ハイウエーと林だけ、モールにたどりついてやっと人を見る、という州もあった。それと、南部州では女の子は頭が良いより外見の美しさにこだわる子が多い。ジョンベネではないが幼女のミスコンテストも盛んだし、十代での結婚もかなり多い。南部の女の子の典型というと、ブリットニー・スピアやジェシカ・シンプソンのような、金髪碧眼バービー型グラマーのカワイ子ちゃんをイメージしてしまう。こういう全身が砂糖菓子でできたようなソープに出てくるようなタイプはニューヨーク近辺ではめったに見ない。（偏見かもしれないが、南部では男はアホでもかっこよくてフットボールのヒーローのようなタイプが理想とされるような気がする。ビルゲイツ風ナードは伝統的にもてない）平均知能指数を「偏差値」として考えるなら、州にユダヤ人人口が多いかどうかで勝負はきまるだろう。私の友人のユダヤ人一家は職業選択に「弁護士」か「医師」以外ないほどだった。息子べったりの日本的な教育ママが多い。もちろん、ユダヤ同様、教育熱心なアジア系アメリカ人も「偏差値」的に無視できない。ハワイの知能指数度が高いのはまさにアジアパワーだろう。カリフォルニアのバークレーなど、アジア系のレベルが高いので、大学入学許可をもらうハードルがアジア系が一番高いとか。点数で決めると人種配分が偏って他人種が入れなくなってしまうせいらしい。どちらにしても理数系は元々インド系を筆頭にアジア系パワーが強い。どちらにしてもその後の調査でブッシュ支持のレッドパートの州でも都市部ではほぼケリー支持が勝っていたというから、単純に州全体を総括して知能指数で振り分けるのは難しいと思う。http://d.hatena.ne.jp/TomoMachi/20041104　町山氏の言うとおり、やはりこの選挙は都市と田舎の対立だったのだろう。＊アラファトさんがお亡くなりになったというニュースが今入ったばかり。

  2004年11月11日

• 『United States of Canada』

  http://www.michaelmoore.com/上のアドレスのマイケルムーアのサイトに行ったら、選挙でケリーに入れた所謂ブルーステイトがカナダと一緒になって『United States of Canada』、ブッシュに入れたレッドステイトが『Jususland』という名前のついた、新しい北米地図が出ていた。ブッシュの再選が決まってからカナダへの移民希望が増えているそうだ。http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20041105-00000008-cnet-sci「―カナダ政府当局者からの報告によると、米大統領に再選されたGeorge W. Bushが米国時間3日に受諾演説を行って以来、同政府の移民局サイトへのトラフィックが急増しているという。米国からのアクセス件数は合わせて11万5016件で、同日に記録したアクセス数全体の64％となった。」marryanamerican.ca というサイトは、未婚のカナダ人のプロフィールを公開しており、またカナダ市民に向かって登録するよう呼びかけているそう。――カナダは好きでバンクーバー、モントリオールやケベック、プリンスエドワード島やガスペ半島に電車やバスを乗り継いで旅行したことがある。確かに人は親切で礼節があり、保守的なのにリベラルで、モントリオールなど都会でも街はきれいで安全で、テレビや雑誌、ポップカルチャーなどアメリカ文化とほぼ同じに見えながら、独自の誇りを持っていて、同じ移民国でありながらアメリカ人のように大国におごったところもないし、仏語と英語圏があるせいか外国や外国語に対する理解もあって、秋や春、特に夏は美しくて…カナダはバランスの取れた平和な良い国だと思う。但し、住むとなると必ずしもユートピアではない。ケベックシテイに１１月に旅行したことがあるが、その寒さは半端ではなかった。ニューヨークの冬もかなり寒いと思うが、あの全身が痺れるような寒さは忘れられない。夏は暑くなくてよいが１１月から４月まで、１年のほぼ半分を永久凍土のような寒さで暮らすのは寒さに強い人でもかなり大変だと思う。バンクーバーなど、西海岸は気候が温暖だったが、物価が高くて税金も高いと聞いている。――カナダの人がアメリカからの移民を歓迎しているかどうかも疑問だ。（もちろん、極寒の過疎地など、米アラスカ州のように女性が足りなくて、お嫁さんは大歓迎という部分はあるかもしれないが）。何度も旅行をしている間、カナダはアメリカと兄弟のように同じ外見や文化を持ち、雑誌やテレビ番組は圧倒的にアメリカのものばかりで、アメリカの田舎の州のように思われがちだが、「ヤンキーと同じに見られたくない」というプライドと気概、ライバル意識を持っていることはすぐに分かった。昔読んだ「赤毛のアン」にも似たような台詞があったと思う。カナダはイラク戦争にも反対して派兵しなかったし、今でも共和党政府のやり方に賛成しない人は多いと思う。アメリカとしても、カナダは地続きなだけにヨーロッパの国のように不仲になることも不可能で、歩み寄って妥協せざるを得なかったのではないか。

  2004年11月09日

• アクセスとテレビ討論

  この日記を始めた９月２２日当時、このサイトは海外生活の本の書評とか洋画を見た感想など＋自著のそこはかとない宣伝をするつもりでいた。だからカテゴリーを「読書」にしていた。他にもサイトやブログを持っているが、楽天を使うのは初めてだった。楽天では、まず最初に、訪問してくださる未知の方が多いので吃驚した。どうやら新着日記という表示を見て来て下さるらしいという事も分かった。それから楽天メンバー以外のゲストの方が多いのにも吃驚した。私のようなプライベートなことをほとんど書かず、ニュース解説のような日記でも、これだけの数の人が見に来て下さるというのは、他のブログでは考えられないことだった。ニュース解説が多くなってきたので、数日前、カテゴリーを「読書」から「海外情報」に移したのだが、ここ数日、さらに吃驚するほどの方が訪問して下さっているようだ。たぶん選挙に関する情報を読みに来てくださっているのではないかと思う。アクセスの推移は以下。９／２５　１００アクセス１０／５　５００アクセス１０／１７　１０００アクセス１０／２９　１５００アクセス１１／５　２０００アクセス吃驚するほど、と言っても、平均一日５０－７０人に過ぎないが、こんな出来立てのサイトでも、興味を持って来て下さる方がいるとなると、ちゃんと毎日情報を得てしっかり書かないといけないなあ、とか義務感を覚えてしまう。今のところ、選挙後の虚脱症状と、新しい仕事を抱えて身動きが取れないので、書きたくても大して書けないのだけど、なるべく週に２－３回は更新して行きたいと思っている。（でも楽天から毎日「～日の日記」と日記の送信をメールでしましょうというメールが届くのには参った。ちょっと、メールで届けられるような日記は書けそうにない。）ーーさて、日記のことはさておき、私が初めてアメリカに来たのはパパブッシュが現役だった頃で、私は英語が分からないなりに、９２年にパパが黒髪の小憎のようなクリントンとテレビ討論していたのも見ている。見ていると言っても、英語で政治の話が分かるほどの力もなく、当時は日本語の新聞も高くて手に入らず、無理して英語の新聞の一面などを読んで、内容を理解しようとしていた。あの時、たしかテキサス州の大富豪、現在ITサービス会社Perot Systemsの創業者、ロス・ペローという爺さんが独立候補として立候補しており、ちゃんと三人でテレビ討論をしていた。ペロー氏の副大統領候補は元ベトナム捕虜で将軍のストックデール氏だった。二人とも最初から当選すると思ってないせいかリラックスしており、ユーモラスで面白かった。あの時の副大統領候補はゴアとダン・クエールだった。クエールという人は若々しいにやけた笑顔の南部出身の金髪ハンサムだったが、今のブッシュに似たタイプで、「金持ちのお坊ちゃんで頭の緩い人」とマスコミに始終バカにされていた。小学校を訪問して小学生の前でpotatoという正しい綴りをpotatoeと 訂正して以来、「ポテトもつづれないバカ」とレッテルが付き、サタデイナイトライブとかのコメディでもおバカなキャラで定着していた。但しクエールには今のブッシュのアクドさ、いわゆるバカにされても平気でいるタフさがなかった。マスコミにアホ扱いされて奥さん共々マジで傷ついている様子がうかがえた。（弁護士の奥さんの方が頭が良さそうに見えた）。９６年に大統領に出馬しなかったのはその坊ちゃん的な線の細さとブッシュほど野心家でなかったせいかもしれない。代わりにずっと年長のボブ・ドールが出た。とにかく、まともに大統領のテレビ討論を見たのはあの頃が最初だったと思う。今思うと、「古い良い時代」だった。世の中には今のような危機感もなかった。ただ、大掛かりな黒人暴動とかはロスとニューヨークであった。OJシンプソンの裁判もあって、潜んでいた黒人と白人の間の溝が浮き彫りにされた頃だった。ニューヨークの市長も初の黒人ディンキンス氏だったが、問題が起こるとどうしても黒人寄りになってしまって、他人種の市民に不評だった。今、この国では人種の間の溝より、異宗教の間、キリスト原理主義と無宗教の間に溝が深まりつつある。http://www.debates.org/このサイトに過去のテレビ討論の全スクリプトがある。

  2004年11月07日

• ＜ブッシュ再選＞４割は「悲観、怖い」 ギャラップ調査

  　ギャラップ社が４日発表した世論調査によれば、米国民の５７％はブッシュ大統領が今後４年間で「国民を結束させる」と考える一方で、３９％は「もっと分裂させる」と回答。再選という結果に関しては、５６％が「熱烈に歓迎」または「楽観」しているのに対し、４２％は「悲観」または「怖い」と感じていることが分かった。（毎日新聞） ーー今日テレビでブッシュが報道陣に挨拶しているのを見た。満面笑顔で嬉しい、というには笑顔が少し引きつっており、この単細胞な人にも、「この国の半分の有権者は彼の大統領就任を全く歓迎していない」、という事を肌で感じているように見えた。有権者だけでない、大手の新聞、ニューヨークタイムズやワシントンポストもケリーを支持していたし、彼にとって自分を否定した、自分より弁舌がたち、国際視野の広い報道陣を前に自分の抱負を語ることは辛いことのように見えた。とつとつと相変わらず不器用に語る中で彼の話したのは、「この国は二つに分裂していない」、ということ。民主党支持者も、究極的にはこの国を外的から守り、内政を良くして行くという目的は同じで、手を結んで協力していく姿勢が必要だということ。イラク民主化という「ハードワーク」は着々と成果を結んでおり、戦争を起こした大義名分は間違っていなかったこと、それを批難する自国や諸外国の人々は自由の精神にもとる、などなど。ようするに、すべては良い方向に向かっており、自分に任せておけば大丈夫ということを強調していた。ーーAPの記事にもあるが、今回の選挙では、「信仰　faith」というものが多いにブッシュの秘密兵器として作用した。５２％のカトリック教徒の票、５６％の白人のカトリック教徒の票がブッシュに流れたという。ケリーはカトリック教徒であるにかかわらず、得票ではずっと負けている。これはもちろん、ケリーがリベラルなマサチューセッツ州の上院議員であり、聖書に反する同性結婚や堕胎自由化に積極的とはいかなくても、法的に禁止する意志がないことからかもきている。昨年、カナダで同性結婚が自由化されたのに勢いを得たのか、サンフランシスコとマサチューセッツ州が州法で同性結婚を許可した。教会の前に行列ができるほど、全国から同性のカップルが詰めかけ結婚式をおこなった。そこで、これに危機感を覚えた保守派とブッシュが、国の法律で同性結婚を禁止しようと乗り出したのだった。ちなみに、今回の選挙で１１の州が州法で同性結婚を禁じる法案を通している。ブッシュのメインの得票は教会に毎週通う層から６１％来ており、ケリーの場合は６１％の票が教会に行ったことのない層から来ているという。結局、道徳心、倫理観がこの選挙のブッシュの売り物、宣伝文句であり、もろにそれに乗った人が大多数のブッシュの得票であったという訳だ。ケリーのジレンマは、自分の宗教であるカトリックの神父から支持が得られなかったことにある。民主党員として、堕胎禁止の法案反対、個人の自由に任せる（プロチョイス）から外れることは不可能であり、カトリックの教えは絶対的に堕胎禁止（プロライフ）だからだ。しかし、このままで行くと、この国はどんどん時代と逆行して保守化が進んでいくような気がする。たとえリベラルな民主党員であっても、有権者が保守的なビューを持っている限り、それを無視することはできない。もうすでに、４年後の民主党大統領候補を誰にするか、という話題が記事にでているが、下馬評にあったヒラリー・クリントンは難しいかもしれないという。理由は、彼女が南部出身であっても、現在ニューヨーク州の上院議員であるからだ。ニューヨークやボストンからの民主党議員が全国的、とくに保守的な南部で得票を得るのはほとんど不可能という向きが強い。やはり、過去のクリントンやカーターのように、南部出身で、ある程度、保守派にルーツを持つものが全国を制する可能性が強いという。特に今のようにくっきりとこの国が二つのパートに別れた状態では、どちらにもアピールする柔軟性のある人材が求められている。南部出身で、今回副大統領候補だったエドワーズは次の選挙で上院の席を明け渡す予定だというから、大統領候補にはなりようがないだろう。どちらにしても彼は新人議員で国際問題など経験がなさすぎたし。また、今日、彼の奥さんがかなり進んだ乳ガンを持っていることが明らかになったばかりだ。ーーーーーーーーーーーーーーー ブッシュ大統領再選「イラク戦評価」が決め手　【ワシントン】米東部時間３日午後（日本時間４日未明）までの開票で、ブッシュ大統領は史上最高得票となる５９１０万票あまりを獲得し、得票率も５１％に達した。ここ数回は第３党候補が善戦していたこともあり、得票率が５０％を超えたのは、父のブッシュ元大統領が当選した１９８８年以来初めてとなった。イラク問題をめぐる投票行動とも合わせ、２期目のブッシュ政権は、対イラク政策では「国民の信任を得た」として臨むと見られる。　ＣＮＮテレビなど全米有力テレビ局合同の出口調査（約１万３０００人対象）では、投票した有権者のうち、ブッシュ大統領の主張である「イラク戦争は対テロ戦争の一環」との見解に同意する人が５５％に上ったのに対し、「別物」とする人は４２％だった。民主党のジョン・ケリー候補は両者を別物と切り離して、イラク戦争への批判票掘り起こしを図ったが、米国民の過半数が大統領に同意した形だ。　また、「テロに懸念」を抱く人は７１％で、そのうち５３％が大統領に投票。「イラク戦争開戦は正しい」とする人は５１％で、反対する人の４５％を上回り、開戦支持者の８５％が大統領に投票した。さらに、大統領のテロ対策を「信頼する」とした人は５８％で、そのうち８５％が大統領に投票した。その一方で、「イラク戦争で米国はより安全になった」とする人は４６％にとどまり、イラクでの米兵犠牲者増大や世界各地でのテロに対する米国民の懸念を裏付けた。（読売新聞） President Bush addresses the media in Washington.(Nov. 4) - President Bush's victory, the approval of every anti-gay marriage amendment on statewide ballots and an emphasis on "moral values" among voters showed the power of churchgoing Americans in this election and threw the nation's religious divide into stark relief."The churchgoers, those who voted along cultural lines, put (Bush) over the top," said George Marlin, author of "The American Catholic Voter."Albert Menendez of Americans for Religious Liberty, which advocates strict church-state separation said "Bush could not have won without the evangelical vote."Exit polls conducted for The Associated Press and television networks by Edison Media Research/Mitofsky International showed clearly that the president draws much of his support from religious people:The president had the support of 78 percent of white evangelicals, 23 percent of the voters.Bush won 52 percent of the Roman Catholic vote on Tuesday, and got the support of 56 percent of white Catholics, defeating the first Catholic presidential candidate from a major party since John F. Kennedy. In 2000, Bush narrowly lost the Catholic vote.Bush was favored by 61 percent of people from all faiths who attend services weekly; they made up 41 percent of the electorate. Democrat John Kerry drew 62 percent of Americans who never attend worship, but they only accounted for 14 percent of voters.When respondents were asked to pick the one issue that mattered most in choosing a president, "moral values" ranked first at 22 percent, surpassing the economy (20 percent), terrorism (19 percent) and Iraq (15 percent).Gay marriage bans were handily approved in all 11 states that held referendums, and analysts said that issue drove up turnout. "This was a high stakes election for those who support traditional moral values," said Geoffrey Layman, a University of Maryland political scientist.Another index of evangelical support: Republicans seeking open congressional seats who were endorsed by Gary Bauer's conservative Campaign for Working Families. They won all 12 contests, five in the Senate and seven in the House.A leading conservative activist, the Rev. D. James Kennedy of Fort Lauderdale, Fla., said the voters "have delivered a moral mandate.""Now that values voters have delivered for George Bush, he must deliver for their values," Kennedy said.More liberal believers, meanwhile, found the results deeply disconcerting, but also saw them as a call to action."This election confirmed that we are a divided nation, not only politically but in terms of our interpretation of God's will," said the Rev. Robert Edgar, a former Democratic congressman and general secretary of the National Council of Churches.The Rev. Barry Lynn of Americans United for Separation of Church and State put it more starkly. "The culture war may go nuclear," he said, as "millions of Americans oppose the theocratic agenda of the Religious Right."The problem, said Rabbi Michael Lerner of Tikkun magazine, is that too many fellow liberals are "trapped in a long-standing disdain for religion and tone-deaf to the spiritual needs that underlie the move to the right." They need to shed a core belief that Bush voters "are fundamentally stupid or evil."The left, he and others argue, has to show the religious basis for its policy positions and not let the right define morality.Each side courted the Catholic vote aggressively, with Kerry forced to buck the leaders of his own church over his support of abortion rights. A handful of bishops said politicians like Kerry shouldn't receive Communion, and many others emphasized church teaching against abortion."To run in the Democratic Party you have to be pro-choice, but the church says you have to be pro-life," said Marlin, a Catholic conservative.Layman, the Maryland political scientist, said that meant Kerry couldn't "use his Catholicism as a strength to appeal to Catholics. He was put in this box by the bishops."In the end, the majority of Catholics preferred an anti-abortion, Methodist incumbent to one of their own - underscoring that today's religious divide cuts across denominational lines.The election shows that Democrats in 2008 "are going to have to say they are religiously attuned to America and make it stick and make it authentic," said Michael Cromartie, an expert on evangelicalism at the conservative Ethics and Public Policy Center. "All future political consultants are going to have to understand religious sensibilities as part of the resume."

