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テーマ:法律についてのあれこれ(91)
カテゴリ:個人情報保護・コンプライアンス・CSR
住民基本台帳といえば、住民票の情報を世帯ごとに集めた台帳です。
市町村の役所に置いてあって、閲覧が可能です。 有料ですが、目的を書けば(DM発送とかでも)誰でも閲覧可能です。 これは、個人情報保護法が去年4月に施行されてからも、変わりませんでした。 おかしいと思って、個人情報保護法施行前の3月に、横浜市役所へ電話してみました。 しかし回答は、 住民基本台帳の閲覧は住民基本台帳法に基づいており、国から経済活動の一環として原則閲覧自由との指示があるので、市としても目的を厳格に記載させることしか対策が立てられない。 とのことでした。 でも、目的を書けば誰でも閲覧可能ですが、目的どおりに使用されるかどうかは役所では把握できない。 こんな制度運用なので、 昨年、目的を適当に書いて閲覧し、母子家庭を探し出して小中学生女児に乱暴を繰り返すという事件が起きてしまいました。 先日この男に懲役17年の判決が出ています。 「女児らに乱暴繰り返す、32歳男に懲役17年判決」(2006年3月2日12時28分 読売新聞) 「住民台帳悪用し強姦、被告に懲役17年 名古屋地裁判決」(朝日新聞 2006年03月02日12時27分) さらに、 個人情報保護法では、利用目的の通知または公表をしなければならないとされているのに、 勝手に市役所で閲覧されて、勝手に個人情報を入手されたのでは、なんの通知も公表も受けずに勝手に使われてしまうということになってしまいます。 民主党なんかは、2005年5月に、この住民基本台帳法についての改正案を公表していました。 民主党ホームページより →「2005年05月09日 民主党『住民基本台帳法一部改正案骨子』へのパブリックコメント募集」 そこで、今日見たニュース。 「住民基本台帳、営業目的の閲覧禁止…改正法を閣議決定」(読売新聞 2006年3月7日) 「政府は7日午前の閣議で、公開が原則となっている住民基本台帳の閲覧制度を改め、閲覧できる場合を限定する住民基本台帳法改正案を決定した。 成立すれば年内に施行される見通しで、ダイレクトメールの送り先を調べることなど、営業目的の閲覧はできなくなる。」 「具体的には、国と地方自治体の事務遂行のほか、<1>統計調査・世論調査・学術研究などのうち公益性の高いもの<2>公共的団体(社会福祉協議会など)による住民福祉のための活動で公益性の高いもの――などで、市町村長が相当と認める場合」 とのことです(上記読売新聞)。 閲覧を使って今まで営業してきた業者はやりにくくなりますが、個人情報保護法施行で法体制が変わったんだからしょうがない。 法に合わせた営業をまた考えなければいけません。 法の範囲内であれば、ちゃんと営業してもよいのですからね。 個人情報保護法施行後とかは、これに基づいて、閲覧で情報入手してDM送る場合でも、 「○○の目的で市役所で閲覧によりDMを送っています」 「不要な場合はお手数ですがご一報下さい」 とか記載してDM送ってくる業者はまだ営業的に好感が持てたんですけどね。 どっから私や私の家族の情報仕入れてきたんだ!!っていう不審なDM多すぎ。 特に、子どもの年齢が小さくてどこにも情報を登録した覚えがないときに来たDMとか。 私としては法改正歓迎です。 個人情報保護法施行の去年4月に合わせて一緒に改正すればよかったのにね。 (ご参考) 意見が詳しいです。↓ ★ミックス・Vの日記「住民基本台帳、営業目的の閲覧禁止・・次に狙われるのは、福祉を求める障害者家族。」(mix-mac さん) 市役所の市民課に勤務していた方の話。↓ なんちゃってチャリダー自転車&GIS始末記「住民基本台帳の閲覧制度の改正」(かくげ太さん) お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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