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カテゴリ:ジャズきのこ
この正月12日、癌で亡くなった義弟の崇雄くん(享年63歳)の遺品のうち、彼の友人たちがこれは僕に残しておこうと置いていてくれたジャズ関連のLPレコード(サックスが好きな僕のコレクションには少ないトランペットをフィーチャ―したLP、とりわけマイルス・デヴィスのものが多かったが)をまとめて聴く機会を得て、彼の音楽趣味人生の芳醇さをあらためて振り返るとともに、その人生を挙げての僕への贈る言葉だなと思ったのがこのLPだった。 カルロス・サンタナ。今年来日した彼の音楽人生はそれこそ多面的で、しかもギターという楽器の可能性をとことん追求した彼については、70年代末あたりから僕の音楽仲間によく勧められたがエレキ・ギターに余り関心のなかった僕にはなかなか触れる機会がなかった。 しかし、1980年リリースされたこのLPは、ハ―ビ―・ハンコック、ウェイン・ショ―ター、トニ―・ウィリアムス、ロン・カーター、ハ―べイ・メイスンなどに呼びかけて出来あがった、ジャズでもロックでもない、しかし、ラテン・フレーバーであることだけは変わらないといった異色のナンバーで、サンタナというギタリストの真骨頂が見事に結晶化されており、スリリングで全く退屈しない。 いわゆるフレディー・ハバ―ト抜きのV.S.O.Pといったジャズ色溢れるナンバ―であっても、サンタナが登場するやいなや、たちまち全く異質な音楽世界に変貌し、しかも快適なのだ。とりわけパーカッションが加わったサンタナ・テイストの曲はなんとも最高で、参ってしまう。このLPに収められたナンバーは、どれをとってもハイブリッド・ミュージックとしかいいようのない従来の音楽にはみられなかったシュールな世界を垣間見させてくれる。 僕の頭の中は目下、我が国最初の矛盾に満ちたバブル期を現出した奈良時代に執する日々だが、その硬化した頭をさっぱり、トロリと溶かしてくれるサンタナ・チンキとでも言うべき軟化剤として毎日服用している。
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最終更新日
2013年03月20日 23時19分53秒
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