madamkaseのトルコ行進曲

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  今年初、冷やし中華

  【４月２５日・土曜日】　２２日、木綿のブラウスを着て、裏に毛皮がついているとはいえベストを羽織っただけの薄着でチューリップ見物に参加したレイラ、季節はずれの寒さにやっぱり風邪を引いて、昨日のブログにも書いたようにげんなりした様子で夕食に来た。 素肌にコットンのシャツ。これでは風邪を引くのが当たり前。　夕食後、解熱剤バファリンを２～３日分分けてやり、すぐに帰って寝るように言うと、腫れぼったい目をしばたたかせながらレイラは帰っていった。　次の日の朝１０時頃、電話してみると幸いもう元気になっていて、ブランチしに来るという。　急いでチャーハンを作り、グランド・バザールのとある食堂で買ったパトゥルジャン・ドルマス（ナスのピラフ詰め）を添え、ドルマに付けてくれたナンみたいなパンを切って浮かせたワンタン風のスープを拵えた。 チャーハン、ナスのドルマ、揚げ玉入りワンタンスープ　その２３日、私はチューリップ満載のブログを準備したり、日本からの幾つかの問い合わせメールに長い返事を書いたりしていたのでパソコンに張り付きっぱなし。　レイラが夕飯に来る前にやっと中華麺を打ち、あり合わせの材料で冷やし中華を作ることにした。いつものように外の猫の餌を食べさせているときに彼女はやってきた。もうすっかり元気になっている。　冷やし中華は美味しく見えるようにトッピングの具を刻んだら、きれいに向きを揃えて載せる必要があるのだが、後ろで足踏みしながら待っているお腹の空いた人のせいで、がしゃがしゃと急いで盛り付けた結果、あまりきれいに見えない冷やし中華となった。 ちょっと雑な盛り付けのトッピング。でも美味しかった冷やし中華　しかし、レイラは大満足。私も去年の夏に一、二度作ったとき以来なので、まずは及第点だと思った。　やっぱり、打ち立ての新鮮な中華麺はつるりと歯ごたえも満点で、レイラに、「イェーイ、カセー、セン・ゲルチェキ・ウスタスン（あんたは本物のコックだよ）」などと肩を叩かれおだてられ、また近々作る気になってしまった。　なお、その日レイラが買ってきてくれたキウイはこの前のイチゴ同様、まだ何の甘みもなくそのままではとうてい食べる気がしないので、また寒天を利用してデザートを作ったら、なんとも美味しいトロピカルな味となった。 キウイの寒天デザート（食用染料緑色を使用）madamkaseのトルコ本　「犬と三日月　イスタンブールの７年」（新宿書房）

  2009年04月25日

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  食卓写真　後編

  【４月２１日・火曜日】　４月９日以降、主に夕食。 ハンバーグ、こんにゃくとズッキーニと玉ねぎの煮物、ゴマの葉 チュプラ（石鯛）の刺身、塩鮭の焼き物、吸い物、セミズオト（すべりひゆ）のおひたし、ゴマの葉 ブランチ：久々の濡れ焼きそば キョフテ・ウズガラ（焼いた肉団子）とチキンから揚げ。　デザートの寒天イチゴ　日曜日の朝、大きなイチゴをたくさん買ってきてくれたレイラ。見事な真紅色をしているのになぜか味がない。寒天を煮とかし、食紅でピンクに染めた上、残ったイチゴを二つに切って容器に並べ、寒天湯を流し込んでみると、数時間後には美味しいデザートに変身。　 挽き肉入りコロッケ、蕗の佃煮、切干大根・なす、ズッキーニ、ニンジンと桜海老の千切り揚げとの煮物、　というわけで、オンタイムに追いつくまでの分を一挙公開。しかし、なんとなく以前に比べ気合の入った、彩のきれいなものが少なくなったような気がする。腕が落ちたからか、材料費が上がったからか、それとも忙しすぎるからなのか・・・ madamkaseのトルコ本　「犬と三日月　イスタンブールの７年」（新宿書房）

