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カテゴリ:きのこポエム24音詩への道
尼崎探訪の折にたまたま立ち寄った尼崎信用金庫の私設貯金箱博物館は目からうろこの驚きの連続だった。ギリシャローマ時代から貯金箱のルーツは乳房、我が国では擬宝珠(ぎぼし)に転化されたとか。そういえばキューピーちゃんの頭もビリケンさんも皆、擬宝珠形だ。 そしてここで僕にとっては初めてきのこポエムのしっくりした形の作品を得た記念すべき場所ともなった。 貯金函のルーツは乳房遠近に花ひらく森 どうもきのこポエムで五七調はなかなかしっくりくる作品は得られず悶々としていたが、ここにいたってようやくこれならゆるせるかという作品を得たのである。 豊穣多産のシンボルに由来するであろう乳房が貯金箱のルーツであるのはヨーロッパ古層の埋蔵美術品の数々から容易に想像がつくが、キューピーちゃんもそうではないかと僕の頭の中ではイメージがふくらみ、 「キューピーちゃんのジャンケンポン原発列島水ぬるむ」なんて作品も直ちに頭に浮かんだ。しかし、僕が時折饒舌になるのはハイな証拠で訥弁が常態である僕の固くいましめているところなので、イメージの氾濫をかろうじて食い止めた。 しかし、掲句は乳房とおちこちに開花を告げる桜の森との照応関係、そして体言止めの中七と結句の七句ではじめてすっきりした句姿を得たといささかルンルン気分になった。ひそかな老いのたのしみを実感した次第である。
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最終更新日
2016年04月03日 11時02分21秒
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