映画は娯楽だ！

五本の指

ジョセフ・Ｌ・マンキウィッツ 監督の１９５２年の作品。題名の「５本の指」は欲望にしがみつく手という意味らしい。第２次大戦中のトルコで、イギリス大使館で働くジェームズ・メイソンが、連合国の情報を盗み、ドイツ軍に売る、というストーリーである。序盤は会話ばかりでつまらないが、終盤はメイソンとイギリス情報部、ゲシュタポの三つ巴の戦いとなって盛り上がる。しかし、実話らしいが、簡単に機密情報を盗めるのは幼稚に感じる。また、ジェームズ・メイソンが主演というのも面白みが薄いと思う。★★★

情熱なき犯罪

ベン・ヘクト監督の１９３４年の作品。クロード・レインズは新しい恋人ができたので、昔の恋人と別れようとする、というストーリーである。冒頭で３人の女悪魔が宙を飛んでいて、凄い映画だと思った、その後もサスペンスタッチを上手にだしていた。しかし、メインのストーリーはつまらなく、ムードを味わうだけの中身だったと思う。

悪魔のような女

アンリ＝ジョルジュ・クルーゾー監督の１９５５年の作品。ヴェラ・クルーゾー が夫の ポール・ムーリスを殺すのをシモーヌ・シニョレが手伝う、というストーリーである。昔見た時はラストの逆転に驚いた記憶があるが、それを知って見るとあまり面白くない。また、その展開にはストーリーで無理があると思う。「サイコ」はラストの逆転を知っていても面白いと思うので、それに比べたら詰めが甘いのだろう。★★★

エル

ポール・ヴァーホーヴェン監督の２０１６年の作品。ゲーム会社の女社長イザベル・ユペールは何度も黒マスクの男に暴行される。また彼女は、同僚の旦那や、近所の家族持ちの男とセックスする。大きな犯罪事件などはなく、日常のセックスがテーマになっている。ヴァーホーヴェン監督では「氷の微笑」(1992)、「ショーガール」(1995)、「スターシップ・トゥルーパーズ」(1997)など個性的な作品があるが、この作品はそれほどの魅力は感じられない。

ダイヤルＭを廻せ

アルフレッド・ヒッチコック監督の１９５４年の作品。妻グレイス・ケリーが不倫をし、夫のレイ・ミランド が殺そうとする、というストーリーである。グレイス・ケリーが首を絞められるシーンは迫力があり、ラストの駆け引きも面白い。しかし、それ以外は会話ばかりで、大半が同じ部屋が舞台というのも飽きてくる。２大スターが出演しているので、それで何とか持ちこたえたという感じだろう。★★★

ミッシング

コスタ＝ガヴラス 監督の１９８２年の作品。１９７３年のチリでクーデターが起こり、アメリカ人ジョン・シェアが軍隊に連行される。そこで、父親のジャック・レモンと妻の シシー・スペイセクが捜索する。政治色の濃い作品で、軍部の弾圧行動は恐ろしく、迫力のある内容になっている。主人公２人が捜索する過程は面白いのだが、ラストは後味の悪い結末となった。これを見て、ガヴラス 監督の３部作をもう１度見ようと思ったが、入手が困難だった。★★★

バグ

ウィリアム・フリードキン監督の２００７年の作品。アシュレイ・ジャッド と マイケル・シャノン は、アメリカ軍が開発した虫が体内に寄生してることを発見する。フリードキン監督だから期待して見たが、つまらなかった。どこまでが幻想なのかはっきりせず、最後までドタバタしているだけだった。アシュレイ・ジャッド は色っぽくて、ヌードシーンもあった。

拾った女

サミュエル・フラー 監督の１９５３年の作品。リチャード・ウィドマーク が地下鉄でジーン・ピータースの財布を盗む。その中に国家の重要機密フィルムが入っていた。フラー 監督のいいかげんなストーリーなので、映画の出来栄えは大したことはない。見どころはウィドマークとジーン・ピータースのスターのオーラだろう。特にジーン・ピータースは色っぽくて美しい。脇役のセルマ・リッターおばさんも、いい味を出していた。１９５０年代の典型的な白黒フィルムノワールである。★★★

絶壁の彼方に

シドニー・ギリアット監督の１９５０年の作品。医師ダグラス・フェアバンクスが独裁国に招待されるが、帰国を許されなくなる。ヒッチコックを思わせるスリラーであり、大変面白い。ジャック・ホーキンスの悪役も凄みがあって良かった。私が見たものは音質が悪く、雑音が多いのが残念だった。このような映画も見つけると、まだまだ見てない名作があるのを感じる。★★★★