  2009年04月21日

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  食卓写真　中編

  【４月２０日・月曜日】　３月下旬から４月にかけての食卓。春野雪子先生を迎えての夕食や、レイラと食べたマグロの刺身はすでに掲載済み。 大きな中華なべにあふれるほどのひじきと野菜を煮る チキン照り焼きにほうれん草・生椎茸・もやしの炒め物、ひじきの煮物、キャベツときゅうりの浅漬け 鶏ガラだしのラーメン、芽キャベツおひたし、浅漬け ブランチ：ハムと野菜炒め、ブロッコリー、お麩入りの澄まし汁 ブランチ：春巻と刺身こんにゃく、きゅうりのハム巻き、ゴマの葉 精進揚げと春巻、ゴマの葉 ブランチ：レバーと野菜の煮物、わかめとねぎの卵とじ澄まし汁、ゴマの葉 イワシとピーマンの天ぷら、イワシの生姜煮、揚げ玉入り澄まし汁　４月８日の晩までのものを掲載しました。　　後編に続くmadamkaseのトルコ本　「犬と三日月　イスタンブールの７年」（新宿書房）

  2009年04月20日

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  食卓写真　前編

  【４月１９日・日曜日】　レイラと２人で食べることが多い和風料理の夕食、たまには土・日にブランチも一緒。昨今は私の懐事情も反映しているので、あまり豪華版はないけれど、何とか工夫して作っている。　レイラも卵だ、ブロッコリーだ、やれ、油だ、小麦粉だと、来るたび何かを提げてくる。ときどきビールもあったりする。　おかずの残りを容器につめて「カセー、これ貰っていくね～」と持ち帰ることもある。近くへ嫁に行った娘、みたいなものである。　人間、心身ともに健康であるためにも、食事が楽しくなるような話し相手の存在は大事だと思う。　３月から何かと慌しくしていたせいか、料理した食べ物の写真だけは写すが、ブログに載せる機会もないまま時が過ぎた。　特別な材料（たとえばマグロとか）が手に入ったときはすぐに掲載したが、過去の食卓写真が溜まってしまった。自分の覚え書にもなるので３回に分けてアップしたい。 お粥、イワシの缶詰、マッシュルームとハムの炒め物、唐辛子の漬物 鶏のつくね団子、鮭の燻製、玉ねぎと青葱と肉の炒め物、唐辛子の漬物 精進揚げ、鮭肉とルッコラの炒め物、ゴマの葉、唐辛子の漬物 チキンソテー、豚肉のサラミ、もやしの挽き肉の卵とじスープ、ゴマの葉、キュウリの漬物 チキンと野菜炒め、挽き肉となす・ポテト・ニンジン・玉ねぎの煮物、ゴマの葉 イワシの生姜煮、キュウリとマッシュルームとハムのサラダ、ゴマの葉 ナスとマッシュルームの挽き肉詰め、マッシュルームの軸とキュウリ、豚肉サラミの酢味噌、芽キャベツのおひたし （この日はレイラ欠席） 自分だけの朝食：野菜粥、大根おろし、芽キャベツのおひたし 以上　３月始めから２０日までの料理から。　　　　中編につづく。madamkaseのトルコ本　「犬と三日月　イスタンブールの７年」（新宿書房）

