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カテゴリ:東日本大震災
「本日は着任の挨拶にとまいりました」
「Y所長は大阪出身だそうですね」 「そうですよ、縁あって関東に流れ流れて今の地にです。」 「貴殿の経歴によると、2008年には、社内で、F第一原子力発電所に想定を大きく超える津波が来る可能性を示す評価結果が得られた際、貴殿が部長を務める原子力設備管理部は「そのような津波が来るはずはない」と主張して、当時の上層部も了承したため建屋や重要機器への浸水を防ぐ対策が講じられなかったらしいですね」 「よくご存知ですね、ま、電力会社は民間企業ですから経済的効率をどうしても優先しますので、・・・」 いろいろ事情があるようだな 「ところで、原発事故時の対応について、わが消防本部として防御計画を改定したいので、いろいろとご教授願いたいのですが」 「一ヶ月ほど通うのでじっくりと勉強させていただきたい」 「いいですよ、歓迎します」 資料 原発側と地元自治体(消防本部)が協力しなければならない根拠↓ 原子力災害対策特別措置法によると (地方公共団体の責務) 第五条 地方公共団体は、この法律又は関係法律の規定に基づき、原子力災害予防対策、緊急事態応急対策及び原子力災害事後対策の実施のために必要な措置を講ずること等により、原子力災害についての災害対策基本法第四条第一項 及び第五条第一項 の責務を遂行しなければならない。 (関係機関の連携協力) 第六条 国、地方公共団体、原子力事業者並びに指定公共機関及び指定地方公共機関は、原子力災害予防対策、緊急事態応急対策及び原子力災害事後対策が円滑に実施されるよう、相互に連携を図りながら協力しなければならない。 (原子力事業者防災業務計画) 第七条 原子力事業者は、その原子力事業所ごとに、内閣府令・原子力規制委員会規則で定めるところにより、当該原子力事業所における原子力災害予防対策、緊急事態応急対策及び原子力災害事後対策その他の原子力災害の発生及び拡大を防止し、並びに原子力災害の復旧を図るために必要な業務に関し、原子力事業者防災業務計画を作成し、及び毎年原子力事業者防災業務計画に検討を加え、必要があると認めるときは、これを修正しなければならない。この場合において、当該原子力事業者防災業務計画は、災害対策基本法第二条第十号 に規定する地域防災計画及び石油コンビナート等災害防止法第三十一条第一項 に規定する石油コンビナート等防災計画(次項において「地域防災計画等」という。)に抵触するものであってはならない。 2 原子力事業者は、前項の規定により原子力事業者防災業務計画を作成し、又は修正しようとするときは、政令で定めるところにより、あらかじめ、当該原子力事業所の区域を管轄する都道府県知事(以下「所在都道府県知事」という。)、当該原子力事業所の区域を管轄する市町村長(以下「所在市町村長」という。)並びに当該原子力事業所の区域をその区域に含む市町村に隣接する市町村を包括する都道府県及びこれに準ずるものとして政令で定める要件に該当する都道府県の都道府県知事(所在都道府県知事を除く。以下「関係周辺都道府県知事」という。)に協議しなければならない。この場合において、所在都道府県知事及び関係周辺都道府県知事は、関係周辺市町村長(その区域につき当該原子力事業所に係る原子力災害に関する地域防災計画等(災害対策基本法第二条第十号 イ又はハに掲げるものを除く。)が作成されていることその他の政令で定める要件に該当する市町村の市町村長(所在市町村長を除く。)をいう。以下同じ。)の意見を聴くものとする。 ふむふむ 地元市町村長はかなり権限があるし、電力会社側と十分な協議の場を持つ必要があるようだ。 (市町村長の地域防災計画における実行組織は消防本部である) (原子力防災組織) 第八条 原子力事業者は、その原子力事業所ごとに、原子力防災組織を設置しなければならない。 2 原子力防災組織は、前条第一項の原子力事業者防災業務計画に従い、同項に規定する原子力災害の発生又は拡大を防止するために必要な業務を行う。 