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2008.07.12
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カテゴリ:小説

腰の剣を抜く。その両刃の剣は、月と街の僅かな光を反射して輝いた。
「おい、チビ」
アレインは言って、足元にいたドラゴンをひろい上げて、自分の右肩にのせた。
「な、何を・・・?」
「だまってそこにいろ。・・・それからニフォード」
驚くドラゴンに言って、アレインはニフォードを振り返った。
2人の目が、しっかりと合う。
「守りたいものが・・・見つかった」
ニフォードは、突然の宣言に驚いたが、
一瞬遅れて、右手を握り、親指をビシッと立てた。
アレインは微笑んで、ギャマンに振り返った。

「オレは組織には戻らない。阿修羅の力は・・・こいつらを、
  家族を守るために使う。今、決めた」

―――・―――・―――・―――・―――・―――・―――・―――・―――

ギャマンは、正直驚いていた。
(本当にこれが、あの『赤乱の阿修羅』なのか・・・?)
それほど、アレインは、変わっていた。
(しかし・・・残念だね)
壊れたおもちゃは、直される事を拒み、処分される事を望んだ。
(せっかく変われたのに・・・ほんとうに残念だったね・・・)
ギャマンは、頬をゆがめた。

―――・―――・―――・―――・―――・―――・―――・―――・―――

「そうかい、じゃあ僕は君を・・・いや、君たちを処分する!」
ギャマンは言って、出現させていた石のつららを2人と1匹に向けて放った!
「やってみろやぁっ!」
叫んでアレインも飛び出した。その右手に剣を、肩にドラゴンを乗せて。

飛び来た石のつららを最低限の動きでかわし、時には剣で払い落としながら、
アレインはギャマンに近づこうとする。
「おい、チビ!」
石のつららを避けながら、アレインはドラゴンに声をかけた。
「うぉう!危ねぇ!・・・ってなんだ?巨人!」
ちょうど、ドラゴンの頭上を石のつららが通り過ぎていった。
「オレはお前を家族にして欲しいって言われた!
 オレはお前を家族と認めるた。だから、お前を家族として守る。
 ただし・・・家族の一員として、我が家のルールを覚えろ!」
「ルール?」

「ひとつ!」
言って、脇腹を狙った一撃を切り捨てる。
「人前で無闇やたらと人の言葉を喋るな!・・・研究所送りになるからな」
「な・・・」

「ふたつ!」
目を見開くドラゴンに構わず、2本の石のつららを、一気に切り捨てる。
「エサをオレにねだるな!自分で何とかしろ!もしくはニフォードに言え」
「自分で捕ってくると、野生のハトとかネズミとか・・・」
「やっぱりニフォードに言え!それと、どうせなら害虫を食え!」
「虫かよ!」
後ろで一生懸命に石のつららを避けているニフォードから怒りの視線を
感じた気がするが、気のせいだろう。

「みっつ!」
ニフォードを狙ったと思われるつららを斬り飛ばす。
「散歩、風呂も自分で何とかしろ!もしくはニフォードに言え」
「なるほど、あいつは雑用係か」
「そんなところだ!」
背中がなにやら痛い気がするが、きっと気のせいだろう。

「よっつ!」
頭めがけて飛び来た普通の石より固い石のつららを、ありえない事に真っ二つにする。
「命に関わる事があったら、オレに言え!オレがお前を・・・守ってやる」
自信に満ちた言葉だった。その言葉に、ドラゴンの尻尾が嬉しそうに左右にゆれる。

「くだらないね。生き物は何よりも自分が大事なのさ。他人を守るなんて、出来る訳がない!」
ギャマンは頭上に左手を掲げた。
すると今度は、砂が巨大な球状に集まった。
「これで、くだらない感情と一緒に、君を消してあげよう!」
ギャマンが左手を振り下ろすと、石の球は高速で回転しながらアレインに向かった。
「上等だぁ!」
アレインは叫んで、迫り来る球体に剣を振り下ろした!