  2009年04月19日

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  マグロの刺身

  【３月３１日・火曜日】　今日はマグロの話をしたい。おととしの１１月に友人ツマちゃんから美味しいマグロを分けて貰って以来、赤身マグロの刺身を食べるのは１年半ぶりである。　カジキマグロは時々見かけるが、これを市場で見つけたときはどんなに嬉しかったことだろう。　２８日の土曜日にミュージカルを鑑賞したあと、yokocan21さんと私は国鉄ボスタンジュ駅のそばにあるパブのような店で、ミディエ・タヴァ（ムール貝のフリッター）とポテトフライを肴にビールで乾杯、舞台を見た興奮状態持続のままお喋りを始めたら、とめどなくエスカレートして２時間経過、ふと時計を見ると７時半を回ろうとしているではないか。　慌てて帰り支度をし、カドゥキョイ行きのバスに乗ったが、行きはよいよい、帰りは怖い、渋滞でさっぱり前に進まない。　カドゥキョイの少し手前で彼女が降りたあとも、渋滞は延々と続き、普段３０分もかからないところを１時間余りかかってバスは波止場の近くに到着した。　結局家に着いたのが１１時半過ぎ、復路は３時間もかかった勘定になる。PCを開いて、あゆ美さん、yokocanさん、イペッキ達との写真をパソコンに移そうとしてハッと気がついた。　日本の雑誌などを入れた大きな肩掛けバッグをyokocanさんに渡したのはいいが、うっかりしてその中に、用心に持ってきていたデジカメのチャージ・セットを仕舞いこんだのを、すっかり忘れていたのだ。　まったく人迷惑な話だけど、本日、再びyokocanさんにカドゥキョイまで出て来て貰うことになり、私はカラキョイから船で昼少し前にアナドル・ヤカス（アジア側）に渡ったのだった。 カラキョイをあとにして シルケジ～ハーレム航路のフェリー　中一日使わずにおいた息も絶え絶えのデジカメで、２枚ほど海峡の景色を写したらそれでカメラはご臨終。まもなく船はカドゥキョイに着き、出会った２人は少し市場街をうろついた。　そして選んだのは再びミディエ・タヴァとビールのあるお店。しかもまたまた２時間あまりのマシンガン・トーク再開。　帰りは食事前に目をつけておいた魚屋に立ち寄り、なんとオルキノス（マグロ）の大トロをゲットしたのである。どの部分を買っても１キロ１２TLというのはお買い得な値段だった。　同じものがベイオールのバルック・パザール（魚市場）では、１キロ３０TLくらいで売っているし、海老などはカドゥキョイなら１キロ７～８TL、ベイオールでは１３～１５TLはするのだった。（３月３１日現在１TL=約５６円）　ちなみに、イスタンブール中心街のバルック・パザール（魚市場）のいろいろな魚相場については、大体こんな順位が付けられる。　値段の高い順から　　１．　ベイオール　　２．　カラキョイ　　３．　ベシクタシュ 　以上　ヨーロッパ側 ------------------------------------　　４．　カドゥキョイ　 以下　アジア側　　５．　ウスキュダル　　　　　　　　　　　　　　　　※大して意味のないリストですね・・・　それはさておき、今日はレイラが２ヵ月ほど勤めた旅行代理店を辞める日なので、ねぎらいの意味で魚を料理してやろう、と思っていただけに私の心はおおいにはやり、意気揚々と１キロのブロックを買って連絡船に乗ったのだった。　エミニョニュで降りたあと、シルケジ駅からトラムに乗ってスルタンアフメットで降り、３ヵ所ほど用事で回ったので、家に着いたときは日は西に傾いていたが、それでも明るいうちに戻ることが出来た。 伸びすぎて花が咲きそうなロカ（ルッコラ）　こりゃ恥だ.....　ここしばらく、外出ばかり続いたので、なんとまあ、わが家のロカ（ルッコラ）は大成長を遂げて花が咲く寸前だった。　大きなマグロの塊と格闘しながら刺身用と煮込み用に切り分け、刺身はそれなりに盛り付けて、あとはナスと煮つけた。 マグロの大トロ、蛇腹の砂擦りと、隣はナスとの煮物　レイラ大喜び、楽しい夕餉の膳です 　レイラは満面の笑み。一切れ口に運ぶごとに「う～ん」と感嘆の声を漏らしつつ大満足。カドゥキョイから運んだマグロは脂が乗ってたいそう美味しかった。　　刺身はもう一皿あり、翌日用に回した部分は霜降りの大トロ、文字通り口の中でとろけてしまうようだった。　しかし、ちょっと脂っこかったので、この次は中トロを狙うことにしたい。　以前エーゲ海のマグロはほとんどが日本に輸出されてしまっていたそうで、地元の人々の口に入ることは滅多になかったが、この頃少し事情が変わってきたらしい。　魚市場でいつでも買えるくらい安定供給となっているなら、やっぱりときどきは食べたいものだ。　ただし、もと遠洋マグロ漁業の漁師だった日本のある有名歌手に聞いた話では、マグロは獲れたての生より、一度冷凍したもの（家庭用冷蔵庫の話ではなく、マグロ漁船の船倉でこちこちに冷凍したもの）のほうが味が格段にいいとのことである。　madamkaseのトルコ本　「犬と三日月　イスタンブールの７年」（新宿書房）

