テーマ:日本の歴史(1070)
カテゴリ:大森美香の脚本作品。
NHK大河「青天を衝け」。
すでに第31話まで放送されましたが… 先週の第30話では、 廃藩置県のことが描かれていました。 わたしはかねてから、 廃藩置県が成功したのは大きな謎だと思ってたので、 ここで先週の内容をふりかえってみます。 ◇ なぜ廃藩置県は成功したのか。 もともと天皇という中心的な権威があり、 織田・豊臣・徳川による天下統一という前提があり、 新旧勢力がぶつかりあう戊辰戦争を経たにしても、 わりにあっさり中央集権国家を樹立できたのは驚きです。 どの藩も、 新政府に抵抗するだけの経済力や軍事力がなかったわけですが、 それにしても、そんなに簡単に主権を手放すものでしょうか? いまでいうなら、 さながら世界二百ほどの国々が一斉に主権を放棄して、 国連みたいな世界政府に譲渡してしまう …ってな感じです。 もちろん軍事的な主権も放棄しますから、武装解除を伴います。 日本は、 そんな大それたことをいとも簡単にやってしまったと、 当時の海外メディアが騒いだのも頷けます。 じつは新政府の人たちも、 かなりの抵抗を予想していたらしいのですが、 やってみたら、意外に簡単に出来ちゃったのですね。 追記: 藩は形式的には主権と軍事力を有していたけれど、徳川時代の封鎖政策のなかで極限まで弱体化させられて、それが明治の廃藩の前提になったともいえる。 ≫ 出る杭は100%打つ…家康が「無能なトップに忠誠を誓う部下」を大量生産するために考え出した驚きの屁理屈(童門冬二) ◇ 新政府は、廃藩をする代わりに、 それまでの藩の借金を棒引きにしてやりました。 といっても、 べつに新政府が肩代わりをするのではなく、 ただ政治的に「踏み倒す」というだけのことです。 この結果、大損をしたのは大阪商人だといわれています。 今回のドラマでは、 イッセー尾形が三野村利左衛門を演じていますが、 多くの大阪商人が転落していくなかで、 三井のように新政府と結んだ商人だけが生き残るのです。 いわば廃藩置県というのは、 みんなで大阪商人の借金を踏み倒すための、 大掛かりで政治的な共犯だったのかもしれません。 ◇ 今回のドラマを見ていると、 東京に西郷隆盛が来ていたことも大きかったようです。 西郷が東京に来たのは、 べつに廃藩置県を断行するためではなく、 たまたま岩倉具視が「新政府に協力しろよ」と言って、 島津久光の代わりに連れてきただけなのですが。 その時点では、岩倉も、 廃藩置県をやるとは知らなかったようです。 山内圭哉も「えええ~っっ?!」って驚いてましたよね。 https://www.kutv.co.jp/evening_kochi/evening_kochi-1122153/ 新政府のメンバーも直前まで知らなかったし、 まして各藩に根回しをしていたわけでもなく、 むしろ不意打ちを食らわせて、天皇の詔を出してしまった。 しかし、結果として、 西郷隆盛に刃向かってくるような藩はありませんでした。 唯一、島津久光だけが、 いわば部下に裏切られた形だったので、 悔しまぎれに花火大会をやったりしたらしいですが(笑)。 ◇ 今回のドラマを見ていても、 各藩主の受け止め方はよく分からなかったし、 日本中の藩士たちが、 廃藩の翌日からどんな風に過ごしたのかも分からなかった。 もしかしたら、 廃藩の意味をあんまり理解してなかったのかもしれない。 それとも、ちゃんと理解したうえで納得してたのか。 あるいは、納得できないまま我慢してただけなのか。 まあ、 このあと西郷自身が戦争を起こすことになるので、 きっとそこで藩士たちの気持ちも描かれるのかな、とは思います。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2023.01.13 20:34:40
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