ギャマンの高速で回転する石の球とアレインの剣との決着は、鳴り響いた金属音と共に、
ほとんど一瞬でついた。
土埃が舞い上がり、衝撃波が空気を鈍く振動させた。
「・・・くっくっくっくっ・・・」
喉を震わせて、勝者は笑った。
「僕の勝ちだね。悪いけど、君たちには死んでもらうよ」
勝者――ギャマンは言って、石のつららを3本、作り出した。


(負けたのか・・・?)
仰向けに地面に転がり、どこかぼんやりとした意識の中でアレインは考えた。
右手に軽くなった剣の重み。
持ち上げて視界に入れなくても、刃が途中で折れているのがわかる。
石の球と激突した瞬間、その回転に剣が耐え切れずに折れて、体ごと弾き飛ばされたのだ。
その時、右肩に乗っていたドラゴンはもちろん、後ろにいたニフォードも弾かれていた。
ただ、『あ、頭打った・・・』『背中痛てぇ・・・』などの声が聞こえることから、
2人とも意識はあるようだった。

たった今、決めた事が守れなかった。
そのことが本当に情けなくて、しかたがなかった。
自分はもうだめだった。ギャマンにも、自分にも負けたのだから。

「くそ・・・ふざけんじゃねえっ!」
どんどん思考がマイナス方向に流れていく自分に、アレインは活を入れた。
そして軽くなった剣から手を離し、右の拳の刺青を見た。
水滴のような形をした模様の周りに、羽と鋭い爪のような模様が描かれている刺青を。
「・・・いっちょやるか」
アレインは呟いて、ゆっくりと身を起こした。

―――・―――・―――・―――・―――・―――・―――・―――・―――

「あの程度なのか・・・」
灯台の上で、黒いドラゴンは金色の瞳を細めて呟いた。
「私の役目もここまで、ですね」
ため息をつき、疲れのいくらかやわらいだ翼を広げ、大きく羽ばたこうとして・・・

動きを止める。
強い力の気配を・・・感じた。
森の一部が急に、深い赤色で彩られた。
「まさか・・・」
どこか、嬉しそうにも聞こえる声で、つぶやく。
「いや、そうか。あれが・・・」

―――・―――・―――・―――・―――・―――・―――・―――・―――

「へえ・・・まだ立ち上がる気力が残ってたんだ?」
ギャマンが、面白そうに言った。
「オレは・・・まだ、負けてないぜ」
言って、左のポケットを探る。
ギャマンは鼻を鳴らして言い返した。
「何を言うんだい?君は負けたんだよ。もう、僕に対抗できる力も無い」

「あるぜ、力なら」
アレインはポケットから取り出したハンカチ――いや、ハンカチに包まれた『何か』を、
右手の中に落とす。
「とっておきのがよ!」

ハンカチを風に流す。
そしてアレインの手の中に残されたのは、『宝石』だった。
手の平より少し小さな球体をしたそれは、銀色の金属でまわりを包まれた赤い宝石だった。
「それは・・・?」
ギャマンが、わずかに眉をひそめる。

アレインは何も言わず右腕をしっかりと前に伸ばし、その手の中の宝石を強く握った。
すると、彼の右手の甲にある刺青――水滴のような形をした模様の周りに
羽と鋭い爪のような模様をしたそれが、深い紅色に光り輝いた。
深紅の光の洪水はアレインの体を包み込み、辺りを明るく照らし出す。

「父さん、ごめん・・・」
右手の甲だけに刻まれていた刺青が、右腕全体に刻まれていき
肩から指先まで、右腕全体を包んで真っ黒に染め上げた。
「オレ、約束を破るよ・・・」
宝石が手を一度離れ、今度は右手の甲へと空中を舞ってくる。
「だけど・・・だけど、間違っちゃいない!」
手の甲に宝石が触れた瞬間、宝石の方も深紅に輝いた!

