カテゴリ:サンドウィッチ
一方作業場で凹んでいるりずむ。 チュ :「りずむ、練習見てあげなくていいの?」 りずむ:「やっぱり宣伝にもっと力を… チュ :「…はぁ… … おいこらマジョリズムーっ!!!!!」 りずむ:「え?」 チュ :「まったくもう… だからあの子たちの練習よ」 りずむ:「あ…あ、そうね。 …で、今何時?」 チュ :「もう六時前よ」 りずむ:「え?うそっ!?」 チュ :「ほんとよ」 りずむ:「ああ、 …はぁ… チュ :「あ、誰か来た」 クレア:「りずむさぁん」 りずむ:「うわ!? …あ、クレアちゃん」 クレア:「何びっくりしてるんですか?」 りずむ:「ごめん」 クレア:「そんなことより、こっちこっち」 りずむ:「え?何?」 チュ :「中庭に?」 クレア:「そう、一緒に来てー」 クレア:「ここ、このへんのベンチに座っててくださいね。じゃ」 りずむ:「“じゃ”って… …あら」 チュ :「あの子たちステージにいるわね」 りずむ:「そうね。何するんだろ…」 チュ :「演奏でも聴かせてくれるのかしら?」 りずむ:「まさか…まだ早いわよ。 曲決まったの今日でしょう?」 みゅう:「・・・、・・・・・・!」 りずむ:「何か言ってるみたいだけど… 聞こえないわ。なんで?」 チュ :「なんで?って… 結界よ。結界」 りずむ:「けっ…か あ、そっか。忘れてた」 チュ :「あんたがかけてんでしょーが」 りずむ:「うるさいわねー… じゃ、解除(ぱちん☆)」 みゅう:「…りずむさーん」 りずむ:「なぁにー?」 みなみ:「やっと聞こえたみたいだね」 みゅう:「うん。 …りずむさん、聞こえますか?」 りずむ:「ええ」 みなみ:「いまから歌いまーす」 りずむ:「え?」 クレア:「りずむさん元気ないからー!」 ふぁみ:「まだあたしたちうまくできないけど」 こえだ:「心込めて歌いますわ」 みゅう:「だから…」 五人 :「聴いてください! サンドウィッチ初ライブ!」 りずむ:「ライブ…」 チュ :「うわ…ほんとにやる気よあの子たち…」 りずむ:「ねぇ?」 みなみ:「りずむさん、音漏れ防止装置おねがいしまーす」 りずむ:「音漏れ…? …って何?」 チュ :「だから…結界でしょーが!!!」 りずむ:「あ(ぱちん☆)」 クレア:「じゅんびおっけー? それじゃいきます、『春』!」 ****** ボーカルはみゅうとクレア、 それにまだ楽器が十分に操れないふぁみとこえだもコーラスとして参加。 クレアのよく透る歌声を、みゅうの柔らかい声が包み込み、 それにこえだの華やかな声と、少しざらついた、力強いふぁみの歌声が色を添えています。 …しかし四人の歌声を支える伴奏は、ハイテンション過ぎるみゅうのドラムと、 クレアが奏でるふわっとしたベースの音。 そこにこれまた奔放すぎるみなみのギターが乗っかり、かな~りアンバランスな感じです。 ***** りずむ:「…」 チュ :「あら、りずむ」 りずむ:「えへへ…なんでかな…? すごい…泣ける」 チュ :「…まだ演奏そのものはアレだけど」 りずむ:「ええ。でも… そんなことより、彼女たちの心。 十分に温かい…それが届いた」 チュ :「…そうね」 りずむ:「あの子たちなら…」 チュ :「りずむ…」 ***** ふぁみ:「どうでしたかー?」 りずむ:「…みんな、作業場に来て」 クレア:「なんですか?」 みなみ:「なんか声が…」 みゅう;「うん。 …いま行きまーす」 ***** みゅう:「来ましたー」 りずむ:「ありがとう…」 ふぁみ:「ってうわっ!」 みゅう:「ちょ…え? なんで泣いてるんですか?」 こえだ:「りずむさん…」 りずむ:「これが答えよ。 あなたたちの演奏、私の心に強く響いた。 元気出たわ。 ホントにありがとう」 クレア:「びっくりしたよー…」 みゅう:「そう言ってくださるとうれしいです」 みなみ:「えへへ」 こえだ:「私も嬉しいですわ」 チュ :「ま、もうちょっと練習は必要だけど、ね」 りずむ:「ええ。 女王様にお聴かせするまで、あともう1ヶ月もありません」 みなみ:「あ、そっか」 こえだ:「あまり時間、ありませんわね…」 ふぁみ:「だね… 一日一時間ぐらいの練習でいけるのかなぁ?」 りずむ:「でも、焦らなくても大丈夫。 魔法の楽器に慣れさえすれば、あとはきもちの問題」 ふぁみ:「気持ち?」 こえだ:「こころの?」 りずむ:「そう。こころのきもち。 心のね、感情とかをね」 ふぁみ:「うん」 りずむ:「きもちの力とかを…えっと…魔法に変えて、 そしてそれを音楽とかなんとか」 みゅう:「?」 みなみ:「りずむさん、あんまりよくわかってない?」 りずむ:「!!」 ふぁみ:「図星か」 りずむ:「だ…だって私…魔法音楽学とか苦手だったし… 楽器の演奏は得意だったのよ!? 理論とかそういうのがダメなのよ」 ふぁみ:「そうだったんだー」 みなみ:「りずむさん、落ち着いて、落ち着いて」 みゅう:「クレアちゃんは?」 クレア:「くれあは得意だよ?こないだの試験も97点だった」 みゅう:「すごーい」 クレア:「えへへ」 ふぁみ:「んじゃさ、りずむさんの言いたかったことってどういうことなの?」 クレア:「んー… えっとね、心の中から生まれ出てくる感情とか気持ちを、そのまま 体の中にある魔力腺を通して、指とか手、あるいは口などに集中させ、 これまた自分の意識から具現化された有機体である魔法楽器に シンクロさせるとなんちゃらかんちゃら…」 みゅう:「…ま…全くわからないわ…」 りずむ:「でしょ?でしょ?」 みなみ:「しかしりずむさんは八十歳、あたしらは十歳ちょっと」 りずむ:「ああもう歳のことはダメっ!言わないで! と…ともあれ、魔法の楽器に慣れさえすれば大丈夫なの!」 クレア:「ですね」 みゅう:「そうなんだ…」 ふぁみ:「ま、楽器の練習あるのみってことだよね」 チュ :「そう」 ふぁみ:「んじゃがんばろー」 一同 :「おー」 ふぁみ:「っていうか、ぶっちゃけりずむさんって学校のとき成績あんまり良くなかった?」 りずむ:「う」 ***** 思わぬ弱点が暴露されてしまったりずむ。 そんな彼女に、より親近感をおぼえるふぁみでした。 ふぁみが、バツ悪そうにそむけたりずむの横顔をじっと見つめていると、 どこかでカラスが鳴きました。 「おうちにかえらなきゃ」 もひとつカラスが鳴きました。 「…そうね、お疲れさま。ありがとう」 りずむはふぁみに微笑みかけました。 それからほかの四人にも。 (この子たちなら…) お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
Oct 19, 2006 09:23:46 PM
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