  2009年03月31日

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  ロシアの塩鮭

  【３月２日・月曜日】　日曜日の昼少し前、レイラがやってきた。「カセー、塩鮭持って来たよ～。彼氏の案内したお客さんが、お土産に１匹持って来てくれたんだってさ。半分あげる。ロシアから産地直送だよ」　弁当箱のようなヨーグルトの空き容器に、塩鮭の半身が３つに切られて入っていた。レイラの彼氏はトルコ人だが、ロシア語の観光ガイドである。いまトルコは、ロシアからの観光客で賑わっている。　塩鮭を土産に持ってくるツーリストなんて初耳。でもよく見ると塩鮭というほど塩が利いている風でもないので、もう少し塩を振ったのだった。　ところが私は昼からテレビ関係の事前調整で外出しなければならなかったので、夜７時頃を目安にレイラに連絡を入れて夕飯を一緒にしようと言うことになった。レイラはその間に、同じ会社で働く韓国人の若い女性と昼を食べる約束をしたようだ。　私の用事は早めに終わり、一旦家に戻って猫の餌のマカロニを茹で始めたとき、去年まで東京で娘のＶ子と同じトルコ会社に働いていた青年セルカン君から携帯メールがきた。「夕方タキシムに行きます。お時間があればお会いしたいのですが」という。私は携帯メールが不得手なので、電話をかけて会う約束をした。　５時半過ぎにジハンギルのカフェテリアで会い、生ビールで乾杯した。セルカン君は去年の１１月２２日、Ｖ子が日本に帰った日に空港まで一緒に見送りに行ってくれたので、その帰りに前夜の嵐で転覆したカラキョイ埠頭を見に行くのを付き合って貰った人である。　そんな思い出話に話が弾み、気がつくともう７時を回っていた。名残惜しいがまた会う約束をして席を立った。　約束どおりレイラに電話を入れてみると電源が切れていたので、留守電に待っているからと言い残して家に戻った。　その後何度かけてもずっと電源オフ、家の電話にかけても応答がないので何かあったのかとふと心配になった。そのまま夜が更けて、塩鮭の夕食はとうとう実現しなかった。　今朝になってようやく電話が繋がり、事情がわかった。レイラの友人は若い娘ながら大酒豪で、レイラの家で昼間からビール、ワインをチャンポンに飲んだという。　その友人のほうはレイラの３倍も飲んでいるのにシラーッとして夕方帰って行き、レイラは彼女を送り出した途端にサロンに「ぶっ倒れて」そのまま明け方まで目が覚めなかったのだそうだ。　携帯電話も彼女が倒れたときに床に投げ出され、電話機が壊れてしまったという。道理で全然通じなかったわけである。 ロシア土産の鮭の切り身、ほうれん草のおひたし、平茸の澄まし汁　そういうわけで、ロシアの鮭は本日に持ち越しとなった。　おととい掃除をしたのにもうサロンの床が猫部隊にさんざん汚されたので、３時過ぎから掃除機をかけようとしたらごみ袋が満杯だった。　袋を取り替えたがスペアが純正部品でなかったようで、穴の位置に装着できず、ああだ、こうだといじっているうち新しい袋を破いてしまい、そこを荷造りテープで貼り付けたり、１時間以上かかってやっと装着。暗くなってからようやく料理に取り掛かった。　レイラはわが家でビールを注ぐにもこわごわで、自分の分はほんの少々注いで飲まない算段をしている。よほどの二日酔いに違いない。　うちの娘もうわばみ姫と異名を取るほどに飲むので、けっこう武勇伝もある。先日は、目が覚めたら成田空港だったそうな（家と反対方向、しかもはるかに遠い）。おいおい。　Ｖ子もレイラも可愛いものだ。私は飲んでも酔わないので、もったいないからあまり飲まないことにしているのである。madamkaseのトルコ本　「犬と三日月　イスタンブールの７年」（新宿書房）　　

