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madamkaseのトルコ行進曲

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2017年07月07日
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(7月7日・金曜日)


 昨年11月に、イスタンブール乗り換えでアゼルバイジャンに行く途中、長いトランジットがあるので家に立ち寄ったV子は、自分の寝室にある洋服ダンスの奥からその昔、気に入って買った小さなジジムの敷物を見つけた。このジジムにはたくさんの動物の絵が狭い枠の中にびっしりと描かれていた。

 ※ ジジム(平織りのキリムの上に、別糸で刺繍してデザインやモチーフを描いたもの)

 普段、寝室に猫は立ち入り禁止にしていても、すばしこいメス猫アルスとマヤちゃんはよく、さっと隙を見て娘の寝室に跳び込み、ベッドの下に潜り込んでしまうので、私が気づかない場合もあるし、戸が完全には閉まらない洋服ダンスの中で昼寝をしていることがあって、もちろん見れば追い出すのだが、たまたまV子が口の大きく開いた布バッグの中にあったジジムを見つけた時は、何ヵ所かがかなり虫食いになってしまっていた。

 彼女は「あらあら~、この可愛いジジム、台無し~」と嘆いた。私は「あとで折りを見て、お母さんがキリムの修理屋さんに持って行って直して貰ってあげるよ」と約束し、取り出しやすいように整理ダンスの棚の一つに載せておいたのだった。

Arus, Maya  
アルス(白黒)と今は亡きマヤちゃん(白三毛)はわが家切ってのおてんば娘。

nizukuri  
V子お姉さんが帰ってしまうことを感じて、荷造りの邪魔をする猫達



 それからほぼ1ヵ月ほどして、昨年12月下旬にフランスから来たサエコさんが、あるプロジェクトのための会議に来たのに、直前にそれがキャンセルとなって、その通知が彼女に届いていなかったため、予定通りイスタンブールに到着して初めてキャンセルを知り、途方に暮れた様子で私にその件を知らせて来たのだった。

 私達はおととしの2015年夏、とある和食レストランで隣り合った席に座ったのと、彼女と同席していた2人のうち、日本人の男性が私も知り合いだったため、互いに挨拶を交わしたことがあった。

 その後、1年ほど経った2016年の秋、サエコさんからFacebookの友達リクエストを貰い、
「12月に会議があるのでイスタンブールに伺います。その際、ぜひもう一度お目にかかれましたら光栄です」と書かれてあったので、「私も喜んで」と約束していたのである。

 しかし、彼女のその会議が突然キャンセルとなり、彼女のトルコ人の只一人の友人は遠隔地にいて出て来られず、イスタンブールで頼れる人は私だけになってしまったのだった。

 私もサエコさんが単なるツーリストではなく、商業的なプロジェクトのために来ているのに、思いがけない直前キャンセル、しかもそれをトルコ人の友人も通知するのを忘れてしまっていた、と言うトルコにありがちな事件に巻き込まれようとしているのを気の毒に思った。

 中には口のうまい下心のある人間もいるので、彼女が騙されないよう、自分でもわからない何かに突き動かされて、ちょうど娘のV子と同年輩のサエコさんをナザル(邪悪の視線)から守ってあげたい、という気持ちになり、到着の翌日から彼女の帰国まで、6日間ほど付き添い行動を共にしたのだった。

 そのサエコさんに、トルコのキリムのデザインには、一つ一つ織り手の女性達の思いが込められた意味があるのだそうですよ、と言うと大いに興味をそそられた様子だったので、サエコさんを紹介するつもりでArapgirの店に行き、娘のV子のジジムを持って修理も頼んで来ることにした。

 いつもヨーロッパ諸国や、マラティアのキリム産地などを回り歩いて、滅多に店にいないオーナーのニハットさんがちょうど居合わせて、私がサエコさんを、ヨーロッパで何をしている人か紹介し、キリムのモチーフについて、サエコさんに教えてやって頂けませんか、というと、ニハットさんも彼女の優雅な物腰、礼儀正しさににたいそう喜び、目を輝かして「いいですとも」と頷いた。

 ニハットさんは事務室の書庫から分厚い1冊の学術書のようなキリムのカタログ大全を持って来て、英語で「ようこそ私どものところにおいで下さいました。加瀬さんの大事なお友達に、私からもこれをプレゼントさせて頂きます」とサエコさんに寄贈してくれたのだった。もちろん、サエコさんもええっと驚き、その本を抱きしめて喜んだ。

arapgir  
アラップギルの旧店舗のころ(12.2016) 左から私、ムスタファさん(初代社長)、
ニハットさん(2代目、現社長、イスタンブール・キリム問屋会長)、ブラック君(息子)
サエコさんの撮影



 さて、そのときに預かって貰ったジジムは、正月にマヤちゃんを死なせてしまい、大雪が降ったり、不本意な忙しさが続いたりして、私もしばらく訪ねて行かれずにいるうちに修理が出来上がっており、先日偶然にArapgir キリム問屋が移転したばかりの店の前を、それとは知らず私が通りかかったので、ニハット社長の弟、ジュマリ君に「バヤン加瀬~」と呼びとめられて、思いがけない再会となったのだった。

 その日は先を急いでいたので、後日ゆっくり貰いに来る約束をして、修理代を聞いたら、ニハットさんが「たいしたことじゃないよ、加瀬ハヌム、気にしないで。それより娘さんが喜んでくれるなら、それだけで十分です」と言う。

 キリム修復師のサワッシュ・ウスタはこの上ない名人で、ジジムに幾つもあった虫食い部分がどこだったのか、全然見分けのつかないくらいきれいに直っていた。縁かがりも一層強く丈夫に結び直してくれてあった。

zizim  
あいにく私のデジカメ、不具合で一部がぼけてしまいましたが、きれいなジジムになりました。

savas usta  
サワッシュ・ウスタはキリム修復の大名人、こころから感謝しています。



 **********

 ありがとうございました、ニハットさん、サワッシュ・ウスタ。今度トルコに来たときこのジジムを見たら、娘がさぞかし喜ぶことと思います。そして、あの12月の出会い以来、私を「お母さん」と呼ぶ人が、もうひとり増えたのです。6日間ずっと共に過ごし、帰国の日に私との別れに泣いてしまったサエコさんです。

 私もV子に初めて会いに来た1992年のトルコ旅行が、一期一会の旅かもしれないと思って、帰国の日、空港で娘とガラス越しに見つめ合って、おおいに泣いたことを思い出しました。

 






   かに座さそり座いて座
かに座さそり座いて座



madamkaseのトルコ本 「犬と三日月 イスタンブールの7年」(新宿書房)




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Last updated  2017年07月13日 15時33分39秒
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