「・・・そうだろ?」
宝石を包んでいた金属が、銀色の波となって手を、腕を、右腕の肘までを覆う。
それは、はじめはただの金属板の形状だったが、次の瞬間、指先から肘までを守る、
スマートなデザインの籠手となった。
肘から肩までは、墨のように真っ黒に染まったままである。

アレインの右の頬に、右手の甲にあった刺青と同じものが浮かび上がり、
両目の赤い瞳孔が、縦に裂けた。

「そ、そんな・・・僕はそんなこと聞いてないぞ!」
深紅の光がおさまっていく中で、ギャマンが初めて叫び声をあげた。

「おら、さっきのもっかい出してみろやあ!」
言って、アレインは走り出した。
「く・・・それならば、お望みどおり・・・」
ギャマンは手を天に掲げて、魔法玉を発動させた。
そしてそ光に応えるように、砂が集まり、もう一度、石の球体をつくりあげた。
しかし今度のそれは一度目のものより大きく、そしていくつものトゲが生えていた。
「つぶしてくれる!」
叫んで手を振り下ろすと、トゲ付きの凶悪ボールは高速回転しながらアレインに迫った。
「上等だあ!」
アレインも応えて右の拳を振りかぶり、凶悪ボールをなぐりつけた。
そして金属の籠手は、トゲのひとつを砕き、ボール本体に突き立った!

石というものは、それほど固くない。
まして高速で運動している時は、静止している時より小さな力でも砕けてしまう。
しかしそれは、あくまで何か道具を持っていたときか、対象が小石だった時、そして何よりも、
その石がただの石であった時の話である。
アレインは右手を金属の籠手で固めてはいたが、対するは小石ではなく巨石であり、
しかもそれは、元はドラゴンの力であった魔法玉でつくられた、
普通の石の強度を上回る石である。
たとえ腕を強化していたとしても、巨大で、しかも高速で回転しているそれを
なぐった衝撃に、体が耐え切れるはず無いのだ。
・・・・普通ならば。

「そんなばかな!」
そのことに気がついてか、うめくギャマン。
しかしそれだけでは無かった。

アレインの右手の甲の赤い宝石がオレンジ色に輝き、そして石の凶悪球も
オレンジ色に染められていく。
「うおりゃぁああ!」
アレインの気合が響く。

そして次の瞬間。
轟音が夜気を震わせ、オレンジ色の光が森の一部を明るく照らし出した!
石の球を、アレインは爆発させたのだった。

―――・―――・―――・―――・―――・―――・―――・―――・―――

オレンジ色に染まる空間の中で、ギャマンは考えていた。
何が、『赤乱の阿修羅』を変えたのかを。
そして、今見せた能力の事を。
しばらく(時間にすると一瞬だったが)考えて、
「まあ・・・いいだろう」
言って、頬を歪めた。
本当に、愉快そうに・・・。

―――・―――・―――・―――・―――・―――・―――・―――・―――

「逃げられた・・・」
土ぼこりに包まれた空間でしばらく沈黙して、影はきびすを返した。
2人の家族のいる方へと。

土ぼこりの中から、ツンツンに立った赤髪の青年が、ひょこひょこと出てきた。
「よお!」
すでに元に戻った手で頭をかきながら、元気そうに言う。
その顔をみて、立ち上がったばかりのニフォードは、思わず吹き出した。
「うわ真っ黒!」
アレインの顔――というより全身は、ススにまみれて真っ黒になっていた。
同じく立ち上がったばかりのドラゴンも、ニフォードのとなりで笑っていた。
「迎えの第一声がそれかよ!」
アレインも笑いながら言い、ドラゴンを拾って肩に乗せた。
「これからよろしくな、チビ!」
「おう、よろし・・・って何だよチビって!」
「名前だよ、お前の名前」
「も、もっとマシなのにしろー!」
「アレイン、それは僕もどうかと思うぞ・・・」
「なんだよ!難しい名前だとオレが困るだろ!」
「「自分のためかよ!」」
「うるせぇ!シンプル・イズ・ベスト!」
アレイン、ニフォード、チビ、3人の笑いは、数秒と続かなかった。

遠くから響いてきた咆哮によって。

―――・―――・―――・―――・―――・―――・―――・―――・―――

「やはり、彼がそうでしたか」
黒いドラゴンは、灯台の上でつぶやいた。
心なしか、声が嬉しそうである。
「しかし、本番はこれからです、ね」
だがすぐに険しい表情になって、3人の家族を見つめた。
「見せて、もらいましょうか・・・」

家族が、顔を見合わせたのが、見えた。

―――・―――・―――・―――・―――・―――・―――・―――・―――

To be continued・・・





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最終更新日  2008.07.31 11:11:02
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