ニューヨーク関連の本
ニューヨークに関する本はニューヨークに住んでいる日本人に人気がある。紀伊国屋ニューヨーク店などを見ても、店頭のワゴンにニューヨーク関連の本が平積み状態で売られている。思えば私もずいぶんといろいろなニューヨーク関連の本を高い輸入代金を払って買ってきた。繰り返し読んだのは以下の二人の作家の本だ。アメリカが嫌いだった父へ(文春文庫 ) 宮本美智子 /文藝春秋 1985/09出版 326p 16cm NDC :916 \448(税込)ニュ-ヨ-クエスニック図鑑永沢まこと /宮本美智子 /草思社 1980/12出版 149p 21cm NDC :726.5 \1,631(税込) 女と男のニュ-ヨ-ク宮本美智子 /中央公論新社 1986/04出版 223p 20cm NDC :914.6 \1,264(税込)マイ・ニュ-ヨ-ク・フレンズ(集英社文庫 ) 宮本美智子 /集英社 1987/09出版 252p 15cmX11cm NDC :930.29 \377(税込) 「死への準備」日記(文春文庫 ) 千葉敦子 /文藝春秋 1991/05出版 205p 16cmX11cm NDC :916 \420(税込) ニュ-ヨ-クでがんと生きる(文春文庫 ) 千葉敦子 /文藝春秋 1990/11出版 254p 16cmX11cm NDC :916 \398(税込) ニュ-ヨ-クの24時間(文春文庫 ) 千葉敦子 /文藝春秋 1990/06出版 237p 16cmX11cm NDC :070.16 \440(税込) よく死ぬことは、よく生きることだ(文春文庫 ) 千葉敦子 /文藝春秋 1990/02出版 314p 16cmX11cm NDC :916 \540(税込) 寄りかかっては生きられない(文春文庫 ) 男と女のパ-トナ-シップ 千葉敦子 /文藝春秋 1989/02出版 233p 16cmX11cm NDC :914.6 \428(税込) ちょっとおかしいぞ、日本人(新潮文庫 ) 千葉敦子 /新潮社 1988/04出版 219p 16cmX11cm NDC :361.42 \420(税込) 昨日と違う今日を生きる(角川文庫 ) 千葉敦子 /角川書店 1988/01出版 188p 15cm NDC :916 \357(税込) 宮本美智子さん(1945-1997)も千葉敦子さん(1940-1987)もすでに亡くなっている。千葉敦子さんは1987年逝去とあるので、私がニューヨークに来た1986年という年、まだ生きていてニューヨークに住んでいた。83年から4年間、ガンの闘病しながらジャーナリストとして住んだとのこと。同じ頃に同じ町にいただけに、千葉さんの本に出てくるニューヨークは私の良く知っている風景が多く、なじみ深いものばかりだ。後日、この作家のことを人に紹介すると、たいてい好きと嫌いが極端に別れる反応がでてくるのが興味深かった。彼女と同世代で子供のある友人に紹介すると、「彼女のような性格はガンになりやすいのではないか」という答えが帰ってきた。確かに考え方が合理主義で極端に西洋文化偏重で、当時の日本では生きにくい性格の人であったかもしれない。でも、死に至るまでの潔さは見習うものがあると思う。逆に独身で仕事を持ったアメリカに住む友人には「面白い」「文章が明快で読みやすい」という反応が帰ってきた。一方の宮本美智子さんの方は、千葉さんの亡くなる少し前、1985年頃にニューヨーク生活を切り上げ、1968年以来17年ぶりに日本に帰国している。ニューヨークが今ほど日本人にポピュラーになる前に、先取りするようにニューヨークで働き、ギャラリーのキュレイターをし、有名人と親交を持ち、ソーホーでロフト生活をしていた彼女のNY生活は、日本にいるアメリカ志向の若者にとってあこがれだった。そのNY生活を書いたエッセイが彼女の作品のメインだったのに、日本に帰ってしまったら、何をネタに書くのだろうと思っていた。それから本屋で彼女の本を買うことも長くなかったが、1994年頃、彼女が「ダイエットの本」を書いているのを本屋で見つけた。何で作家/キュレイターがダイエット研究家になったのか、良くわからなかったが、とりあえず日本で人気作家として生きていることが分かって嬉しかった。彼女の亡くなったことを聞いたのはずっと後、亡くなって2年ほどしてからで、心臓発作で51歳で亡くなったときいた時はビックリした。彼女のエッセイでお父さんがやはり50歳くらいで心臓発作で亡くなったことを思い出した。グーグルやヤフーの英語版で検索すると、千葉さんはニーマンフェローで検索できるが、宮本さんの情報はほとんど上がってこない。二人ともニューヨークから去って20年近い。当時の彼女たちと親交のあった人々も、多くはすでにニューヨークを去ってしまっているかもしれない。