ザ･レポート

スコット・Ｚ・バーンズ 監督の２０１９年の作品。日本未公開作品である。ＣＩＡがテロ容疑者に対し、不当な拷問をしていることを、アダム・ドライヴァーとアネット・ベニングが調査する。骨太なストーリーで、国家と戦う調査員を描いている。シビアな展開で迫力があり、見ごたえがあるのだが、会話ばかりで単調な内容となってしまった。拷問シーンも残酷で、良い気分がしない。★★★

悪なき殺人

ドミニク・モル監督の２０１９年のフランス映画。フランスの冬の村で起こった殺人事件で、いろいろな人物が絡み合う、というストーリーである。出演する人物は異常でまともではなく、気持ちの良い内容ではない。セックスシーンが多いのも気に入らない。しかし、彼らを時間軸をずらして描き、複雑に絡まっているのは面白いと思った。最後まで見ると、映画作りの上手さに感心し、笑ってしまう。★★★

ブラックボックス：音声分析捜査

ヤン・ゴズラン監督の２０２１年のフランス映画。３００人を載せた旅客機が墜落し、ピエール・ニネ が音声を分析して事故原因を調査する。テロリストによる犯行と思われたが、大企業の陰謀があった。ＣＧやアクションシーンなどないが、サスペンスタッチで見ごたえがある。ラストは少しやりすぎで、マンガのようになってしまった。しかし、それを除けば、大変面白い作品だと思う。★★★★

ナイル殺人事件

ケネス・ブラナー主演、監督の２０２１年の作品。「オリエント急行殺人事件」(2017)に続く、クリスティーの映画化である。「オリエント」では大スターが多数出演だったが、今回はそうは感じない。また、ＣＧ満載の映像で、エジプトの撮影は合成映像だと思う。人間関係も説明不足で分かりにくい。元ストーリーは面白いのだが、映画としては良く出来なかったと思う。

新刑事コロンボ　虚飾のオープニング・ナイト

ジェフリー・ライナー監督の２００３年の作品。ジェニファー・スカイが元夫を殺してしまい、目撃した記者にゆすられる、というストーリーである。ジェニファー・スカイは色っぽくて美しい。だが、それぐらいしか見どころがない内容だった。いいかげんな展開で、バックは１６ビートの音楽が流れ、コロンボシリーズらしくなかったと思う。また、日本語吹き替えが銀河万丈で、聞き取りにくかった。シリーズ最後の話であり、ピーター・フォークは７６歳だった。しかし、何度見ても面白いのは、彼の魅力であることに間違いないと思う。これに勝てるＴＶ連続ドラマはちょっと思い浮かばない。

ナイトメア・アリー

ギレルモ・デル・トロ監督の２０２１年の作品。１９４０年のアメリカで、ブラッドリー・クーパー読心術のショー・ビジネスを行う。デル・トロ監督の独特の映像で、怪しげな雰囲気を出している。鶏を食いちぎったり、乳児の死体など、大変気持ちが悪い。そのように、暗いムードは見ごたえがあるが、ストーリーはあまりまとまってない。序盤のトニ・コレットやウィレム・デフォーの出演は中途半端だった。★★★

新刑事コロンボ　奪われた旋律

パトリック・マクグーハン監督の２０００年の作品。作曲家ビリー・コノリーが、実際に作曲した男を殺害するというストーリーである。映画音楽を映像に合わせて演奏するという録音風景は面白い。しかし、コメディの部分が多すぎると思う。ピーター・フォークのポンコツ車が高速道路をノロノロ走ったり、犯人と仲良くしたりするのは締まりがない。前作から2年の間隔が空いて作られた。ピーター・フォークはこの時73歳だった。

新刑事コロンボ　復讐を抱いて眠れ

パトリック・マクグーハンが悪人と監督を務めた１９９８年の作品。葬儀会社社長が女性芸能レポーターと揉めて、殺してしまう、というストーリーである。通常のコロンボの展開であり、安心して見ることができる。ラストの詰めは甘いと思うが、コロンボシリーズはこれでいいと思う。★★★

新刑事コロンボ　殺意の斬れ味

新刑事コロンボ　奇妙な助っ人

ヴィンセント・マケヴィティ監督の１９９５年の作品。牧場主ジョージ・ウェントが弟を殺すというストーリーである。オーソドックスなコロンボの展開だが、私の好きなロッド・スタイガーがギャングのボスとして登場に、「奇妙な助っ人」になる。ゲストの大スターが犯人になることが多いが、このような配役も良いと思った。★★★★