  2009年03月02日

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  最近の食卓

  【２月２６日・木曜日】　２００１年５月にロンドン経由で日本に行くとき知り合った戦場カメラマン、ラファさんから、またまたノンカップ麺やインドネシア土産や頼んだたわしと耳かきの入った小包が届いた。　　嬉しかったのは口紅。おととし彼女がプレゼントしてくれたSHISEIDOを、トルコで買った口紅と交互に、大事によそ行き用に使っていたのだが、さすがにちびてきたのでそのうち買わなければ、と思っていたところだった。　ちょっと華やかな赤。うっしっし、美女にはぴったりね。ラファさん、どうもありがとう。 腰痛を起こした私に、湿布薬もたくさん・・・口紅・インドネシアの石鹸、タワシの後ろがインドネシアのバリ島名物・キンタマーニ・コーヒー　　最近の食卓　チキン味のお粥と砂肝の生姜煮　野菜炒めとポテト・サラダ　　ホットケーキと黒蜜　ヤイラ・チョルバス味（ヨーグルト味）のお粥　一口餃子 　ここ２週間は出歩くことが多かったので、あまり気合の入ったおかずが作れない。先月来騒いでいるダイエットにもそろそろ着手しようかと思う今日この頃である。

  2009年02月26日

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  クルチ・バルーウ（カジキマグロ）　パート２

  【２月１９日・木曜日】　生わさびをたくさん貰ったおかげで、これはもう、刺身を食べなくてはバチが当たる。そう思ったらほんとうに、おととい美味しい刺身が食べられた。　夕べは照り焼きチキンだったが、今夜は残りのクルチを新鮮なうちに食べてしまおうと、またまたレイラにビールを頼んで、夜、炊き立てのご飯ですしめしを拵え、あらかじめ解凍して切っておいたクルチを載せてすしを握った。 クルチの握り寿司、ほうれん草ともやしの澄まし汁、かぶと昆布と荘内麩の煮物　新鮮な生わさびだけに、ほんの少し塗っただけなのにツーンと脳天に来る辛さに、レイラと２人で泣き笑いしながら、とにかく幸せに満ちて握り寿司を食べた。　　アトムは邪魔な左前足のバンドを食いちぎろうともせず、おとなしく椅子の上にいるし、毛むくじゃらと白黒夫婦は仲良く寄り添って寝ているし、私の足元では、キリムの足乗せ台と足温器を占領したコンテスが丸まっている。　こんな平穏な夜を、神様ありがとうございます。