  2004年11月05日

• 「歴史的な勝利」＝ブッシュ大統領が勝利宣言

  　［ワシントン　３日］　大統領選を終えたブッシュ米大統領は３日、支援者らを前に、「多く人々が投票し、歴史的な勝利をもたらした」「米国は声を上げた」などと述べ、勝利宣言を行った。 　大統領は、党の違いを乗り越えていくと強調、イラクの安定化や社会保障改革などの目標に取り組む、としている。同大統領は、「米国は声を上げた。国民から信頼されたことを光栄に思う」と述べた。 　また、「目標達成には幅広い支援が必要だ。対立候補に投票したすべての人に言いたい。この国をより強くより良いものにするため、あなたがたの支援が必要だ。支援が得られるよう努力する」と述べた。（ロイター） ーー予想通りオハイオで決まったらしい。いろいろなアナリストの話を統合すると、やはりこの投票は「ブッシュ＋共和党支持者」対「反ブッシュ＋民主党支持者」の間で戦われたようで、勝利の要因はブッシュのケリーに勝るアピール、庶民性、きさくな人柄、テロに対するタフさ、信仰心の強さ、コンサバティブな道徳心（モラル）に訴える堕胎反対、同性結婚反対、胚細胞研究反対,分かりやすさ、などなど。最大の要因はやはりテロに対する恐怖心を煽った戦術の勝利で、投票日の数日前にオサマ・ビンラディンのビデオが放映されたことでテロの脅威が再燃、米国民は「タフな大統領」を選択したという訳らしい。こういう所でマイケル・ムーアのいうブッシュ一家とラディン一家の「癒着」が疑われる。結局、この二つの元々オイル商売で繋がっていた一族は利害的に一致する目的でテロを計画して起こし、人々の恐怖心を煽って一番欲しいものを得ようとしているのではないだろうか。だから、ブッシュは適当にアフガンを攻撃してラディンを取り逃がし、目的であったイラクを攻撃し、ラディンは選挙前に都合よくビデオに登場して、ケリーに傾きかけた米国民の心をもう一度「テロの恐怖」にたたき落としてブッシュを選ばせたのではないだろうかーー。と、つい考えてしまう。ーーBBCの書き込みを見ても、ブッシュ当選を歓迎する声はヨーロッパやアラブを含めた海外からは一つも届いてこない。アメリカ人がなぜ、あれだけの罪を犯した大統領にもう一度政権を取らせようとするのかーそれはアメリカという国の矛盾を理解したものでないと分からないと思う。ブッシュ支持のレッドパートのアメリカ人といのは、世界に目を向けないアメリカ単独思想の過疎の内陸部の州民がほとんどだ。様々な国が国境をシェアする中で生きて来た者には理解できない大国主義、海外への無関心さ、どうしようもない鈍感さ、自分たちさえ安全に守られていたら、よその国の不幸は仕方がないという思想が堂々とまかり通っているのだから。それは同じアメリカ人でさえ、理解に苦しむ部分なのだから外国人には分かるわけがない。しかし、これだけ真っ二つに国民の支持が別れた選挙も珍しいらしく、二つの支持層をCNNやNYTが比較すると以下のような違いが浮かび上がってきた。ブッシュ支持者１）モラルと信仰心に価値を置くという（"moral values" ）人の７８％２）経済を重要とする人の１７％３）年収５万ドル以上の人が支持４）中西部と南部の州の定期的に教会へ行く人５）全得票のうち８８％白人票、２％黒人、ヒスパニック系７％、アジア系１％６）中年から年長者、既婚者７）カトリック教徒の半分８）今の現状に満足している人９）支持する理由はテロへの脅威、信仰心、明解さ、信用度（terrorism, faith, clarity and trust.）１０）海外に関心がなく、理解も薄い。（地理的に内陸部ー南部と中性部、アラスカなど、面積は圧倒的に広いが人口密度の低い過疎州が大多数）ケリー支持者１）モラルと信仰心に価値を置く（"moral values" ）人の１９％２）経済を重要とする人の８１％３）イラク戦争を一番重要な問題と考える層（うち１／４がブッシュに対して怒りを持っていると回答）４）年収５万ドル以下の人５）１８－２９歳の若い人、独身６）全得票のうち６６％白人票、２０％黒人、ヒスパニック系１０％、アジア系２％７）たまに、または一回も教会に行ったことのない人８）カトリック教徒の半分９）今の現状に不満を持っている人１０）ケリーを支持する理由は失業率、知性、共感、変化への望み（jobs, intelligence, empathy and desire for change. ）１１）海外に目を向けることが多い。（地理的に海岸部ー太平洋岸部と東部、カナダとの国境、ハワイなど、移民が多く国際意識が強い、面積的には小さいが人口密度、文化度で勝る）ーーーーーーーーー１１／３　AOL掲示板よりI am embarassed to be an American. We are the laughing stock of the world. This is ridiculous we are doom with 4 more years of hell The republicans stole the election once again. We are now in a world of danger. Bush " ok you went into Iraq many Americans are now dead". What country are u going to hit next? North Korea maybe? then we are all doomed. Bush is a dangerous man, and doesnt care he sent troops in Iraq as long as it is not him why should he care. All i am saying is Bush is a power freak and is a very dangerous man. Compared to Saddam, Saddam is a little worm.How many more jobs are going to go overseas, how much deeper we are going to be in debt, and how many more solders will die before it is all over? It is going to be a long long sad 4 more years.ANYONE UP FOR A CIVIAL REVOLUTION...A man who is a PROVEN liar and a PROVEN coward and a suspected traitor has been elected president. As a nation, we are through. We have spit on the graves of our fallen soldiers, we have spit on the gravfes of the founding fathers, and we have spit on the Consitution by putting this man in office. We were warned this would happen with electronic voting and no paper trail.With hacking, voter intimidation, broken machines and missing absentee ballots the Republicans stole the elcetion again.Either way, America lost on November 2nd. The American government is one big farce ... from the President ... then Congress ... then the Judicial branch. The founding fathers would not be proud. America will fall in due time as it is still heading in the wrong direction. Yes, the Truth hurts.I absolutely, positively cannot believe that this man is going to be President for another four years. He is an idiot who can barely put a simple sentence together who has taken this country in so many wrong directions at this point that I have lost count. How could anyone with any kind of concern or caring for our country have voted this complete moron back for another four years. This is just unbelievable. For those who voted for Bush, WHAT WERE YOU THINKING? I can't believe it, I just can't believe it.

  2004年11月04日

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  ほぼブッシュ勝利

  今東部時間で朝の３時。そして、選挙人得票数はブッシュが２７州　２４９人ケリーが１９州２４２人オハイオの２０票を制するものが勝つということらしい。そしてほとんどブッシュが勝ちそうな感覚。上の地図を見ればわかるが、内陸部の赤い州がブッシュ支持。海沿いの州とカナダよりの州がケリー支持だ。これは国際感覚のあるリベラルとアメリカ単独主義を好む田舎のおとーちゃんおかーちゃんの戦いでもある。田舎のおとーちゃんおかーちゃんは、「オラが国さの大統領がテロから守ってくれる」と信じ込んでいるのだ。アメリカが強くてこのアホでも信心深くて自信たっぷりの大統領の方が、リベラルすぎるインテリのスノッブより信用できると単純に信じ込んでいるのだ。この感覚は、外国と接する機会の多い、沿岸部の州やカナダと国境を境にするものには理解しにくい。でも、アメリカは結局、そういう外国など知らない、他州もろくに知らない、日本と韓国と中国の違いも分からないような田舎のおとーちゃんおかーちゃんがマジョリティの国なのだからしかたがない。しかたがない、という雰囲気がPBSのアナリストの顔にも書いてあった。あと４年もこの状態が続くのかー。オハイオ、ニューメキシコ、私は貴方たちに期待していたのだ。どちらも文化度や国際意識は内陸部の州よりずっと高いと思ってた。どうか期待を裏切らないで。４年前、ゴアが大統領だと思って、朝起きたらブッシュが大統領になっていた。今回はその逆が起ることを期待して寝てしまおう。

  2004年11月03日

• いよいよ今日が投票日

  さて、いよいよ今日が投票日。私の住んでる大都市は当然のようにリベラルの多い民主党よりなので、周囲にブッシュの支持者はいない。ブッシュ支持などと言ったら変人扱いされるかもしれない。４年前、ブッシュとゴアの大統領選の日、私は政治にはほとんど関心がなかった。テレビ討論や民主党大会も見てはいるのだが、今よりずっと気楽な傍観者だった。はっきり言って、どちらの候補も魅力的ではなかったし、ブッシュが国際問題に疎くて討論会で東ヨーロッパの国名を間違えた、とかは知っていたが、一応、共和党の選出した大統領候補であり、テキサスの現役の知事である以上、ここまで問題のある人物だとは知りようもなかった。ゴアの方はクリントンの副大統領だから、そこそこ知っていた。彼ははっきり言って民主党支持者の間にも人気がなかった。何が悪いのか、お坊ちゃん育ちでインテリを気取った性格が問題なのか、環境問題ばかり熱心で、実質的なものに向かうにはあまりにも「理想主義者」に見えた。家族も娘たち、奥さんにしても、非常にナイーブで線が細く見えた。（奥さんのティッパーは確か鬱病の病歴があった）。そのせいか、クリントンがモ二カ問題で大統領を辞める辞めないの騒動のときも、クリントンを辞めさせて「ゴアが大統領に…？」という話になると、ちょっと無理ではないかという暗黙の否定、という雰囲気が世間にあった。たとえ女性問題があっても、クリントンはゴアに比べて有能な政治家である点では比較にならなかったからだ。国民的な人気でも段違いだった。さて、４年前の選挙の日、私はアメリカの会社で働いていたのだが、ラジオを聴いていても、ブッシュとゴアが同票でなかなか決まらない、フロリダの票で決まる、ゴアが決まった、と一時ニュースが入ったと思うと、またブッシュがリードする、という団子状態だった。そしてフロリダで例のマークシート式の「バタフライ投票紙」の問題が起こった。何と、ゴアに投票したはずの人々のマークが実際はネーダーに投票したことになっていたのだ。電子投票があてにならなくなって、人海戦術での票のカウントが始まり、２－３日かかってようやく数票の違いでブッシュ大統領が誕生したというわけだ。入った票を確実に数えたら、ゴアが当選していたのに、こういう結果になり、アメリカという大国の些末でのお粗末さが世界に露見した選挙結果となった次第だ。でも、ブッシュがどれだけ無能で危険な人物であるか、あの時点で我々は知らなかった。だから、ブッシュが４年間、無能なりに努力して国政を司り、次の大統領に代わるだろうと誰もが思っていたに違いない。そして翌年、９１１が起こり、不思議な理由からイラクとの戦争が始まった。もう一度ブッシュが政権を執ると、この国、そして世界はどうなるのだろう。危機感を持っているのはこの国の人々より世界の人の方が多いかもしれない。

  2004年11月02日

• イラク日本人人質事件

  ＜イラク邦人殺害＞男性を香田証生さんと確認　　バグダッド市内で日本時間３１日未明、日本人とみられる男性の遺体が発見され、政府は同日午前、福岡県直方市出身の香田証生さん（２４）と確認した。町村信孝外相が午前１０時１５分すぎから、外務省で記者会見して発表した。　政府は午前３時半、イラク暫定政府から「バグダッド中心部で首の切断された男性の遺体が発見され、日本人とみられる」との通報を受けた。日本大使館員を遺体が安置されている同市内のメディカルセンターに派遣、指紋が一致したことなどから、香田さんと断定した。町村外相は会見で「無辜の民間人の命を奪う卑劣極まりない行為を断じて許すことはできない」などと語った。　ヨルダン人のイスラム過激派ザルカウィ氏が率いる「イラクの聖戦アルカイダ組織」を名乗るグループが日本時間の２７日未明、イスラム系のインターネットサイトを通じて香田さんの拘束を公表、４８時間以内に自衛隊を撤退させなければ香田さんを殺害するとしていた。これに対し、小泉純一郎首相は「テロに屈することはできない」と、犯人側の要求に応じない方針を打ち出していた。（毎日新聞） -ーーお気の毒としか言いようがない。２４歳という年齢、初めての外国、たぶんニュージーランドにいて英語もある程度習得し、世界を見てみたいという好奇心に溢れていたに違いない。親切な人にたくさん会い、オプチミスティックに世の中を見ていたに違いない。私も一人で世界を旅して来たバックパッカーのようなものだから、その気持ちは分かるし、似たような若者にもたくさん会ってきた。世界にはどんな貧しい地域にも人情は溢れるほどあって、自分たちが食べられなくても旅人に宿を貸してくれたり、食べものを分けてくれる貧しい人たちが沢山いた。言葉が通じなくても気持ちが通じ合い、不便な土地での多少の不便やアクシデントもハプニングとして楽しめた。若いから、疲れというものを知らなかった。一泊３００円の宿でも多少ベッドに穴があいていようとノミがいようと、眠れる場所さえ確保できればよかった。あるのは好奇心だけ。その土地が辺境であればあるほどエキゾチックで面白い。世界には「辺境」という場所が急速に消えつつあり、２０年前は文明からかけ離れた場所があったはずだが、今や、シルクロードの山奥にもケーブルテレビが入っている時代だ。たぶんこの若者は「戦地」という言葉の響きに、ある種のロマンを感じたのかもしれない。どんな危機状態の土地にいても、自分は多分大丈夫だろうと思いこむのも、理解できる。何度か危機を乗り越えると、いつのまにか、自分は「運がいい」と思ってしまうのだ。別に信心深いわけではないが、ギリギリのところで親切な人に会ったり、事故に巻き込まれなかったりすると、いつのまにか「自分だけは神様に守られている」と過信してしまう。そしてもっと危険な場所に乗り込んで行く。そして痛い目にあう。バックパッカーは乞食の無線旅行に近く、若さと体力、笑顔、そしてどこででも眠れる神経が必要だが、それにくわえて、危機を察知する用心深さも必要だと思う。自分の身を守るのは自分しかない。日本というのは平和で親切な国で、治安が行き届き、礼節が重んじられ、他人を信じることにかけては日本人ほど純粋な人たちはいないと思う。それで海外で犯罪者まで信用してしまい、犯罪で巻き込まれることが多い。そして外国人を嫌ったりする人もいる。今回の事件は当然、あってはいけないことなのだが、やはり、「戦地にバックパッカー気分で入り込む」という信じがたい行為をするのは、やはり日本人くらいではないかという気がする。ヤフーの英語版の掲示板も、今回の事件の書き込みが多かったが、この点は信じがたい行為だという人が多かった。今回の事件はこちらでも注目を集めており、テレビのニュースも最初から取り上げていた。http://english.aljazeera.net/NR/exeres/6CCD06C3-A7B4-4272-92E4-37EED72C9AFA.htmアルジャジーラ英語版のサイトよりJapanese officials have confirmed that the headless body found in Baghdad on Saturday isﾊof the Japanese drifter held captive in Iraq.Tokyo however vowed it would keep its troops in the country onﾊwhat it calls aﾊreconstruction mission.An armed group in Iraq had on Wednesday threatened to behead Shosei Koda, 24, within 48 hours if Japanﾊdid not withdraw its troops."Unfortunately, we have just confirmed that the body is that of Shosei Koda," Foreign Minister Nobutaka Machimura said on Sunday."The act of terrorism to take the life of a civilian is absolutely vicious and we must not tolerate such acts," Machimura said. "Japan, cooperating with the international community, must continue to fight terrorism firmly."The Japanese government later reiteratedﾊthat its troops,ﾊnumbering aboutﾊ550,ﾊwould stay on in Iraq for humanitarian purposes.ﾊThe troops are based atﾊSamawa, 270km south of Baghdad.True identity Koda's body was found near a hospital in Baghdad. A Japanese foreign ministry official declined to comment on reports that the body had been wrapped in a US flag. A beheaded body found in Iraq on Friday was initially thought to be that of Koda, but was later identified as an Iraqi man.Another corpse described as Asian-looking alsoﾊturned outﾊnot to beﾊKoda's.At least 25 foreigners from a dozen countries, including two women, are thought to be currently held by armed groups seeking to drive US-led forces and foreign workers out of Iraq.