新刑事コロンボ　死を呼ぶジグソー

ヴィンセント・マクヴィティ監督の１９９４年の作品。銀行で盗まれた金の隠し場所を捜査するため、ピーター・フォークが潜入捜査する、というストーリーである。シリーズでは珍しくピーター・フォークが変装し、敵と対決し殴られてしまう。アクションシーンもあり、派手な展開で面白い。しかし、メチャクチャなストーリーで、いい加減な作りだと思う。私の好きなバート・ヤングが登場するが、出番が少なかった。

新刑事コロンボ　4時02分の銃声

デニス・デューガン監督の１９９４年の作品。ウィリアム・シャトナーが娘の恋人を射殺するというストーリーである。シャトナーは太って口ひげを生やし、恰好悪い。内容も面白くない。やはり彼は「スタートレック」以外には出演しない方がいいと思う。

新刑事コロンボ　恋におちたコロンボ

ヴィンセント・マケヴィティ監督の１９９３年の作品。ピーター・フォークの脚本である。フェイ・ダナウェイは愛人が不倫することを怒り、射殺するというストーリーである。私の好きなフェイ・ダナウェイが出演するので楽しみにしていたが、大変つまらなかった。彼女とピーター・フォークの軽いキスシーンもあるが、退屈な内容だった。

新刑事コロンボ　死者のギャンブル

ヴィンセント・マケヴィティ監督の１９９２年の作品。ギャンブラーのグレッグ・エヴィガンが、借金を返すために殺人を犯す、というストーリーである。何かまとまらないストーリーで、分かりにくい展開である。悪役も途中から変わり、いい加減な結末になった。

新刑事コロンボ　初夜に消えた花嫁

アラン・J・レヴィ監督の１９９２年の作品。ピーター・フォークの甥が結婚するが、その花嫁が誘拐される、というストーリーである。シリーズでは珍しく、コロンボが徹夜で犯人を捜し、銃撃戦に加わる。アクション映画のようで楽しかったが、いい加減なストーリーなので、出来はいまいちだと思う。★★★

新刑事コロンボ　大当たりの死

ヴィンセント・マケヴィティ監督の１９９１年の作品。宝石商リップ・トーンは、宝くじが当たった甥を殺害するというストーリーである。序盤からコメディタッチでつまらなかった。ピーター・フォークのクルマが運転中に大きな破裂音を出すのも、不自然でやりすぎだろう。

新刑事コロンボ　影なき殺人者

アラン・J・レヴィ監督の１９９１年の作品。弁護士ダブニー・コールマンが、浮気した愛人を殺害するというストーリーである。いつものコロンボの展開だが、ピーター・フォークの実際の妻シェラ・デニスが共演していた。また、水槽の中で踊る人魚とか、ピーター・フォークがラストで歌うなど、楽しい回だった。★★★

新刑事コロンボ　犯罪警報

ダリル・デューク監督の１９９０年の作品。テレビ司会者ジョージ・ハミルトンは、昔アダルト映画に出演していたのを知られ、友人を殺害するというストーリーである。コロンボらしいオーソドックスな展開で、安心して見ることができた。VHSテープやディスケットドライブが物語に使われ、近年の技術の進歩を感じられる。★★★

新刑事コロンボ　殺人講義

E・W・スワックハマー監督の１９９０年の作品。大学生が試験問題を盗んだことが見つかり、教授を殺すというストーリーである。拳銃をビデオカメラのリモコンを操作するというのが、いいかげんな発想だと思う。不倫などのサイドストーリーもあるが、無駄なだけだった。

新刑事コロンボ　マリブビーチ殺人事件

ウォルター・E・グローマン監督の１９９０年の作品。新シリーズ１０作目、通算５５作目となる。俳優アンドリュー・スティーヴンスが恋人を殺害するというストーリーである。殺害シーンがはっきりと描かれず、犯人が誰なのか良く分からないまま、物語が進む。コロンボシリーズとしては、少し異なる展開だが、面白くはならない。終盤で真相が分かるのだが、つまらない結末だった。マリブビーチはロザンゼルス、サンタモニカ近くの海岸のようだが、美しく撮影されていなかった。

新刑事コロンボ　華麗なる罠

アラン・J・レヴィ監督の１９９０年の作品。歯科医ジェームズ・リードが妻の愛人を殺害する、というストーリーである。虫歯の中に毒薬を埋め込み、数時間後に毒が回るという凝った殺人方法だった。TVドラマ「奥さまは魔女」の旦那役ディック・サージェントがチョイ役で出演していた。シリーズ中では十分面白い話だと思う。★★★

