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ひみつの裏庭

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Oct 19, 2006
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カテゴリ:サンドウィッチ

一方作業場で凹んでいるりずむ。

チュ :「りずむ、練習見てあげなくていいの?」
りずむ:「やっぱり宣伝にもっと力を…

チュ :「…はぁ…

     …

     おいこらマジョリズムーっ!!!!!」

りずむ:「え?」
チュ :「まったくもう…
     だからあの子たちの練習よ」
りずむ:「あ…あ、そうね。

     …で、今何時?」
チュ :「もう六時前よ」
りずむ:「え?うそっ!?」
チュ :「ほんとよ」
りずむ:「ああ、
     
     …はぁ…

チュ :「あ、誰か来た」
クレア:「りずむさぁん」
りずむ:「うわ!?
     …あ、クレアちゃん」
クレア:「何びっくりしてるんですか?」
りずむ:「ごめん」

クレア:「そんなことより、こっちこっち」
りずむ:「え?何?」
チュ :「中庭に?」
クレア:「そう、一緒に来てー」

クレア:「ここ、このへんのベンチに座っててくださいね。じゃ」
りずむ:「“じゃ”って…

     …あら」
チュ :「あの子たちステージにいるわね」
りずむ:「そうね。何するんだろ…」
チュ :「演奏でも聴かせてくれるのかしら?」
りずむ:「まさか…まだ早いわよ。
     曲決まったの今日でしょう?」

みゅう:「・・・、・・・・・・!」

りずむ:「何か言ってるみたいだけど…
     聞こえないわ。なんで?」
チュ :「なんで?って…
     結界よ。結界」

りずむ:「けっ…か

     あ、そっか。忘れてた」

チュ :「あんたがかけてんでしょーが」
りずむ:「うるさいわねー…
     じゃ、解除(ぱちん☆)」

みゅう:「…りずむさーん」

りずむ:「なぁにー?」

みなみ:「やっと聞こえたみたいだね」
みゅう:「うん。

     …りずむさん、聞こえますか?」
りずむ:「ええ」
みなみ:「いまから歌いまーす」
りずむ:「え?」
クレア:「りずむさん元気ないからー!」
ふぁみ:「まだあたしたちうまくできないけど」
こえだ:「心込めて歌いますわ」
みゅう:「だから…」

五人 :「聴いてください!
     サンドウィッチ初ライブ!」

りずむ:「ライブ…」
チュ :「うわ…ほんとにやる気よあの子たち…」
りずむ:「ねぇ?」
みなみ:「りずむさん、音漏れ防止装置おねがいしまーす」

りずむ:「音漏れ…?
     …って何?」
チュ :「だから…結界でしょーが!!!」
りずむ:「あ(ぱちん☆)」

クレア:「じゅんびおっけー?

     それじゃいきます、『春』!」

******

ボーカルはみゅうとクレア、
それにまだ楽器が十分に操れないふぁみとこえだもコーラスとして参加。
クレアのよく透る歌声を、みゅうの柔らかい声が包み込み、
それにこえだの華やかな声と、少しざらついた、力強いふぁみの歌声が色を添えています。

…しかし四人の歌声を支える伴奏は、ハイテンション過ぎるみゅうのドラムと、
クレアが奏でるふわっとしたベースの音。
そこにこれまた奔放すぎるみなみのギターが乗っかり、かな~りアンバランスな感じです。

*****

りずむ:「…」
チュ :「あら、りずむ」
りずむ:「えへへ…なんでかな…?
     すごい…泣ける」
チュ :「…まだ演奏そのものはアレだけど」
りずむ:「ええ。でも…
     そんなことより、彼女たちの心。
     十分に温かい…それが届いた」
チュ :「…そうね」
りずむ:「あの子たちなら…」
チュ :「りずむ…」

*****

ふぁみ:「どうでしたかー?」

りずむ:「…みんな、作業場に来て」

クレア:「なんですか?」
みなみ:「なんか声が…」
みゅう;「うん。
     …いま行きまーす」

*****
みゅう:「来ましたー」

りずむ:「ありがとう…」

ふぁみ:「ってうわっ!」
みゅう:「ちょ…え?
     なんで泣いてるんですか?」
こえだ:「りずむさん…」

りずむ:「これが答えよ。
     あなたたちの演奏、私の心に強く響いた。
     元気出たわ。
     ホントにありがとう」

クレア:「びっくりしたよー…」
みゅう:「そう言ってくださるとうれしいです」
みなみ:「えへへ」
こえだ:「私も嬉しいですわ」

チュ :「ま、もうちょっと練習は必要だけど、ね」
りずむ:「ええ。
     女王様にお聴かせするまで、あともう1ヶ月もありません」
みなみ:「あ、そっか」
こえだ:「あまり時間、ありませんわね…」
ふぁみ:「だね…
     一日一時間ぐらいの練習でいけるのかなぁ?」
りずむ:「でも、焦らなくても大丈夫。
     魔法の楽器に慣れさえすれば、あとはきもちの問題」
ふぁみ:「気持ち?」
こえだ:「こころの?」
りずむ:「そう。こころのきもち。
     心のね、感情とかをね」
ふぁみ:「うん」
りずむ:「きもちの力とかを…えっと…魔法に変えて、
     そしてそれを音楽とかなんとか」
みゅう:「?」
みなみ:「りずむさん、あんまりよくわかってない?」
りずむ:「!!」
ふぁみ:「図星か」
りずむ:「だ…だって私…魔法音楽学とか苦手だったし…
     楽器の演奏は得意だったのよ!?
     理論とかそういうのがダメなのよ」
ふぁみ:「そうだったんだー」
みなみ:「りずむさん、落ち着いて、落ち着いて」
みゅう:「クレアちゃんは?」
クレア:「くれあは得意だよ?こないだの試験も97点だった」
みゅう:「すごーい」
クレア:「えへへ」
ふぁみ:「んじゃさ、りずむさんの言いたかったことってどういうことなの?」
クレア:「んー…
     えっとね、心の中から生まれ出てくる感情とか気持ちを、そのまま
     体の中にある魔力腺を通して、指とか手、あるいは口などに集中させ、
     これまた自分の意識から具現化された有機体である魔法楽器に
     シンクロさせるとなんちゃらかんちゃら…」
みゅう:「…ま…全くわからないわ…」
りずむ:「でしょ?でしょ?」
みなみ:「しかしりずむさんは八十歳、あたしらは十歳ちょっと」
りずむ:「ああもう歳のことはダメっ!言わないで!
     と…ともあれ、魔法の楽器に慣れさえすれば大丈夫なの!」
クレア:「ですね」
みゅう:「そうなんだ…」
ふぁみ:「ま、楽器の練習あるのみってことだよね」
チュ :「そう」
ふぁみ:「んじゃがんばろー」
一同 :「おー」

ふぁみ:「っていうか、ぶっちゃけりずむさんって学校のとき成績あんまり良くなかった?」
りずむ:「う」

*****

思わぬ弱点が暴露されてしまったりずむ。
そんな彼女に、より親近感をおぼえるふぁみでした。

ふぁみが、バツ悪そうにそむけたりずむの横顔をじっと見つめていると、
どこかでカラスが鳴きました。
「おうちにかえらなきゃ」
もひとつカラスが鳴きました。

「…そうね、お疲れさま。ありがとう」

りずむはふぁみに微笑みかけました。
それからほかの四人にも。

(この子たちなら…)





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Last updated  Oct 19, 2006 09:23:46 PM
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