  2009年02月19日

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  クルチ・バルーウ（カジキマグロ）

  【２月１７日・火曜日】　昨日の写真でご覧に入れたように、このところ戴きものの中に生わさびがよくあって、チューブ入りの新しいのが全部で６本、これぞ鮮魚を手に入れ、刺身を食べよという天のお告げ？　今日はチャーミングなトルコ女性オルジャイとデートした帰り、バルック・パザール（魚市場）に寄ってみた。　最高級魚クルチ・バルーウ（カジキマグロ）は、目の飛び出るような値段なので、もう何年も食べたことがなかった。　料理屋だった私をよく知る１軒の魚屋の店員が、座ってチャイを飲んでいたのに、私を見るとすっくと立って大きな声で呼び止めた。「マダム・カセ！　いま切ったばかりのクルチのアラがあるんですが、見てください！」　あーあ、とうとう、魚のアラしか勧めてくれなくなった、と嘆く必要はない。魚はアラが一番うまいのである（負け惜しみではなく・・・）。　鼻面がクルチ（刀）のようにとがったカジキマグロの、顎から肩に当たる部分を冷蔵庫から取り出した彼は、得意そうに高々と持ち上げて見せた。「この塊は１．５キロくらいあります。３０リラで売るつもりでしたが、マダム、あなたには２０でいいです。ぜひあなたに食べて貰いたいからですよ」　お兄さん、顔はまずいが口はとびきりうまいなあ、と感心しながら私は一瞬にして品定めをし、買うことに決めた。　上手に切れば、刺身として食べられる部分がかなりある。桜色の肉が切り口から盛り上がっていて新鮮なのが一目でわかった。　ほかの部分は甘辛く煮込めばこれも美味しいおかずになること請け合いである。アラ煮はツウ（通）の味なのだ。しかもカジキだもの。　財布を覗くと２５リラしかなかったが、迷わず２０リラ札を出してそれを買った。イスティクラール通りをるんるんで歩いた。　かくて刺身包丁に久々出番が来た。アラだから不揃いではあるが、ともかくも刺身が出来た。半分は塊のまま後日用に冷凍にしておき、あと半分を皿に並べる。　その他の部分は甘めに煮込んだ。本当は炊き立てのご飯がいいのだが、昼にオルジャイへの土産におにぎりを作ったので、夕飯用に自分達の分も作っておいたのである。 カジキマグロの刺身とアラ煮、刺身はもう一皿分冷凍してある。２０リラ（１７日のレートで１１００円）は超お買い得だった。　レイラがキャッキャと喜んでいる。「カセー、あんたの手は魔法の手だね！」　ちょっとォー、おだてたってこれ以上は何も出ないよ。　レイラがビールを１本だけ買いに走り、乾杯のあと舌にとろけるカジキの味を満喫、アラ煮も溜め息が出るほどで、私達２人にとっては、エコノミ・クリズィ（経済危機）なんか吹き飛ばす豪華な食事だった。　うう、感激、食いしん坊万歳！

  2009年02月17日

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  台所に花

  【２月１０日・火曜日】　昨日は午後から用事で出かけた帰り、３年ぶりくらいに私がもと住んでいたジハンギルのお隣さん、アルバトル家に寄りこんだ。　あいにくの雨模様だったので、この家からのマンザラ（眺望）は煙っていたが、それでもなおため息の出るようなパノラマである。 左：サライブルヌ方面　　右：ガラタ塔、旧市街ファーティヒ方面　チャイやほうれん草のボレッキ（パイ状に薄皮を重ねて焼き上げる軽食）をご馳走になり、談笑するうちに空がすっかり暗くなってきた。　まだ５時前なのだが雨脚も強くなり、慌てて暇乞いし、途中で赤カブと果物を少し買って家に戻った。　猫達の餌も配り終わったあとで、花かごの名残のカーネーションのうち、まだ咲いているいくつかを集めて剣山に挿し、台所の一隅に飾った。 花籠の名残のカーネーション　さて、今日は朝から電話がよくかかってくる日で、あれやこれやと調べたりまたほかの人に電話で聞いたりしないとわからないことばかり。そういうことでゆうに半日以上つぶれることがある。今日もまさにそうだった。　メールの返事も書きかけのまま、あちこちに電話したりする。電話の用事がかたづいたあと、１時間も２時間もしてからやっとメールの続きに取り掛かる、などということもザラである。　しかもその間に煮物の準備をしたり、せっかく家にいても片付け物などまったく出来ないまま、また夕方を迎える。「カセー、今日は絶対行くからね」　元気のいい声でレイラが電話をかけてきた。彼女は今月初めから、韓国製品の販売代理店で臨時に事務員の仕事を見つけて働いている。　煮物と揚げ物、レイラの好きな赤カブの甘酢漬けで夕食を取った。このところ以前のメニューの繰り返しもけっこう多いので、いちいち写真を撮らない。「カセー、写真を撮るの、忘れてるよ」と、ときにはレイラにからかわれる。 　　　　　　　　　　煮　物：かんぴょう、ひじき、荘内麩、ニンジン　　　　　　　　　　揚げ物：ズッキーニの間に、照り焼きソース味のチキンを挟む　　　　　　　　　　漬け物：赤カブの甘酢漬け 　最近、昆布茶を入れた麺を打ってみたところ、滑らかで非常においしいことがわかった。それは、従妹のちいちゃんが送ってくれた「ざるうどん」に勝るとも劣らない舌触りだった。 乾麺　ざるうどん （日本の既製品） 昆布茶を入れてみたら、つるつるしこしこ、一味違う。　そうなると、ついつい張り切る。これからも麺を工夫しながらいろいろな味に挑戦してみようと思った。レイラは当分、うどんやラーメンや焼きそばを食べさせられることになるだろう。