新刑事コロンボ　かみさんよ、安らかに

ヴィンセント・マケヴィティ監督の１９９０年の作品。ヘレン・シェイヴァーが昔の事件の復讐のため、コロンボの「カミさん」に毒を飲ませる、というストーリーである。冒頭で「カミさん」の葬式から始まる異色作である。ひどいストーリーだなあ、と思って見ていたら、最後はコロンボらしく終わって大変面白かった。★★★★

新刑事コロンボ　完全犯罪の誤算

パトリック・マクグーハン監督の１９９０年の作品。彼は殺人犯としても出演している。弁護士マクグーハンが友人を自殺に見せかけて殺害するというストーリーである。シリーズ第６作、通算５２作目となる。シリーズとしては標準的な仕上がりで、十分面白かったと思う。マクグーハンはＴＶドラマ『プリズナーNo.6』で有名なようだが、私は見たことがない。★★★

だまされたコロンボ

ダリル・デューク監督の１９９０年の作品。写真家イアン・ブキャナンが、共同経営者を殺害するというストーリーである。タイトルでファイン・ヤング・カニバルズの「She Drives Me Crazy」が流れ、良い趣味だと思った。普通のコロンボの展開と違って、犯行シーンがないので途中まで手口が分からない。そして、終盤に逆転があり、「だまされたコロンボ」となる。ここまでは大変面白いと思ったが、ラストの結末はちょっと簡単すぎたと感じた。コロンボシリーズの中で、異色の1本だと思う。★★★★

新刑事コロンボ　殺意のキャンバス

ジェームズ・フローリー監督の１９８９年の作品。新シリーズの第5話、通算で第50話となる。画家パトリック・ボーショーが元妻、本妻、愛人の3人と同居し、元妻を殺害するというストーリーである。少し変わったムードが面白いかな、と思ったが、白昼の海岸で堂々と殺し、ラストで簡単に証拠が見つかってしまった。この監督は「狂ったシナリオ」「幻の娼婦」と同じであり、あまり出来栄えが良くないと思う。

新刑事コロンボ　迷子の兵隊

サム・ワナメイカー監督の１９８９年の作品。新シリーズ第４作となる。元軍人大佐のロバート・フォックスワースが財団で汚職し、友人を殺害する、というストーリーである。旧シリーズに負けない緊張感があり、不倫などの内容もあって、とても面白かったと思う。★★★

新刑事コロンボ　幻の娼婦

ジェームズ・フローリー監督の１９８９年の作品。シリーズ第３作となる。リンゼイ・クローズが恋人の浮気を知り、殺害する、というストーリーである。大体、コロンボシリーズで女性が犯人の時はつまらないが、この話もあてはまる。殺人をする方法やアリバイ作りが幼稚で、現実味がない。３０分程見て、止めてしまった。

新刑事コロンボ　狂ったシナリオ

ジェームズ・フローリー監督の１９８９年の作品。新刑事コロンボ、シリーズ第２作となる。映画監督フィッシャー・スティーブンスが、ユニバーサル・スタジオで友人を殺す、というストーリーである。ピーター・フォークは元気でいいのだが、悪役がつまらない。殺し方も、捜査方法もつまらないので、とても退屈な作品となった。

新・刑事コロンボ 汚れた超能力

レオ・ペン 監督の１９８９年の作品。刑事コロンボ、新シリーズの第１作である。ピーター・フォークが、アンソニー・アンドリュースの超能力のトリックを暴く、というストーリーである。ピーター・フォークはこの時６２歳で、１１年ぶりの復活となる。彼は少し老けた感じはするが、作品としての面白さは衰えてないと思った。思ったよりもずっと面白かったので、新シリーズの他の作品も見て行こうと思う。★★★

スティルウォーター

トム・マッカーシー監督の２０２１年の作品。オクラホマ州の町、スティルウォーターに住むマット・デイモンの娘が、フランスのマルセイユに留学する。そこで彼女は殺人罪で逮捕され、マット・デイモンが助けに行くというストーリーである。まず、マット・デイモンは太って髭をはやし、冴えない。もう少し恰好良くできないかと思う。フランスの風景は良く、彼が言葉を話せず事件を追及したり、フランス人家族と仲良くなっていくのは面白い。しかし、肝心の殺人事件の方は説明不足で、最後まで見ても分かりにくい。何か焦点がボケてしまった感じがした。

