お猫様7匹、開かずの間に乱入!
【8月29日・金曜日】 ああ、今日も秋の空だわ、と朝のうち台所から見上げたタクタキ坂の方角。 朝8時20分頃、雲が多く、非常に涼しい朝です。 前夜やっぱり、根を詰め過ぎて「ぐるぐるめまい」が起こり、直ちに翻訳を中止して寝たのはよかったが、朝8時近くになってやっと目が覚めたのだった。 いつもは5時過ぎに、夜明けのエザーンより早く起きているのだから、この3時間近い寝過ごしは手痛い。 昼までは翻訳の合間に書きつづっておいたブログの下書き、エルドアン大統領の就任式に関してだったのでやや慎重にアップデートして、午後から仕事に取り掛かった。 その合間にはさらに食事の支度もする。朝のうちにキョイビベル(田舎ピーマン=ししとう)をオスマンが山のように買ってきてくれたので、魚焼き網に載せてガスで焼き、皮をむいて三杯酢とおろしにんにく、ほんだしなど入れて、それはもう、呑ん兵衛などにはたまらない肴になるようにして置き、おかずがあまり必要ないように炊き込みご飯を炊いておく。 このところ、ロードス島以来、手作りのジャジュックに凝っていて、こちらも朝、2~3回分作っておくのだ。 魚焼き網でししとうを焼く。冷めるまで放置。 私が皮剥きをするのをタマオがじっと見ています。 こんな風に皮を剥き、種を洗い流してから水気をふき取ります。 三杯酢、おろしにんにく、ほんだしで、和風キョズレンミッシュ・キョイビベル。 今日の朝食はタケノコ炊き込みご飯とジャジュック、ししとうです。トルコでは豚肉入りのジャジュック、家でしか食べられません。 ししとうの皮をむいていると、タマオがじっと私の手元を見つめている。いつも私のそばから離れない親孝行息子。 お昼はオスマンにイッゼットさんのビュッフェから、タヴック・ピラフを買ってきて貰った。写真を撮ろうとしていたら、オグリにピラフのトッピングのむしった鶏肉をごっそりさらわれてしまった。 目にもとまらぬ速さであんぐりとチキンをくわえ、テーブルの下に逃げたオグリ 美味しいタヴック・ピラフ。トッピングのチキンはオグリにさらわれました。二匹目のどじょうを狙ったオグリは、またもやタマオ検査官の横から顔を…… 昼食後、猫達はみんなすやすや寝ているし、私は翻訳の前半の最後に近い3ページの部分に取り掛かった。後半はシワス県内の主な官公庁の住所録なので、先が見えてきた。あと少しである。 ところがいざ始めてみると、とある伝統手工芸についてのページなのだが、意味を知らない単語を辞書で拾いながら読んで行っても、どんなことを説明しているのか、まるで見えて来ないのだった。 そこで困った時のグーグル頼み、ネットで探してみると、どんぴしゃりな動画が見つかった。30分もののシワス地方のテレビ局のドキュメンタリーで、インタビュー部分の音声が聞き取りにくいが、映像を見るとまさに、原稿はこれを説明していたのだ、と瞬時に理解出来た。ああ、百聞は一見にしかず。 ではそれを日本語に直した時、ウスタ(職人)が技を披露している写真の1枚でもあれば分かりやすいが、出来上がった製品の画像だけでは、やっぱり想像がつきにくい。 でもそんなこと、翻訳している人の責任じゃないわよね、という思いがないでもない。 まあ、こういうパンフレットのたぐいはある程度意訳も許されるから、出来るだけわかりやすい言い回しを探そう、などと同じ文を2度も3度も読み、もう少し短い、5分とか7分で技術を見せている動画を探して、それも幾つか、全部見ながらよく理解できたところで、日本語に翻訳するつもりだった。 そのうち、私は自分の周りに猫が1匹もいないのに気がついた。でも頭の中が今見た手工芸のウスタの技でいっぱいで、家の中で何が起こっているのか、全然理解出来なかった。 