  2009年02月10日

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  春巻・ワンタン・ピーマンの詰め物

  【１月３１日・土曜日】　シカゴの友人夫妻から美しい花を贈られて元気の出た私は、８日ぶりにようやく外出する気になり、朝のうちに春巻をたくさん拵えて、午後からオズギュル先生を訪ねた。　ジャックを亡くしたとき、泣く泣く電話したら、先生は「なぜベランダなんかに出したんです！」とほんとうに口惜しそうな口調で一瞬声を荒らげた。　が、すぐに我に返って、「あああ、加瀬ハヌム、すみません。せっかくジャックが戻ってきたと私も喜んだばかりでしたから。悲しみを癒すためにもぜひ私のところへいらしてください」と言い、私も先生に会いたかったのである。　春巻は半製品にして３０本ばかり箱につめ、アツアツを食べて貰おうと動物診療所の厨房で揚げた。賄いのニリュフェルさんが土曜はいないので、一家４人分として８本は生のまま夫のベルカントさんに託した。 カメラのバッテリーが不十分でちょっとピンボケ気味ですが、春巻きを箸で食べるオズギュル先生と職員達　オズギュル先生を囲んで居合わせた人々に竹箸を配り、春巻を箸で食べるよう教えたらみんな大騒ぎ。にぎやかなジャック追悼の春巻パーティとなった。　日本にいた頃は豚挽き肉に干し椎茸とたけのこ、玉ねぎだけの中味にこだわり続けていたのだが、トルコではナス、ズッキーニ、ニンジン、マッシュルーム、ブロッコリーやほうれん草など、何でもござれで入れてしまう。　これがかえってトルコでは受けるのである。　春巻の効果か、オズギュル先生の前でもジャックのことでめそめそすることもなく、私は暗くならないうちに小雨の中を早足でバス停に向かった。　夕食はレイラと一緒にワンタンを食べた。春巻はもう残っていないが、ユフカ（春巻の皮）が少し残ったので、適当な大きさに切り挽き肉を包んだのである。　　食後、レイラの土産のオレンジを食べ、お茶を飲んだ。そのあともう一つ仕事があった。日曜日用に、ビベル・ドルマスを拵えておくのである。私は冷蔵庫から洗い済みのピーマン１５～６個を取り出した。　レイラも手伝うというので、ピーマンのヘタをくり抜いて貰った。その間に私が中味の材料をこねて、２人で一緒に詰め込んだ。「キャー、カセー、こんなに楽しいとは知らなかったよ、ドルマの作り方！」　いかにも嬉しそうにレイラははしゃいだ。　くり抜いたヘタは捨てずに蓋にして、トルコ風のサルチャ（トマト・ペースト）は使わず、市販のブイヨンであっさりと仕上げた。　遅い時刻だったが1個ずつ味見をしてみたら、「うう～ん、カセー、こりゃ傑作だよ～」とレイラが目を細める。「えへん、和風だからおいしいでしょ。それにあんたも一役買ってくれたからなお美味しく感じるんじゃないの？」 中味：よく練った牛挽き肉、ご飯、たまねぎ・ブロッコリー・ニンジンのみじん切り　男の握り拳くらいありそうな大きなピーマンばかりを選んで、空き箱に６つほどレイラとボーイフレンド用に持たせてやると、彼女はルンルンでシンデレラになる直前に帰っていった。　かくてダイエットは月曜日から、ということになりそうである。