ロング・グッドバイ

ロバート・アルトマン 監督の１９７３年の作品。エリオット・グールドがフィリップ・マーロウを演じる探偵物語である。レイモンド・チャンドラーのムードは良く出ているのかもしれないが、ストーリーが退屈だと思う。事件が始まったのか、進んでいるのかが良く分からないし、エリオット・グールドは煙草を吸っているだけだ。悪役で、監督のマーク・ライデルやシュワルツェネッガーが登場するのが面白い。

デッドラインU.S.A

リチャード・ブルックス 監督の１９５２年の作品。新聞社編集長のハンフリー・ボガートが、暗黒街のボスと戦うというストーリーである。テキパキと部下に指示を出し、仕事を進めて行く彼の姿はカッコ良い。この辺はさすがにボガードだと思う。しかし、新聞社の売却、妻との確執、ギャングとの戦いなど、すべてが中途半端に始まり、中途半端に終わってしまった。妻にはキム・ハンター、新聞社のオーナーにエセル・バリモアが出演した。★★★

Mr.ホームズ　名探偵最後の事件

ビル・コンドン 監督の２０１５年の作品。晩年のシャーロック・ホームズが、昔を思い出す、というストーリーである。事件が起こるのかと思ったら、何もなかった。日本に旅行して真田広之に会うが、意味が良く分からなかった。ホームズという題名に釣られて見たが、ただの老人の思い出映画だった。

羊の木

吉田大八 監督の２０１７年の作品。殺人犯の元受刑者を、田舎の港町が受け入れる、というストーリーである。前半はオフビート・コメディでブラック・ユーモアが冴えて面白かった。しかし、終盤は殺人が始まり、過酷な展開になって、つまらなくなった。原作漫画は面白いということなので、機会があったら読んでみたい。★★★

暗数殺人

キム・テギュン 監督の２０１９年の韓国映画。殺人犯チュ・ジフン は獄中で他の殺人を証言し、刑事キム・ユンソク が捜査する、というストーリーである。謎説きの展開は、なかなか面白く、緊迫感が感じられ、良く出来た作品だと思う。しかし、主演のキム・ユンソクはモッサリしていて魅力がない。結末もあっけなく、盛り上がらなかった。★★★

人生スイッチ

ダミアン・ジフロン監督の２０１４年のアルゼンチン映画。６つ短編から成る、ブラックユーモアたっぷりの内容である。大変ユニークな作りで、ラストは暴走して終わるのが楽しい。しかし、最終話はハッピーエンドで、１番つまらなかった。★★★

クーリエ：最高機密の運び屋

ドミニク・クック監督の２０２０年の作品。１９６０年ごろのイギリスで、セールスマンのベネディクト・カンバーバッチが、ソ連の機密情報を運ぶ手伝いをする、というストーリーである。彼がスパイ容疑で捕まり、牢獄でガリガリに痩せてしまう演技は立派だったと思う。しかし、それ以外は盛り上がりもなく、ラストも平凡に終わってしまった。

弁護人

ヤン・ウソク 監督の２０１３年の作品。後に韓国大統領となった盧武鉉の弁護士時代の実話を映画化したものらしい。新米弁護士ソン・ガンホが、韓国の軍事独裁政府と対決するというストーリーである。序盤はコメディタッチだったが、中盤からは過酷な内容となり、拷問シーンは気持ちが悪い。ストーリーは面白いのだが、ラストは中途半端でまとまらなかった。★★★

無垢なる証人

イ・ハン監督の２０１９年の作品。殺人事件の目撃者が、自閉症の中学生で、弁護士チョン・ウソンが捜査する、というストーリーである。ウソンと女子中学生の交流や、事件の真相の行方が面白い。しかし、裁判の結果はいいかげんな結末で気に入らない。とはいえ、ラストシーンは感動してしまった。韓国映画は好きなものがあまりないが、これは結構気に入った内容である。日本映画もこれぐらいのものは作ってほしいと思った。★★★

ヒッチ・ハイカー

アイダ・ルピノ 監督の１９５３年の作品。殺人犯人のヒッチハイカーを乗せてしまう、というストーリーである。単純な内容だが、それほど悪くはない。典型的な５０年代のフィルムノワール。★★★

サイコ２

リチャード・フランクリン監督の１９８３年の作品。ヴェラ・マイルズ の娘メグ・ティリー がアンソニー・パーキンス のモーテルで住むことになる、というストーリーである。「サイコ」の続編であり、主演の２人が再度出演しているのはうれしいことだ。いい加減なストーリーだが、中盤から殺人が始まり、犯人探しが面白くなる。そして、ラストで犯人が明らかになるが、馬鹿らしい結末だった。メグ・ティリーが美しいので、その点は良かったと思う。