シリア難民のこと
【10月6日・月曜日】 日曜日に高円宮典子様と出雲大社の権宮司千家国麿さんの華燭の典が厳かに行われたニュースを見た後、トルコのニュース局にチャンネルを変えたら、シャンル・ウルファ県のシリアとの国境に設けられたバリケードの一部が開けられ、そこから敷物や家族の着るものを詰め込んだ大きな白い麻袋やビニール袋を頭に載せたり、肩に担いだりしたシリアの難民が、ポリスに導かれて次々トルコ国内に流れ込んでくる映像が出た。 典子さまと千家さんの結婚式。 平和だったのはいつの日・・・爆撃が続くシリア そして、シリア北端の町コバニの住居地に撃ち込まれる爆弾で真っ赤な火柱が上がり黒煙が瞬く間に上空まで達する映像も繰り返し流れた。3年以上前、まだこのコバニなど平和で静かな田舎町で、テレビで話題になることもなかったはず。 同じ時間にまさに「戦争と平和」の両極を見る思いがして、私が考えたところでどうにもならないのに、深い悲しみと虚無感に襲われてしまった。 トルコに流入したシリア難民の数は、今年の初夏の頃テレビか新聞で見た数字では、138万人を越え、その後も毎月15万人~20万人近いペースで増え続けているのだそうだ。爆撃の恐怖から逃げ出す人々の群れは尽きない。写真はいずれもGoogle画像から拝借 元外務大臣だったトルコのダヴットオール新首相は、シリア難民は隣国として人道的観点から、トルコのなしうる限り受け入れる、と宣言した。 シリアでいま、猛威をふるっているのは、トルコ語でIŞİD (ウシドゥ=Irak-Şam İslam Devleti, ウラク-シャム・イスラーム・デヴレッティ(イラク-ダマスカス・イスラーム国の略)と呼ばれる新興武装集団である。 つい先ごろ、アメリカのバイデン副大統領が、「トルコが外人戦闘員のシリア入国を許しているので、責任はトルコにある」という旨の発言をし、エルドアン首相の抗議で謝罪したいきさつもある。 その上、いま、日本人の一部の若者達が「イスラーム国」の戦闘に私兵として参加しようと秘かに計画しており、警察が捜索中とのこと。 義憤かパフォーマンスかわからないが、何と言うことだろうか、おせっかいめ、と嘆かわしい。 シリア難民の多くは職に就けるわけでもないので、キャンプを抜け出してイスタンブールやアンカラの大都会に流入、住むところがないから、街角にブルーシートを広げて雨風をしのぐだけの住まいを作り、物乞い生活でその日をしのいでいる。 賢明な(と信じたい)エルドアン大統領はまさか、シリアのエサド(アサド)大統領のように、トルコ国民を戦火にさらさせることはあるまいと思うが、シリア難民の姿は、一つ間違えば明日の自分達であるとも言えよう。 イスラームの教えは平和そのものではなかったろうか。いま戦争をやっているのはイスラーム教徒の仮面を被ったキャピタリズムの怪物達にほかなるまい。 madamkaseのトルコ本 「犬と三日月 イスタンブールの7年」(新宿書房)「チュクルジュマ猫会」海泡石のパイプやアクセサリーと、「宮古島月桃」の買える店 アントニーナ・アウグスタ