赤い実ひとつ
名前も知らない赤い実ひとつ大きな木の枝 ぶら下がっている風に吹くたび落ちそうになる でも枝が 葉が 根が そして木が小さな小さな赤い実ひとつ守って育て愛しんでるその実の甘さは受けた愛その実の酸っぱさ…辛い出来事瑞々しさは弾むこころが動いた軌跡いろいろ混ざって実を結んだの夜の星空 見上げてみると昔の光が 今も見えてる雨が降るたび思い出すバラのお花の歌と一緒にいまだ小さなこの体にさえいっぱい想いが詰まってる蔓で繋がるかりそめの絆でもそれだけが真実の糸胸に溢れる温かな愛 今でもここに私の中に共にある胸に手を当て聞いてみる私の鼓動はあなたの鼓動胸の中の赤い果実は今も確かに時を刻んで次の世界へ引き継がれるの…今日の朝方 赤い実落ちてた甘く熟した柔らかな赤い果実は大地に帰り再び芽吹く新たな木として次は私が育てる番だね語り掛ける私の声は何故か少し震えていた*****今日、りずむさんのお部屋でお料理のレシピ本を探した、その後。裏庭の扉が開いていたので少し出てみた。三本立っている左側の木の枝に、明らかに人間界のものとは違う実がついていた。真っ赤な、半透明の果実。蔓で寄生しているように見える。一見すればわかる、魔女界の果実。名前は知らないけど…。大きな木に蔓で巻き付く、魔法の果実。なんか、少し私が重なって見えた。*****…とかいうようなことをりずむさんに話したら、「それを詞にしてみたら?」って。だから、書いてみた。いまから、りずむさんに見せる。少し恥ずかしいけど、一番最初はりずむさんに読んでもらうって決めていたから。