  2009年01月31日

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  シチューとラーメン

  【１月２９日・木曜日】　このところほとんど外出もせず、かといって家の片付けをしよう、という気になるほど腰痛や体調がよくなっていないので、食事もついつい一品料理になってしまう。　レイラの土産だった豚肉も、ジャックの事故があった日、半分は甘く煮たし、先日はなすとほうれん草のカレーに残りの半分を、おとといまたその残りを使い、シチューを作った。 小麦粉、牛乳、チキンブイヨンで作った豚肉入りシチュー手前のスプーンが写っていないだけで、箸で食べたのではありません＾＾ ギリシャで買ったが、Made in Spainと書いてある豚のあばら肉これも鮭のアラ同様安い材料だが、肉の味は実に美味しい。「カセー、豚肉まだ残ってるの？」「ううん、これが最後よ」「そうかあ、でもカセー、あんたのお陰でカレーもシチューも美味しく食べられたよ。アーフェリン・サナ！」　おいおい。アーフェリン・サナは「あんたはお利口さん」と子供や目下を褒める言葉だよ、レイラ！　でもこれがレイラのキャラクターで、知ってて甘えているのだから、私に言う分にはよしとしておこう。　さて、夕べはかんすい入りの麺を打ってラーメンを作り、本日はまた野菜たっぷりの濡れ焼きそば、とにかくあれこれ副菜を作ったり漬物を漬ける、という元気がなく、レイラのもう一つの土産、ゴマの葉辛みそが唯一のおかずである。 黒いのは海苔、四角い白いのはチキンのドネルケバブ（加工品） 麺が美味しい濡れ焼きそば　　とにかく、当分一品料理が続きそうで、いちいち写真を撮る気にもならないし、このところあまりお見せしたいほどの作品もない。　１月もあと２日。２月にはこのスカッとしない気分から脱出したいものだ。

  2009年01月29日

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  親子丼

  【１月１７日・土曜日】　金曜・土曜と２日間、レイラは通訳の仕事が入った、と喜んでいたのだが、今日の午後になって憂鬱そうな声で電話がかかってきた。「カセー、何してる？」「おや、仕事に行ったんじゃなかったの」「キャンセルになったから寝てた」　「じゃあ、晩ご飯食べにおいでよ。簡単なものだけどいいよね」「もちろんだよ～。途中で何か買ってきてほしいもの、ある？」「卵を頼んでいいかな、１パック」「わかった～」　前の日にツマちゃんと貴恵さんを迎えたとき、メインディッシュのチキンのから揚げ用に、６枚のモモ肉を買ったのだが、大き目なのを１枚残してあったので、それで親子丼を作った。　レイラは家にありったけのゴマの葉辛味噌缶詰５つを持ってきてくれた。「カセー、食べ終わったらまた誰かに頼んで買ってきて貰ってあげるからね。私がトルコにいる限り、あんたはずっとこのゴマの葉を食べられるよ、安心してどんどん食べていいよ」 親子丼とパンジャル（砂糖大根）の煮物、湯葉とほうれん草のお澄まし、甘いお新香　親子丼は久しぶりだった。そのほかにビベル・ドルマスとカバック・ドルマス（ピーマンとズッキーニの中にいろいろ混ぜたピラフを詰めたもの）を作っておいたので、レイラもダイエットを提唱した張本人とは思えないほどたくさん食べ、残りのドルマを同居のボーイフレンドにご馳走してやると言って嬉しそうに持ち帰った。madamkaseのトルコ本「犬と三日月　イスタンブールの７年」（新宿書房）

  2009年01月17日

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