あれ~? と思いながらいつも右側にいるタマオやオグリの姿をサロンの左の方(台所の方角)に求めたが、やはり誰もいない。変だな、どこに行ってしまったんだろう。 突然、バリバリバリ!と音を立てて、何か大きな袋を加えたオグリが視界に飛び込んできた。「あっ、アッ君に貰ったするめ全形三枚入りだっ!」 まさに、はじかれたように私は瞬時に立ち上がり、オグリの口からその袋を奪い取った。するとオグリのあとから、シェビィとアルス、タマオとミディエが西側の私の寝室から次々に飛び出して来たではないか。 きゃー、「開かずの間」に猫達が潜入していたのだった。まだ中にいるかもしれない、と私は細めに開いていたドアを思い切り開けて中に飛び込んだ。 「こらーっ、出てこい!」 するとマヤちゃんがカラフルな尻尾を立てて動いたので、ベッドの向こう側にいるのが分かった。うまくおびき寄せ、ベッドに散乱する衣類やタオル類の上でなまめかしくコロリと仰向けになったところを逮捕、サロンに追い出した。 あと2匹いる。私は一度ドアを閉め、念のため台所に見に行った。ところがキウイ姐さんは宝島探検には無頓着で、台所の四角いプラスチック桶の中で丸まって寝ていたのだった。 してみると残るはタンブル、積み重なったいろいろなものをかき分けて机の下を見てみると、いたいた、じっとこちらをうかがっている。貴重なベーコンを少しだけ切ってそれを指先に持ち、匂いで誘惑したらソロソロと出てきた。 やっと首根っこを捕まえ、サロンに出てからタンブルにベーコンを投げてやると、オグリが台所から走り込んで来て、横っ跳びにジャンプしてかすめ取ってしまった。 台所に行ってびっくり。うっかりして長いベーコンを1枚、切った残りをまな板の上に置いて来てしまったので、オグリにすっかり食べられてしまったあとだった。 うう~、やられた~。 しばらくの間、私は戦意喪失状態で、せっかくYoutubeで見た伝統工芸「チュブクチュルック」を翻訳する元気がなくなってしまった。 もう何ヵ月も開かずの間になっていた私の寝室は、7匹の猫が大喜びで遊びまくったらしく、それ以前よりもさらに目も当てられない状態になってしまい、明日は来客伊久子さんが到着すると言うのに、もう、ほとんどトムとジェリーのアニメの世界のようになっていた。 仕方がないので猫の餌を早めにやろうとしたら、缶詰が切れていて、昨日の夜、明日こそ注文しなくては、と思っていたのに忘れてしまったらしい。 その晩、缶詰も届き、猫の餌の支度をしていたら、7時少し前に日本から電話が来て話が少し長引き、日没寸前(8時5分前)にやっと外猫達への餌配りが終わり、自分は朝のうちに詰めておいた弁当箱を広げて晩ご飯を食べた。 タケノコめしを炊いて弁当箱に詰めておきました。ししとうもあってたいそう美味しいです。 タマオはいつも辞書の上に覆いかぶさってしまうので、仕事を再開したとき、辞書を置く場所を右から左側に移したら、今度はそちらにしっかり座り込んでしまい、押しても突いてもどいてくれない。本当はかまって貰いたいのだろうな。 タマオは私のそばにいたいのだと分かりますが、辞書が見られないと・・・ 下にある本や辞書に爪を立てて抵抗してます。 やっとしがみつくタマオを下ろして、本文があと1.5ページを残すだけになったところでもはや気力がなくなって、パソコンを閉じた。寝たのがまたまた夜中の1時過ぎ。遅く寝ると次の日の目覚めが遅くなり、結局仕事のペースも崩れるので、改善しなくてはいけない。 よく分かっているのに・・・予定通りに行かないのも神様の思し召しでしょうか。 madamkaseのトルコ本 「犬と三日月 イスタンブールの7年」(新宿書房)「チュクルジュマ猫会」海泡石のパイプやアクセサリーと、「宮古島月桃」の買える店 アントニーナ・アウグスタ