  2004年10月31日

• ブッシュ、ケリー両氏同率＝大統領選で米世論調査

  　【ワシントン２９日時事】米民間調査機関ゾグビー社とロイター通信が２９日公表した大統領選挙に関する合同世論調査結果によると、共和党のブッシュ大統領と民主党のケリー上院議員の支持率はともに４７％で並んだ。前日公表の調査結果では、ブッシュ氏がケリー氏を２ポイントリードしていた。　（時事通信）ーーほとんど接近してダンゴ状態。誰も来週の火曜日が予想できないそうだ。下手すると４年前みたいに水曜になっても結果がでない、ということになりそう。フロリダは電子投票を導入して前より確からしいが、共和党が投票場を減らして黒人の居住地から離し、投票を不便にしようとしているとか、投票権のスクリーニングを厳しくするとかいう噂で、最後まで手練手管をつくした妨害合戦とネガティブキャンペーンの限りが披露されていく様子。アナリストによると、１７州前後の「スウィング・ステート（揺れる州）」と呼ばれる激戦州を制した候補、特に最激戦州のオハイオ、フロリダの両州を制した方が勝つ見込みらしい。どちらも、一見東部リベラルの影響も強くうけ、黒人居住者も多いのだが、中流の共和党支持者もかなり多いらしい。また、どちらへも支持を決めていない若い浮動票の行方もカギになりそう。ここでネーダーがケリーの票を取るという、４年前の悪夢が繰り返されなければ良いが。今回の選挙を見てて思うのは、ほとんど１９世紀の南北戦争前のように、この国が真っ二つになっていること。単に民主党と共和党の戦いでなく、リベラルとコンサバティブ、都会人と田舎人、宗教派と現実派、国益重視の単独主義者と国際派、東部、北西部、太平洋沿岸州と南部、西部州エトセトラ。要するに東部リベラル派から見て、共和党を支持する層は現実の見えない文化度の低い田舎者、世界に関心のない愛国主義者で、ある意味、危機の見えない楽観主義者。そして信仰心が強いものが多く、政治能力がどうであれ同じく信仰心の強い「回心した」大統領に信頼感を寄せている。大統領の言う「テロとの戦い」が自分たちの生活の安全を守る最善のものだと信じている。それによって起る他国の悲劇や不利益には関心がない。新たな対米テロ警告＝大統領選控え、「９．１１」犯行認める－ビンラディン氏　【カイロ２９日時事】カタールの衛星テレビ局アルジャジーラは２９日夜、国際テロ組織アルカイダの指導者ウサマ・ビンラディン氏のビデオ声明を放送、この中で同氏は「ブッシュ（米大統領）は９月１１日の事件（２００１年の米同時テロ）から４年たつというのに、いまだに混乱とミスリードを続けている」とブッシュ政権を強く批判した上で、「これらの出来事が繰り返される理由はまだある」と述べ、新たなテロを警告した。（時事通信）ーービンラディンの脅威がブッシュに優位に働くのか？　不利に働くか？　両候補はテロとの戦いを強調してたけど。YARDLEY, Pa. (Oct. 29) - The presidency comes with powerful tools that can help incumbents keep their jobs: a mighty public-relations machine, a bully pulpit, a famous airplane. Yet President Bush has been powerless to halt a recent tide of bad news, from surging violence and missing weapons in Iraq, to missteps by his own campaign, to a potentially damaging new probe by his own FBI.The inconvenient news has been magnified in the superheated atmosphere of the final week of Bush's tight race with Democrat John Kerry.APPresident Bush addresses a crowd in Pennsylvania Thursday.In a Friday speech, Kerry hoped to stoke the latest revelation: news that the FBI has begun investigating whether the Pentagon improperly awarded no-bid military contracts to Halliburton Co., formerly headed by Vice President Dick Cheney.His running mate, John Edwards, said, "The special treatment of Halliburton is wrong."For four straight days, Bush had been dogged by a report that nearly 400 tons of explosives disappeared from Iraq's Al-Qaqaa military installation.Bush aides winced when former New York City Mayor Rudy Giuliani, a frequent Bush campaign partner and surrogate, said the troops in Iraq, not Bush, bore the responsibility for searching for the explosives."No matter how you try to blame it on the president, the actual responsibility for it really would be for the troops that were there. Did they search carefully enough - didn't they search carefully enough?" Giuliani said on NBC's "Today" program.There was more: The U.N. nuclear agency said U.S. officials were warned about the vulnerability of explosives stored at the installation after another facility was looted.Minneapolis ABC affiliate KSTP-TV, which had a crew embedded with the 101st Airborne Division during the war, released videotape that it said showed soldiers examining explosives at the massive Al-Qaqaa facility nine days after the fall of Baghdad. The video could possibly undermine Bush's suggestion the explosives were looted before the U.S.-led invasion of Iraq.The presidency is a mixed blessing for incumbents seeking a second term, said Ken Khachigian, who worked in the Nixon and Reagan White Houses."You have to take the good with the bad," Khachigian said. "The good is, you're the president of the United States, flying on Air Force One and military helicopters. It's pretty impressive, and that's been helping the president."ABC News "This Week" host George Stephanopoulos answers your political questions from his insiders' perch.See His Answers Ask a QuestionAt the same time, "there's a natural tendency in the media to try to expose the incumbent," he said.But some of the headlines hurting Bush are not directly related to the campaign.Thursday, there was new horror from Iraq: Insurgents slaughtered 11 Iraqi soldiers, beheading one, then shooting the others execution-style.Two more U.S. soldiers were killed - one in a car bombing in Baghdad, and the other in an ambush near Balad, 40 miles north of the capital. More than 1,100 U.S. service members have died since Bush launched the Iraq war in March 2003.A new survey of deaths in Iraqi households estimates that as many as 100,000 more people may have died throughout the country in the 18 months since the U.S.-led invasion than would be expected based on the death rate before the war.Voters were reminded in the week before the election that the cost in dollars is soaring too.Bush plans to send Congress a request of up to $75 billion early next year for additional money to finance wars in Iraq and Afghanistan and operations against terrorism, congressional aides said earlier this week. That's on top of $215 billion that lawmakers have provided since 2001 to wage war in Iraq and Afghanistan and begin rebuilding those countries.Bush's camp prides itself on its professionalism, but his re-election campaign acknowledged Thursday that it had doctored a photograph used in a television commercial to remove the president and the podium where he was standing. The campaign said the ad will be re-edited and reshipped to TV stations.A group of soldiers in the crowd was electronically copied to fill in the space where the president and the podium had been, aides say.In his addresses Thursday, Bush skated past the bad news, sticking to his prepared remarks and avoiding reporters. On Iraq, he emphasized that elections are scheduled for January."Think how far that society has come from the days of torture chambers and mass graves," Bush said in Saginaw, Mich. "Freedom is on the march!"Khachigian said the Bush White House should counterattack vigorously."I'm not going to second-guess what they're doing, but I'd encourage the president to be very aggressive, and it would be to his political advantage to lay the strap to Kerry," Khachigian said. Specifically, Bush should step up his denunciations of Kerry for whipping up the missing-explosives affair, Khachigian said.

  2004年10月30日

• 出版後２ヶ月

  さて、本は一向に売れている気配はないが、少なくとも２０カ所の公共図書館には入り、紀伊国屋など大手の本屋の棚の奥深くには眠っているらしい。現在の在庫、返品数について版元に聞いてみると、出版数が少なかっただけに在庫数は３０冊ほどという話だった。そして先週の土曜から、アマゾンの表示がついに「現在、在庫切れです」になってしまった。これは海外在住の著者にとってかなり痛い。海外の本屋に入ってない今、海外在住者はアマゾンからしか買えないし、アマゾンのランキング、レビュー、表示はあちこちのサイトで出回っている様子で、このまま「在庫切れ」の表示が続くと、この本は「終わっている」という印象を購買者に与えかねない。（１１月からは在米の日系書店でも売られる予定だが、日本円で税込み１５００円ほどの本が、輸送代も含めて一冊２０ドル前後になるという）アマゾンに以前、「在庫１点限り」の表示が出た際、メールで問い合わせると、以下のような返事がきた。「Amazon.co.jpでは供給元より在庫情報のデータを入手し、サイトでの表示に活用しております。そのため、新刊書・既刊書に関わらず在庫情報のデータをいただいてない出版社様の書籍につきましては、Amazon.co.jpの在庫ならびに供給元の在庫がなくなった時点で「在庫切れ」の表記になってしまいます。出版社様が在庫をお持ちの場合にも、データとして届いていなければそれを当サイトに反映することができません。つきましては、供給元へ定期的に在庫情報のデータをご提供くださいますようお願い申し上げます。」このメールに従って版元に、アマゾンの仕入れ担当者に早急に「在庫あり」のデータを送って欲しいとリクエストのメールを送った。しかし、版元の返事は以下のものだった。「アマゾンのネット販売の表示は、きわめて非合理なもので「在庫僅少」「在庫切れ」などの表示は、当該のネット書店がそうなのか、取り次ぎがそうなのか、出版社の倉庫においてそうなのかがまったく不分明であったり、また、一度、その表示が出ると、その後、在庫があっても表示が変わらなかったりするので、システムとして重大な欠陥といわざる得ません。出版界でも現在問題になっているところです」うーん。これからどうなるのか？いろいろ調べてみると、アマゾンの表示は小出版社にかなり不親切で、アマゾン直接の取り次ぎ倉庫（大阪屋らしい）に在庫がないと「在庫なし」の表示が出る事、新刊でも、いきなり「ユーズド価格」の古本販売が始まりかねないことも分かった。そういえば、私も「～さん、￥ ～で商品が売れます！ Amazon.co.jpで購入した商品を出品しませんか？ 」と毎回アマゾンからしつこく勧められている。しかし、自分の本を自分で買って、それを自分でマーケットプレイス に出品して、また自分で買うほど私もアホではない。しかし、日本のアマゾンに関わる前、長年アメリカのアマゾンで商品を買ってきたが、母国の本屋がこんなおかしな方向でアメリカナイズマニュアル対応化しているとは想像もしていなかった。なんだか、親会社がアメリカのせいか、「不親切な米企業の悪い見本」を妄執しているような印象がある。今はアメリカの通販企業もかなりカスタマーサービスが向上して、頼んだものはすぐに届くし、物買って嫌な思いをすることもなくなってきたんだけどね。ーーアマゾンの対応について、ひつじ書房様のサイトよりhttp://www.hituzi.co.jp/kotoba/20021012ns.htmlhttp://www.hituzi.co.jp/kotoba/20021022ns.html

  2004年10月28日

• PBS「Frontline: Rumsfeld's War」フロントライン：ラムズフェルドの戦争

  http://www.pbs.org/wgbh/pages/frontline/shows/pentagon/--ラムズフェルド国防長官によっていかに攻撃的にアメリカが戦争に突入していったか、そしてその過程と結果を映像とインタビューで検証したもの。最初の半分を見逃した。ラムズフェルドの若い頃の姿が見れなくて残念。今、７１歳の国防長官は、バリバリの戦争好きな爺さんにしか見えない。オーバーなアクション、大きな声、かつてはハンサムであったような正当派白人の顔立ち。証言する人々が語る。「ラムズフェルドは考えるタイプの人間ではない。行動する人だ」。もとレスリングの選手で、アクションに次ぐアクション、行動につぐ行動で生きて来た人のよう。「彼は今でもレスラー時代と同じようだ。負けがこんでいても人前では決して弱音をはかない。歯を食いしばって平静な顔で攻撃を続けている」。でもそれがイラク戦争を泥沼化しているとしたら。彼はなぜ、そんなに戦争がしたかったのだろう。ゲーム感覚で、アメリカ軍の実力を実践で試してみたかったのか。アフガンを攻撃したのは分からなくもないが、なぜイラク？アブグレイブ収容所の捕虜虐待の責任問題、かつての閣僚の反ブッシュ内閣発言の数々を含め、ラムズフェルドのイメージは日に日に冴えなくなっていく一方。もはや崖っぷちにいるようなもので、共和党大会にも登場しなかった。PBSが連日、この手のプログラムを放映する裏にはやはりニューヨーク・リベラルの策略があるのか。とてもじゃないが、共和党のプラスになるプログラムではないし。証言ーーーーーーーーーーーーーーHe was the defense secretary under Ford, just coming out of Vietnam, the youngest defense secretary. He survived a coup, if you will, in the national security arena that involved other members who were ousted at the time. He was actually Cheney's boss for a little while. He was a fighter pilot for a while, Navy, and a wrestler. I think it's very apt of his personality. He's very forceful. You can see that on the podium when he bats away the reporters' questions over and over again and does it with not only talent and humor, but repetition. And he is a very strong, dominant personality. He is very confident about breaking the china and moving ahead with his own vision of how things should be. And he doesn't let generals stand in the way, he doesn't let Congress stand in the way, he doesn't let the Army institution stand in the way; he just goes forward. He has a small group of people around him, and they got the reputation among the civilians who had been there as career civil servants for years, and also the military, that they were very insular, that there is a cabal of people that really runs the show. And that's still a feeling that is carried on to today. ﾉ In September 2003, you are traveling with the secretary of defense. What's that like?When I traveled with Rumsfeld in September, the first thing that was impressive was he was right in the middle of all of us all the time. He actually sat in the front of a row of maybe 20 rows of seats that were airline passenger seats but in the middle of a cargo plane. I'm not going to tell you the latrine story. It's too bizarre. Oh, go ahead!So he would sit in the front row for eight hours straight, mostly reading, but also getting up and stretching. And he sat right in front of the Porta-Potty that was there, for use by anybody, everybody. So instead of any kind of comfortable place, he was right in the middle of the action, in a place where, you know, most people would choose not to be. So he's impressive physically in that way, in the sense that he can endure, at his age, endure a lot of bumping around and traveling. And he's fairly affable about taking press questions just as they come at him, and in a relaxed way. But he's very disciplined in what he says, in terms of what he gives away. ...Pentagon correspondent, The Washington Post. ﾉ Does Rumsfeld have a tragic flaw?I heard from associates of Rumsfeld -- from generals, but also from civilians he's worked with for a long time -- that he perhaps had lost a step as he'd aged, and he was not assimilating information as fast as he had in the past. One friend of his said to me that he makes up his mind too early. He loves to jump on information and make the decision. He said, "He didn't do it as well as he did in the past." This was background chatter at the Pentagon, but it had never been put foursquare in front of the public until the report by former Defense Secretary [under Nixon James] Schlessinger came in on Abu Ghraib. It specifically faulted all levels of the chain of command and included the highest levels -- that is to say, Rumsfeld's office and the Joint Chiefs of Staff, their staff and Joint Chiefs Chairman Gen. [Richard B.] Myers -- saying they had failed in that crucial period in the summer and the fall of 2003 to respond adequately to events on the ground in Iraq. There were new things that were occurring. They didn't take it on; they didn't act with all the things that Rumsfeld has talked about in transformation were necessary -- with agility, with the ability to quickly assimilate new information. That didn't happen. Rumsfeld has a very interesting mind. It really struck me looking at some of his internal memos that he would have been a great high school English teacher. There's a muscularity and clarity and simplicity to his prose which is really unusual, not only in the U.S. government but anywhere in American life these days. He is a good writer, and good writing, as [George] Orwell tells us, reflects good thinking. ﾉ Is Rumsfeld, deep down, a neocon? Was he won over by them? Rumsfeld doesn't strike me as an ideological guy. He strikes me as a very pragmatic guy. The division of labor at the Pentagon seems to be that Rumsfeld is the hands-on manager, and the deputy secretary of defense, Paul Wolfowitz, is kind of the big thinker, the visionary. What you get is a disconnection between Rumsfeld, the skeptical, pragmatic, corporate type, and the Bush administration's vision of transforming the Middle East, which is the opposite of the pragmatic, realpolitik approach you might get that Rumsfeld would have.Paul Wolfowitz and some of the more ideologically-minded members of the Bush administration are saying, "We need to change the entire Middle East." Now, they present this as a pragmatic approach. Yet that is a hugely ambitious project never really discussed and laid out by the Bush administration as it goes into Iraq: How long is this going to take? How much is it going to cost? Do we have a military establishment adequately sized for that job? What other resources do you plan to bring to that? Those are the type of questions you might expect a Rumsfeld to ask. There wasn't a lot of public discussion. It's only about a year later, when Rumsfeld's "long, hard slog" memo comes out and USA Today gets ahold of it, and Rumsfeld is indeed asking those questions. But it's, I think, October 2003 when those questions are being asked, when the United States has already committed on the ground in Iraq in the middle of kind of an unexpected war.I think Rumsfeld sees himself very much as a strategic manager, a guy who looks at the military machine and questions it and prods it and moves it along. Yet he finds himself presiding over a profoundly ideological task of occupying Iraq, at least originally, with the intent of making it a beacon of democracy in the Middle East, transforming the entire region. And to have somebody like Rumsfeld assigned that task, I find it extraordinary. The man and the task don't seem to match up. So how happy is Donald Rumsfeld to find out that he's inherited that task?Donald Rumsfeld would never tell you he's unhappy with that. He would never say something like that in public. He'd grit his teeth and put his shoulder down. I remember somebody talking about him as a wrestler. His great strength as a wrestler was that he wouldn't give up even when he knew he was beaten. He would just keep on slogging away. Sometimes when I look at Iraq, I kind of feel that that's where we're at, a Rumsfeld wrestling match. And it does worry me, this notion of staying the course, because as Rumsfeld himself says, "When you're at the bottom of a hole, it's not necessarily the smartest thing to keep on digging." Prewar, is Rumsfeld listening to the Iraqi National Congress as they push for war? Rumsfeld has probably said to Wolfowitz and [Undersecretary of Defense for Policy Douglas] Feith and his policy people: "Look, we all know the intelligence community sometimes get things wrong. Make sure that we really have a good handle on this." And there are some people at the Pentagon who really think that Chalabi and his outfit have got good information, and sometimes they do. Despite Chalabi's image now, when I was in Baghdad, you got good information sometimes from the Chalabi people. It wasn't like they were totally wrong about everything. They just happened to seem wrong about weapons of mass destruction and the other things that got the United States involved in the war. Now, if you go back and read the Senate Intelligence Committee report, some of the sources that they seem to provide were some of the sources that ultimately were most misleading. But clearly this administration embraced Chalabi. There's a reason he was sitting behind the first lady at the State of the Union address. Nobody wants to talk about it now, but they thought he was the guy. They really did. And I think Wolfowitz especially seemed to.（以下省略）