3 原子力事業者は、その原子力防災組織に、原子力規制委員会規則で定めるところにより、前項に規定する業務に従事する原子力防災要員を置かなければならない。 4 原子力事業者は、その原子力防災組織の原子力防災要員を置いたときは、原子力規制委員会規則で定めるところにより、その現況について、原子力規制委員会、所在都道府県知事、所在市町村長及び関係周辺都道府県知事に届け出なければならない。この場合において、原子力規制委員会は内閣総理大臣に、所在都道府県知事及び関係周辺都道府県知事は関係周辺市町村長に、当該届出に係る書類の写しを送付するものとする。 5 原子力規制委員会は、原子力事業者が第一項又は第三項の規定に違反していると認めるときは、当該原子力事業者に対し、原子力防災組織の設置又は原子力防災要員の配置を命ずることができる。 ふむふむ 消防法は一定の事業所に自衛消防隊を要求しているが この法律でも同様の防災組織を義務化しているのだな ん まてよ 確かに民間側に原発災害に対応出来る防災組織を要求しているのはいいのだが 地元自治体や地元消防本部には なんら要求していないではないか??? ふむふむ、それで、管轄の浪花消防署や県庁所在地のF消防局に、原発対応消防隊が存在しないのか! 何たる誤解だ。 立法者も立法者だ。 自治体や消防機関の責務については、災害対策基本法や消防法にすべての災害に適用と明記されているので、 原子力災害対策特別措置法に重ねて列記する必要は無いとの考えらしいが これはまったく不親切である。 原子力災害に対して、自治体は避難するだけでよく、消防隊は何もしないでよい。 全部民間事業者に対応させればよい。 と解釈されかねない。 地元自治体の責務、とくに地元消防本部の責務を原子力災害対策特別措置法に明記すべきである。 現に福島原発事故では、他県から東京消防庁や大阪、神戸などの消防隊が出動しているではないか。 それも地元自治体もしくは地元消防本部の要請ならともかく、国の要請によって出動したと聞く。 確かに原発災害対策本部の指揮権は国にある。 しかし、消防部隊の能力を知らない霞ヶ関官僚や政治家、学者に、 果たしてどれだけの指揮運用能力があるのか、疑問に思う。 本来ならば、消防法4条に基づく立入調査権を有し、原発施設の内情を最も知るはずの所轄消防署長または消防本部長が、現場において、原子力災害対策特別措置法に規定される市町村災害対策本部、府県災害対策本部を主導し 同じく原子力災害対策特別措置法に規定されている「原子力災害現地対策本部」や「原子力災害合同対策協議会」の主要構成メンバーとなって その持てる知識、装備、対応車両、人員を、事故現場に投入すべきである。 福島原発事故では、原子力災害対策特別措置法に基づく市町村災害対策本部やオフサイトセンター(県災害対策本部)がほとんど機能しなかったため、「原子力災害現地対策本部」がほぼ不在のまま推移した経過がある。 そのため、霞ヶ関と東京電力本社と現地吉田所長とのやりとりだけで、事故対策をとらざるを得なかった。 事故の際もっとも頼りになるのは民間の自衛消防隊ではなく 直近の公設所轄消防隊であるはずである。 1 原子力災害等の訓練に明け暮れ、あらゆる災害活動のノウハウと経験を積んだ消防隊長 2 困難な任務に対処できる体力と技術と責任感を持つ消防隊員 3 チェルノブイリ事故をはじめとする、内外の事故例と対処方法を学び養成された消防係員 4 事故現場に突入し、活動できる耐放射能装備、機器、無人ロボット。 5 耐放射能型消防ポンプ車・同救助工作車、全電源を喪失させない消防電源車 ちなみに、上記機器は震災前から、大都市消防に配備されており、特に消防電源車は神戸市消防局に20年前から配備され、阪神大震災の停電時に災害現場の活動にて大いに活躍した実績がある。 これらが、福島県内の消防本部に配備されていたなら、事故現場に出動していたなら・・・・・・ お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2013年07月22日 23時28分27秒
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