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マックの文弊録

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2009.01.13
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カテゴリ:B~C級グルメ
◇ 1月13日(火曜日); 旧師走十八日 戊午; 三りんぼう

この楽天のブログで時々ご厚誼をいただいている釈迦楽さんという方が、糸井重里氏の最近のブログを引いて、「最近は飽きるまでお餅を食べることが無くなった」と慨嘆(というほどでもないが)されていた。
僕は、「それはお餅をコンビニやスーパーで簡単に買えるようになった所為ですよ。」とコメントさせていただいた。左様に、「便利になる」というのは、ありがたさが薄れるということと裏腹である。

釈迦楽さんは名古屋の大学で教鞭をとっておられる先生だが、文化系の先生には珍しく(失礼!)中々洒脱な文章で、手際よくバサバサと身近な世相をお切りになる。特に食には中々通じておられ、ご立派なB級グルメでいらっしゃるとかねがね感じてきた。
B級グルメと云ったって決して馬鹿にして申し上げるのではない。A級グルメ、つまりはワインや高級料理に薀蓄を傾ける輩よりは、僕は(自分もそうだから)B級グルメに、より愛着と尊敬の念を持つものである。大体が、高級なもの、つまりは高いお金を払っていただく料理などは美味しいのが当たり前。不味ければ職人の腕が悪いか、店がインチキをしているのだ。つまりはA級グルメを自認される方々は、常に自分の舌が試されているのではないか、職人や店に騙されているのではないか、そういう強迫観念に囚われているわけで、その根底には見栄や虚栄がある。お気の毒なことである。

それはともあれ、釈迦楽さんのブログでは件のブログに関して、「磯部巻きは甘辛醤油派か生醤油派か」というやり取りがあった。釈迦楽さんは、「ワタクシは、断然、生醤油派。ワタクシ、甘いものは甘く、辛いものは辛く、という嗜好の持ち主で、甘辛、というものの価値をいま一つ解さないんですよね~。」とおっしゃる。
まことにその通り!僕も砂糖醤油で焼いたお餅など嫌いだ。生醤油でいただく餅のみを認めている。時々は鰹節の削りくずなどを醤油にまぶせば、これはささやかな贅沢となる。

所沢には「焼き団子」というB級名物がある。これは米の団子を串にさして焼き、生醤油に浸し、遠火で乾かしたものだ。これを売る店は遠くからでも、生醤油の立てる香ばしい匂いで分かる。生醤油の焼き団子はお隣の川越にもあるようだ。しかし、それ以外の他所では余り見たためしが無い。他所で見るのは「みたらし団子」といって、甘ったるい砂糖醤油を滴らせた、全く似て非なるおぞましいものばかりである。
同じ甘いのなら、鶯団子、きな粉団子、ゴマ餡団子だったら、いっそ潔い。しかし僕は甘い焼き団子はどうも好きではない。
此方に出てきて所沢に住むようになってもう三十年以上になるが、所沢から引っ越す気持ちになれない理由の一つは、生醤油だけで焼いた焼き団子のある所為かもしれない。

生醤油ついでに、B級の話をもう一つ。
巣鴨の刺抜き地蔵に続く商店街は、俗に「オバアチャンの原宿」といわれるように、中高年の女性向けのファッションの店が軒を連ねている。それも皆廉い!暖かそうなフリースのズボン(無論オバチャン向け)が驚くような値段で売られている。何故か同年代の男性向けの服飾店が圧倒的に少ない。これは、明らかにその年代の男女の力関係の差だ。
他には漬物屋や和菓子屋など、やはりそれらしい店も並んでいる。この町筋では、こ洒落た喫茶店や高級洋菓子店は探しても先ず見つからない。

巣鴨駅から地蔵通り商店街の筋に入るとすぐの右手に雷神堂というお煎餅屋さんがある。現在は新築工事中で、少し先に行った右手のファミリーマートの筋向いの路地を入ったところに仮店舗が構えられている。この雷神堂には生醤油のお煎餅を焼きながら売っている。原型は直径30センチ程にもなろうという大きさを適当な大きさに割り砕いた、割れ煎餅である。
お煎餅を焼いている火鉢の脇には一抱えほどの大きさの陶製の甕が置いてあって、中には生醤油(だろうと思う。とにかく甘辛くはない。)がたっぷり入っている。お煎餅が焼きあがるとトングで何片かをはさみ上げて、この甕にジャブンと浸す。それをかじりながら通りを歩くのが此処のファッションなのだ。ちゃんと「食べ歩きセット」というのが有って、袋に五片入って確か2百円だったと思う。

原宿だとソフトクリームかクレープだろう。此処では生醤油の焼きたてのお煎餅だ。焼きたての温かさに醤油の香りが立って、ところどころ沁みた醤油が乾ききらずにしっとり湿っている。巣鴨に行ったときの僕のお目当ての一つである。このお煎餅には「醤油二度付け」、「三度付け」というオプションもある。

刺抜き地蔵の脇には、人も知るカレーうどんだけを食べさせる店もあって、大いに流行っている。
又刺抜き地蔵を通り過ぎると、やがて庚申塚商店街と名前が変わり、都電荒川線の庚申塚停留所に至る。この辺は中々風情があるのだが、これは又いつかご紹介することにしよう。





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最終更新日  2009.01.14 12:12:57
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