  2004年10月27日

• PBS 「The First Lady: Public Expectations, Private Lives　大統領夫人：世間の期待、私的生活」を見る。

  http://www.pbs.org/previews/first_lady/面白かった。戦前のエレノア・ルーズベルト大統領夫人から、ローラ・ブッシュに至るまで、アメリカのファーストレディーの軌跡を映像とインタビューで辿ったもので、最後にはローラ・ブッシュとテレザ・ハインツ・ケリーへのインタビューもあった。アメリカというのは日本より進んだ社会という革新的なイメージがあるが、大衆が大統領夫人という役割に期待しているイメージは驚くほど保守的だ。大衆のほとんどは、大統領夫人が独立した収入を得る仕事を持つことを歓迎していない。大衆が期待しているのは、あくまで良妻賢母的、補佐的な立場だ。１９９４年、ヒラリー・クリントンが大統領夫人になって健康保険問題に取り組んだ頃、「co-president、もう一人の大統領」、という風に保守層から批判を受けていたのを覚えている。逆に、その前のバーバラ・ブッシュ夫人は、白髪の祖母的なイメージで国民的に支持されていた。その前のレーガン大統領夫人のナンシーは、豪華な服装にかける費用への批判、占星術師などまで登場して、庶民から離れた王宮的、ハリウッド的なグラマラスなイメージが最後までつきまとっていた。その前のカーター夫人はヒラリー・クリントン的な知的な職業婦人であり、その前のベティ・フォード夫人は自らが乳がんであることを公に告白したことで知られている。ニクソン夫人、ジョンソン夫人とさかのぼって、１９６０年にジャッキー・ケネディが登場する。ジャッキーはまさに５０年代のグラマーを象徴する存在で、ケネディとともに新しい時代を象徴する理想的なカップルとしてアメリカ人に夢、イルージョンを与える効果があったという。ジャッキー自身はデビュタントであり、東部の貴族的な育ちでヨーロッパで教育を受け、一般的なアメリカの大衆とはかけ離れた育ちだったが、大衆は彼女をスターのごとくあこがれ、誇りに思った。彼女のハイセンスな姿がソ連のフルシチョフとの会談後のパーティなどで、外政にアメリカに有利に働いたこともあった。ジャッキーはホワイトハウスの内装改革を行い、完成後、一般人を招待して、テレビ中継で様子を語った。その番組は大変な視聴率を稼ぎ、彼女の人気を不動のものにした。ケネディ亡き後も、彼女の伝説は続いて行く。さて、ローラ・ブッシュ夫人だが、彼女は一般に理想的な大統領夫人だと受け止められている。ブッシュの政治がどのように国に不利益に働き、混乱した状態であろうと、ローラは全く自分の感情をださず笑顔を崩さず、夫のサポーターとして完璧な役割を自然な態度で演じている。ローラがブッシュのアルコール中毒を立ちなおらせたのは有名な話で、彼女なしにブッシュが大統領になることはなかった。ブッシュもそれを知っており、最大限に彼女のパワーを選挙に利用しようとしており、演説のそこかしこにローラの名をだし、ローラのような女性を大統領夫人にもつことの幸せを国民に納得させようとしている。ブッシュ陣営でローラは「シークレットウエポン、秘密兵器」と呼ばれているらしい。ローラを見ていると、家の中でもハイヒールをはいて完璧にドレスアップした母親がケーキを焼いているような、「パパは何でも知っている」の５０年代の世界を思い出す。ある意味、時代を逆行しているような。対するケリー夫人のテレザ・ハインツは、一般的なアメリカ大衆にとって極めて異質な存在である。モザンビーク生まれのポルトガル人、南アフリカで育って５カ国語話し、億万長者と結婚。飛行機事故で夫が亡くなった後、ケリーと再婚する。話す英語もヨーロッパ人らしい強い訛りがあるし、自分の言いたいことは我慢しないで率直に口に出す人だ。この人の民主党大会での演説を聞いたが、出だしはかなり面白かった。自分の若い頃、いかに南アフリカで人種差別を見て来たか、いかに意見を持つ女性が差別されてきたかなど、数カ国語を交えて話していた。こういうタイプの女性はヨーロッパ人に良く見かけるが、アメリカの田舎の人にとっては完全に異邦人に見えるのは仕方がないと思う。ケリー陣営にとって、テレザが率直に話しすぎて有権者にそっぽを向かせると大変だから、極力スピーチを用意し、思ったまま話させない方向で活動しているとか聞く。テレザは当然のように、大統領夫人になっても、ハインツ・ケチャップの大株主の仕事を辞めるつもりはないらしい。さて、ローラとテレザでは、保守的良妻賢母型アメリカ女性のローラが一般のアメリカ人受けするのは当然だろうが、テレザのような異邦人をファーストレディーに迎えた時、この国は新しく変わるような気がする。もはやアメリカ人だけのアメリカではいられない、対外的に目を向けた国際的国家にならざるを得ないような。移民の一人として期待したい。ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーAmericans have always had a fascination with their First Lady. And they have had high expectations of her as well. She is not appointed, has no job description, no formal power and no salary. Yet with her role come many demands about what she should and should not do.THE FIRST LADY: PUBLIC EXPECTATIONS, PRIVATE LIVES, airing on PBS Monday October 25, 2004, provides insights into America's complex relationship with its First Lady.Stockard Channing - who plays First Lady Abigail Bartlett on NBC's "West Wing" - hosts this PBS Election 2004 special, which features in-depth interviews with First Lady Laura Bush and Teresa Heinz Kerry, conducted by Margaret Warner, senior correspondent for PBS' THE NEWSHOUR WITH JIM LEHRER.The program will examine the wide-range of opinion concerning what the American public wants from its First Lady. Do they want her to be the traditional first "hostess" or will they let her be a fully independent woman? And how will America deal with its first "First Gentleman" when someday a woman is elected president?To help answer these questions, THE FIRST LADY will feature the results of a joint MacNeil Lehrer Productions/USA Today poll focused entirely on the role of the First Lady. Poll results will appear in a related feature in USA Today accompanying the broadcast. The program also presents interviews with presidential historians and social critics, as well as interviews with recent First Ladies who have tried to bend the rules of the role for themselves - with varying degrees of success.THE FIRST LADY plans to feature interviews with former First Ladies Hillary Rodham Clinton and Betty Ford, among others, as well as historian Allida Black and authors Gail Sheehy (Passages, Hillary's Choice), Ann Gerhart (The Perfect Wife) and Kati Marton (Hidden Power: Presidential Marriages That Shaped History).

  2004年10月26日

• ロストイントランスレーション。

  この映画の中の日本は妙に美しい。もちろん、映画というのはフィクション、虚構の世界であって、映像として映った東京や京都の町並みがどれだけ虚構的に美しく描かれていても不思議はない。ただ、この映画の場合、その虚構と真実のバランスが絶妙だった。高層ホテルから見る東京の街頭風景、ゲームセンター、パチンコ屋、カラオケ、ネオンの明かりの中で、主人公の二人の回りを行き交う今のファッションの日本の若者たち。二人というのは、コマーシャルの撮影に訪れた有名俳優役のビルマーレーと、カメラマンの夫について日本に滞在中の若妻、スカーレットヨハンソンだ。二人とも配偶者と上手くいっていない寂しい心理状態で、しかも異国のホテルの一室に仕事で閉じ込められて、無聊をかこっている。ホテルのバーやプールで時間をつぶしながら、いつしか二人で街頭にでて夜を過ごす。過ごすといっても、性関係をもつわけではなく、カラオケや東京のナイトシーンを二人で探索するのだ。東京の夜の風景を背景に、この映画はほとんどドキュメンタリーのように、普通の人々の行き交う中で二人の行動を追っていく。その東京が、町全体が一つの大きな遊園地のような面白さに溢れていた。街頭風景が主要な役を演じている点では、「ローマの休日」にどこか似たところもある。この映画はアメリカで上映されたときに、日本語の翻訳がされていなかったという。日本語の分からぬアメリカ人の聴衆にはまさに、ビルマーレー同様、異国に一人放り出されたような心もとない雰囲気だった違いない。日本語も英語も分かる私には、もし、この背景が日本でなく、香港か台湾であったら、異国に投げ出された奇妙な感覚が理解でき、この映画の本質がもっと見えたような気がする。

  2004年10月23日

• 「The price of Loyalty 忠誠の代償」

  昨夜のPBS「チャリーローズ」に、ニューヨークタイムズ日曜版に「Without a Doubt　疑いなく」を書いたRON SUSKINDが出演していた。やはりかなり話題を呼んでいるらしい。このRON SUSKINDは「The price of Loyalty 忠誠の代償」の著者と同じRON SUSKIND、ロン・サスカインドだった事が分かった。http://thepriceofloyalty.ronsuskind.com/丸顔で、まだ若そうな穏やかな感じのジャーナリストだった。ブッシュ内閣の「神の啓示」や「本能」で世界を動かそうとする「The faith-based presidency」の脅威について控えめに語っていた。実は昨日、勘違いでとんでもないビデオを借りてしまった。「George W. Bush - Faith in the White House」(2004)ブッシュの神懸かり政治を批判したものかと思ったら、もろに共和党のプロパガンダ。ああ…。内容は以下。３９歳でテレビ伝道師、ビリー・グラハム師に会って、酒浸りの日々から立ち直り、回心（ボーン・アゲイン）したブッシュ。歴代の大統領の中で、これほど「信仰」を政治の根本に据えたのは、ワシントンとリンカーン以来だ。そしてこの３人とも、戦争に関わっている。神の支えと信仰心、ガイダンスなしに、国家的な危機を克服するのは不可能だ。BBC特派員は語る、「未だかつてホワイトハウスに、これほど頻繁に膝まずいて神に祈りを捧げる大統領や閣僚は存在しなかった」。ワールドトレードセンターの崩壊後、真の同情心と情熱を持って遺族を慰め、神の名のもとに報復を誓うブッシュ。その姿にどれだけのアメリカ人が心を打たれ、励まされたことか。大統領は演説で頻繁に祈ることの重要さ、を繰り返し話す。祈ることで、どれだけ彼の人生が変わったか。一人に人間が救われたのだから、国が救われることも可能だ。そして不治の病に苦しむ少年を病院に訪ねて祈りを捧げる大統領の姿が映し出される。忙しいスケジュールをおって、少年と家族をホワイトハウスに招待する大統領。今まで、このような大統領がいただろうか…。このように、いかにもいかがわしいビデオだが、これを見て単純にブッシュを支持する保守的キリスト教徒がアメリカの田舎には山のようにいるから、どうしようもない。映画 は最後に、マイケルムーアの「華氏９１１」を、 "Bush-bashing, incendiary, and manipulative" （ブッシュバッシングの煽動者）とこき下ろすことも忘れなかった。George W. Bush - Faith in the White House(2004)Editorial ReviewsDescriptionGEORGE BUSH: Faith in the White House No sitting president since Abraham Lincoln has talked as much about God as George W. Bush, and none has so boldly, publicly, and genuinely lived out his faith on the job. As the leader of the free world, Bush bears an enormous responsibility, and its weight drives him to his knees…in prayer and supplication. Says BBC correspondent Justin Webb, "Nobody spends more time on his knees than George W. Bush. The Bush administration hums to the sound of prayer. Prayer meetings take place day and night. It’s not uncommon to see White House functionaries hurrying down corridors carrying Bibles." This powerful program is a unique insider’s look at how one man’s dedication to prayer and the daily application of God’s word transformed his life and leadership. His dependence upon God gave him the clarity of vision and quiet confidence needed to lead us through the 9/11 terrorist attacks and the ensuing wars in Afghanistan and Iraq. Witness President Bush’s remarkable journey of faith, and decide for yourself whether it has been good for America. But whatever you decide, it will change and inspire you! DVD: Extra Bonus Features for Further Enjoyment and Study ･ Additional Bush Insider Interviews ･ Bush Faith Statements from Speakers ･ Historical Faith/News Documents ･ Recommended Reading/DVD List ･ Responses to Fahrenheit 9/11

  2004年10月22日

• 映像に見る日本

  この一年の間、外国人の目から見た日本を描いた映画を３本見た。「キルビル」「ラストサムライ」「ロストイントランスレーション」だ。それぞれ、違った意味で本物の日本ではないが、一番、本物に近い、等身大の日本が描かれていたのは「ロストイントランスレーション」、理想化され、美しく脚色されていたのが「ラストサムライ」、漫画的に極端にデフォルメされていたのが「キルビル」だと思う。日本を離れて外国に長くいるせいか、どれも私から見て腹立たしいほど本物と違う、とか感じることもなく、フィクションをフィクションとして楽しみ、ほとんど外国人聴衆に近い目で見たのかもしれない。特に「キルビル」と「ラストサムライ」は、完璧なフィクション、監督にとってのユートピア、銀幕の中での「完成した世界」としてディテールまで凝っていて面白かった。「ラストサムライ」主演の渡辺謙さんは、２０年ほど昔、自分とかなり近いところにおり、言葉をかわしたこともある。劇団研究生の頃の卒業公演も見た。当時から、寡黙だが目線の鋭い、背の素晴らしく高い、いかにも映像向きの役者さんだと思っていた。でもまさか今頃、４０代も半ばになってハリウッドデビューするとは思わなかった。しかも英語の台詞をかなり上手な発音で話すのに驚いた。耳の非常に良い人なのかもしれない。彼のような人をマンハッタンで見ても、たぶん誰も日本人とは思わないだろう。むしろヒスパニックかメキシカン、イタリア系にも見えるかもしれない。（次作はアラブ系の役でバットマンに出ているというし）。要するに、英語の上達しだいで、彼にはこれからハリウッドで活躍する機会がいくらでもあるというわけだ。めでたい。ブルックリン生まれのイタリア系のアクセントでもできたら、ニューヨークのマフィア役でもできるかも。ボルサリーノの帽子にダブルの高級スーツ、ハバナ製シガーをくわえて、マーチン・スコセッシ監督のような英語を話す…。無理かな？　外見は十分ゴッドファーザーだと思うけど。小雪という女優も初めて見たが、般若的な憂い顔で良かった。スタイルも良い。面影のキツいところが少し中国人女優のゴン・リーに似ていると思った。西洋人はあの手の大人っぽいキツネ顔が好きだ。日本人好みの童顔の可愛い丸顔、タヌキ顔はあまり受けない。この映画を見て、謙さんといい、日本人の体型や外観もどんどん西洋風に進化しているのだと西洋人は思うかもしれない。「キルビル」は漫画、ジャパニメーションそのものだった。日本刀もって飛行機に乗ってたし。台詞も漫画そのもの。殺陣も、体の部分の切れ方も漫画。血がドバドバ。女子高生のゴーゴー。笑った。１０年前の「パルプフィクション」の方がまだ血まみれでなかった。こういう映画が受けるというのは、日本のオタク文化がユニバーサルなアトラクションになっている印かもしれない。そういえば、こちらの本屋にも日本の漫画雑誌のコーナーがあるようになったし。ジャパニメーションに出てくるような「萌え」系少女キャラクターが、アメリカのオタク青年の間で人気だという。栗山千明のポスターが近所のバスストップに出てたときは吃驚した。無表情の能面顔、内股の細い体つき、お稚児さんのようなおカッパ頭も、すべてエキゾチック、無機質なマネキン人形的に見え、いかにも２次元のアニメーションのキャラクターのように映っていた。「ロストイントランスレーション」については後日。

