べレディエ・チャルシュヨル!(市役所稼働中!)
【3月9日・土曜日】 トルコの今の首相、レジェップ・タイイップ・エルドアン氏がまだイスタンブール市長だった頃、大きな公共事業現場の看板にはよく、「タイイップ・エルドアン、チャルシュヨル、ビュユック・べレディエ・チャルシュヨル」と、でかでかと書かれていたものだ。 意味は「(市長)タイイップ・エルドアン稼働中、大市役所も稼働中」といったところである。イスタンブールは、日本で言うところの特別政令都市であり、トルコでは行政上はイスタンブール・ビュユック(大)・シェヒール(市)と呼ばれている。 イスタンブールのほかに、首都アンカラ、エーゲ海沿いのイズミール、地中海沿いのアダナ、黒海沿いのサムスン、内陸部のブルサ、コンヤ、カイセリなどなど、16の政令都市があったが、昨年、たくさんの県庁所在地を一挙に政令都市に昇格させたので、現在はトルコ中で29の都市がビュユック・シェヒールと呼ばれることになった。 さて、タイイップ・エルドアン氏は辣腕政治家と言っても間違いではなく、イデオロギーの面はさておき、強力な安定政権を築いている点で、やはり傑出した国家リーダーだと思う。 ただ、私個人としては、トルコ共和国建国の父アタテュルクの路線から少しずつ外れて行く傾向にあるのが残念だ。 これは宗教観の相違によるものでもあるが、アタテュルクの築き上げたライクリッキ【政教分離】の大原則が揺らいでいくのではないかと言う一抹の不安がある。 とは言え政治的な話題に首が突っ込めるほど私はものを知ってはいないので、これ以上の言及は出来ない。それよりも、ベレディエ・チャルシュヨルの話で、小さな写真をひとつお目にかけたい。 月曜日の夜、チュクルジュマ通りのわが家の前の街灯がついていなかった。カプジュのオスマンに言うと、「ああ、もうべレディエに言ってあるよ。明日はランバ(ランプ)を取り替えに来るから大丈夫だ」と答えた。 5日の朝10時過ぎ、何気なく窓の外を見ると、取り替えている、取り替えている、ベイオール・べレディエシのメンテナンス車が来て。 はしご車のように伸びるクレーンの上で作業するベレディエ職員、ご苦労様 ランバがばっちり灯っています。これで夜道が安心して歩けます。 お陰でその晩はもう通りが明るくなった。この、ベイオール区のべレディエ(区役所)は、もちろんイスタンブール特別政令都市(ビュユック・シェヒール・べレディエシ)に属するべレディエの一つである。 おそらく都市整備課みたいな部署があって、夜も巡回して街灯の具合を見て歩き、電球が切れていれば次の日に取り替えに来たり、その他もろもろの仕事をやってくれているに違いない。 世界有数の大都会であるイスタンブールに住んでいると、不具合もいっぱいあって、たとえば私がしばしば遭遇する「さて、掃除をするか。あれっ、断水だ、停電だ」という事態もよくあるのだが、人間はいい環境に慣れてしまうと、どこまでもわがままになる。 出来ていないところを怒るより、こんな電球の取り替え、という、小さな出来事でも、やって貰ったことに感謝すれば、よかった、ありがとう、という気持ちになれる。 住みにくいと文句を言う前に必要なもの。それじゃないかな、要は。 かねてからのBüyükşehirAdana, Ankara, Antalya, Bursa, Diyarbakır, Erzurum, Eskişehir, Gazi Antep, Mersin, İstanbul, İzmir, Kayseri, Kocaeli, Konya, Sakarya ve Samsun 昨年からのBüyükşehirAydın, Balıkesir, Denizli, Hatay, Malatya, Manisa, Kahraman Maraş, Mardin, Muğla, Tekirdağ, Trabzon, Şanlı Urfa ve Van madamkaseのトルコ本 「犬と三日月 イスタンブールの7年」(新宿書房) 「チュクルジュマ猫会」お知らせ ◎※△ 海泡石(リュレタシュ)がネットで買えます! イスタンブール唯一の海泡石アトリエ、シナン・ウスタの作品がついにネットで購入出来るようになりました。追々品数も増やしていくとのことです。ぜひご覧ください。ネットショップ 「リュレタシュ」