震災10年第3回LPガスの恐怖。原爆30発のじゅうたん核爆発相当の被害。
昨夜からの続きです(6)津波の想定がない神戸はご存知、海岸線があり、コンビナート地区となっている。巨大石油タンクや、LPGタンクがある。火影は消防行政のうち危険物許認可事務を担当し、巨大タンクの設計審査の経験をした。タンクが破損しても、広がらないようにするコンクリート製防油堤や、耐風、耐震計算など、設計には厳しい基準がある。それが功を奏して。今回の震災でも、消防の担当する石油タンク本体そのものの損傷は聞いていない。ところが、津波の直撃などはまったく想定していないのだ。阪神大震災では、幸い、津波の被害は聞いてはいないが。昨年のスマトラ沖地震の場合などは、タンク全体が破壊される危険性がある。その心配があったため、津波被害の想定をしたのである。中でも、一番おそろしい。東灘区御影浜町の6万トンLPGタンクを。。。。(7)LPガスの恐怖、原爆30発分●LPガス6万トンの正体? LPG 6万トンとは、いったい、何か、何に相当するか? 当時結果を出したのだが、今一度皆様の前で計算してみる。まず、基礎データとして●天然ガスや石油を採掘するときに、出るプロパン・ブタンがLPGで、メタン・エタンがLNGである。発熱量(カロリー)は、LPGのプロパンは約24,000kcal/m3、ブタンは約32,000kcal/m3である。少ないほうのプロパンで計算してみる。●プロパンC3H8=分子量44、空気の平均が29だから、約1.5倍の重さである。1モル=44グラムで、常温22.4リットル●プロパン6万トンがガス化すると容積は?60000X10^6乗X22.4/44リットルである。すなわち、30545.4545X10^6乗リットル=30545454キロリットル(m3)●そのカロリーは?30545454キロリットル(m3)X 24,000kcal/m3=733090.896X10^6乗 Kcal●ピンと来ないと思い。広島型原始爆弾と比較してみた。広島型原爆リトルボーイにはウラン235の1Kgが使われ、エネルギーはTNT火薬15kt相当、長崎型原爆はプルトニウム239で、TNT火薬で21kt相当といわれている。●TNT火薬1トンは10^6乗キロカロリー(百万キロカロリ)であるので、計算すると。15000X10^6乗 Kcalとなる。●割り算をしてみる733090.896X10^6乗 Kcal/15000X10^6乗 Kcal=48.8この数字はなにか?そう、原子爆弾49発である。実際のタンクでは、6万トン満杯になることはなく。大体60%なので、30発との計算結果。●LPGの拡散範囲を計算してみる。LPGは空気より重く、地表を這うようにして。拡散する。爆発限界: 上限9.5vol% 下限1.8vol% であるから、空気と混合し最大50倍の容積になる。ガス化した容積は30545454キロリットル(m3)であるから、50倍すると。30545454X50=1527272700 m3高さ1mで滞留するとすれば、1527272700 平方メートルの面積になる。1527平方キロだ。同じく60%として、約900平方キロになる。理論上、30キロ四方の広大な地域が、LPG爆発限界のガスに覆われることになる。半径17キロか???西は垂水区、東は大阪市の此花・港・大正区にいたるまで、すっぽり入る。風向きがあるので、東西南北それ以上の距離が危険範囲になることも考えられる。とにかく空気より重いので、地表に長期間滞留する。このように拡散した状況で、発火爆発すれば、地表にいる生命体は一挙に焼け死んでしまうであろう。何十万人もの人間がいたことか。。。エネルギー量は、前記のとおり、広島型原子爆弾30発であるから。2・3キロおきにじゅうたん核攻撃されたと同じ状況である。神戸新聞で記載のとおり、7万人を避難させたが、避難だけですんだことは幸いであったといえる。以上の話はSFではない。神戸東灘にあった現実の世界なのだ。。。、神戸新聞に、関係のことが連載されている。↓神戸新聞連載記事ページ2005/01/18~記載されている写真の白い部分は、漏洩したガス拡散を抑えるために、私・火影が泡放射したものである。つづく。