  2004年10月20日

• 「敬虔なクリスチャン」を称する大統領の恐ろしさ

  ニューヨークタイムズが「ケリーを熱狂的に支持する」という社説を発表した日、日曜版のマガジンに、面白い記事があった。題して「Without a Doubt　疑いなく」By RON SUSKIND。（http://www.nytimes.com/2004/10/17/magazine/17BUSH.html?oref=login&oref=login）内容は、要約すると、いかにブッシュが大統領として相応しくない人物であるばかりか、彼が「神の啓示」を受けて人生が変わった人物なだけに、政策にも神懸かり的、宗教的な思考を入れ過ぎており、非常に危険であること。実力のない不正なトリックで選ばれた大統領だった彼は９１１で多大な恩恵を受けた。９１１後、彼はアフガニスタンとイラクを「神の名の元に」アメリカを守る正当な手だてとして攻撃し、国民の莫大な支持を得た。「敬虔なクリスチャン」を称する大統領の真の恐ろしさについて、などなど。出だしの要約は以下。ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーレーガンとパパブッシュの元閣僚てあったブルース・バートレット氏が、ある日筆者にこういう言った。「もしブッシュが再選されたら、１１月3日以降、共和党内で市民戦争が起るだろう、戦いはもっぱら、近代化推進派と原理主義派、現実主義と信心の強い者、理性と宗教の間に起るだろう。ブッシュはアルカイダとイスラム原理派を破滅させようとしている。彼らは説得出来る相手ではなく、暗黒のビジョンに動かされている極端論者だとブッシュは考えている。ブッシュは自分もそうだから彼らを理解しているのだ。ブッシュは真に自分は「神の啓示」「instincts　本能」よって動いていると信じている。このような完璧な信仰心は分析のしようがない。信仰のすべては実際的な確証のないことを信じることだ。しかし世界を信仰心で動かそうとするのは不可能だ。民主党議員のジョー・ビデンはこういう話を私にした。「バグダッド陥落の数ヶ月後、私はホワイトハウスの執務室にいた。そして大統領に、スンニとシーテ派の問題、イラク兵、油田の安全性など、平和的に解決を計ることについて多くの思惑を語っていた」ブッシュは私を見て一言「アメリカは正しい方向におり、すべてが上手くいっている」と言った。なぜそう確信できるのかとビデンが聞くと、「'My instincts　私の本能、勘」だと彼は答えた。The faith-based presidency、信仰を基礎に置いた大統領職は、ブッシュのホワイトハウスの組織、及び気質を一種の国家機密にしてしまった。（以下省略）ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーブッシュは３９歳の時、現代アメリカの最も著名なキリスト教のテレビ伝道師、ビリー・グラハム師に会って、石油事業に失敗して酒浸りの日々から立ち直り、回心（ボーン・アゲイン）したという。アメリカのローカルテレビに日曜の朝に大声でマイクで宣教している平服姿の伝導師をよく見る。ビリー・グラハム(1918-)というのはその中でも一番有名な人。南部バプテストの福音派宣教師から１９５０年にビリー・グラハム福音宣教団を設立、「大統領の牧師」としてトルーマンからクリントンまで戦後歴代のほとんどの大統領就任式で祈祷を受け持ち、福音派のエスタブリッシュメント的存在。このテレビ伝道番組（TV Evangeline ）というのは、ロックコンサートにも似て、パイプオルガンの音楽と力強く語りかける宣教師、人々の感動にうち震える表情が混じった一種のショーのようなもの。アメリカ大陸の真ん中を東西に横断する南部の「バイブルベルト」に熱狂的な信者が多いとのこと。そしてその南部の保守的なキリスト教徒の層がズバリ、ブッシュ支持者と重なっている。 ブッシュ大統領を支えるキリスト教右派の正体http://www.asyura2.com/0401/dispute16/msg/594.html「キリスト教原理主義」http://homepage3.nifty.com/fkc/tsushin/fundamentalism.htm

  2004年10月19日

• ケリー氏を「熱烈支持」 ＮＹタイムズ社説

  【ニューヨーク１７日共同】米紙ニューヨーク・タイムズは１７日の社説で、米大統領選挙で民主党候補のケリー上院議員を「熱烈に支持する。we enthusiastically endorse John Kerry for president.」と宣言、同氏が当選すれば「国は良くなると信じる」と述べた。同紙は共和党のブッシュ大統領の実績について、アシュクロフト司法長官起用や連邦裁判所判事の指名人事、減税偏重の経済財政政策のほか、環境政策、テロ対策、イラク戦争まで厳しく批判。ブッシュ政権を「破滅的」と形容し、「政府を極右に引き渡した」と大統領を非難した。ケリー氏については「幅広い知識と明晰（めいせき）な思考に感銘を受けた」とした上で「状況の変化に応じて決定を再評価する意思がある」と称賛。「単に現職よりましということでなく、偉大な大統領になり得る資質を備えている」と期待感を示した。ーー民主党の強いニューヨークの代表的な新聞がブッシュを支持するとは考えられない。４年前もゴアを支持していたし。でも、タイムズほどの大新聞社が公的に一政党支持を表明して良いものなのか？　タブロイド紙のニューヨークポストが共和党よりなのは知ってたけど。John Kerry for PresidentSenator John Kerry goes toward the election with a base that is built more on opposition to George W. Bush than loyalty to his own candidacy. But over the last year we have come to know Mr. Kerry as more than just an alternative to the status quo. We like what we've seen. He has qualities that could be the basis for a great chief executive, not just a modest improvement on the incumbent. We have been impressed with Mr. Kerry's wide knowledge and clear thinking - something that became more apparent once he was reined in by that two-minute debate light. He is blessedly willing to re-evaluate decisions when conditions change. And while Mr. Kerry's service in Vietnam was first over-promoted and then over-pilloried, his entire life has been devoted to public service, from the war to a series of elected offices. He strikes us, above all, as a man with a strong moral core.･ There is no denying that this race is mainly about Mr. Bush's disastrous tenure. Nearly four years ago, after the Supreme Court awarded him the presidency, Mr. Bush came into office amid popular expectation that he would acknowledge his lack of a mandate by sticking close to the center. Instead, he turned the government over to the radical right. Mr. Bush installed John Ashcroft, a favorite of the far right with a history of insensitivity to civil liberties, as attorney general. He sent the Senate one ideological, activist judicial nominee after another. He moved quickly to implement a far-reaching anti-choice agenda including censorship of government Web sites and a clampdown on embryonic stem cell research. He threw the government's weight against efforts by the University of Michigan to give minority students an edge in admission, as it did for students from rural areas or the offspring of alumni. If Mr. Bush had wanted to make a mark on an issue on which Republicans and Democrats have long made common cause, he could have picked the environment. Christie Whitman, the former New Jersey governor chosen to run the Environmental Protection Agency, came from that bipartisan tradition. Yet she left after three years of futile struggle against the ideologues and industry lobbyists Mr. Bush and Vice President Dick Cheney had installed in every other important environmental post. The result has been a systematic weakening of regulatory safeguards across the entire spectrum of environmental issues, from clean air to wilderness protection. The president who lost the popular vote got a real mandate on Sept. 11, 2001. With the grieving country united behind him, Mr. Bush had an unparalleled opportunity to ask for almost any shared sacrifice. The only limit was his imagination.He asked for another tax cut and the war against Iraq.The president's refusal to drop his tax-cutting agenda when the nation was gearing up for war is perhaps the most shocking example of his inability to change his priorities in the face of drastically altered circumstances. Mr. Bush did not just starve the government of the money it needed for his own education initiative or the Medicare drug bill. He also made tax cuts a higher priority than doing what was needed for America's security; 90 percent of the cargo unloaded every day in the nation's ports still goes uninspected.Along with the invasion of Afghanistan, which had near unanimous international and domestic support, Mr. Bush and his attorney general put in place a strategy for a domestic antiterror war that had all the hallmarks of the administration's normal method of doing business: a Nixonian obsession with secrecy, disrespect for civil liberties and inept management. American citizens were detained for long periods without access to lawyers or family members. Immigrants were rounded up and forced to languish in what the Justice Department's own inspector general found were often "unduly harsh" conditions. Men captured in the Afghan war were held incommunicado with no right to challenge their confinement. The Justice Department became a cheerleader for skirting decades-old international laws and treaties forbidding the brutal treatment of prisoners taken during wartime.Mr. Ashcroft appeared on TV time and again to announce sensational arrests of people who turned out to be either innocent, harmless braggarts or extremely low-level sympathizers of Osama bin Laden who, while perhaps wishing to do something terrible, lacked the means. The Justice Department cannot claim one major successful terrorism prosecution, and has squandered much of the trust and patience the American people freely gave in 2001. Other nations, perceiving that the vast bulk of the prisoners held for so long at Guant?amo Bay came from the same line of ineffectual incompetents or unlucky innocents, and seeing the awful photographs from the Abu Ghraib prison in Baghdad, were shocked that the nation that was supposed to be setting the world standard for human rights could behave that way.･ Like the tax cuts, Mr. Bush's obsession with Saddam Hussein seemed closer to zealotry than mere policy. He sold the war to the American people, and to Congress, as an antiterrorist campaign even though Iraq had no known working relationship with Al Qaeda. His most frightening allegation was that Saddam Hussein was close to getting nuclear weapons. It was based on two pieces of evidence. One was a story about attempts to purchase critical materials from Niger, and it was the product of rumor and forgery. The other evidence, the purchase of aluminum tubes that the administration said were meant for a nuclear centrifuge, was concocted by one low-level analyst and had been thoroughly debunked by administration investigators and international vetting. Top members of the administration knew this, but the selling went on anyway. None of the president's chief advisers have ever been held accountable for their misrepresentations to the American people or for their mismanagement of the war that followed.The international outrage over the American invasion is now joined by a sense of disdain for the incompetence of the effort. Moderate Arab leaders who have attempted to introduce a modicum of democracy are tainted by their connection to an administration that is now radioactive in the Muslim world. Heads of rogue states, including Iran and North Korea, have been taught decisively that the best protection against a pre-emptive American strike is to acquire nuclear weapons themselves. ･ We have specific fears about what would happen in a second Bush term, particularly regarding the Supreme Court. The record so far gives us plenty of cause for worry. Thanks to Mr. Bush, Jay Bybee, the author of an infamous Justice Department memo justifying the use of torture as an interrogation technique, is now a federal appeals court judge. Another Bush selection, J. Leon Holmes, a federal judge in Arkansas, has written that wives must be subordinate to their husbands and compared abortion rights activists to Nazis.Mr. Bush remains enamored of tax cuts but he has never stopped Republican lawmakers from passing massive spending, even for projects he dislikes, like increased farm aid.If he wins re-election, domestic and foreign financial markets will know the fiscal recklessness will continue. Along with record trade imbalances, that increases the chances of a financial crisis, like an uncontrolled decline of the dollar, and higher long-term interest rates.The Bush White House has always given us the worst aspects of the American right without any of the advantages. We get the radical goals but not the efficient management. The Department of Education's handling of the No Child Left Behind Act has been heavily politicized and inept. The Department of Homeland Security is famous for its useless alerts and its inability to distribute antiterrorism aid according to actual threats. Without providing enough troops to properly secure Iraq, the administration has managed to so strain the resources of our armed forces that the nation is unprepared to respond to a crisis anywhere else in the world. ･ Mr. Kerry has the capacity to do far, far better. He has a willingness - sorely missing in Washington these days - to reach across the aisle. We are relieved that he is a strong defender of civil rights, that he would remove unnecessary restrictions on stem cell research and that he understands the concept of separation of church and state. We appreciate his sensible plan to provide health coverage for most of the people who currently do without. （以下省略）

  2004年10月18日

• 米副大統領夫妻、ケリー氏に激怒＝「娘を同性愛者」と指摘

  　【ワシントン】チェイニー米副大統領夫妻は１４日、米民主党大統領候補のケリー上院議員が１３日に行われたブッシュ大統領との討論会で、副大統領の娘を同性愛者と指摘したことに激怒、ＣＮＮテレビなど米メディアもこの問題を大きく取り上げた。　米国では、チェイニー副大統領の二女が同性愛者であることはよく知られている。ケリー氏は同性結婚に関し見解を求められ、同性愛者は自らが選択したのではなく、生まれついてのものだと述べた際に、副大統領の娘に言及した。（時事通信）---リン・チェイニー副大統領夫人が、ケリー候補が同性愛についての討論で、同性愛者である娘を引き合いに出したことに言及し、「下品な政治トリック」と非難したそうだが、これは、多分に討論会で支持率を下げたブッシュ陣営の戦略として、オーバーリアクティングしているのだと思う。 米国では、チェイニー副大統領の二女が同性愛者であることは、よく知られた事実だし、チェイニー自身も公共の場で語っている。彼は今年８月末にアイオワ州での選挙集会で、結婚を男女間に制限する憲法修正を目指すブッシュの案について、「私には同性愛の娘がおり、この問題に精通している。同性結婚を認めるかどうかは各州が決めるべき問題だ」と公的に述べており、ブッシュとの意見の違いをオープンに表明している。 但し、ケリーのチェイニーの娘についての同性愛に関する討論での引き合いの出し方は、いきなりだったし、無表情で暖かみがなく、「個人のプライバシーを犯した」と一家に不快に思われる要因もないことはないと思う。副大統領テレビ討論会でのエドワーズのチェイニーの娘についての語り方は、今回のケリーと違って、副大統領夫妻のゲイの娘を認める寛容さを讃えたものだった。それに対してチェイニーが「私の家族と娘に暖かい気遣いをありがとう」と一言だけ礼を述べた時、それまで老獪な戦略家という印象だった彼が初めて人間的な暖かさを見せたようで、聴衆に与えた印象はとても良かったのだ。 ケリーの今後の課題は、理路整然としたスピーチにユーモアのセンスと人間的な暖かみを入れて行く事だと思う。Cheneys Angered by Kerry Mention of DaughterKerry Says He Was 'Trying to Say Something Positive'By LAURA MECKLER, APWASHINGTON (Oct. 15) - Mary Cheney typically works quietly behind the scenes on her father's vice presidential campaign, but she was dragged front-and-center after John Kerry noted that she is a lesbian during his debate with President Bush.Her parents were furious at Kerry. But others who have publicly navigated the waters of politics and homosexuality say Vice President Dick Cheney and his wife may have overreacted to what Kerry called an attempt to compliment them on how they have dealt with having a lesbian daughter.The Cheneys went on the attack immediately after the debate, where Kerry had suggested their daughter's sexual identity was formed at birth."I'm a pretty angry father," said the vice president. "Cheap and tawdry political trick," charged his wife.A campaign spokeswoman said Mary Cheney, who runs operations in the vice president's campaign office, declined to comment - as is typically the case.But others said Kerry's comments seemed well within bounds, especially because Mary Cheney has been public about her sexuality and because her father has discussed it openly before.Steve Gunderson, a former Republican congressman who is gay, called Kerry's comments "absolutely appropriate.""It's trying to put a human face and make clear the issue of one's sexual orientation does not honor partisan lines," said Gunderson, who used to represent Wisconsin.The flap was ignited during the presidential debate Wednesday night, when Kerry was asked whether homosexuality is a choice."We're all God's children," he said. "And I think if you were to talk to Dick Cheney's daughter, who is a lesbian, she would tell you that she's being who she was. She's being who she was born as. I think if you talk to anybody, it's not a choice."Kerry said in a statement Thursday that he "was trying to say something positive about the way strong families deal with the issue."Running mate John Edwards noted that Cheney has raised his daughter's sexuality on his own, while Edwards' wife, Elizabeth, wondered whether Lynne Cheney was ashamed of her daughter.That prompted a sharp response from Mary Cheney's sister, Liz, who also works on the campaign."It has nothing do with shame. And I think Mrs. Edwards was also out of line. Mary is one of my heroes. And it has nothing to do with being ashamed of Mary," Liz Cheney told CNN's Paula Zahn.Rep. Dick Gephardt defended Kerry on a subject he knows well. His daughter is a lesbian, too. He said, "What John Kerry said was very kind.""I think Dick Cheney's family situation is very public, very known to everybody," said Gephardt, D-Mo. "When you're in politics today, everything is out there. I know that. My daughter knows that. My wife knows that."Betty Degeneres, whose daughter, the comedian Ellen Degeneres, is also a lesbian, said she was baffled that the Cheneys would be offended. "It's not an insult to be gay or lesbian," she said.Mary Cheney and her partner were an established couple and owned a house together in Colorado when her father was picked as Bush's running mate in 2000. Mary Cheney, who had run a gay and lesbian outreach program for Coors Brewing Co., wears a gold band on her left hand.The pair sat side by side in the vice president's box during his acceptance speech at the Republican National Convention, though neither joined the family onstage afterward, and neither was in sight for the convention finale the next night.This wasn't the first time Mary has been thrown into the news involuntarily. At this summer's Republican convention, Illinois Republican Senate candidate Alan Keyes said that, as a lesbian, she is a "selfish hedonist."Her sister said at the time that she wouldn't dignify the comment with a response.Kerry's comments, while entirely different, were still risky, said Henry Graff, a presidential historian at Columbia University."I must say I was shocked that he would play with fire in this fashion," he said. "He shouldn't have gotten personal about the answer."Kerry's answer, Graff noted, was about whether homosexuality is a choice, not about how the Cheneys have raised their daughter.Still, the vice president has not shied away from the topic. This summer, he spoke at some length about his daughter's sexuality and his view of gay relationships. He also publicly disagreed with Bush about the need for a constitutional amendment prohibiting same-sex marriages, saying he preferred that the states settle the issue."Lynne and I have a gay daughter, so it's an issue our family is very familiar with," Cheney said in Davenport, Iowa.And the vice president stated no objection when Edwards, a North Carolina senator, brought up Mary Cheney during their debate last week. Edwards expressed "respect for the fact that they're willing to talk about the fact that they have a gay daughter, the fact that they embrace her. It's a wonderful thing."Cheney thanked his opponent for the "kind words he said about my family and our daughter. I appreciate that very much."

  2004年10月16日

• 第三回大統領選TV討論会を見る。

  これで最後とあってさすがに二人とも力が入っていた。テーマはテロ問題から健康保険、社会保障、移民問題、同性結婚、堕胎法など。ケリーは、ブッシュは新たな攻撃から米国を防衛するのに十分なことを行ってこなかったとと言い、ブッシュはケリーのテロ防止に対する政策は「危険だ」と主張し、イラクとアフガニスタンの戦争は自由を広める上で正しかったと反論していた。 ケリーはあいかわらず説得力のある話し方で法廷弁護士のよう。ブッシュは何とか聴衆とモデレーターをチャームしようと、親しげに笑いかけながら訥々と不器用に話していた。彼にとって、前回の質問者に直接訴えかけるタウンミーティング形式が楽なようで、演説台の後ろに直立して意見を言うのはいかにも慣れないように見える。ブッシュは相変わらずケリーを「超リベラル」とレベルづけしたい様子で、６回も「リベラル」という言葉を使っていた。ケリーのあだ名の「フリップフロップーくるくる変わる」は今回は使わなかった。笑えたのは今冬用に輸入したインフルエンザの予防接種薬が足りない問題についてで、ブッシュは「若くて健康なものは接種を受けるな、年寄りや子供に回せ、私も受けないつもりだ」と言ったところだった。移民の問題、テキサスのボーダーを毎日何千というメキシコ人が不法入国している問題については、自分のテリトリーで専門分野だと言い、不法移民に職を与える法案を持ち出していた。この案は前にも聞いたことがあり、それでヒスパニク系国民の票を得ようとしているのがいかにも見え見えだった。その後、信仰が政策に与える影響についての質問では、ブッシュはいかに自分が神から啓示を受けて人生が良い方に変わったか、信心、祈る事がどれだけ大切か、力強く話していた。アフガニスタンを攻撃して自由国家にしたのも「全能の神　Almighty」の啓示によるもので、その点、宗教は自分の一部であり、政策の一部であると言っていた。それに対してケリーはカソリックだが、宗教を国政に反映させるつもりはないようだった。同性結婚は両方とも反対で、ケリーは長年同居し、子供もいるようなパートナーの関係にあるゲイカップルについては、遺産、財産贈与など、特別な法案を作って保障してやりたい、というようなことを言ってた。堕胎法は相変わらず、ケリーが女性の自由意志を尊重するプロチョイス、ブッシュは絶対反対だった。財政、健康保険の問題については、二人とも数字を持ち出して、ケリーは自分には有効なプランがあるといい、ブッシュは自分の政策は成果をおさめつつあるという点を主張していた。失業問題についても同じ。ブッシュはすべてが上手く良い方向に向かっていると主張し、ケリーがアメリカにとって史上最悪の状態であると、理路整然と数字を持ち出して主張していた。最後に互いの夫人や娘について一言述べる事を司会者からリクエストされ、ブッシュは自分がローラから学んだのは「彼女たちの意見を聞く事」「まっすぐ立つこと」だと言って笑いをとり、さらに「ローラは自分よりスピーチが上手い」「「自分はあの日、テキサスのバーベキューでかの女に会えてラッキーだった」とセンチメンタルな表情で語っていた。一方ケリーは母親については「Remember: integrity, integrity, integrity、インテグリティ(誠実さ)を持ちなさい」と言われた逸話を語ったが、テレザ夫人のことをセンチメンタルには語らなかった。自分はブッシュ同様「マリッジ・アップ」、つまり結婚によって特をしたことで共通している、と言っていた。さらに自分は特に「得をした」という評判を取っているようだ、と億万長者を妻にしたアイロニーをだしていた。この間、テレビに映るテレザ夫人の表情が和まず、厳しかったのが興味深かった。討論の最後まで、ケリーは力強く理路整然と聴衆に語りかけていたが、ブッシュは最後はほとんど「私に投票して下さい」と聴衆にベッギング、つまり、頼み込んでいるようにも見えた。スピーチの下手なブッシュにとって、ケリーのように議員経験も長く、法廷弁護士出身の相手と討論をするのは、大仕事だったように思える。そこで、自分から、「自分は上手く英語が話せない」とか、そこかしこにジョークや笑顔を入れて、表情の乏しいケリーと違った「チャーミング」で人間的な面を強調しようとしていたように思える。全体にブッシュは相変わらずデフェンスに回り、ケリーの意見に突っ込みをいれても、あまり説得力があるようには見えなかった。討論会の後、第一回同様、それぞれの夫人と娘たちが舞台に上がっていた。討論会のあとのテレビのアナリストの意見では、ブッシュは第一回から少しずつ良くなっているということで、ケリーは３回とも同じように説得力を持って効果的に話していたという意見だった。一人のアナリストは、アメリカ人というのは、常に新しいものを求める性向があるので、あるいはケリーにやらせてみようと言う人が討論会後、増えるかもしれないと言っていた。PBS深夜番組の「チャーリーローズ」でも両陣営のスタッフにインタビューしていたが、ブッシュ陣営のコミュニケーションマネジャーのカレン・ヒューズがヒステリックにブッシュを弁護し、ケリーの政策を厳しく批評しているのが目立っていた。明らかに今までになかった危機感を持っているのが見受けられた。Who won the debate?John Kerry54%　George Bush46%Did it change the candidate you support?No73%　Yes, I now support Kerry16%　Yes, I now support Bush11% Total Votes: 231,038 (AOL)--------------------------------------John Kerry"The American health-care system... [is] not working... This president has turned his back on the wellness of America.""Being lectured by the president on fiscal responsibility is a little bit like Tony Soprano talking to me about law and order.""I regret to say that the president who called himself a uniter, not a divider, is now presiding over the most divided America in the recent memory of our country.""What is an article of faith for me is not something that I can legislate... I will not allow somebody to come in and change Roe v. Wade."George Bush"He has no record on reforming of health care. No record at all.""He talks about being... fiscally sound, but he voted... 277 times to waive the budget caps, which would have cost the taxpayers $4.2 trillion.""My opponent said this is a bitterly divided time. [It was] pretty divided in the 2000 election. So in other words, it [was] pretty divided during the 1990s as well.""I believe the ideal world is one in which every child is protected in law and welcomed to life... I believe reasonable people can come together and put good law in place that will help reduce the number of abortions."http://www.debates.org/pages/debtrans.html過去も含めた大統領選討論会の全スクリプト

  2004年10月14日

• pbsの選挙特集の番組を見た。

  The Choice 2004PBS "By the People" Election SpecialTuesday, October 12, at 9pm, 120 minutesRepeat broadcasts Thursday, October 14, and Monday, November 1 pbsの選挙特集の番組を見た。二人の候補者の生い立ちから今に至るまで映像と証言で追ったものだが、非常に面白かった。ブッシュがいかに無能の政治家で戦略家のブレーンに支えられてここまできたのかよく分かった。ブレーンの中でも政治指南役と言われている　カール・ローブ大統領上級顧問（政策・戦略担当）が、ブッシュの今日を作ったという他ない。政策決定から選挙戦略、議会対策、対外広報までのあらゆる内政を取り仕切っている人物らしい。彼は１９９４年テキサス州の知事選においても、得意の中傷戦術を使ってブッシュを当選させた。そのやり口はまさに「ダーティー・トリック」だ。以下のサイトに詳しくでていた。http://www.yorozubp.com/0307/030728.htm「■カール・ローブのダーティー・トリック１９９４年、テキサス州知事選でブッシュ・パパの天敵アン・リチャーズに立ち向かったのが、現在のブッシュ大統領とカール・ローブである。ローブは９３年１１月にブッシュが出馬を表明した時から緊密にアドバイスをするようになる。この知事選でローブは、「アン・リチャーズはレスビアンだ」という噂を広めていたようだ。これは、ローブが得意とするダーティー・トリックであり、ローブ自身は、プランクス（ＰＲＡＮＫＳ＝いたずら）と呼んでいる。この手法は、アトウォーターから学んだもので、ラジオや組織的な電話による「ささやき作戦」によって効率よく噂を広めるようだ。この作戦は共和党予備選でのマケインとブッシュの壮絶な戦いにも使われる。実際には、バングラディシュの孤児を養子にしただけにも関わらず、マケインに黒人の隠し子がいるという噂を流したのである。この手法はウォーターゲット事件にも使われたもので、選挙戦では今なお有効であるが、外交レベルでは通用しない。しかし、この時すでにローブは選挙後を睨んでいたのかもしれない。」ブッシュという人はこういう恥も外聞もない選挙戦術で大統領にのし上がったわけだ。そしてケリーに対する中傷戦術も真っ盛りだ。いつからこの国はこんなことになったのだろう。最近のTV討論会も、カール・ローブがイヤホンで答えを教えていたという噂があるらしい。[【ワシントン１０日共同】九月三十日に行われた米大統領選の第一回テレビ討論で、ブッシュ大統領の背中に長方形の「膨らみ」が見つかったとして、大統領が背中の無線受信機を通し、耳に隠したイヤホンから助言を受けていたのでは、とのうわさがウェブサイトなどで流れている。　米ニューヨーク・タイムズ（電子版）などが九日伝えた。　助言していたのはカール・ローブ大統領上級顧問ではないかという。大統領陣営は、膨らみの写った写真は不正に処理された可能性があるとしていたが、テレビ映像でも膨らみがはっきり見えることが分かると、「上着の下には何もなかった」「しわの可能性が最も高い」と説明を変えた。]http://www.isbushwired.com/ちなみに特集番組でのケリーの印象は熱心な活動家そのものだった。一つだけ失望したのは、ベトナムから戻って仲間と反戦運動をしている際、議事堂に勲章を投げ捨てるふりをしただけで、捨てたのはリボンだけでメダルは捨てなかったという点。よほどメダルに思い入れがあったのだろうか。

  2004年10月13日

• スーパーマンの死

  　ロイター通信などによると、人気映画「スーパーマン」の主演俳優で、落馬事故で半身不随になった米国の俳優クリストファー・リーブ氏が１０日、ニューヨークの病院で心不全のため死去した。５２歳だった。広報担当者が１１日、明らかにした。リーブ氏は９日、自宅で心臓発作を起こして病院に搬送されたが、こん睡状態に陥っていたという。乗馬が趣味だったリーブ氏は１９９５年、馬術大会で競技中に落馬して脊髄を損傷、体の自由を失った。その後、懸命にリハビリを続け、９８年にはヒチコックの「裏窓」をテレビ用にリメークした作品で俳優としてカムバック。ＡＰ通信によると、２０００年には、マヒしていた人さし指を動かせるまでに回復していたという。ーー１９９２年頃、私が教えていた日本語学校の生徒、オーストラリア人のガブリエルが、ニューヨーク郊外のリーブの家で、住み込みのベビーシッターをしていた。いわゆる「オーペア」だ。最初は、とても有名な俳優の赤ん坊を世話しているとだけ言って、誰であるか教えてくれなかった。知ったのは随分あとだった。ダナ夫人は私と同世代で、元歌手か女優だったと思う。１９９５年、リーブが事故にあった日、私は友人のマリーと街を歩いていて、マリーが街頭で売られているタブロイド誌に載った、氏が馬から落ちて下半身不随になったという記事に目をやったのを覚えている。「マイガッド」マリーはそれを見て悲しげに叫んだ。マリーもブロードウェイの舞台を踏んだことのある俳優だったから、間接的に彼を知っていたのかもしれない。リーブ氏はニューヨークの舞台俳優出身で、名声を得たのが、松葉杖を使うベトナム帰りの青年役だったというからアイロニーだ。事故の後、バーバラ・ウォルタースのニュース番組などで、よく車椅子座った姿勢で固定されたリーブ氏が、呼吸器の助けを借りてインタビューに答える映像が映った。声は喘ぐような力のないもので、顔もピンクというか真っ白く見えた。ダナ夫人は献身的にリーブに仕えながら、幼い息子を育て、ブロードウェイの舞台に戻ったり、歌ったりしていた。性生活のことを聞かれ、「特別な方法で可能だ」とか恥ずかしそうに答えていたのを覚えている。あの大男のリーブを毎晩、車椅子からベッドに移し、朝になると再び椅子に戻すのはだけは彼女には無理で、住み込み男性看護人の世話になっていた。それから彼はテレビ番組の監督をやったりもしていたらしい。彼を最後に見たのは何年か前のアカデミー賞の舞台だった。特別賞かなにかを貰ったのかよく覚えていない。下半身不随の治療法を探す研究費のファンドレイジングや、事故による社会保障のキャンペーンを熱心にやっているらしかった。彼を死なずに生かしておくために、毎日膨大な医療費がいることも、聞いていた。裕福な俳優であるからこそ、今まで生きてこられたのかもしれない。５２歳はまだ若い。でも、この十年の身動きのできない生活の後、彼にとって自由に動ける世界に戻ったのかもしれない。たしか、彼を振り落とした愛馬は殺されなかったと聞いた。ガブリエルの世話していた坊やも１２歳になっている。

  2004年10月12日

• 出版あれこれ＃３

  本が売れてるという話は一向に聞かないが、今週、いろいろな地域の図書館所蔵検索をかけてみたら、以下の１5件も拙著がでてきた。現在貸し出し中のところも５件ほどあった。編集様がいうには、図書館が本を購入し、ラベルを付けて棚に入れ、検索に載せるまで数ヶ月から半年かかるから、まだこれから件数はでてくるだろうとのこと。-横浜市立中央図書館　西区老松町１番地　-滋賀県立図書館　　大津市瀬田南大萱町1740ー1　-宮城県図書館　仙台市泉区紫山1丁目1番地1-福岡県春日市民図書館　福岡県春日市大谷６丁目２４-山梨県玉穂町　玉穂生涯学習館 中巨摩郡玉穂町下河東 -楠町立中央公民館図書室 三重郡楠町大字北五味塚1211-1　-高松市図書館本館　高松市昭和町一丁目２－２０-大阪府立中之島図書館　 大阪市北区中之島1-2-10-姫路市立図書館広畑分館　姫路市広畑区正門通三丁目７番地-岡山県立図書館　本館 　岡山市丸の内２丁目６－３０-大阪市立中央図書館　大阪市西区北堀江４－３－２-水戸市立中央図書館　水戸市大町３－３－２０-静岡県清水中央図書館　静岡市清水入江岡町15-23-静岡県浜松市立図書館　浜松市松城町214-21-東京都八王子市生涯学習センター図書館　八王子市東町５－６クリエイトホール内元々、売れ残りは全部図書館に寄贈する予定でいたので、図書館様の方で購入して下さるというのは願ってもないこと。すごく嬉しい。ご購入,予約して下さった皆様ありがとうございます。

  2004年10月11日

• 第二回大統領候補者テレビ討論会を見た。

  【セントルイス（米ミズーリ州）】今回は会場の観客が両候補者に質問するタウンホール・ミーティング（市民対話集会）の方式で行われた。聴衆は世論調査機関ギャラップ社が「投票態度未定」と判定した１４０人の市民。相変わらずケリーの方が理路整然と語り、法廷弁護士風で分かりやすかった。ブッシュはイラク問題で攻められるヒステリックにやたら声を荒げ、力を込めて戦争の正当性を叫んでいた。「間違ってない。間違いだと思ったらやってない。歴史がジャッジするだろう」「自分の態度を変え続けるケリー氏に指揮官は務まらない」。　ケリーがイラク戦争は同盟国の支持を得られず米国単独で戦わざるをえなかったと指摘すると、ブッシュは、「ブレア英首相にそう言えるのか」と声を荒らげていた。数日前、「イラクに大量破壊兵器はなかった」という政府調査団の報告書がでたばかりで、この後に及んであそこまで堂々としていられるのは単細胞のブッシュにしかできない芸当だと感心した。そこが彼の強身、アメリカ人好みの「気どりのないオラが国の大統領」的アピールでもあるわけで、終了後の批評でも、彼は前回より説得力があって良かったと評価する人も結構いた。今回、ブッシュはケリーの話を聞いていてもペンでメモをとっており、討論会での態度については前回からかなり練習した模様。ブッシュは、ケリーの政策では医療保険制度に対する政府の資金負担が大幅に増えるとした上で「いかにもリベラルがやりそうなことだ」と攻撃。ケリーは「人にレッテルを張り、国民を脅かそうとしている。私には具体的な計画がある」と反発していた。このケリーの「計画がある。I have a plan」がどこまで有権者に信用できるかが票の決めてだろう。特権階級的なボストン訛りも含めて、ブルジョアのケリーに果たして庶民の痛みや苦しみが分かるかも疑問視されている。普通の田舎のアメリカ人たちには、アメリカ生まれでない金持ちの奥さん、テレザ・ハインツも異質に映るにちがいない。堕胎を許可する法案（Abotion Rights）については、完璧に真っ二つだった。リベラルのケリーは女性の意志に任せる「プロ・チョイス」派、コンサバチィブのブッシュは神の名において絶対反対、と見解の違いが出ていた。ケリーが自分はカソリックであり、堕胎を否定するカソリックの教育を受けたものとして、あえて…と最初に弁明しているのが印象的だった。ちなみにこの質問をしたのはまだ２０歳くらいの若い女性だった。（ほんの２０年ほど前まで、堕胎を禁止された貧しいアメリカ人女性たちはハンガーを使って処理していたと聞いたことがある。それがもとで亡くなった人も多いとか。）終了後、ローラ夫人とブッシュは聴衆に記念写真撮影の大サービスをしていた。討論会直後のABCの緊急調査の結果。ケリーの勝利としたものが→４４、ブッシュの勝利としたもの→４１引き分けとしたものが　　→１３In their second of three debates, John Kerry and George Bush faced off Friday on topics ranging from Iraq to terrorism to taxes to health care. Each attacked the other's veracity: Kerry said Bush was "turning his campaign into a weapon of mass deception," and Bush said Kerry's economic pledges were "just not credible." StoryJohn Kerry"I have laid out a differentplan [in Iraq] because the president's plan is not working... There's chaos in Iraq.""He's added more debt to the debt of the United States in four years than all the way from George Washington to Ronald Reagan put together.""Right into the camera... I am not going to raise taxes.""My health care plan is not what the president described. It is not a government takeover... The government has nothing to do with it."George Bush"My opponent says he has a plan [for Iraq]. It sounds familiar because it's called the Bush plan.""I'm concerned about the deficit. But I am not going to short-change our troops in harm's way. And I'm not going to run up taxes.""He's going to tax everybody here to fund his programs. That's just reality.""He says he's going to have a novel health care plan... The federal government's going to run it... Maybe you think that makes sense. I don't."

  2004年10月10日

• マイケル・ムーアの「華氏９１１」を見た。

  劇場でなくビデオを借りて見たのだが、これはビデオで正解だと思った。前半は２０００年大統領選でのフロリダ州投票の混乱からブッシュが大統領にノミネートされ、怒った群衆が就任の宣誓式でデモるシーンや、ブッシュ一族とサウジ王家との癒着とかラディン一家との関係とか、すでに熟知していることが多くて、それほど興味ももてなかった。ただ、映像のカットをつなげていく編集がスピーディで実に上手いと思った。面白くなってきたのは、中盤の９１１の貿易センター崩壊のあたりからだった。あの日、あの街にいた自分にとって、あの朝、ブッシュ大統領が訪問先の小学校の教室で事を知りながら何のアクションも起こさず、表情がブランクのまま。数１０分、小学生のテキスト唱和の相手をしているのが印象的だった。マイケル・ムーアのブッシュの映像にオーバラップするナレーションも効果的だった。それから一気に戦争に突入していくのだが、攻撃前のバクダッドで子供たちがタコあげをし、遊園地で遊ぶ平和なシーンから、ミサイル攻撃の後、血まみれのボロのようにトラックで子供の多量の死体が運ばれていくシーンは強烈だった。自分はアルジャジーラのサイトも見ているし、写真でかなり知っていたが、やはり映像では正視できなかった。ムーアはいかにリベラルを称するマスコミがこの戦争を支持していたかも、戦時のニュースキャスターたちの愛国的なコメントを拾って示している。アメリカ全体が９１１をいつのまにかイラクのフセインの手によるものと信じ込まされ、異常に愛国的、他国や他人種、異教徒に対して閉鎖的になって行く。この戦争はテロとの戦いであり、フセインの暴政からイラク市民を解放する正義の戦いだというのまにかすり替えが行われ、戦争は不可避なもの、正しい判断だと体制が傾いていく。その一方で現場でミサイルを撃ち、市民に銃を向ける若い兵隊たち自身、これがイラクにとって世界平和にとって正しい戦争だと信じようとしても、間のあたりに見るイラク市民の対米憎悪に戸惑うばかりだ。自衛のためにもイラク市民に銃を向けざるをえない一人の米兵の、「自分の中の何かを殺さずに人を殺すことはできない」という言葉が印象的だった。そして、ムーアの故郷の貧しい田舎街、ミシガン州フリントの若者たちが、足りない兵隊を補うためにスマートな海兵隊員にリクルートされている映像が映る。ほとんどが黒人のスラム育ちの若者だ。何の仕事もない若者にとって、保証のよい兵役は魅力満点。そして同じ街に住む娘と息子をイラクにやった愛国精神の強い母親が登場する。彼女は息子を戦死させて、はじめてこの戦争の無意味なことに気がつき、ホワイトハウスに向かって「息子を返せ」と号泣する。私は昨年、イラク戦争での負傷兵たちが帰国して病院でリハビリしているのをテレビのトークショー「オプラー」で見た事があるが、あくまで彼らは戦争で負傷したことを誇りに思い、キズがいえたらイラクに戻りたい、などと胸を張って言っていた。しかしムーアの映像はそうではなかった。足や手を失い、大やけどを負った兵隊たちは将来のことを憂い、戦争に嫌悪感を抱いていた。これが真実に違いない。ムーアの編集技術は素晴らしいが、一番凄いのは、彼が「普通の人」に自らスラスラとカメラの前でプライバシーを語らせる、「オープンアップ」させる能力がある事だと思う。ムーアの映画の中で、人々はごく自然に自分の痛みや悩みを語っている。それはムーアの人徳だし、ユーモラスな体型、カジュアルなアプローチもあり、つい話してしまいたくなる天性の要素があるのだろう。これはドキュメンタリーの映像作家にとって非常に大切なものだと思う。被写体が喜んで語るのだから、うらやましいとしか言いようがない。普通のおばあさんが、仲間とトランプをしながら、なんと鋭い政府批判をすることか。すべて真実だ。最後にムーアが、議員の中で一人しか子供を戦場に送っていない事実をふまえ、議事堂入りする議員たちに兵隊リクルートのパンフを配ろうとするのだが、リベラルを称する民主党議員まで大慌てで逃げ出すシーンが面白かった。ムーアの言うとおり、この映画は笑えて悲しい。また、ブッシュの若い頃の車を運転するカットから、ブッシュ内閣のメンバーがテレビ出演用に化粧するカットまで、よくこれだけの映像を手に入れたものだと感心する。ロックの音楽も効果的。この映画の欠点というと、サダム時代のイラクがあまりにもアイデアルな桃源郷のように描かれていること。出だしのゴアのフロリダ勝利から法廷でフロリダ黒人票の正当性が拒否されたあたりまで少しだれたことくらいだ。この映画がケリーに有利にはたらているかどうかは分からないが、ブッシュ陣営にとって痛いものであることは確かだ。みんながある程度まで想像していたことを確実に映像とともに語っているのだから、これを見た米人はショックを受けるより「やぱりそうだったのか」と感じると思う。ため息のでるような真実。その根底にあるのは人間の愚かさへのため息のでるような哀しみ。そこへ自らを陥れてしまった後悔。アメリカという国に長く住み、恩恵を受けながら、私はこの国の想像を絶するような愚かな部分は愛せない。

  2004年10月09日

• 米大統領選：副大統領候補討論会を見た。

  エドワーズはさすがに法廷弁護士だけに説得力のある余裕ある弁術も冴えていて、かなり優勢だった。弁護士としての巧みな弁舌や、若さ、明るい人柄も全開で、「ケネディ元大統領を思わせる」という評判をとるだけのことはある。日焼けした端正な顔に笑顔がとにかくチャーミング、南部訛りも優しく聞こえる。ケリーはさぞや、今夜の討論会の結果に満足しているに違いない。チェイニーは年寄りで悪い心臓を抱えているせいか、顔色も良くない。二人の顔色を見ているだけで大きな違いだ。エドワーズはイラク問題に関しては「イラクは泥沼」「９１１とフセインは最初から無関係だった」「大量破壊兵器はなかった」と突っ込みどころも全部ストレートに決まり、チェイニーはやたらとだらだら言葉を尽くして「戦争は間違ってない」「これはテロリストとの戦い」「フセインは脅威だった」と強調していた。また、ケリーの「くるくる変わる態度」を持ち出して戦争の指揮官としてふさわしくないことを強調していた。エドワーズは予想通りチェイニーのハリバートン癒着も突っ込んでいた。おまけにチェイニーのゲイ娘の件まで、同性結婚の議論で持ち出していた。チェイニーがそれに対してコメントを控えた様子が好感がもてた。エドワーズ氏は南部出身の穏健派として知られ、共和党陣営から「最もリベラルな上院議員」と批判を浴びているケリー氏とは、同性結婚合法問題など、かなり違う意見を持っていると思う。ケリー上院議員選出のマサチューセッツ州が同性結婚を合法化している唯一の州であることへの質問への答えで、ケリー陣営のリベラル度を弁明するはめにもなった。チェイニーはエドワーズの法廷弁護士時代に稼いだ巨万の富が医療過誤裁判からきていることで、医療福祉問題の議論で突っ込みを入れていた模様。エドワーズは議員経験が一期だけと短いだけに、履歴書の長さが良い政治家とは言えない、というようなことも言ってた。不思議なことに、若々しいエドワーズがあまりにも堂々と余裕を持って話し、優勢なので、最後には逆に年寄りで冴えないチェイニーが気の毒になって「良い人」に見えてきた。エドワーズが一族で初めて大学を卒業するなど「貧しい育ち」や父親の教育のない話を持ち出すのは、いいかげんパターン化しているようで、「またその話？」という感じ。エドワーズはあまりにも出来過ぎ、勝ち組すぎて、可愛い子供たちを抱いて微笑んでいる様子など絵になりすぎて何か一つ信用がおけないように見えた。もちろん、アメリカ人の聴衆にはエドワーズがアピールしたことは間違いないと思うが。副大統領のディベートが大統領選に与える影響がどれだけあるのか知らないが、両者とも、ケリーとブッシュをデフェンドすることが最大の目的であり、パフォーマンスとプレゼンテーションの違いはあれ、その目的は果たしているように見えた。ディベート後に、家族が壇上に上がったが、エドワーズの妻がチェイニーの肩を抱いて礼を述べている様子が印象的だった。チェイニーの同性のパートナーと暮らしているというゲイの娘も来ていたのだろうか。ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーThe two candidates for vice president had just one chance to go after each other in a debate, and they seized it. Dick Cheney and John Edwards traded sharp comments on a variety of issues Tuesday night. Among them: Iraq. Cheney said, "What we did in Iraq was exactly the right thing to do," while Edwards accused him of "not being straight with the American people."　(AOL NEWS){John Edwards}"Iraq is a mess. It is a mess because of George Bush and Dick Cheney. It's that simple.""There is nothing conservative about a fiscal policy that turns record surpluses into record deficits by combining an ill-planned war with reckless tax cuts for the wealthy.""Why in the world would you rehire this guy to be your president? They don't have any kind of plan that's going to solve this health care problem.""[Bush] came into office promising to help young people who wanted to go to college. He's done exactly the opposite."{Dick Cheney}"Senator Kerry denounces American action when other countries don't approve as if the whole object of our foreign policy were to please a few persistent critics.""Every American who pays federal income taxes has benefited from the Bush tax cuts, and so has the economy.""Our nation has the best health care in the world, and President Bush is making it more affordable and accessible to all Americans.""President Bush reached across the aisle and brought both parties together to pass the most significant education reform in 40 years."Who won the debate? John Edwards51% Dick Cheney49%

  2004年10月06日

• 明日は副大統領候補のディベート

  明日は副大統領のチェイニーと、民主党の副大統領候補エドワーズのディベートがある。外見では当然エドワーズが勝ってるが、チェイニーはきっと経験者の余裕を見せて、いかに一期しか上院議員を勤めていないエドワーズが未経験で頼りない青二才かを強調していくのだと思う。老獪チェイニーにいじめられる純真無垢な好青年という展開になるのか？　楽しみ。民主党大会ではあまりにもエドワーズの「hope is on the way、希望はすぐそこに」の演説が、アイデアリズムが勝ちすぎる気がした。リッチなロイヤーなのに貧しい育ちを強調しすぎたり、ケネディ似の爽やかさも今一つの感じだったけど。一方のチェイニーは共和党大会での半分以上の演説は、ケリーがいかに「信用できない、コロコロ言うことの変わる奴で、あんなのにアメリカを任せたら大変だ。。。」という話ばかりで、意地の悪さ全開だった。エドワーズに比べて外見と頭髪で負けている、と自分で言ってるところは面白かった。エドワーズも敏腕トライアルロイヤーだから、意外とキツい突っ込みをする可能性もある。チェイニーのイラク復興事業でのハリバートン癒着とか突っ込みどころはあるし。↓＜米副大統領＞チェイニー氏、依然ハリバートン社と関係【ワシントン佐藤千矢子】米民主党大統領候補ケリー上院議員の陣営は17日、チェイニー副大統領がかつて会長兼最高経営責任者（CEO）を務めた石油関連大手ハリバートン社と依然関係があり、就任以来200万ドル（約2億2000万円）の報酬を受け取っていると批判し、来週から激戦州13州でテレビ広告を放映すると発表した。イラク復興事業で多額の利益を得ているハリバートン社は、水増し請求や入札なし受注などの不正疑惑が指摘されている。チェイニー氏は95年から2000年まで同社のCEOを務め、辞任後も毎年、同社から報酬を受け取っているとされる。ケリー陣営の新テレビ広告は、チェイニー氏が以前にテレビ番組で「ハリバートンから金銭的利益は得ていない」と語った映像に続き、「本当は副大統領としてハリバートンから200万ドルを受け取り、同社はイラクでの入札なし契約で数十億ドルを得た。我々が得たものは何か。イラクの（戦費・復興費）2000億ドルの請求書だ」と、両者の不透明な関係がイラク復興費を膨らませ、国民の納税負担を重くしていると訴える内容だ。さらにケリー氏は「大統領になったら、ハリバートンのような会社に米軍と納税者を犠牲にはさせず、政府事業の入札なし受注もさせない」との声明を発表した。（毎日新聞 2004/09/18）大統領選討論会、ディベートのスケジュールFirst presidential debate:University of MiamiCoral Gables, FLThursday, September 30Vice presidential debate:Case Western Reserve UniversityCleveland, OHTuesday, October 5Second presidential debate:Washington University in St. LouisSt. Louis, MOFriday, October 8Third presidential debate:Arizona State UniversityTempe, AZWednesday, October 13

  2004年10月05日

• 米大統領選、第一回テレビ討論会を見た。

  米大統領選の第一回目のディベイトを、昨夜テレビで見た。イラク戦争が間違いであったこと、「９１１」とサダム・フセインを強引に結びつけてイラク攻撃を強行した理不尽さ、国連など国際間の強調を無視した結果、アメリカが国際間の信用を失って孤立した点、早急な終戦宣言をしてからの米兵の戦死者数の多さ、などなどケリーは突っ込みどころ満載で、相変わらず「世界はサダムなしに平和になった」と主張するブッシュは終始守りの姿勢だったように見えた。ブッシュはその中で、「flip-flopーフリップ・フロップ（立場をくるくる変える）」というケリーのあだ名を使って、いかにケリーがイラク問題に一貫した姿勢がないのか、難しい状況にある戦争の指揮官としての資格がないか、アメリカ大統領として適性がないばかりか、アメリカにとって危険であるか、などを訴えていた。ケリーはそれに対抗してベトナム経験などを持ち出して、自分はブッシュと違って生の戦争がどのようなものであるか知っている、だから今の危機を収拾する指揮官となる資格がある、というふうに、ブッシュの兵役詐称を揶揄するような発言もしていた。テロリストに対する戦いはケリーも全力をあげて続けていくという姿勢だが、ブッシュのやり方は明らかに間違いであった、という点を最初から最後まで強調していた。テレビで見る限り、ケリーの方が発声もよく、明確な発言で分かりやすい。それだけに有権者から「人間としての信用度」が疑問視されているというのも分かるような気がする。低い声で笑顔を交えてとぎれとぎれに話すブッシュの訥々とした不器用な感じが、いかにも洗練された、ある意味「スノビッシュ」なケリーの話術より、アメリカの一般大衆にとって親しみやすく見えるのも理解できる。その点、ブッシュは国際問題など無知さ丸出しだったゴアとの４年前のディベイトより、巧みだったかもしれない。終わった後のＣＮＮ調査ではケリー氏に対する「好感度が増した」の回答も４６％に上ったほか、６０％が「ケリー氏の方がより明確に自身を表現した」と答えたそう。討論後の番組では、ブッシュがやや優勢だったと判定しているアナリストもいた。ディベイト終了後にそれぞれの妻と二人の娘たちが壇上にあがり、テレザ・ハインツとローラ・ブッシュが親しげに握手しているのも印象的だった。モデレーターのPBS「ニューズ・アワー」の司会者でジャーナリストのジム・レーラーの司会はとても良かった。ブッシュが例の調子でレーラーにジョークを交えて友人風に話しかけようとしても、一切「ノンナンセンス」の態度で受付ず、非常に公平だった。長くアメリカに住んでいるが、民主党大会、共和党大会と熱心に見て来た大統領選挙はこれが初めて。前回も見たことは見たが、今よりずっと気楽に見ていた。これほど世界が信用せず、嫌っている大統領が未だに自国で支持され、再選が予想されているという謎を少しでも読み取りたいと思っている。

  2004年10月02日

• 出版あれこれ＃２

  本の売れ行きはさっぱり分からないが、発行部数が少ないだけに在庫も少ない、という当然と言えば当然のことからアマゾンなどすでに「在庫一冊、お早めに」の表示が出てしまった。海外の本屋にも入れて欲しいし、入れてくれるという日系書店もあるのだが、なにしろ在庫ができるまで返品待ち、という状態でどうしようもない。しかも輸送するだけで船便で２ヶ月かかるというし。日本の図書館の方には少しは入っているのかと思って検索してみたら、以下の四つに見つかった。今は一括検索で都道府県ごとに蔵書検索ができるので便利だ。海外にいて、どこの図書館に自分の本があるのか分かるというのがありがたい。ありがとうございます。横浜市立中央図書館　西区老松町１番地　５階　一般滋賀県立図書館　　大津市瀬田南大萱町1740ー1　一般宮城県図書館　仙台市泉区紫山1丁目1番地1福岡県春日市民図書館 　福岡県春日市大谷６丁目２４

  2004年10月01日

• 出版後一ヶ月

  実はちょうどひと月前に日本で本を出版した。海外住まいで自分の目で本屋に並んでいる現場を見たわけではないので、実感は湧かないが、届けられた見本の本は確かに本らしく見えた。原稿が手を離れて出版物になるまでには、いくつものハードルがあった。１）原稿を仕上げるというハードルーーこれは一番楽だった。執筆当時はかなり乗っていたので一晩で一章ずつ仕上げていく勢いで書き進んでおり、スランプというものがなかった。４００字詰め換算３００枚は２ヶ月ほどで書き終えた。２）出版先を探すというハードルーーこれが一番ハードだった。世は共同出版／協力出版全盛ということで、素人でも何百万というお金を出せば本は簡単にできるらしい。ただ、著者の望む形で世に出してもらえるかどうかが分からない。書き足しや直しのアドバイスも専門家から欲しかった。一番気に入っていた海外生活ものを扱う出版社からはメールで断られた。最終的には、実際の本を本屋で見て、校正のしっかりとされた装丁の趣味の良い学術専門社に決めた。自分の好きな作家の本を出版していたこともあるが。３）編集者様とコラボして本にしていくというハードルーー日本の出版社の編集者様の忙しいことは想像を超えている。そこを実際に会わずにメールとフェデックスのやり取りだけで本を一緒に作っていくのだから大変だ。連絡の遅れ、感情の行き違いも多々。ときには２、３週間メールの返事が来ないときもあった。そのうち出版社のだしたい本と自分の理想とする本の違いも明らかになってくる。地味だが重い雰囲気のユニセックスなハードカバー芸術本（版元の専門分野）をだしたい私と、若い「女の子」をターゲットに軽めのオシャレな本（版元の専門ではないが、売れ筋らしい）を作りたそうな編集者様と食い違いが起る。実際、内装外装、フォント、レイアウト、カバーデザインまで全部食い違った。「女の子に夢を与えるサクセス・ストーリー♪」とコピーしたい営業の宣伝文句も意見が食い違った。４）出版されてから、「売る」というハードルーー本は売り物だから、当然売れないと困る。誰が困るというか、版元も困るし、私も困る。でも今は本が売れない時代らしい。私もそういえばネットを始めてから前ほど本を買わなくなった。本や野菜でないので売れなくても腐ることもないが、売れないものは数ヶ月で返品されて倉庫と部屋のゴミになるか、断裁処分となる。立ち読みで手垢や折り目、汚れがつき、外装内装も汚れてブックオフや古本屋の売り物となる。最近の新刊の古本化は加速度的で、なんと今年８月新刊のものがすでにユースドプライスでアマゾンに列記されている。（アマゾンも新刊を買ったばかりの購買者に、売って小金を稼ぐことまで勧めないとよいのに）無名の作家の本なんて売れなくて当然とも言える。だいたい、うちの版元もベストセラーを出すタイプの軽少な出版社でなく、「～論」「～学」とか重めの学術本ばかり（私とは縁のない本が多い）で、有名作家の小説以外さほど売れているようにも見えない。ただ、私の本は海外体験ノンフィクションなので、どちらかというと、無名作家の小説よりは「売りやすい」かもしれない。幸運なことに版元の営業力で本は一応全部、全国の本屋の売り場に入ったし、少部数しか作らなかったから在庫ゼロの状態らしい。でも？？？売れているという話はまだ聞かない。？？これから動き始めるのだろうか？

  2004年09月30日

• 楽天とライブドア

  IT企業の楽天とライブドアが仙台本拠地とプロ野球参入を巡って競っていると聞く。私はどちらの企業のブログも最近始めたばかりで、この二つの企業の違いをブログ作成の観点で比較してみると面白い。１）デザインーーこれはライブドアが優勢。楽天のデザインサンプルで洒落ていると感じたものは残念ながらほとんどなかった。ライブドアはすっきりとしたイメージと構成で、いかにも都会的な若い人向きというか格好いい。２）ログインとファイルのアプロードなどーーこれは圧倒的に楽天が簡単で速い。一度ログインさえすれば、マシンを立ち上げるだけで再ログインする必要もない。ライブドアは一回ごとに名前とパスワードを書き入れる必要がある。しかも楽天のファイルのアップロードの方が圧倒的に速いし簡単そのもの。ライブドアは深夜でもやたらと時間がかかる。ライブドアは昨日はメンテナンスとかで一晩使えなかったばかりか、今日はログインから投稿も１時間かかるという悲惨さ。過去のファイルを編集するのにまた１時間かかって、ほとんどパソコン黎明期の様相だった。いらいらせずにいるには「ゼン」的な気持ちでないと対処できない。ライブドアの社長日記ブログは今日も更新されているから、社長や従業員、有名人のサイトだけは、他のユーザーと別のサーバーで容易にログインできるようにできてるのだろうか？３）読者との交流ーー楽天はプラザというだけに、知らない人が次々と訪問してくるので驚いた。サイトを作った日など、１００人近くの人が来場したとログにあった。BBSも最初から付いているし、あくまで、他人と交流することは第一目的の場所のようだ。そのせいか、商売をしている人も多い。物を売るには良い場所かもしれない。その点、ライブドアは誰も見ていないような孤独感がある。何日たってもグーグルでも検索できないし、完全に世の中から見捨てられているような不思議な感覚。よほど大声で宣伝しない限り誰も、私がライブドアでブログをしていることに気がつかないだろう。４）総論ーーインターネットのことをよく知らない年長者や初心者にとって、楽天がお勧めだと思う。人に自分の書いたものを読んでもらいたい人にも楽天がお勧め。デザイン面が気になる、ただ、自分で書いていることで満足、人の出入りが多いのは苦手という人にはライブドアが良い。楽天とライブドアの違いは経営体制、経営陣の年齢、ターゲットとしている顧客からして違うように思う。二つを比較して私は楽天を押したい。このままのシステムの遅さ、重さではライブドアと仲良くしていける自信はあまりない。

  2004年09月29日

• 天国にいちばん近い島

  森村桂さんが亡くなった。＜訃報＞森村桂（本名・三宅桂）さん６４歳＝作家　南太平洋の島ニューカレドニアへの旅行記「天国にいちばん近い島」で知られる作家、森村桂（もりむら・かつら＜本名・三宅桂＝みやけ・かつら＞）さんが２７日、長野県の病院で死去した。６４歳だった。同県警は自殺とみて調べている。葬儀の日取りは未定。自宅は非公表。喪主は夫三宅一郎（みやけ・いちろう）さん。（毎日新聞） - 9月27日20時27分高校時代に母と姉がはまったのにつられて沢山読んだ記憶がある。学習院という学校の特殊性を知ったのも彼女の本から。たしか当時の皇太子、今の天皇のお妃選びで同級生や上級生がマスコミに追っかけられている、とか書いてあった。彼女は豊田三郎というあまり売れない作家の娘だったが、母親が歌人で元華族だったらしい。http://www.city.soka.saitama.jp/welcome/platto/alacarte/05/bungaku.htmlhttp://www11.brinkster.com/canadajournal/morimura.html４０代以上の人には思い入れのある作家かもしれない。６０年代から７０年代当時の青春小説の第一人者で、テレビ出演も多くて顔も知られていた。シコメだとは思わないが、味のある泣き笑いのような御顔立ちだったと思う。離婚でご苦労なさったそうだし、細くて体が弱そうだったけど、自殺というのは解せない。人の心を明るく元気づけてきたユーモア小説家の最期が自殺というのは、悲しい。ネットで見ても彼女の作品のほとんどは現在、出版社品切れ・重版未定・絶版、という表示ばかり。その中から昔読んだ記憶のある本は以下の８冊。最初の２冊以外、内容はほとんど覚えていない。「天国にいちばん近い島」高校生のときに読んだが、この本は面白かった。この本でフランス語の「ボン」「ボナネ」とか初めて知った。父親が子供の頃話してくれた「天国に近い島」を求めて貨物船で南半球のニューカレドニア島に渡っていく若い女性「カチ」の行動力と感性に感動した。現地の人も当時は初々しくすれてなくて良かった。後年、原田知世の映画も見たが、イメージが違いすぎた。「違っているかしら」たしか６７、８年頃の朝のテレビ小説「あしたこそ」の原作だったと思う。当時としては新しいタイプの大学出の女性が出版社への就職をめざして四苦八苦する話だった。４０年たっても状況はたいして変わってないかも。「ビジョとシコメ」「それゆけ結婚」「私の逢った神様たち」「いわせてもらえば」「おいで初恋」「結婚志願」追記：ZAKZAK 2004/09/28より「森村さんは平成９年ごろから体調を崩し、入退院を繰り返していた。関係者によると森村さんは鬱病（うつびょう）を患っており、病状が悪化したため、２３日から入院していたという。昭和１５年、東京・新宿生まれ。父親は作家の故豊田三郎さん。学習院大国文科卒業後、暮しの手帖社に入社。退社後の３９年に単身でニューカレドニアへ渡り、冒険旅行をした体験から「天国にいちばん近い島」を執筆。軽快な文章が若い女性を中心に人気を呼び、一躍ベストセラー作家の仲間入りをした。５９年には大林宣彦監督により映画化されたほか、舞台でも公演されるほどの話題作となった。その後も意欲的にエッセーや作品を発表。ＮＨＫ朝の連続テレビ小説「あしたこそ」（４３年）の原作も書き、著書は８０冊以上にのぼっている。　探検家の谷口正彦と結婚、離婚を経て、５４年に再婚。５８年には長野県軽井沢町に移り住み、手作りお菓子の店「アリスの丘ティールーム」を経営していた。また画家としての才能を開花させ、阪神大震災を悼んだ「人魚の涙」が神戸市役所に飾られているほか、ＪＲ軽井沢駅の壁画も手がけていた。」

  2004年09月28日

• 犬養道子さんの本について

  ニューヨークとは直接関係はないが、犬養道子さんの本も１０年ほど前にはまって、良く読んだ。犬養さんの名は３０年ほど前、母が読んでいた「暮らしの手帳」の連載で知った。写真もあったが、品のよい奇麗な人だった。大人になってから何がきっかけで読み始めたのか、千葉敦子さんのお勧めだったのか覚えていない。一番好きだったのが「セ－ヌ左岸で パリ便り 」自伝の「花々と星々と」「ある歴史の娘」、次が「幸福のリアリズム」「アウトサイダ－からの手紙」「マ－チン街日記」だった。パリに住んでおられたので、日本を外から見る目が明快で、やはり国外に出たものとして共感するところが大きかった。犬養首相の御孫さんでお嬢さん育ちであることは自伝で知った。文章や言葉の使い方など、どこか今の人と違う、昔の上流階級的な上品さがある。世代的には大正末期の生まれで私の父に近い。略歴に「１９２１年東京生まれ１９４８年渡米　１９５４年パリ・カトリク大学で聖書学等を専攻１９６５年ハーヴァード大学研究室員」とあるが、まだご存命らしい。８０歳すぎても難民救済のボランティア活動や講演とか忙しくしておられるようだ。http://www.sophiakai.gr.jp/sophiansnow/forum/04.5.3inukaikouen.html親戚に緒方貞子さんがいる。（曽祖父・犬養毅、祖父・芳沢謙吉、父・中村豊一/H3.1～12.12国連難民高等弁務官、H13.11日本政府アフガニスタン支援特別代表）＊芳沢謙吉（外交官・外相（犬養内閣）/妻は犬養毅の長女・操（健の異母姉）/25年駐華公使時、芳沢・カラハン会談によりロシア革命後のソ連と国交正常化戦後、初代駐中華民国（台湾）大使）犬養さんの本で今も持っているのは以下。ある歴史の娘(中公文庫 ) お嬢さん放浪記(中公文庫 ) 今日は明日の前の日幸福のリアリズムセ－ヌ左岸でフリブ－ル日記マ－チン街日記(中公文庫 ) ラインの河辺ドイツ便り アウトサイダ－からの手紙花々と星々と(中公文庫 ) (増補版) 日本人が外に出るとき国境線上で考える-----------------------------------------------

  2004年09月26日

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